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ロイヤル・バレエ 「不思議の国のアリス」 (3/2)
ロイヤル・バレエ久々の(16年ぶり)全幕新作、"一般向け"プレミエ公演を見てきました。

星をつけるとしたら☆☆☆-(2.5に近い)ってところでしょうか。平均以上だったのは音楽とデザイン、平均以下が振付とシナリオ。見終わった後の印象は、中道を良しとし一般受けを狙うことを忘れない・かつ最近益々ポピュラー路線を志向しつつある、いかにもコヴェント・ガーデン的な新作だなあ・・・と。保守的なROHで型破りとか知的興奮を掻き立てられるような作品を新作として見られることには期待してないけど、もう少し野心的でもいいんじゃないか・・・という気も。(しかしこのタイトルに惹かれて?見に来たお客さん、特に若者が少なくなかっただろうと思われるので--実際いつものロイヤル・バレエの観客層よりも若い人が多かった--、ハウスの狙いは当たったといっていいんじゃないでしょうか。観客のウケは大層良くて、カーテンコールは延々続きました。)

私的に原作は殆ど記憶になくて思い入れもないけど(子供の頃一番惹かれたのは物語自体ではなくてテニエルの、ややゴシックがかった画風の挿絵だった)、それにしても物語の面白さと特異性はこのバレエ作品では全く表現できてなかったような。一体ルイス・キャロルのアリスである必要がどこにあるのか?と訝しくなる、あの作品から魅力的なキャラクターを借りてイメージを膨らませて舞台にのせました、的アプローチに見えて、まあ仕方ないのかなぁと思いつつもやや肩透かし。ナラティヴが弱く、かつライト級エンターテイメント作品としては二時間弱の上演時間は少々長すぎの印象が。

功労賞、まず音楽は、それ自体に感動したり強い印象を残すものではないものの、振付・演出と実によく調和がとれていて効果的で、老練の技巧家の手になるものではないかな、と感心しました。(作曲家のジョビー・タルボット、どんなジャンルで活躍している方なのか全く存じ上げませんが。)デザインは事前に宣伝写真で見ていたものがいかにも英国風のややダークでゴシックなものだったのでそういうテイストかと想像していたんだけど、蓋を開けてみるとポップでカラフルな要素も一杯でインパクトはまずまず。視覚効果もなかなかで、プロジェクターを多用して騙し絵的効果を出したり、WOW!と感嘆するまではいかないものの、そこそこ遊び心が感じられて、悪くない。

肝心のダンス部門。一幕前半は演技が多くて、"踊りは台詞を語るための方便にすぎない"的な振付に眠気を催すことしばしば(その逆を見たい観客なもので)。唯一目が覚めたのはMad Hatter役のスティーヴン・マクレーがタップダンスを踊ったシーン。ダンス力という点ではマクレーはやっぱりこのカンパニーの中では図抜けてるなぁと再認識。一幕中盤以降は、あたかも振付家が「そうそうこれってバレエ作品だったんだよね~」と思い出したかのように展開がスピーディーになって、踊りテンコ盛り状態になります。ダンス・シーンでこの夜一番ウケていたのが、ゼナイダ・ヤノウスキー演じるハートの女王による、「ローズ・アダージョへのトリビュート」。クロッケー場のシーンで、ローズ・アダージョの変奏風?音楽にのってヤウノウスキーがポーズを取った瞬間、バレエ・マニアは思わずニヤリとしたはず。凶暴なハートの女王の相手をつとめるのは家臣たち。すっかりドン引きして戦々恐々と、薔薇の代わりに家臣たちが差し出したのはパイ。女王が顔だけ突きだしてこのパイにぱくつく場面ではやんやの喝采が。ハートの女王はこの後カルメン~ハバネラから着想を得たと思しき?音楽でソロを踊り、すっかりshow-stealerと化してました。ヤノウスキーは顔芸もすごく上手くて、やっぱりこの人は一流のキャラクテールだなあと感心。(どうしてプリンシパルなんかになっちゃったんだろう?とあらためて感じた。ヘタにプリンシパルだから舞台出演の機会が減ってしまったと思えてならないのだけど・・・)

一方あまり面白くなかったのが、アリスとボーイフレンド・ジャックによるpdd。この作品ではアリスは子供ではなくてもう少し年上の、ロー・ティーンぐらいの設定?そうでないとpddのシーンを創れないからそうしたのかなあ。でもこの恋人達のpddはあまりにありきたりな振付で特筆事項なし・・・という印象。群舞のダンス・シーンも結構あるのだけど、そのうちの一つが花のワルツへのトリビュート風で、これまたごくフツーというかよくありがちなネオ・クラシックの振付で踊られる。ただ、女の子達の着用しているチュチュ(花びらを重ねたようなスカート)はなかなか素敵で目を惹いた。ガーデン・シーンでトランプの精?たちが踊る振付はやや無機的でシャープな、現代的なテーストのもので多少面白味があったかな。

主役・アリスを踊ったのはローレン・カスバートソン。RB唯一の英国人女性プリンシパルということで振付家ウィールドンのたっての希望による抜擢だったそうだけど、大健闘してましたね・・・特にフィジカル面で。アリスはほとんど全編出ずっぱりでダンス・シーンは動きが素早くて運動量がハンパでない。カスバートソンはどちらかというと楚々としたスッキリ顔の美人、大人顔ということもあり見た目は子供らしさは感じられなかったけれど、元気一杯のパフォーマンスでフィジカル面では子供も共感できそうな?キャラクターを造形していた。

(来シーズン再演されたら見に行くか?うーんどうだろう・・・タマラ・ロホのハートの女王(2ndキャスト)を見てみたい気もするので、もしかしたら行くかも。)

☆ テレグラフ紙の舞台評欄でパブリシティ写真を見られます:

http://www.telegraph.co.uk/culture/theatre/dance/8347578/Alices-Adventures-in-Wonderland-Flying-cards-chairs-with-ears-and-a-male-duchess.html#


Royal Ballet in "Alice's Adventures in Wonderland"

Ballet in Two Acts

2nd March 2011

Choreography: Christopher Wheeldon

Music: Joby Talbot

Designs: Bob Crowley

Scenario: Nicholas Wright

Lighting design: Natasha Katz

Conductor: Barry Wordsworth

Orchestra of the Royal Opera House

CAST

Alice: Lauren Cuthbertson

Jack/The Knave of Hearts: Sergei Polunin

Lewis Carroll/The White Rabbit: Edward Watson

Mother/The Queen of Hearts: Zenaida Yanowsky

The Duchess: Simon Russell Beale

Father/King of Hearts: Christopher Saunders

Magician/The Mad Hatter: Steven McRae

Rajah/The Caterpillar: Eric Underwood

Vicar/The March Hare: Ricardo Cervera

Verger/The Dormouse: James Wilkie

The Cook: Kristen McNally

Footman/Fish: Ludovic Ondiviera

Footman/Frog: Kenta Kura

Alice's Sisters: Leanne Cope, Samantha Raine

Butler/Executioner: Philip Mosley
2011-03-06 06:18 | ロイヤル・バレエ | Comment(7)
Comment
Naokoさま、こんばんは

新作・・・アリスですか!
とてもわかりやすいレポをありがとうございますv
スティーブンのタップ、観たいです。
ハートの女王、ゼナイダもタマラも一度ずつは観てみたいかも・・。
好評のようですし、次回の日本公演に持ってきそうな演目ですね。
期待して待ちます^^
maria 2011/03/08(火) 03:26:24) 編集

こんばんわ。

 僕も初日を観てきましたが、ほぼ同じ感想です。

>"踊りは台詞を語るための方便にすぎない"的な振付
 まさにです。物語は踊りから浮かび上がってこそのナラティヴのはずなのに。ヤナウスキィは、本当に素晴らしかったです。
守屋 2011/03/08(火) 08:03:30) 編集


mariaさん こんにちは。コメントをありがとうございました。

>>好評のようですし、次回の日本公演に持ってきそうな演目ですね。
期待して待ちます^^

次回の日本公演ですか!なるほど。確かにこれは外国公演にもっていくにはいい演目かも。いかにもイギリス、と印象付けられるし、なんといってもこのタイトルだけでかなりの集客を見込めそう??


守屋さん こんばんは。

守屋さんのご感想も辛口寄りだったようで・・・。何度か見ると新たな魅力を発見できるのかもしれませんが、いまひとつ、重い腰を上げるインセンティヴが弱いな~という感じですわ。
Naoko S 2011/03/09(水) 09:00:00) 編集

NaoKoさん<Alice~>のレポありがとうございます。Aliceの世界ではあまりなかったのですね。ちょっと残念ですが、ご覧になられてうらやましいです。私はローレンのファンですので、早く観たくってです。
マックレィの写真見ました、すっごい雰囲気ありますよね~。

話しは変わりますが、POBのエルヴェ・モローが踊るのを辞めた、というニュースはあまりに悲しいですね。フィガロに掲載されているという記事をなんとか読みました。
私は日本に来た、数少ない機会しか観られなかったですが、もう一度観たいダンサーでした。
まりあ 2011/03/09(水) 23:17:42) 編集


まりあさん、毎度レスが遅くてすみません。ローレンのファンならこの作品は必見ですよ~。スティーブン、光ってましたよ。

エルヴェのニュース、びっくりしました・・・・健康上の理由だったのでしょうか。これから、というときの引退、ダンサーという職業は本当に過酷ですね・・・。第二の人生が恵まれたものとなるようお祈りするばかりです。
Naoko S 2011/03/15(火) 07:58:05) 編集

お久しぶりです。私はi Playerで観ましたよ。
ローレン・カスバートソンの踊り、やっと観れました!
ROHに観に行った時はちょうど怪我してましたから(眠れる森でした。)やっとこさ観れて最高です。
子供らしさがないっていう印象は分かります。もっとお姉さんっぽいアリスでしたよね。でも、かわいらしい場面もあって(特にウサギと踊ってるときなんか!!)。Edも素晴らしかった。
スティーブンのタップダンス、よかったですねぇ。マッドハッターの役、似合ってますよね。

私は素人の目からしか見れないので単純に楽しめました。実際に私みたいな素人や、若い人たちにはこういうアリスみたいなのは向いてるのかなって思いました。
DVD発売とかあるのでしょうかね??
ななみ 2011/04/26(火) 23:00:59) 編集


ななみさん こんにちは。

アリス@BBC、私はiplayerでメイキング版を見ましたがなかなか面白かったです。もしまだご覧になってなかったら是非、明日まで視聴可能ですよ:

http://www.bbc.co.uk/iplayer/episode/b010t9hv/Being_Alice_Adventures_in_Wonderland/

これ見てつくづく感じたのが、"ローレンって着物がすっごく似合いそう!"ってこと(笑)。お顔立ちが淡白で楚々としているので、前々からそう思ってたんですが。

DVD化の可能性、あるかもしれませんね。ballet.coにROHとBBCの公演映像化に関わる新規パートナーシップ?だかの情報が出ていたので今再チェックしてみました。今のところ特にDVD化の話は出ていないようですが、今後どうなるか??
Naoko S 2011/04/30(土) 04:49:08) 編集

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