パリ・オペラ座バレエ 椿姫 <続き>
え~ 今のうちに憶えていることをつらつらと。

役者・・・じゃなくって、ダンサーが違うとこれだけ作品の印象が変わるのね、という点でマチューとイリに劣らず好対照をなしていたのがアルマン父役のジャン=ギーとカデ。作品に肯定的な要素を見出せず、殆ど暗澹たる気分で鑑賞していた7月の舞台で、唯一心の琴線に触れたのがジャン=ギー演じたアルマン父。自分がジャン=ギー・ファンのせいもあるけれど、彼のアルマン父はよかったのよ・・・。存在感では後で見たカデの方が圧倒的だったけれど、ジャン=ギーの父親にはひたすら男の優しさが感じられてぐっときてしまった。いつものごとく優雅で柔らかな物腰、沈痛な面持ちで、マルグリットに対する態度には常に慈しみの念がこもっていたというか・・・彼と踊るアニエス@マルグリットがとてもはかなげに、美しく見えた。

ジャン=ギーのアルマン父を見ていて感じたのは、ああこの展開はオペラの椿姫と一緒だわ・・・と。この物語の中で表面的には恋する若い二人の仲を裂く・憎まれ役のはずの父親が、大人の分別と息子・家族への愛情の深さを切々と表現することで観客に深い共感をもたせて見方につけてしまう。オペラ版椿姫のラ・トラヴィアータではアルフレードの父、ジョルジュ・ジェルモンに大変エモーショナルで感動的なアリアが与えられていて、ジョルジュに扮するバリトン歌手の調子が良くてこの聴かせどころのアリアを朗々と歌い上げられた日には主役のテナーがかすんでしまう・・・という事態も珍しくない。ノイマイヤー版椿姫もこの路線でアルマン父がいいモンの(美味しい)役として描かれているのか?翻って、この演出、ヒロインへのシンパシーに欠けていないか?・・・等々考えてしまった。

カデの父親には特別そうした興趣はなくて・・・もちろん美丈夫の彼のこと、舞台に立っているだけで華があるし、演劇性抜群だったけれど。ある意味ごく普通に威厳のある父親像。クレールマリ@マルグリットとのpddでは二人が反発しあう関係で、これはこれで緊迫感があってまあよかった(ついでに言うとこの二人のパートナーシップの方が主役二人より良かった)。

ダンソマニでもクレールマリ&マチュー・ペアの評判はよかったし期待していたんだけど、私の目には二人の間にケミストリーはまるでなかった・・・ひたすらマチューの持つ純粋無垢な美しさに驚愕し・圧倒された舞台でした。(純粋無垢、という点でこの舞台の二日前に見た若き日のモーツァルト作のオペラの清新さを思い出したり・・・ともかく今の彼の美しさというのは、自然の産んだ奇跡的な美、とでも言うほかありません。)

最後に、この夜はひょっとしてローラン・ノヴィさんの引退公演だったのかもしれません。カーテンコールでダンサーたちにせかされて舞台中央にすすみ客席と同僚ダンサーたちに向けてレヴェランスを繰り返していたノヴィさん・・・幕が降りた後もカーテンの向こう側で長いこと大騒ぎが続いていました。
2006-10-09 08:48 | パリ・オペラ座バレエ | Comment(5)
Comment
「椿姫」レポ第2弾、ありがとうございます!主役の男女ペアより主役&仇役の方がいいっていうこと、よくオペラではあるようですが、Naoko Sさんがご覧になった夜はそれのバレエ版だったのですね(笑)。
ジャン=ギー、私も「ジュエルズ」のDVD以来、もっと彼の踊りが観たいなあと思っています。先日NHK衛星第2でオペラ「カプリッチョ」が放送されたのですが、振り付けがジャン=ギーというテロップが出てびっくり。ローラ=エケが踊っていましたよ。
Bera 2006/10/09(月) 14:28:54) 編集

ジャン・ギーのアルマン父、良かったですよね~(*^_^*) 私も7月のパリで、最初にジャン・ギーを観て(クレールマリ×マチューの日)、その後2回ドナールさんを観て(エレオノーラ×ペッシュの日)、最後にもう一度ジャン・ギーを観ましたけど、ドナールさんよりもジャン・ギーの方が断然良かったです!!! 彼のデ・グリューも観たかったなあ…。

ノヴィさん、引退ですか。淋しいですね~。
はなはな 2006/10/09(月) 20:07:02) 編集

Beraさん

ジャン=ギーのアルマン父について私の周囲で言及している人は皆無だったので、「やはりファンの贔屓目で特別よく見えるのだろうか・・・」と肩を落としていたのですわ。なので、話半分に聞いておいてください(笑・でもはなはなさんも気に入られたようで嬉しい!)。

カプリッチョってdvdになっている、ルネ・フレミング主演のものでしょうか?ダンソマニにエケが出演していると書いてあったけど、ジャン=ギー振付とは!!見てみたいなあ・・・ 教えてくださって有難うございました!


はなはなさん

わ~~い同志だー ジャン=ギーのアルマン父、お好きだったのですね♪ 何と言うか、きっとあれが彼自身のお人柄なのね・・・と感じさせる、上品で優しいお父さんでしたよね。ドナール氏、一度も見られなかったんですが、写真で見る限りはやっぱりジャン=ギーの方がいいわあ(笑)。

ノヴィさんたとえ引退されたのだとしても、今後もゲストとして出演して下さるといいですね(ジャン=マリさんのように・・・)。
Naoko S 2006/10/10(火) 05:03:15) 編集

>きっとあれが彼自身のお人柄なのね・・・と感じさせる、上品で優しいお父さん

そうそう、そうなんですよね~♪ 見た目若いから、お父さんというよりは、アルマンの年の離れたお兄さん=実質、デュヴァル家の実権はもう引退した父から譲られている、って感じなんですけど、優しさが滲み出ていてよかったです~。ドナールさんは、なんかせかせかしていて、時間に余裕のない会社のお偉いさんみたいな印象を受けました。
はなはな 2006/10/10(火) 23:05:36) 編集


ジャン=ギー父は、デュヴァル家の家督を譲り受けたアルマンの年の離れたお兄さん・・・ですか。なるほどー 説得力あるわ~。(マチューがアルマンだと余計そう見えるでしょうねえ)ドナールさん 会社のお偉いさんみたいにせかせかしていたんですか?こちらも実生活で多忙なエグゼクティヴのような毎日を送ってらっしゃるのかもしれませんね(笑)。
Naoko S 2006/10/11(水) 07:48:13) 編集

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