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松竹大歌舞伎 「十二夜」 (3/25)
昨夜バービカンで鑑賞しました。

うん、面白かったです。ここのところ、見るダンス公演というものハズしてばかりだったので(大コケのシルヴィー&ルパージュ・ショーとか、素人演出の陳腐極まりないRB・イサドラとか)、久々にプロ集団による洗練された舞台を見られた・・・という満足感にみたされつつ劇場を後にすることができました。

ただ、期待が大きすぎたのか、作品自体の魅力は今ひとつ・・・十分楽しめたのだけど、ややスッキリしないというかもやっとしたものを感じたのも事実。

私は歌舞伎にも蜷川氏にも疎いんだけど、過去に一度だけ蜷川氏演出の芝居を見る機会があって、かなり前にナショナル・シアターでかかっていた「ペリクリーズ」。これがも~滅法面白い舞台で、あのときの興奮は今でも憶えてる。芝居の面白さもさることながら、一番印象に残ってるのは視覚効果の素晴らしさだったりするんだけど・・・徹底したサービス精神に貫かれた"目くらまし演出"とでもいうか、シアター・マジックという言葉を身をもって体験させていただいた、そんな舞台だったのです。

今回の「十二夜」もヴィジュアル・エフェクトはなかなかのもの。鏡を効果的に使ったり、セットも数種類用意されていて頻繁に換えていたし、ライティングもよかった。面白かったのが音楽で、伝統的な歌舞伎の音楽に加えてところどころルネッサンス期(?)の音楽がチェンバロで奏でられる。

で、肝心の芝居の方は、役者に不足なし・彼等の演技は十分楽しんだのだけど、演出は100%納得できるものではなかったような・・・上手く言えないんだけど、歌舞伎役者によるシェークスピアの芝居を見ているのか、シェークスピアの芝居を歌舞伎風演出・味付けしたものを見ているのか・・・そのどっちでもないような、で、どちらかというと私が見たかったのは、シェークスピアの芝居を翻案して"完全に"歌舞伎作品に仕立て上げたもの、だったのかなあと思ったり。(もしかして制作者にそういう意図があったのだとしたら、受け手の自分の知識・感度不足で伝わってこなかったのか・・・。)もしくは、歌舞伎をパロディー化した演出でも面白いかも。(ちなみに、私は「十二夜」を原作で読んだこともなければこれ以前に芝居で見たこともありません。まったく思い入れとかナシ)

つまり、もっと歌舞伎に(強引にでも)引き寄せちゃったものを見たかったような気がする・・・そのためには原作のプロットとか登場人物とか多少変えちゃっても。実際には、この舞台はかなり原作に忠実に創ってあるのではないかと思われます。字幕には原作にある台詞(が使われている場合は)と日本語の台詞の翻訳が両方表示されていたのだけど、この翻訳がかなり端折ってあって、これで日本語を解さない人にちゃんと伝わるのか?とちょっとハラハラしてしまった。(で、休憩時間に隣席の常連風のオジさんに、「楽しんでます?台詞が全部訳されていないようだけど、意味伝わってますか?」と聞いてみたら、「たしかに役者が沢山喋ってるわりに字幕は全然変わってないなぁ・・・とちょっと気になったけど、大丈夫。多分ここに来てるイギリス人は原作を知ってるからフォローできるよ」とのお答え。なるほど、そうかと一安心。でも、原作を知らない人にはかなり辛いってことよね・・・それに、翻訳は台詞の骨子を伝えるだけで、日本語の言葉のニュアンスまでは到底伝えられないので、やはり日本語を解さない人たちには不利かと・・・。勿論それを言い出したら、結局文化的背景まで知らなきゃ楽しめない・云々ってことにもなってしまうが。)

さて時間もないことだし、ムリヤリ役者陣に話を移します。

まずは主役(二役)の尾上菊之助。ヴァイオラに扮した登場シーンでは、"お人形みたい・・・"と嘆息してしまいました。浮世離れした、繊細な美しさ。菊之助さんは専らシザーリオ役(男の役者が、"女でありながら男になりすます役"を演じるという、このややこしさ!)で舞台上にいるわけですが、女形を演じているときが断然光っていたなあ。そして、一幕が終わって、「うーん なんか、もっと歌舞伎・歌舞伎したもの見たいよお」とつぶやいた私としては、二幕の冒頭のシザーリオによる舞踊シーンに狂喜!せめて、あと一場面でいいから舞のシーンを挿入して頂きたかったな・・・。父君の尾上菊五郎氏も二役を演じておいででしたが、street-wiseな道化役・フェステがよかったです。

ま~しかしこの夜のMVPは、なんといってもこの方、市川亀治郎!上手い、巧い、ほんとに芸達者。織笛姫の側仕えで機知に富んだ麻阿(マリア)を実に生き生きと、どんぴしゃのコミック・タイミングで演じていました。ただ舞台の端に立ってじっと横目で女主人を見つめているだけでもただならぬ気配を発していて、そうかと思うと運動神経がいいのか動きは極めて軽妙で。役柄のせいもあるかもしれないけど、彼(彼女)の演技には観客がぴくぴくと反応してるのが肌で感じられた。(私の目には、この夜の亀治郎さんは歌舞伎役者でなくて、ただ"役者"だったような・・・なにか、この方の演技には歌舞伎を"踏み外して"しまったものが感じられてそれがスリリングだったな。歌舞伎のパロディーでは勿論なくて、でも、純然たる歌舞伎の舞台でないなら、この行き方も面白いなあ・・・と、その個性と大胆さに、ドキドキ。)

最終場面、菊之助演じる双子の兄妹がいよいよ二人同時に舞台に登場するところはどうやって処理するのかな~と注目していたら、菊之助のダブルにはお面(仮面)をつけさせていて、これは上手い!と感心。(それとも、これひょっとして歌舞伎の常套手段?)晴れて二組(三組?)のカップルが誕生してハッピーエンドで幕が降りると、暖かい拍手が。週中だったせいかカーテンコールは2,3回でお開きになったけど、観客の反応はまずまずよかったです。(蜷川さんが登場したら拍手が一際大きくなった。)週末の公演はもっと盛り上がるのではないかな。

☆今回の公演のキャスト、プログラムを買わなかったのではっきりわからないのですが、おそらくこちらのサイトにある布陣と同じと思われます:

http://www.kabuki-bito.jp/juniya/
2009-03-27 11:30 | その他のバレエ・ダンス公演 | Comment(5)
ミハイロフスキー・バレエ 「ジゼル」 (7/26・マチネ)
《CAST》

Giselle: Oksana Shestakova
Albrecht: Mikhail Sivakov
Berthe: Yanina Kuznetsova
Prince of Courland: Andrey Bregvadze
Bathilde: Alena Videnina
Game-keeper: Anton Chesnokov
The Duke's squire: Roman Petukhov
Pas de deux: Anastasya Lomachenkova, Anton Ploom
Myrthe: Irina Koshleva
Wilis: Sabina Yapparova, Anastasya Lomachenkova

The Mikhairovsky Ballet and Orchestra
Conductor: Stanislav Kochanovsky

今回タイトル・ロールを踊るバレリーナはプレ・キャストではアナスタシア・マトヴィエンコ、オクサーナ・シェスタコワ、イリーナ・ペレンの3人となっていて、誰の日を見ようか迷ったのだけど、確か日本で評判が良い&アルブレヒトもこのバレエ団生え抜き(?多分)、ということでシェスタコワ&ミハイル・シヴァコフ組を選択(他の二人のパートナーはマトヴィエンコ)。結果、大正解だった。

シェスタコワは清純で慎ましやかで、これだけ一幕の村娘がぴったりくるダンサーを見るのは久しぶり。背は高すぎず・低すぎず、むやみやたらと手足が長いわけでなく、スパルタクスに登場したサイボーグ系バレリーナ達(?)と比べるとややレトロな雰囲気があってほっとするというか・・・。ニ幕でウィリになってからの没入ぶりは素晴らしくて、ごく自然に彼女のジゼルの世界に引きこまれる。ふんわりと繊細なポール・ド・ブラと宙に漂う浮遊感がとりわけ印象に残った。パートナーのシヴァコフは長身で見栄えのいいダンサーだけど、貴人という雰囲気はあまりなかったかな(ごくごく普通の青年というか・・・)。彼の踊り自体には特にひかれるものはなかったけれど、かといって特別不満があったわけでもなし。二人のパートナーシップは悪くはなかったけれど、トータルでみるとシェスタコワの方がアーティストとして成熟している印象があって、彼女と対等の(もしくはより成熟した・大人の)パートナーと組んでいたらどうなっていただろう・・・とついつい想像力を掻き立てられてしまった。カーテン・コールでは、心がまだ地上に戻ってきていないという表情のシェスタコワと彼女を支えるシヴァコフに、客席から心のこもった拍手がおくられていました。(ちなみにこのマチネ公演、お客の入りは六・七割といったところだったか)

プロダクションについて若干・・・

「セット」一幕の村の情景・ジゼルとアルブレヒトの家は割とリアルな描かれ方でちょっとロイヤル版のと近かったような。(背景・遠方にお城がしっかり見える)二幕では背景画の森に加えて舞台の下手最前線にあるジゼルのお墓の前と舞台後方・中央に木の茂みが配されていて、これが上がったり下がったりする仕掛け。(お墓は最初茂みに隠れて見えない。ジゼルが最後に消えていくのは後方の木の陰、等々)

「衣装」新制作?どれもピカピカの新品って感じで色が鮮やか。ジゼルと彼女の友人達の衣装はブルーと白をベースにしていて、配色自体はトラディショナルだけど決して質素ではなく、"街着"として十分通用しそう(笑)。アルブレヒトはアースカラー(茶系)の衣装でこれはよくあるタイプ。クールラント公ご一行の衣装は赤と金を基調とした華美なもので、登場してきたとき一瞬・スパルタクスの使いまわしか?と思ってしまったほどパッと見路線が似てる。まあ赤と金はロシアの色だから(?)、らしくていいです。ニ幕でやや驚いたのがミルタの着ていたロマンティック・チュチュ。スカート部分が日頃よく目にするタイプのものと比べるとあまりハリがなくて、下にストンと落ちる柔らかそうな?素材のもの。多分他のダンサー達が着用していたチュチュと同じ素材と推測するのだが、ミルタ役のコシェレワは背が高いので、このスカートだとちょっと間延びして見えてしまった。(グラン・ジュテしたときにスカートが脚にまとわりついてふわりと浮かないのが不満で・笑。"普通のドレス"として見れば綺麗なんだけど・・・。ちなみにジゼルも含めミルタ以外のウィリたちは肩の露出抑え目のパフスリーブの袖で、可愛らしい雰囲気。コール・ドの、"肝心"の踊りの方は、普通以上に綺麗なんだけれど特に心動かされることはなく・・・)

「演出」たしかニ、三のシーンで聴きなれない音楽が挿入されて振付が引き伸ばされていた(二幕のジゼルの出の場面とか・・・)。マイム・シーンでちょっとひっかかったのが、アルブレヒトと従者のやり取りやヒラリオン(キャスト・シートには"Game keeper"としか書いてないけど)の語り部分はやけに丁寧に描かれているのに、肝心の(と思える)部分が抜けていたこと。一幕でアルブレヒトが「なんて美しい顔だ・・・」と感嘆して衝動的に永遠の愛を誓うシーン、「美しい・・」の部分がなくていきなり誓いをたてているように見えたのだけど・・・。あと、ベルタがジゼルと村の娘達にウィリ伝説を話し聞かせる場面は割愛されていた。(マリインスキー版も抜けてるけど、あのマイムシーンは絶対あった方がいいと思うけどなぁ・・・)あと、やや滑稽だったのが二幕の演出で、暗い森の中に鬼火が出るんだけど、これが花火みたいにバチバチ光って音もかなり派手だったこと。ちょっと場の雰囲気にそぐわない気がしたんですが・・・。(あ、結局ボルゾイ犬は出ませんでした。代役はなし・笑)

最後に音楽・オケ、これは面白かった。この演目ではあまり耳にした記憶のない厚い音で、かつ随所でオペラ風と形容したくなるような・ドラマ性をくっきり浮き立たせる演奏がきかれて(若干装飾性過多のきらいもあったけど・・・)、この音楽の解釈としては大いにアリ、と独り言ちた。
2008-07-31 09:10 | その他のバレエ・ダンス公演 | Comment(5)
ミハイロフスキー・バレエ 「スパルタクス」(7/23)
ミハイロフスキー・バレエのロンドン・デビュー・シーズン、全幕作品を一回ずつ鑑賞しました。感想・第一弾。

☆「スパルタクス」(7/23)

Spartacus, a gladiator: Alexey Turko
Crassus, a rich patrician: Andrey Kasyanenko
Valeria, Spartacus's beloved: Vera Arbuzova
Sabina, Crassus's beloved: Irina Perren
Crixus, Spartacus's friend: Andrey Masloboev
Pompeius, a military leader: Andrey Bregvadze
Elaida, Pompeius's beloved, a courtesan: Natalia Tsyplakova

The Mikhairovsky Ballet and Orchestra
Conductor: Karen Durgarian

私が見たのは二日目のセカンド・キャスト。初日を見た友人から、「ヴェガスのショーみたいだよ~合唱つきのところが思いがけないボーナスで美味しかった」と聞いていて怖いもの見たさで出かけたけど、シリアスなバレエ作品としてではなくエンタメと割り切れば、まずまず楽しめる内容だった。敢えてドラマ性を排除したのか?人物の相関関係とか状況を説明するようなマイム・シーンはほとんどない。(まぁなくても見てればわかりますが・・・。)ひたすら踊りと怒涛の"ノリ"だけで一気に突き進むスペクタクルで、こういう"見世物"的な行き方もアリかとは思うけど、ナラティヴ部分があまりに弱いのが全体に薄っぺらなプロダクションの印象をさらに底上げしていたことは否めないかも。

ごくごく大雑把に言うと振付には3パターンぐらいしかなくて、男性ダンサーのマスキュリンな力を誇示する振り(その割に勇壮さはあまり感じられなかったが・・・ペテルブルグ派だから本来は優雅さがカンパニーのウリ?)、極端に類型化された"女"を象徴する振り(誘惑者としての娼婦と弱き者・庇護すべき存在としての妻)、アクロバティックなpddの振り・・・これを使い回して上演時間(正味)約2時間半を乗り切るわけだから、途中やや飽きがくるのは仕方ない。一幕はかなりスピード感があり、何が何だかわけがわからないうちにすぐ終わってしまったという印象があったけど、二幕は長すぎた。一幕で私的に最も興奮した&このプロダクションの美点と思えたのが(友人談の通り)合唱を大量投入していた点で、一部の合唱隊は舞台上でパフォームしていてこの人達の存在が音だけでなくヴィジュアル的にも相当厚みを与えていたと思うのだけど、二幕では出番が減ってしまって、そうしたら途端に睡魔に襲われてしまった・・・。

面白いことにこのミハイロフスキー版スパルタクスの主役はタイトル・ロールのダンサー&パートナーではなくて、むしろクラッスス&his missusなんですね。クラッススとサビーナ(あるいはそのどちらか)がほぼ出ずっぱりで、見せ場のpddも多い。スパルタクスの妻のヴァレリアなんてあまり出番がなくて、忘れた頃に登場する・・・という感じで。あと、このヴァージョンにはポンペイウスが登場するんだけど、一体何のためか最初は訝しかったのだけど(時折力を誇示するようなマイムを披露するだけ)、彼を登場させることで、反乱軍のリーダーとしてのスパルタクスへのシンパシーよりも、"為政者礼賛"のカラーをより強く感じさせる効果があったような(少なくとも私にはそう見えた)。なにせスパルタクスと妻、反乱軍のシンパ達との内面のドラマが殆ど描かれていないので、スパルタクスがただの粗暴なグラジエーターに見えてしまうきらいがあり、ヒロイックな闘士へのオマージュという作品にはなっていなかったような。(スパルタクス役のTurkoという人がまた典型的な悪人面の持ち主で・・・感情移入することが極めて難しい。ヴァレリア役のArbuzovaは今時のロシアの女性ダンサー標準?細くて手足が長くて筋肉質で頭が小さくて・・・振付のせいもあり、バレリーナというよりはちとアスリート風に見えてしまった。)

クラッスス役のKasyanenkoはまだ若いダンサーなのかやや幼く見えるタイプで威厳とカリスマが欠如していたけど、あの大変なリフト技をなんとかクリアしていたのでそれだけでも褒章ものでしょう。彼のパートナーのペレンもあのアクロバット技を難なくこなしていて、彼女も間違いなく敢闘賞。(しかし、サビーナは役柄上セクシーな振付がかなりあるんだけど、マネキン人形のような美貌の彼女には、まるで色気がなかった・・・)二組の主役のpddはどれもリフト・難技を多用していて、特にクラッススとサビーナのpddはサーカスすれすれのアクロバット技が続き、見ている方も思わず力が入っちゃう(笑)。最も有名なアダージョで踊られるスパルタクスとヴァレリアのpddは二幕最後の方で登場するんだけど、こちらはグリゴローヴィチ版の影響濃厚。(それにしても、この音楽ってこういう振付しかできないのかなぁ・・・なーんか類型的でつまらん。)

そういえばこのスパルタクスにはもう一人、準主役級の人物が配されているのですが、スパルタクスの友人で腹心?のCrixus。この人はサビーナの誘惑にコロッと負けて反乱軍を裏切り、スパルタクスと争って揉み合ううち(確か事故で?)剣に倒れる・・・という末路を辿るのですが。Crixus役のMasloboevは堂々たる体躯の、そこそこステージ映えするキャラクテールだったけど、いかんせん役柄が・・・この人物を登場させた意義や如何?彼の存在でドラマ性が深められたというわけではなかったような・・・。

振付&ダンサー以外の点について少々。

音楽: オケの演奏はほとんど笑っちゃうぐらい騒々しくて、例のEUのオケ騒音規制のコントローラーが聴いたら書類一式抱えてすっ飛んできそう(軽~く120デシベルは超えてたんでは?あ、でもロシアはEUじゃないから関係ないか・・・)。特に一幕のクライマックスでの打楽器の鳴らし方が圧巻で、劇場中の打楽器奏者をかき集めた上ヤマト太鼓の一群が加わってるかのような大音量。(そういえばこの夜トランペットがへたれまくりだったけど、おそらく誰も気にしてなかったであろう・・・と。)

セットと衣装: セットは、コロッセオを縦にすぱっと分割した壁(変な表現ですが・・・)何枚かが背景に配されていて、これが場面によって向きを変えて使われていたけどなかなか効果的だった。あと、後景に巨大なマスクが置かれていたり、猛獣(今回は人間だったけど・笑)の入ってる檻があったり、やや劇画チック。衣装では、グラジエーターたちが着用しているメタリックな戦士コスチュームと対照的な、支配層の装束のきらびやかな色、特に金・赤・白の使い方が目を惹いた。ライティングは、一部まさにラスヴェガスのショー並みの(?)ケバケバしいシーンあり。(私はグリゴロ版スパルタクスも苦手としていて特に思い入れはないんだけど、この版と比べるとグリゴロ版が"シック"に見えてくる・・・と言えば大体の雰囲気わかっていただけるでしょうかね??)

最後に・・・大変に穿った《&ムリヤリな》見方をすると、この過剰感ありまくりのプロダクション、政治・経済面で強気《&独自の》大国路線を内外にアピールしているように見える昨今のロシアの、国の勢いと強烈な自負心に重ね合わせることができるかも・・・なんてふと思ったりした。

☆ ballet.coギャラリーで舞台写真を見られます(ファースト・キャスト):

http://www.ballet.co.uk/gallery/jr_mikhailovsky_spartacus_coliseum_0708
2008-07-28 03:52 | その他のバレエ・ダンス公演 | Comment(6)
都さん@バーミンガム・ガラ、ウィンブルドン開幕
ミッツィカスパーさんに教えて頂きました(いつもありがとうございます~)。

吉田都さんが今週土曜、バーミンガム・ヒッポドロームで開催される特別ガラ公演に出演されるようです!

http://www.brb.org.uk/masque/index.htm?act=Production&urn=13347

バーミンガム・ロイヤル・バレエのアシスタント・ディレクター Desmond Kelly氏のキャリア50周年を祝うガラ公演で、都さんはR&J(withイアン・マッケイ)とテーマ&ヴァリエーションズ(!)を踊られるようです。

都さんのT&V・・・!見たいなぁぁ・・・ でも土曜は午後既に予定が入っているので、バーミンガムには行けない・・・。バーミンガム近郊にお住まいで・公演にご興味のある方は、是非足を運ばれてみてくださいませ。(今ヒッポドロームのサイトを見てみたのですが、良席は完売してますがサークル後列は多少残っていました。)

出演者の中に、なんとロイヤルのロベルタ・マルケスとイヴァン・プトロフも名前を連ねているのですが・・・彼らは今中国(で、その後日本)ではないのかしら??シュツットガルト・バレエ、オーストラリア・バレエからもゲストが来るようです。

さて、話題はがらっと変わって・・・ウィンブルドンがスタートしましたね~。今朝の天気予報によれば、《話半分以下に聞くべきだろうけど》今週も来週もSW19付近は晴天が続くとか。雨にたたられ通しだった昨年よりは少しはスムーズにすすむかなー。

まあせっかく始まったとはいっても、当然昼は仕事で試合はリアルタイムでは見られないのよね・・・夜のダイジェスト番組を見てお茶を濁すのが関の山。せっかく日中BBCが延々中継放送してるのに悔しいなぁ・・・私はネットのできる(orTVの見られる)携帯ガジェットを持っていないので、時々ちらちらデスクのpcからスコアをチェックするぐらい。(あーあやっぱiphone買おうかなぁ・・・)

で、とりあえず男子の優勝予想ですが、往年のチャンピオン達の見立ては・・・ボルグはナダール、サンプラス、マッケンロー、ベッカーはフェデラー(で、勿論誰もがジョコヴィッチにも言及してます)。果たして今年もフェデラーvsナダールの決勝となるだろうか?

☆テレグラフのサイトでボルグ♪のインタビュー動画を見られます:

http://www.telegraph.co.uk/telegraph/telegraphtv/tvplayer/?ID=Sport&bcpid=1138275681&bclid=1600116411&bctid=1614764551
2008-06-24 09:35 | その他のバレエ・ダンス公演 | Comment(10)
【特別寄稿レポ】 "Alina & Friends"
去る5/7、サウス・バンク・センターの小じんまりとしたホール(Queen Elisabeth Hall)でアリーナ・コジョカル(初?)の座長公演が開催されました。以前もちらりとお伝えしましたが、この公演は、ルーマニアの医療活動を支援する英国のチャリティ団体"Hospices of Hope"のためのファンドレイジング・イベント。

いつも当ブログにコメントをお寄せ下さっているミッツイカスパーさんがこの公演をご覧になっていて、当方宛に詳細な鑑賞レポを送ってくださいました。こんなに貴重なレポが私一人の目にしか触れないのはあまりにも勿体無い(&申し訳ない)・・・是非当ブログで紹介させてください、とお願いした処快諾を得ました。

・・・というわけで、ミッツイカスパーさんの「アリーナ&フレンズ公演」の鑑賞レポをここに転載させて頂きます。Enjoy!!


『これはたぶん、アリーナにとって初めての自主公演ではないでしょうか? 過去に彼女が仕切った公演って聞いたことないですよね? ご存知の通りチャリティ公演のため、チケットの売り上げはすべてホスピスへ渡るそうです。出演したダンサーは全員ボランティア。プログラムは次の通りでした。

☆ Other Dances (Jerome Robbins) - Alina Cojocaru,
Johan Kobborg
☆ Flames of Paris (after Vasily Vainonen) - Yuhui Choe,
Marian Walter
☆ L'Apres-midi d'un faune (Tim Rushton) - Johan Kobborg
☆ Bird as Prophet (Kim Brandstrup) - Alina Cojocaru
☆ Coppelia (after Arthur Saint-Leon) - Roberta Marquez,
Daniel Ulbricht
☆ Don Quixote divertissement (Petipa) - Alina Cojocaru,
Johan Kobborg, Roberta Marquez, Daniel Ulbricht, Yuhui Choe,
Marian Walter, Emma-Jane Maguire, Romany Pajdak,
Sergei Polunin


クイーン・エリザベス・ホールって行ったことあります? 会場のアットホームさに驚きました。すり鉢を半分にした形の会場で舞台は床からわずか30-40センチほどの高さ。舞台に緞帳がなくオープンなスタジオのよう。1列目の席から舞台までの距離は1メートルくらい。私の席はセンターブロック前から2列目でしたが、1列目の車椅子スペースに誰もいなかったので、もう目の前でダンサー達が舞っていました。ひとりでこんなイイ思いをしていいの?ってくらい感動、興奮。

過去、ロンドンでは、私はいつもアリーナ&ヨハンの組み合わせにふられ放しだったので、やっと落ち着いてちゃんとふたりの舞台を見ることができて嬉しかったです。ロビンズの「アザー・ダンス」はふたりのコミカルなやりとりやロマンティックな会話が聞こえてきそうな作品で、息の合ったところを見せてくれました。ほんとに微笑ましかった。踊ってるときにヨハンがアリーナの耳元で何かしゃべっているのが聞こえちゃいました。余裕なふたり? ヨハンの「牧神」は官能的というよりも興味津々のやんちゃな牧神って感じ。アリーナのソロはワールド・プレミアで、ブランドストラップがアリーナのために振付けた作品。ロイヤルで踊ってたブランドストラップ作品と似たようなムーブメントですが全体的に無機質(表現がとぼしくてすみません)。ストーリーがあれば別ですが、初めて見る作品って解釈が難しい!

このアリーナのソロの前にサプライズがありました。暗い舞台の真ん中にスポットライト。何が始まるのかと思ったら、スティーヴンが黒のスーツ+タイで登場。そしてタップダンスをちょっとだけ披露。きゃぁ~、2003年のローザンヌ・コンクールの再現かしら~、ととても興奮してしまった。カッコよくよそいきに決めたスティーヴンでしたが、「Are you enjoying it? No... not much....」とあのオーストラリア・アクセントでしゃべりだしたらいつもの彼。そして「子供は誰でも夢を持ってる・・・・子供を救うためにホスピスは必要・・・」というホスピスをサポートするスピーチをしたのでした。スティーヴンもこのガラに出演する予定だったのに、悔しかっただろうなぁ。私も残念でなりません。でも、このアリーナのガラ公演の準備にかなり協力してたみたいです。ホスピス関係者のスピーチがあったときにスティーヴンに感謝の言葉が贈られてました。

そして、そして、由姫ちゃん。プログラムに名前を見つけたときは、思わずはしゃいでしまいました。ロイヤルでも毎日のように踊ってるのに、ここでも踊ってくれるなんて・・・。しかも「パリの炎」(ロイヤルではあり得ない!)を見られるとは思ってもみなかったから幸せ~。腕の動きがとてもしなやかで動きの美しさが目立ってる由姫ちゃん。表情もとてもかわいい。堂々と踊ってた姿はこの日の誰よりもバブリーでした。ソロイスト以上の実力も証明できてる。連続フェッテの最後のほうが不安定で最後のほうは「あっち向いてフェッテ」になってたのが惜しい。でも、このガラで多くのファンの心を掴んだことでしょう。終わってからの拍手とブラボーが凄かったです。

由姫ちゃんの素晴らしい演技に興奮したあと、ロベルタの「コッペリアpdd」を観る気が失せてしまってあまり印象に残ってません。ましてや、1月に観た都さんのスワニルダがまだ頭の中にあって・・・。一緒に踊ったダンサーがむちむちしてて、安定感はあったものの全体的に重たかったです。

最後のグラン・フィナーレは「ドンQ」のハイライト版。最初にアリーナ&ヨハンがPDDのアダージョ。バジルのソロをセルゲイ・ポルーニン。なかなかジャンプの高い、鋭い動きのダンサーですね。そして、ヨハン&エマ・ジェーン&ロマニーがパ・ド・カトル。アリーナのキトリ・ソロ。最後は男性ダンサー4人で同時にスピン(すみません、バレエ用語がわかりません)。女性は交代でフェッテ。華やかに終わりました。

関係者から女性ダンサー全員に花束が贈られて、そのあとアリーナが大きな真っ赤なバラを1輪ずつ出演した仲間にあげてた姿が愛おしかったです。左から順番にあげてたのに、ヨハンの前に来るとあげないで通り過ぎようとして笑いを誘ってました。

インターバルなしの90分。短かったけど充実した公演でした。プログラム構成もよかったし、とにかくアリーナの精一杯がとっても伝わってきて最後はうるうるしちゃいました。オーディエンスの中にはROHの常連があまりいなかったように思えます。いつも楽屋口にいる人たち、誰も見かけませんでした。この前日、アリーナが首を痛めてたことを知り、そのためビューティもホマージュも降板していたらしいと聞いていたので、この日の公演はどうなるんだろ・・・と少し不安でしたが、踊りを見る限りでは首を悪くしているようには見えなかったです。痛み止め打って踊ってたのかしら??

駆け足レポでしたが、雰囲気だけでも感じていただければと思います。Alina&Friends、また企画してほしいです。』

《完》

(Naoko S: 座長・アリーナの奮闘ぶりが伺えるのは勿論、由姫さんが大活躍されていたことがわかってとっても嬉しい~<見たかった~!>ミッツイカスパーさん、素晴らしいレポをありがとうございました!!)
2008-05-28 07:55 | その他のバレエ・ダンス公演 | Comment(3)
シュツットガルト・バレエ団 「ロメオとジュリエット」(3/29S)
振付: ジョン・クランコ
音楽: セルゲイ・プロコフィエフ
セット/衣装: ユルゲン・ローズ
指揮: ジェームス・タグル
演奏: ロイヤル・バレエ・シンフォニア

<キャスト>
ジュリエット: スー・ジン・カン
ロミオ: フィリップ・バランキエヴィッチ

マキューシオ: ステファン・スチュワート
ベンヴォーリオ: アッティラ・バコー
ティボルト: ダミアーノ・ペテネッラ
パリス: ニコライ・ゴドゥノフ
キャピュレット夫人: マリシア・ハイデ

初めて見たクランコ版R&J、全体にライト・タッチで(変な言い方ですが)非常に馴染みやすいプロダクションでした。上演時間は正味ジャスト二時間、これは多分マクミラン版・ヌレエフ版より短い?マイム・演技のみのシーンが少なくてサクサク進行するので他の版よりもスピィーディーに感じられるのかな。(常連の中には昨夜が二度目、三度目という人たちもいたけど、確かにこのプロダクションなら連日見ても胃にもたれなくてすみそう・・・)

このクランコ版R&J初演の3年後に彼の弟子・マクミランのヴァージョンが初演されるわけですが、弟子が師匠を模倣したことがよくわかる振付(と一部演出も)に度々遭遇。ある批評家は"当惑させられるほど似ている部分がある"と形容していましたが、似てるどころか”そのもの”だったり”若干アレンジ”だったりのシーンが結構ありました。(こういうの、著作権とか問題にならないのかな・・・と気になりましたが、師弟関係ということで許されるのかな?で、この二人に等しく影響を与えたのはラブロフスキー版ということですが・・・)

ただ、個々の振付・演出が同じ(または似ている)でも、全体として見るとかなり味わいが違う。最初にも書きましたが、クランコ版には(セットや衣装デザインによるところも大きいけれど)独特の軽やかさがあるんですね 見終わった後に(悲劇にもかかわらず)一種爽やかな清涼感が残るぐらい・・・。どちらかというと、この版では若い二人の恋の高揚感とか多幸感が最も丁寧に描かれている印象があるからかなぁ?あと、プロダクション全体に一種の無邪気さが感じられるんですよね 演出とか。ドロドロした人間ドラマを執拗に描くことはしないし、人物描写もわりとあっさり目だし。マクミラン版では演劇性が加わってヘヴィーになってるんですよね(だから、ドラマ性という意味では当然数段上)。日頃見慣れているのがマクミラン版、次に(頻度はかなり落ちるが)ヌレエフ版なので、このクランコ版のライトな感じもなかなか(かえって)新鮮でいいなぁ・・・と楽しめました。

ユルゲン・ローズ・デザインのセットはシンプルながらも威厳があって、雰囲気のある照明と相まってルネッサンス・イタリーの街の雰囲気が出ていたし、衣装はヴェローナの街の情景をのぞいては一場面であまり多くの色を使わないというポリシーなのか(?)ややエコノミカルに見える部分もあったけれど、これはこれで面白い。

しかし、何と言っても昨夜一番印象に残ったのはダンサーです。正直言ってこんなにレベルの高いカンパニーとは予想だにしていなかったので、嬉しい驚きでした。まず、ビジュアル度がかなり高い。男性は一様に身長が高めで脚が綺麗、女性も(殆ど活躍の場はないけど)ジュリエットの友達を踊ったダンサー達は背が揃っていて、皆スタイルがいい。そして肝心の踊りですが、常連達とも話していたのだけど、ソリストだけでなくアンサンブルにいたるまで、非常にきちんと・整然とした、クリーンなスタイルを身に着けている・・・レベルが高いねーと感心することしきり。

例えば、ロメオ&マキューシオ&ベンヴォーリオのトリオが舞踏会に忍びこむ前に3人で踊るシーン。ここの振付にザン・レールの連続が何度も出てくるのですが、どの回も3人ともきちっと綺麗に回っていて、比較的長身で見栄えのいい人たちが踊ってるものだから、何ともまあ~見応えがあるのです。(私が見たのは3rdキャストのはずなのですが、前の二組もモンタギュー・トリオは充実していたらしい。男性ダンサーが揃ってるんですね~。)パリスを踊ったゴドゥノフという人も長身・なかなかのハンサムでしかもきっちり踊れる人だったし。

で、主役のスー・ジン・カンとフィリップ・バランキエヴィッチですが、鑑賞後"爽やかな清涼感”が残ったのは、やはりこのお二方の功績?バレンキエヴィッチはとってもチャーミングで、時折見せるやんちゃな風情がなかなか魅力的なロメオでした。均整のとれた綺麗な身体つきで白タイツが似合うし、踊りも不満はまったくなし。逆に、かなりテクニシャンなのかな・演技力も相当ありそう・・・ということで、マキューシオでも見てみたかった気も。スー・ジン・カンは登場シーンではやや落ち着きすぎの印象があり、バランキエヴィッチのロメオとの相性はどうかな・・・とやや危ぶまれたのですが、若々しくてチャーミングな彼にひたすら優しくサポートされると彼女も可憐な少女の顔になっていったところが凄い。あと、特筆すべきはこの方の踊りの軽さ!全く重力を感じさせない、軽い、軽い動き。パリスとの踊りのシーンだったか、長身の彼が彼女を肩の上にふわっとリフトするような振付があったのですが、もうそのまま羽が生えて飛んでいってしまいそうな軽さだった。ステップを踏んでいるときでも何か地に足がついていないような、シルフィードのようなジュリエットだったのだけど、三幕最後の10分間ほど・死に至るまでの演技は、ナチュラルなのに大変な説得力があった。(いいペアを見られたと思います・・・)

キャピュレット夫人を演じたマリシア・ハイデ、一幕始まってほどなく舞台上に佇む小柄な婦人が彼女と気づくまでには少し時間がかかりました。まさかこの伝説のダンサーを舞台人として見られるとは思っていなかったので、有難いことでした。(68歳になられるそうですが、意思の強そうなキリッとしたお顔立ちは、昔のままでした・・・)
2008-03-31 08:37 | その他のバレエ・ダンス公演 | Comment(6)
NYCBロンドン公演・プログラム4 (3/22M)
イギリスはただいまイースター四連休の真っ只中。昨日はこの冬一番冷たい風が吹荒れる中、NYCBロンドン公演の最終日・マチネ公演を見に行ってきました。

* Ballet and Boadway: A Musical Celebration *
22nd March 2008 (Matinee)

THOU SWELL (Peter Martins)

Faye Arthurs/Charles Askegard, Darci Kistler/Jared Angle, Sara Mearns/Tyler Angle, Janie Taylor/Nilas Martins
& ensemble

Conductor: Faycal Karoui
Piano: alan Moverman, Bass: Ron Wasserman, Drums: James Saporito
Singers: Betsy Wolfe and Mike McGowan


TARANTELLA (G. Balanchine)

Sterling Hyltin, Gonzalo Garcia

Conductor: Maurice Kaplow
Piano Solo: Susan Walters


WESTERN SYMPHONY (G. Balanchine)

ALLEGRO: Jennifer Tinsley-Williams, Jonathan Stafford
ADAGIO: Megan Fairchild, Adam Hendrickson
RONDO: Teresa Reichlen, Damian Woetzel
& ensemble

Conductor: Maurice Kaplow


WEST SIDE STORY SUITE (J. Robbins)

Tony: Robert Fairchild
Riff (Leader of the Jets): Andrew Veyette
Bernardo (Leader of the Sharks): Amar Ramasar
Anita (Bernardo's GF): Georgina Pazcoguin
Maria (Bernardo's sister): Faye Arthurs
Rosalia (a friend): Gretchen Smith
& ensemble

Conductor: Faycal Karoui
Singers: Rob Lorey, Lara Marie Hirner, Leslie Becker, Julie Price, Whitney Webster



このバレエ団でなければ見られない作品ばかりを集めたプログラム、ということでブックしたプログラム4。どれも初見でいずれもなかなか楽しめましたが、圧巻はやはり、トリの『ウエスト・サイド・ストーリー組曲』でしたね。

オープニングの"Thou Swell"はカンパニーの芸術監督・マーティンス振付作品。2003年に作曲家・リチャード・ロジャースの生誕100周年を記念して、ロジャースに捧げる作品としてNYCBが初演したもの。ロジャース&ハーツのソングライティング・チームが活躍した30年代のナイトクラブを舞台に再現。セット・衣装はアールデコ調、舞台の上にはトリオ編成のジャズ・バンドとシンガー。(全ての曲で歌手が歌うわけではなくて、インストゥルメンタルのもあり。)

ロジャース&ハーツの耳慣れたポピュラーソング(一曲だけロジャース&ハマースタイン)にのって、冒頭四組のペアが全員登場して踊るところは社交ダンス風の振付。この後この四組のペアが代わる代わるダンスを披露するのだけど、ここは女性はポワントシューズ着用で殆どクラシックの振付で、音楽との微妙なソリ具合に馴れるまではやや違和感があった。四組がそれぞれ3回ずつ踊るのも私にはちょっと長すぎる気がしたんだけど、社交ダンスやブロードウェイが好きな人ならきっと楽しめたのでは。

ダンサーの中で印象的だったのは、過日セレナードで魅惑的なダーク・エンジェルを踊っていたサラ・マーンズと、今回初めて見たジェイニー・テイラー。(テイラーと彼女のパートナー、ニラス・マーティンスが四組の中でも一番目立つパートを踊っていたように見えたのだけど、気のせいだろうか・・・。)テイラーが長い脚を素早く6時の位置にあげてすっと振り下ろす時のスピード感と、NYCB特有の?アティチュード(上げた脚が背中につきそうなほど凄い勢いで蹴り上げる)を見ていたら、ああこれがニューヨークらしいダンサーなのかな、とNYCBのスタイルの片鱗を垣間見られた気が・・・。

(ところで、ちょっと前に拙ブログでロジャース&ハーツ・コンビの名作"Bewitched,
bothered & bewildered"
の歌詞を紹介しましたが、この曲にのってキスラー/アングルのペアが踊っていました!シンガーの女性の声があまり好みでなかったのが残念だったけど・・・)

『タランテラ』 ニュー・オリンズ出身の作曲家ルイス=モロー・ゴッチョーク(?Gottschalk)の音楽にバランシンが振付。男女ペアがタンバリン片手に超絶技巧を披露しあう短いピース。ダンサー二人は元気に踊っていたけど、特に"Wow!"という瞬間はなかったな・・・

『ウエスタン・シンフォニー』 序曲でいきなり驚きが・・・なんと、かのアメリカ民謡(?)『赤い河の谷間』をアレンジしてるのである!・・・いや~懐かしいというかなごむというか・・・アメリカ人ならまずこの序曲でほろりときちゃうのだろうか?(この曲は、本編でアダージョのペアが踊る時にも再度登場します。)

幕があくと、目に飛び込んできた・なんとも安っぽい(というかたんにヘタクソな)背景画にひるむ。(西部の町の一シーンをテキトーに描いてあるって感じで・・・あまりにしょぼくれてるんで、これは早晩撤去するのが正解でしょう・・・)荒っぽいカウボーイ達と彼等がたむろする酒場の女たちによるダンス・・・という設定のはずなのですが、バレエ・ダンサーたちが踊るんですから、もとより西部劇のノリはありません。男性はカウボーイ・ハット&シャツ姿、女性はビスチュエ風トップにハリのあるミニ・スカート姿(&黒ストッキングに黒のポワントシューズ)と衣装はそれっぽいのだけど、このいでたちにバレエのパ・・・目が馴れるまではやや微妙かな~という感じだったけど、最初の二組のプリンシパル・ペアはなかなかチャーミングな踊りを見せてくれたし、最後のペア・テレサ・ライクレンとダミアン・ウーツェルの登場で一気にボルテージup!ライクレンはアゴンでも一際目立つダンサーだったけれど、この演目では長い脚がセクシーでなんともグラマラスな雰囲気を振り撒いていた。途中ちょっと面白い形のフェッテをしていたんだけど、クールな佇まいできちっと綺麗に決めてくるところがニクい。彼女のパートナーをつとめたウーツェル、ベテランの彼をこの種の超絶技巧満載&エネルギッシュな演目で見られるとは思っていなかっただけに、すんごい回転技を見せてくれて大感激。 

フィニッシュは、イン・Cのような大団円。舞台上にずらりと勢揃いしたダンサーたちが全員で回転、興奮が最高潮に達するシーンで幕が下りる。(一瞬、ロイヤルの『パティヌール』みたいに、幕が一旦おりてからまたするする上がって・ダンサーがまだ回ってる!・・・あの手の演出かな、と期待してしまったんだけど、残念ながら幕は上がらなかった・笑)

ウエスト・サイド・ストーリー、私は映画でしか見たことがないんだけれど、映画の出演者達と比べるとバレエ・ダンサー達はどうしても綺麗すぎる・スマートすぎる、という印象は拭えないものの、この名作の音楽と振付の素晴らしさを再認識させてくれただけでも十分だった。バレエ版『ウエスト・サイド・ストーリー組曲』は基本的には映画(ミュージカル)のダイジェスト版で、以下のダンスシーンから成ってます: 

- Prologue/Something's Coming/Dance at the Gym/Cool/America/Rumble/Somewhere

基本的にフル・ヴァージョンを短縮したものなんだから当たり前なんでしょうけれど、振付は殆ど映画で見たのと同じだったような。ソロの見せ場が一番長いのがJetsのリーダーRiffのダンス・シーンなんだけど、Riff役のアンドリュー・ヴィエットは私的好みとしてはイマイチだったなー。逆にSharksのリーダー・Bernardo役のアマール・ラマサーは細身&ハンサムなダンサーでアゴンの時にも目を惹いたのだけど、カッコよかった~~。Bernardoの衣装は映画でジョージ・チャキリスが着てたのと同じ・赤シャツに黒ズボン姿なんだけど、これが凄くお似合い。マリアとトニーは影が薄くて殆どアンサンブルの中に埋没してる演出(?)にはちょっと疑問府、でしたが・・・。(で、なんとこのヴァージョンではトニーは死なないのである!最後はマリアとトニーをアンサンブルが囲んで両派が和解することを示唆するシーンで幕。)

まあしかし、この作品の主役は、断然アニータを踊ったジョルジーナ・パスコガン(?Pazcoguin)でした。映画でも一番魅力的な(&美味しい)役なだけに、"アニータにハンパなダンサーがきたらどうしよう・・・"なんて見る前はやや危惧してたんですが、もう、見てびっくり→有頂天!! この方はひょっとして、アニータ役のスペシャリスト?映画に負けないぐらいのパッションと逞しい生命力を発散させる、素晴らしいダンスを見せてくれました。この方のお陰で、《大好きな》体育館でのマンボ・シーンとAmericaが最高に楽しかった。

それから、この演目ではオケの演奏が特によかった気がしました・・・特にリズム・セクション。(Cool!!)
2008-03-24 08:06 | その他のバレエ・ダンス公演 | Comment(2)
NYCBロンドン公演・プログラム1 (3/14)
ニュー・ヨーク・シティ・バレエ四半世紀ぶりのロンドン公演、開幕プログラムの"Essential Balanchine"を見てきました。

"SERENADE"
Yvonne Borree, Darci Kistler, Sara Mearns, Charles Askegard, Stephen Hanna & ensemble

"AGON"
1st pdt: Sean Suozzi, Rebecca Krohn, Ashley Laracey
2nd pdt: Teresa Reichlen, Tyler Angle, Amar Ramasar
pdd: Wendy Whealan, Albert Evans
& ensemble

"SYMPHONY IN C"
1st Movement: Ana Sophia Scheller, Jared Angle
2nd Movement: Wendy Whelan, Philip Neal
3rd Movement: Sterling Hyltin, Antonio Carmena
4th Movement: Tiler Peck, Arch Higgins
& ensemble

Conductor: Faycal Karoui
NYCB Orchestra


バランシンの代表作 の中でも特にポピュラーで、ロンドンの観客にもお馴染みの作品ばかりを並べたプログラム。3つの中でダントツ好きだったのは、「アゴン」でした。

オープニングの「セレナーデ」は前半なかなかエンジンがかからず・入り込めなかったのだけど(女性リード二人&アンサンブルの踊りとたたずまいに今ひとつ心動かされず・・・)、中盤から徐々に盛り上がってきた。これは一重にダーク・エンジェルを踊ったサラ・マーンズ?(Mearns)嬢のお陰。とても雰囲気のあるダンサーで、動き・ポーズの一つ一つが際立った美しさ。なんとも言えない"余韻"を残す彼女の踊りが、エモーショナルでメランコリックな音楽と作品のムードに心地よくはまっていた。("最後のバランシン・バレリーナ”、ダーシー・キスラーを見られたことは嬉しかったけれど、もう少し前に見られていたら・・・と感じざるを得ず。残念ながら彼女の踊ったワルツは特に心に響くものがなくて・・・)あ、それから感嘆したのは、女性達のポワント・シューズの音が殆どしなかったこと。聴こえてくる音はチャイコフスキーだけ・・・という有難くも極めて珍しい事態に、ついまじまじと彼女達の足元に注目してしまいました。

この夜はプログラム1の二日目だったせいかポツポツと空席があったので、休憩の時バルコニーから階下のアッパー・サークルに移動してここの最前列(視界良好!)で鑑賞。そのせいもあったかもしれないけれど、次の「アゴン」は凄く楽しくて大いに満足。(オケもこれが一番良かったような・・・)

この作品を踊ったダンサーは皆よかったけれど、後でプログラムを見てびっくり。プリンシパルはpddを踊った二人(ウィーランとエヴァンス)だけ、あとは皆ソリストだった。(プリンシパルでなくてもこんなにクオリティの高いものを見せてくれるんだから、1stキャストはさぞかし凄かったんだろうなあ・・・)

4人の男性ダンサーが横一列に並んで踊るオープニングのシーン、早速のキレのいい・大胆な動きに、おっいい感じ、と思わず身を乗り出す。

第一pdtで大いに楽しませてくれたのは、ショーン・スオッジ。女性二人も良かったけれど、彼は断然キャラクター勝ち。振付の面白さをとことん楽しんじゃおうとばかり?剽軽な表情たっぷりに、この短いパートを完全に自分のものにして、余裕で見せてくれた。続く第二pdtでは脚長・クール・ビューティのテレサ・ライクレンが妙技を涼しい顔でこなし、男性の一人、アマール・ラマサーは褐色の肌の・スリムで美しい肢体が目を惹く。

白眉はしかし、やはりこの方、ベテランのウェンディ・ウィーラン。実は、彼女はこのパートの1stキャストで、当初はこの日踊る予定じゃなかったのだけど、踊ってくれて本当に感謝感激(ラッキーだった!)。

いやはやもう、マスター・クラスというか、至芸というべきか・・・スリリングかつ優雅な彼女の動き'そのもの'に、ただただ見入っておりました。ウィーランは映像や写真では筋骨隆々のややゴツい印象があって、見る前はサイボーグ型のダンサー(失礼・・・)を想像していたんだけど、全然そんなことはなかった。筋肉美ではあるけれど、表情がとってもフェミニンで、それに小柄とはいわないまでも中背なんですね 長身なのかと思い込んでたのですが。このパート、以前見たときは面白い振付だなあ・・・という程度の感慨しかなかったのだけど、ウィーランが踊ると、パの一つ一つがくっきりした美しさで立ち上ってきて、それがごくスムーズに次へとつながって・・・ある大きな全体を形作っていたというか、一個のプロジェクトとして完成されていたというか。どの一瞬を切り取っても隙のない美しさだったと思う。(当然、ウィーランへの拍手喝采は大変盛大でありました。)

最後の「シンフォニー・イン・C」。幕が開いた瞬間、ややぎょっとしてしまった。ステージにずらりと並んだ女性達の衣装が・・・かなり微妙。

クリーム/オフホワイトのチュチュは短めで、わりと大きめの花か何か?がぺたぺたと付いていて、かなりアンバランス。頭にはこれまた大きめの白い花(?小さめの帽子にも見える)をつけている。プリンシパルはティアラなのでそれほど違和感なかったけれど、この衣装と髪飾りが似合うダンサーってなかなかいないと思われるのだけど・・・。

肝心のダンスは、想像していたほどスピード感やシャープさというのは感じられなかった(それでも勿論、マリインスキーやボリショイと比べたらかなり速いけれど。もっと速くてパキパキしてるのかという偏見があったので・・・)。逆に言うと、このチュチュ・バレエでは私が想像していたほどNYCBのダンサー達はアスレチックなわけではなくて、ごく"普通の"クラシック・バレエ・カンパニーに見えた。

ここでも登場のウィーラン(第二楽章)はステージ・プレゼンスでは他をよせつけず、時に陶酔した表情でなかなか美しい踊りを披露してくれたのだけど、嗚呼・・・このパートは誰が踊っても、どうしてもロパートキナの影がちらついてしまうのであった・・・。ロパートキナの、音をなが~く引き伸ばした、あの特異かつミステリアスな第二楽章の印象があまりにも深く記憶に根を下ろしていて、どうも他の誰で見ても物足りなく感じられてしまう・・・(嘆息)。

さて、続いて大好きな第三楽章、このパートを踊ったプリンシパル・ペアはとてもよかった。女性はプリンシパルのスターリング・ヒルティン、男性はソリストのアントニオ・カルメーナ

このパートはマーシャが踊っているものだから、豪放なジュテで舞台に跳びこんできた彼女の鮮烈な姿がついつい眼前にちらついてしまったけど、ヒルティンもなかなか大胆かつ小気味良い踊りっぷり。カルメーナは、素早いピルエットのサポートのところが大変そうだったけれど、終始スムースでソフトな踊りとひたすら明るい表情が、この楽章にぴったりはまっていた。(ずっと嬉しそうにニコニコしながら踊っているところがgood。彼、ちょっと顔がコレーラに似てる?)コール・ドもこのパートが一番熱っぽさと活気が感じられたような。

今のNYCBはかなり若いカンパニーなのかな?フィナーレでダンサー全員がステージを埋め尽くすシーンでは若々しい華やぎが舞台に横溢していて、圧倒される。バレエ賛歌!の高揚感をしっかり感じられたのも嬉しかった。
2008-03-16 09:46 | その他のバレエ・ダンス公演 | Comment(0)
マリス・リエパ・ガラ (2/24) 《後半》
続きです。

8. 「スペードの女王」pdd イルゼ・リエパ&ドミトリー・グダーノフ
音楽: チャイコフスキー
振付: ローラン・プティ


ヘルマンvs伯爵夫人・"対決"のシーン。(背景画はしっかりボリショイから?もってきてました。)今のリエパは、やっぱりこれだな~。彼女が舞台に登場するだけでさっと空気が変わる。銀色のベリーショート・ヘアに、おなじくらい蒼白の顔、黒い唇。シンプルな黒のローブをまとった彼女のごく柔軟でしなやかな動きと鋭角的な表現に、目が釘付け。

グダーノフのヘルマンにはさすがにツィスカリーゼの存在感とドラマ性はなかった。でも逆に、"ごく普通の男"がふとしたきっかけで道を踏み外し・破滅していく、そういうリアリティは感じられたような。


9. 「ファラオの娘」pdd マリヤ・アレクサンドロワ&セルゲイ・フィーリン
音楽: プーニ
振付: ピエール・ラコット


我が"最愛の"バレエ・ペア登場~!

劇場に着いて、キャスト表で二人の名前を確認した瞬間・・・

・・・あ~来てよかった マーシャ&フィーリン ありがとう~~!!と感涙状態に。同時にちょっと心配でもあったんですけど(日本~ヒースローから直行か?)。

舞台の照明がぱあっと明るくなって、ゴージャスなスター・オーラに包まれた二人が登場すると、客席から自然に拍手が。導入シーンはいつも通りに始まったのだけど、途中で一瞬心臓に悪いアクシデントが・・・

回転の後だったか?マーシャがつるっと滑って危うく転びそうになったのです。"あっ!"と心の中で小さく叫んだ私、客席も一瞬どよめいたのだけど、ここからがすごい。

一旦体勢を立て直すや、マーシャが客席に向かって、「アアンやっちゃったわ ウフ♪」ってな表情で、いたずらっぽく微笑んで見せたのです。

・・・いや~、大した度胸というか、機転というか、サービス精神というか、転んでもタダでは起きない(いや、実際転んじゃいないんだが)というか・・・まったくもって、実に、実に、素晴らしい!!

あの微笑み、私がマーシャ・アレクサンドロワにあらためて《ぞっこん》惚れ直したことは言うまでもありません。

さすがにこの後のマーシャはちょっとおとなしめ、やや慎重でしたが、対照的に元気一杯だったのがフィーリン!

・・・いや、実は私が心配してたのはフィーリンだったんだけどね(だって、ベテランだし・・・) まったくの杞憂でありました。なにしろ最初から最後までミョーに(と言ってはナンですが)爽やか~な笑顔振りまいてすんごく若々しい。こちらがびっくりするほど踊りも元気一杯で、さすがボリショイのスター、中0(ゼロ)日の登板だって目じゃないのね~と、フィーリンも惚れ直し・・・(ぽっ)


10. 「オネーギン」"鏡のpdd' アリーナ・コジョカル&ヨハン・コボー
音楽: チャイコフスキー
振付: クランコ


中0日の登板だったのはおそらくコボーも同じ。彼はここ数週間ずっとボリショイで新作ラ・シルフィードの振付をしていて、2日前の舞台ではマッヂを踊ったとか・・・。

そのせいか、リフトがかなり悲惨なことになっていた。一度ならずリフトが崩れてしまい、二人の間の呼吸は最後まで合うことがなかったような・・・ドラマを感じるまでには至らなかった。

印象的だったのはカーテンコール。アリーナが、手にしていた手紙を、"はいっ!(受け取って!)"って感じでぱしっとヨハンに渡したのが可笑しかった~。


11. 「イン・ザ・ミドル」pdd アニエス・ルテステュ&ジョゼ・マルティネス
音楽: トム・ウィレムス
振付: フォーサイス


パリオペから唯一参加の二人。な~んてエレガントなイン・ザ・ミドル!特にアニエスはちとエレガントすぎかも・・・スリリングさに欠けた。(オフバランスはギリギリまで引き伸ばしてほしかったなあ・・・)ジョゼの方が遊べていた感じ。彼の飄々とした風情もよかった。お客の反応はとってもよかったです。


12. 「ロメオとジュリエット」pdd サラ・ラム&デヴィッド・マッカテリ
音楽: プロコフィエフ
振付: ラブロフスキー


ロイヤル組のR&Jとはいえ、リエパ・ガラなので(?)ラブロフスキー版です。踊った二人については特記事項ないのですが・・・久々にこの振付(バルコニーpdd)を見て、ラブロスキー版のマクミラン版への影響を再認識させられました。ほとんど下敷きになっているというか、特にロミオの振付。


13. 「レヴェレーション」 スヴェトラーナ・ザハロワ
音楽: 効果音、ジョン・ウィリアムス
振付: 平山素子


意外にも?この夜最も印象に残ったのがこの作品。暗い舞台の上手・最前線に四角いスポットライトが当たり、長い髪をたらして白いロング・ドレスに身を包んだザハロワが立っている。すっと片手を上げてポーズする姿に緊迫感が漲っていて、思わずはっと惹きこまれる。焦燥感にかられるように舞台をせわしなく移動する、アンドロイドみたいなザハロワ。エッヂィで、時折ヒステリックですらある動きをしてみたり、髪を振り回したり・・・何か、癒されない渇きをもてあますような、そんな感じ。渾身の舞台でした。

正直言って作品が特別気に入ったわけでも、何度も見たいと思わされたわけでもないけど、こういう作品でザハロワを見られたことが嬉しかった(もっとコンテンポラリー踊るべき!)。惜しかったのは、音楽の選択。初めはピアノの鍵盤をぽーん・ぽーんと叩く音でそのあと効果音が入るんだけど、こういう路線でよかったと思う。途中から「シンドラーのリスト」のテーマ曲になるんだけど(イツァーク・パールマンのヴァイオリン)、おセンチすぎ・甘甘すぎで、舞台上のザハロワのクールな佇まい(たとえ"ヒステリックな"動きでも熱くはならない)とまるで相容れない。観客の反応は熱狂的で、瀕死の3倍ぐらい?すごかった。


14. 「ドン・キホーテ」pdd ナタリヤ・オーシポワ&レオニード・サラファーノフ
音楽: ミンクス
振付: プティパ


ボリショイとマリインスキーの若手テクニシャン二人によるお祭りフィナーレ。きっと二人で、「今夜は回ろうね!」かなんか示し合わせていたんでしょう 二人ともほんとにまぁ、よく回ってました。オーシポワなんて、キトリのVでポワントで斜めに舞台を移動する振りはすべて回転に変えていた(回転しながら舞台後方を水平移動してた)。それに加えて見得の切り方から何から、ともかくあまりにやり過ぎで、もう笑うしかない~状態。まぁガラだからね・・・と自分に言い聞かせつつ、でも、バレエに見えないんじゃないの これじゃあ・・・と嘆息。

オーシポワのキトリは私も大好きだし、ロンドンにわんさといる彼女の才能の賞賛者の一人でもあるけど・・・。いかに貴女の身体能力が凄いか、我々はとっくに存じ上げてますのよ。もはやこれ以上、何を証明してくれなくてもいいの。せっかくの恵まれた資質をムダ遣いしてないで、速やかに次なる発展段階に移行して頂きたいと思います!(オーシポワとサラファーノフ、お互いの悪い部分を引き出し合うパートナーのような気がしてならない・笑。あんまり一緒に踊ってほしくないわ・・・)

観客は大喜びで、その騒ぎ方たるや常軌を逸してました(喜びすぎ!)。まぁ、ガラですからね・・・

<終>
2008-02-27 10:01 | その他のバレエ・ダンス公演 | Comment(18)
マリス・リエパ・ガラ (2/24) 《前半》
昨夜見たガラ公演の感想を駆け足で。(於: ロンドン・コロシアム)

ラトビア出身、20世紀の傑出したバレエ・ダンサー/教師であった故マリス・リエパの功績を讃えて行われたガラ公演・"Flight" 。近年はすっかりバレエ・ガラの仕掛け人として活躍しているアンドリス・リエパ(故人の息子)がディレクター、彼の妹イルゼ・リエパ(故人の娘)が3演目に登場と、バレエの名門リエパ・ファミリーの存在感はしっかりアピールしつつ、露・英・仏のダンサーたちが集結したガラで、まずまず楽しめる内容でした。

10分ほど遅れて開幕、オープニングはマリス・リエパの簡単なスピーチのあと、故人の最盛期の頃の?ダンス映像が流れる。最初と最後がスパルタクスのクラッススだったのには!もうもう~納得です。ここまでこの役が嵌る方がいたんですねえ 過去には・・・・男性群舞の踊りもそりゃー力強くて、隔世の感があります。アンドリスが、「父はもちろん優れたダンサーだったけれど、それ以上に俳優だった」というようなことを仰っていて、とはいえリエパ氏はキャラクター系だけでなく、ノーブル役も踊るオール・ラウンダーだったんですね~。彼の最初の奥様であったマイヤ・プリセツカヤとの白鳥映像もあったような・・・また、得意とされていた役の一つというバジルのVを踊る映像、踊りは男性的でエネルギッシュ、加えてなんともいえない品格があるんですよね・・・素敵でした。

以下上演順に:

1. "Dedication" マリス・リエパのフィルム~イルゼ・リエパのソロ
音楽: ハチャトゥリアン
振付: Jurijus Smoriginas

フィルムに続いてイルゼ・リエパのソロ。音楽は(確か)スパルタクスのラブ・デュエット、真っ白いロングドレスに身を包んだイルゼが黒い薄物の生地と戯れるように踊る、とりたててどうということもない短いダンスですが、イルゼの流麗な動きと美貌にうっとり。背景には父・マリスの写真。

2. エスメラルダpdd タマラ・ロッホ&フェデリコ・ボネッリ
音楽: プーニ
振付: プティパ

クラシック一本目、ロッホが超絶技をこれでもかと見せつけてくれました。なが~いバランスの連続、ひたすら回転数(一回につき)を追求したピルエット(5回転ぐらいしてたかも?)等々、終始チャレンジャーな踊りを披露。

・・・まあガラだし、いいんですけどね・・・彼女は私の目には踊っててちっとも楽しそうに見えないのが難点。実~に涼しい顔でこれだけのことをやってのけるのは大したもんだが、なんかワクワク・ドキドキ・高揚感がないんだよねー クールすぎる。で、やや地味目だけどきちっと端正に踊るボネッリとのバランスが悪すぎるのが気になった。(まあこの場合ボネッリが完全に彼女のサポートに徹したと見るべきなんだろうけど・・・観客は大喜びでした。そうそう、ロッホのチュチュは、黒のレースっぽい生地にガラス玉にあるような綺麗な緑色をあしらったもので、とてもシックでした。)

3. 火の鳥 ウラジーミル・デレヴィヤンコ
音楽: ストラヴィンスキー
振付: ウヴェ・ショルツ

男性ダンサーのソロによる火の鳥。初見。

(・・・・すみません、特記事項なしです・・・。)

4. ボヴァリー夫人pdd イルゼ・リエパ&マルク・ペレトーキン
音楽: ラフマニノフ
振付: マイケル・シャノン

これも初見。えっと、ボヴァリー夫人と恋人のpdd?のようなんですが、どこからどう見てもフランスの片田舎のカップルには見えず・・・お二人とも、コテコテのロシア人でしたねえ。(←当り前)

音楽はラフマニノフのピアノ協奏曲第二番から?(←激しく間違ってるかも)、このかな~りべたべた・ロマンティックな音楽にのって不倫の恋に身を焦がす男女を描いている・・・ような。リエパの衣装の色が白だったせいもあるかもしれないけど、振付はアシュトンの「マルグリットとアルマン」のカントリーハウスでのpddを想起させるものがありました。

・・・しかし、このベテランの役者二人を揃えて・・・のわりには心に響くものがなくて。どうせならもっとドラマ性の強い作品で見たかったな。ペレトーキンはすっかり中年男~という風情でしたが、ウーマナイザーな雰囲気をそこそこ漂わせていたよーな??

5. ブロンズ・アイドルのソロ セルゲイ・ポルーニン
音楽: ミンクス
振付: マカロワ

昨夜の最年少の出演者?昨年ロイヤルに入団したばかりのポルーニン君、ソロを踊るのを見るのはこれが初めてだったけど、かなりがっかり。彼の踊りには瞬間の爆発力が欠けているので盛り上がれないのと、"止め"の技術が弱くて動きが流れ気味。ま、数年後に期待ですね・・・

6. 瀕死の白鳥 スヴェトラーナ・ザハロワ
音楽: サン=サーンス
振付: フォーキン

ええっとロシア系のこの手の公演ではよく起きることなんですが、今回のガラも・・・。基本的に出演者の"予定は未定"なんですね。結局、当初発表されていた出演ダンサーで来なかった人多数・急遽当日登場した人多数、てな状況でした。前者はロパートキナ、ツィスカリーゼ、ゼレンスキー、テリョーシキナ、コズロフ、ワシーリエフ、デュランテ、後者はヌニエス、ソアレス、グダーノフ、サラファーノフ、そしてザハロワ。

ロパートキナが来られないなら、なんとしてもザハロワを!ってことだったんでしょうか。(それにしても、よく彼女のスケジュールが空いていたものだ・・・)ザハロワが来ていなかったら、ガラの雰囲気と華やかさがまた違ってたでしょうね。《彼女が来てくれてアンドリスさん、さぞ安堵されたことでしょう~》

で、瀕死なんですが、やや小粒の印象(可憐な白鳥と言うべきか?)。観客の反応もややおとなしめ。

7. 海賊pdd マリアネラ・ヌニェス&ティアゴ・ソアレス
音楽: アダン
振付: プティパ

前半の〆はガラのお約束演目。お熱いお二人による・なかなかチャーミングな海賊pddでした。ヌニェスはバレリーナのオーラが出てきましたね~。彼女もピルエットは若干多めに回ったり技巧を入れていたけど、古典バレリーナの表情は崩さず、ソアレスのアリもしっかり掌握されてました。(ちょっとびっくりしたのは、なぜかVが「ガムザッティのV」だったんですよね・・・メドゥーラのVをリハする時間がなかったのか、それともこっちの方がお得意だから変えちゃったのか?)

ソアレスのアリは以前ガラ公演で見たときも感じたのだけど、イマイチ迫力に欠けるんだなぁ。綺麗に踊ってるんだけど、躍動感とか力強さが弱いのよね・・・この人の舞台を見ると、なぜかいつも"きっとすごーくいい人なんだろうなあ"って感じるんだけど、今回もまた。おとなしく女主人の尻に敷かれてあげる・人間の出来た?アリでした。

カーテン・コールではラブラブの二人が微笑ましかったです。観客は大喜び。

<続く>
2008-02-26 09:37 | その他のバレエ・ダンス公演 | Comment(7)
「ニジンスキーの伝説」 東京バレエ団(9/12,13,19) Part 1
東京バレエ団のニジンスキー・プロ、東京と西宮で三公演見ることができました。感想のパート・1です。


<キャスト>

☆東京・国際フォーラムC」(9/12,13) 

「レ・シルフィード」: プレリュード 小出領子、詩人 木村和夫、ワルツ 西村真由美、マズルカ 奈良春夏、コリフェ 乾友子、田中結子

「薔薇の精」: マチアス・エイマン、吉岡美佳

「牧神の午後」: シャルル・ジュド、井脇幸江

「ペトルーシュカ」: ペトルーシュカ ローラン・イレール、バレリーナ 長谷川智佳子、ムーア人 平野玲、シャルラタン 高岸直樹

指揮/演奏: アレクサンドル・ソトニコフ、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団


☆兵庫県芸術文化センター 大ホール(9/19)

「レ・シルフィード」: プレリュード 吉岡美佳、詩人 フリーデマン・フォーゲル、ワルツ 長谷川智佳子、マズルカ 田中結子、コリフェ 高木綾、奈良春夏

「薔薇の精」: 大嶋正樹、高村順子

「牧神の午後」: シャルル・ジュド、井脇幸江

「ペトルーシュカ」: ペトルーシュカ ローラン・イレール、バレリーナ 小出領子、ムーア人 平野玲、シャルラタン 高岸直樹

指揮/演奏: アレクサンドル・ソトニコフ、関西フィルハーモニック管弦楽団


★「レ・シルフィード」

東バのシルフィード、今回初めて見て、かなりショックを受けた、というかびっくりした。舞台の隅から隅まで「和」の美意識が支配する、日本のバレエ団ならではの空気の精。こんなの初めて観た・・・。舞台を見ているうち当初の驚きが何ともいえない感慨にかわっていって、ある意味このプログラムの中で最も強烈な印象を受けた演目かもしれない・・・東京のキャストで、特にそうだった。

そしてこちらもびっくりだったのが、なんともまったりとしたスロー・テンポのオケ。初日は仰天したけど、もしかしてこれもバレエ団の独自性(個性)にあわせた解釈なのかもしれないと思うと、不思議と舞台の動きと釣り合いがとれているように感じられて気にならなくなった。

日本のダンサー達が踊るシルフィードなのだから和的で当たり前・・・と言えばそうなのかもしれないけれど、それを(日本人である自分に)感じさせつつ作品として昇華させ、普遍的な美に到達していると見えた・・・これは、小さからぬ快挙なのではなかろうか。(外国人がこの舞台を見て一体どんな感想を持つのか、聞いてみたい!)

群舞の揃い方が何といっても圧巻だったが、それが見た目や動きだけでなく作品解釈や、それこそ美意識にまで至っていると感じられたことが、新鮮だったのかもしれない。(常日頃"個性集団"の群舞を見慣れているもので・・・この均質性・統一性は、貴重な美質。抽象作品で匿名性の高いこの種の作品に、日本人の感性と価値観がとりわけよくフィットするということなのだろうか?)

私的にこのシルフィードから最も強く感じられた「美意識」は、その"ひそやかさ"。静けさというよりももっとデリケート、そして独特の「間」の感覚。これが実は、かつてロイヤルで観た吉田都のジゼル二幕に感じたことに非常に近かった。あの時も、(私的には)極めて和的としか感受しようのないジゼルで、そうかと言って役の原型を逸脱しているわけでは勿論なくて、そのことに驚かされ、このバレリーナに殆ど畏怖の念を抱いてしまったのだけど。

ダンサーの中でダントツ印象に残っているのは、プレリュードを踊った小出領子。丸顔の愛らしい容姿と裏腹に芯の強さを感じさせる踊り、何よりシルフの世界に没入してしまっているのは彼女一人に見えた。ソロを踊った他の女性ダンサーたちには今ひとつ心を動かされなくて、詩人役の木村さんは正直ミス・キャストではないかと感じてしまったのだけど(フォーゲル君は可もなく不可もなく・・・)、小出さん、彼女のシルフィードは素晴らしかった。

唯一気になったのは、演出とセット。背景画にシンプルな森の情景が描かれているのはいいんだけど、何とどう見ても明朗な昼の光の中なんだなあ・・・この作品をフォーキンから直々に伝授された故アリシア・マルコワが、「この作品は"月"に支配されているのよ・・・」とドキュメンタリー映像で語っていたことがあって、強く印象に残っているのだけど・・・。ここはやはり、月明かりに照らされたほの暗い夜の情景とすべきではなかろうか。

(続く)
2007-09-24 08:58 | その他のバレエ・ダンス公演 | Comment(4)
【スペシャル・レポート】 エカテリンブルグ・バレエ 「海賊」
先日来話題にしているエカテリンブルグ・バレエ団の「海賊」。なんと、この公演を見るために日本からエカテリンブルグに飛んだジャン=ギー・ファンの方から、詳細な鑑賞レポを送って頂きました。管理人へのメッセージという形でお送り頂いたのですが、こんなに貴重なレポを私一人で独占するなんてあまりにも勿体ない話!改めてブログで公開させて頂けませんかとお願いした処快諾を得ましたので、ここに転載いたします。

ジャン=ギヨーム・バールの熱烈なファンである”みずいろ”さんによる、読み応えたっぷりの貴重な鑑賞レポートです。Enjoy!


☆2007年4月26・27・28日 エカテリンブルグ・バレエ団公演 「海賊」
  «Корсар» Екатеринбургском государственном академическом Театре оперы и балета


(引用)
『はじめまして。
いつもたくさんのバールさん情報を下さり感謝しているものです。
私、今回彼の初の全幕物振り付けということで、エカテリンブルグに行って「海賊」みてきました。つたないですがご報告を。

まずは振り付け面。
彼が「海賊」を振付けるなんて想像もしていなかったので、初め話を聞いた時は驚きました。彼がどんな風に作ってくるか、幕が開くまでは不安でした。

実際は中身はいたってクラシカルでロマンチックな作風となっていました。クラシックバレエ全幕物の基本を踏襲していると言いましょうか。パ・ド・ドゥあり、パ・ド・トロワあり、キャラクターダンスあり、コールドダンスも美しかったです。パシャやランケデム、ハレムの女性がコミカルに描いてあり、随所で笑いもありました。

私は「海賊」はキーロフのビデオでしか見たことがないのですが、1幕ランケデムとグルナーラのパ・ド・ドゥ、2幕有名なパ・ド・トロワ、3幕花園の場等、もともととても美しく、完成度の高いと思われる部分への振り付けはほとんど手が加えられていませんでした。しかし、1幕メドゥーラとコンラッドの出会いのパ・ド・ドゥや、ランケデム・アリ・ビルバント・男性コールドのダンス、2幕洞窟でのビルバント達のキャラクターダンス、3幕メドゥーラとグルナーラのダンス等、彼自身のオリジナルと思われるものも多く含まれています。これらのダンスの振り付けはいずれも、ファンの贔屓目を差し引いても素晴らしいものだったと言えると思います。

意外だったのが、彼にキャラクターダンスの振り付けや、ダンサー達への演技指導、マイムの振り付けの才能があるとわかったこと。オペラ座の中でも彼は演技があまり上手とは思えません。キャラクターダンスを踊る彼もあまり想像できません。しかし、自分が実際踊るのと、振り付けしたり他者に指導するのは別物なんだなぁと、今回感じました。

振り付け面では、全体的に、バランスよく、よく考えられており、完成度が高いものに仕上がっていた印象です。今までの彼の振り付け作品からは、多くの人が言うように、バランシンやロビンスの影響を強く感じましたが、今回は純粋クラシックで、所々マクミランの「マノン」を思い出させる場面がありました。彼らしい面と言えば、キーロフのビデオの「海賊」に比べて、大地の匂いと言うか、土臭さ(表現が悪かったら申し訳ありません)が削ぎ落とされ、やや上品な印象に仕上げたというところでしょうか・・・?

次に衣装。
スポンサーがたくさんついてくれたせいなのか、女性の衣装はかなり気合い入っているようでした。メドゥーラは計5着衣装があるのでは・・・?パンツタイプのものは配色がいまいちかと思いましたが、クラシックチュチュは色使いがとてもきれいでした。彼女はティアラも3つはあります。いずれもかなり大ぶりできらきらです。
反対に男性の衣装はちょっとさびしかったです。最終日のみ踊ったブイヨンは、彼だけ他の日のコンラッドの衣装と違っていたように思いました。

次に装置。
大掛かりな仕掛けはこれといってありませんでした。背景もシンプルですが、色使いも品良くまとまっており、好感がもてました。

次にダンサー。
初日と2・3日目ではキャストが全く替わりました。3日目はコンラッドのみ、カンパニーのダンサーからステファン・ブイヨンに替わっていました。なおキャストについては、バレエマスターとバールさんが相談して決めたそうです。(バールさんご本人から伺いました。)ブイヨンは1週間位前に現地入りしたと聞きました。

カンパニーとしてはそれほど大きくないようです(舞台もガルニエよりひとまわりかふたまわり小さい位でした)。なので、主役を踊るに耐え得るダンサーは、数える位しかいないようでした。特に男性ダンサーは、全幕の主役王子を踊れるのは2~3人しかいないと思われます。女性も全幕物主役を踊り切ることができるのは5人いないのでは・・・?目立ったのは、男性では、2日目のコンラッドのダンサーが技術的にも安定しており、体のバランスもよかったです。全日ビルバント・ランケデムで踊り・演技共いい意味で切れていたダンサーは、ソロルなど踊らせたらぴったりだと思いました。彼はとてもいいダンサーでした。

女性では、初日のメドゥーラは、ブロンドがまぶしい、グラチョーワのようなダンサーでした。演技、ダンス共円熟しており、メドゥーラというよりはオーロラタイプのダンサーでしたが、私は彼女のメドゥーラがとても興味深かったです。あとの二日間を踊ったダンサーは、おそらくもっと若く、いかにもメドゥーラという感じでした。2日目は緊張していたせいかあまりぱっとしませんでしたが、最終日は体もよく動き、踊りには華がありました。初日グルナーラ、残りをハレムの女性を踊ったダンサーは、踊りは不安定でしたが演技はぴか一で印象に残りました。

最終日1日だけコンラッドを踊ったブイヨンは練習量も少なく、全幕主役の経験も少ない上、なれない環境で大変だったろうと思います。全体を通じ自信なさそうに踊っているのが残念でした。リフトし損ねた場面もありましたが、しかし、ソロでは堂々と力強く踊ってくれて、気持ちよかったです。何より、回転軸が真っ直ぐでぶれないのが素晴らしいと思いました。このカンパニー全体で、上半身もですが、下半身が特に弱い印象を受けました。強い人でも、回転すると軸が斜めになる。ブイヨンの踊りを見て、やっぱりパリオペはすごいと思いました。

5月にも「海賊」が2公演予定されています。このカンパニーでバールさんの「海賊」が根付いてくれる事を心から祈っています。

ところで、これを持って外国公演、私も公演を観ながら想像していたのですが、どうでしょうか・・・?作品自体の完成度は高く、どこに出しても恥ずかしくないものに仕上がっていると自信を持って言えます。でも、このカンパニー・このダンサーだけで観客が集まるか?「海賊」という演目で人が呼べるか?バールさん振り付けと言う売込みでは多分人はほとんど入らない・・・どこか誰かが、”うちで踊って欲しい”と招いてくれて、彼の「海賊」が多くの人目に留まればいいなぁと願ってはいるのですが・・・

最後になりましたが、初日からの連続3日間、劇場は多分全て大入り満員だったと思います。初日と最終日はスポンサーや地元有力者らしき方々が1列目2列目を独占していました。毎日、2階3階の後方の席の観客の人達はみんな、幕が開いている間中ずっと立って、最前列の人達は手すりから身を乗り出すように、舞台を真剣に見つめているのが印象的でした。2日目は何度も何度もカーテンコルが続き、バールさんも何度かダンサー達と前に進んできましたが、ダンサーの時は何でもないように実にスマートにカーテンコールに応えることができるのに、いざ振付家となったら、まるで素人のようにしどろもどろだった彼の姿が、私的にはちょっとほほえましかったです。

初めてでしたのに、長くなり申し訳ありませんでした。
バールさんの「海賊」の出来のことを気にしてくださっている方がいるようでしたので、私見も混ざりましたがご報告させていただきました。』
(引用終)


【Naoko S付記】
本レポートを投稿して頂いた後、追加でキャスト情報もお知らせ頂きました。キャスト・シートから転載されたものですが、原文はロシア語表記のみのため、劇場サイトの情報を参照しつつ当方が翻訳機にかけて得た英語表記とはせてここに掲載いたします。劇場サイトにあるダンサー紹介のページへの直リンクも貼っておきます(写真とバイオを見られます)。

4月26日
メドゥーラ: Елена Сусанова (Elena Susanova) http://www.uralopera.ru/susanova.php
グルナーラ: Алия Муратова (Aliya Muratova) http://www.uralopera.ru/muratova.php
コンラッド: Виктор Механошин (Victor Mehanoshin) http://www.uralopera.ru/mehanoshin.php
アリ: Денис Зайнтдинов (Denis Zaintdinov) http://www.uralopera.ru/zaintdinov.php
ビルバント: Сергей Кращенко (Sergey Krashenko) http://www.uralopera.ru/krashenko.php
ランケデム: Михаил Евгенов (Mikhail Evgenov) http://www.uralopera.ru/evgenov.php

4月27日
メドゥーラ: Маргарита Рудина (Margarita Rudina) http://www.uralopera.ru/rudina.php
グルナーラ: Елена Грозных (Yelena Groznyh) http://www.uralopera.ru/groznyh.php
コンラッド: Алексей Насадович (Alexey Nasadovich) http://www.uralopera.ru/nasadovich.php
アリ: Михаил Евгенов (Mikhail Evgenov) 既出
ビルバント: Денис Зайнтдинов (Denis Zaintdinov) 既出
ランケデム: Сергей Кращенко (Sergey Krashenko) 既出

4月28日
コンラッドにステファン・ブイヨン(パリ・オペラ座バレエ団 スジェ)、残る主要キャストは4月27日と同じ


過日話題にしたロイター発の写真に映っていたのは、2・3日目のメドゥーラとグルナーラを踊ったダンサー達だったのですね。

http://news.yahoo.com/photos/ss/events/lf/122203ballet/im:/070428/ids_photos_en/r4250204374.jpg

<終>
2007-05-07 07:29 | その他のバレエ・ダンス公演 | Comment(4)
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