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ロイヤル・バレエ 「くるみ割り人形」(11/26)
街中にくるみのポスターが貼られて、徐々にクリスマスのお祭り気分が高まってくる、この季節が来ると、きまって考えさせられること。

キャリアの終盤にさしかかっているバレリーナ(都さん)が、こうして毎年毎年全幕古典バレエ(それもバレエ団きっての人気演目)の初日を務めている、というこの事実。その重み。

今時のバレエ界の風潮からすると、キャリアを重ねたダンサーというのは徐々に純粋な古典作品からは離れていって、40歳の大台に乗る以前にすっかり足を洗ってしまうのが普通じゃないですか。特に、くるみ。おとぎ話バレエの代表的なもの、さらにクリスマスと子供の夢・・・というテーマが輪をかけて、一部の観客の間では「子供のためのバレエ作品」と認知されているきらいがなきにしもあらず、それは一部のダンサーにとっても同じではないかと思われる節があり。若いうちはレギュラーで踊っていても、比較的早くこの作品から「卒業」してしまうダンサーが多いような印象が。

理解できないこともないんですが・・・版にもよるけど、概してこの古典作品にはベテラン・ダンサーが表現したい(と思われる)ドラマ性とか、役の深みが希薄(いや、勿論表層的な意味では・・・ってことですけど)。一方で、技術的要求はきわめて高い。ロイヤルのライト版では、主役ペアの出演時間はトータルでせいぜい15分ぐらい?で、その15分のうち大半を占めるgpddが、古典バレエの美技の結晶ともよぶべき珠玉の振付から成っていて・・・要は、恐ろしく難易度が高い。踊る立場からしたら、これじゃあペイしない、と思っても仕方ないのかな・・・と(もしくは、本当に肉体的・技術的にきつくなって踊れない、というのが実態かも)。

で、都さん。何をして彼女にこの大変な重責を担わせているのか・・・(初日に誰が踊るかを決めるのは芸監の仕事であって彼女自身のチョイスではないけれど)。一つ明らかなのは(と私的に思うのは)、都さんはこのバレエ作品とそのマジックを信じ続けている、いまや希少なバレリーナの一人だということ。我々観客にとっては非常に幸運なことに、長年踊られていてもいまだに彼女をインスパイアする何かがこの作品の中にある、ということなのでしょう・・・

今年のくるみ初日。「いつもの面々」はいつにもまして充実した演技と踊りで完成度の高い舞台をみせてくれる。ギャリー・エイヴィスのドロッセルマイヤーが渾身の演技で舞台を引き締め、アイオナ・ルーツのクララ、リッカルド・セルヴェーラのハンス=ペーターが躍動感溢れる踊りと(すでに!)年季の入ったマイムで夢の世界に観客を難なく引き込む。都さんほど長くはないにしても、彼等もここ数年ファースト・キャストとして定着していて、毎回前年を上回る充実ぶりをみせてくれているような・・・こうやって、カンパニーの伝統が蓄積されていくんだなあ・・・と感じ入る。(この主要なサポート陣に比べると、二幕のディヴェルティスマンに登場したダンサー達はやや生彩を欠いていた。直前のキャスト変更が若干影を落としていたせいもあるけど・・・)

そして、主役ペアの登場。共演するのは今回が初めての都さんとスティーブン・マックレー。登場シーンは踊りは少なくてマイムが主なのだけど、まず目をひいたのが、マックレーの朗らかな表情。緊張感をほとんど感じさせず、都さんにむける視線が常に柔らかで嬉しそうで、立ち居振る舞いもまずまず堂々としていた。都さんは、生まれながらのプリンセスさながら。お菓子の王国への闖入者達を迎える時の、「まぁ、この人たちは一体何処から?何があったのかしら・・・」と不思議そうにするところ、一連の出来事を説明するハンス=ペーターに耳を傾けているときの、イノセントで上品な佇まいに、はぁぁ・・・。

gpddのアダージョでも、マックレーは終始微笑みを浮かべて臆することなく踊っていて、感心した。多少危なかっしい場面もあったし、若さゆえの荒さも若干目についたけれど、嬉しい驚きだったのは、彼の若さ・青さが都さんの脚を引っ張るんじゃなくて、逆にインスパイアしていたようにみえたこと。このシーンは、例えば都さんとボネッリが踊れば古典バレエの教本のごとく・品よく美しく完璧なものを見せてもらえる。都さんとマックレー、一緒に佇んでいるさまは正直言ってそこまで完璧な図ではないんだけど、一緒に動いているとき、二人の間になんともエキサイティングなものが流れていて、ちょっと興奮してしまった。

それで、つくづく感心したのが都さんの技術レベルの高さ・・・普通ベテラン・ダンサーが上昇気流に乗る若手と組むと(彼は彼女の半分ぐらいの歳)、技術面の衰えが目立ってしまうものではないですか。都さんは逆にスティーブンの若さに刺激をうけて?持ち前のスピードとか正確な動きに磨きがかかっていたようにみえた。(う~ん、都さんとスティーブンの組み合わせって結構いいかも・・・と、意外な発見にしばし興奮。フォンテーンとヌレエフが頭をよぎったりして。)

重力も年齢も超越したプリマ・バレリーナが見せてくれる、小さな奇跡。これを目撃するために、毎年劇場に足を運ぶのです・・・。(都さん、今年もありがとうございます・・・)
2009-11-30 00:40 | ロイヤル・バレエ | Comment(3)
Comment
Naokoさん、すてきなレポありがとうございます。
一行一行頷きながら読ませていただきました(涙)
都さんのくるみはフェリのジュリエットとともに殿堂入りです。
最後の一回をアンフィ最前列でぜひぜひ堪能してきて下さい!号泣してもいいのです。それだけ素晴らしいのですから…(あのへんの席って狭いからお隣りさんにすぐばれちゃいそうですね 笑)

私は観ることはできませんが、遠い日本から無事と成功をお祈りいたします。
asaco 2009/12/01(火) 00:11:28) 編集

NaoKoさんの都さんに対する愛あふれた…そして素晴らしい舞台であった事が感じられ、なんと言って表現したらいいかわかりません。
そしてバレエが日常に存在しているのがとてもうらやましく感じます。
東京はバレエ大都市ではありますが、それは非日常です。毎年「クルミ」の公演が行われる、しかも都さんでスタートする羨ましさ!ぜひぜひ思いきりご覧になられてくださいね。
私は今日の「ロパートキナ白鳥」を急遽買い足して見に行きます。
ロパートキナが日本で白鳥の全幕を踊るのは悲しいかなラストと思います。
舞台からウリヤーナが私たちにそう伝えていました。ガラなどはこれからも見られると思いますが。
まりあ 2009/12/01(火) 08:42:48) 編集


asacoさん、読んでくださってありがとうございます(お粗末さまでした~)。

>>都さんのくるみはフェリのジュリエットとともに殿堂入りです。

「殿堂入り」!まさに、ですね。一つの役柄で決定版として永く人に記憶されるって、ほんとにすごいことだと思うんですよ(快挙!)。都さんと同年代でロイヤルで一世を風靡したシルヴィやダーシーにしても、スーパースターとしてはいつまでも人々の記憶に残ると思うけど、誰もが認める・これは絶対彼女でなければ!っていう役柄は特になかったですよね・・・

水曜の座席アップグレード作戦はまだ成功してません・・・なんとかオープンスペースでなく、かつ暗いところ(←こだわる)に行きたいんですが・・・ぎりぎりまで粘ります。

ところで、新着ニュースが。都さん、大学の先生になられるのですねー!この件ちょこっと別記事にします~。


まりあさん、私の都さんに対する敬愛心よりも何よりも、都さんのバレエに対する愛が、深くて大きいのですわ~~。

ところで、ロパートキナの白鳥、最終回をご覧になるのですね。今回で彼女の白鳥が最後って、本当だとしたら、それは悲しすぎですね・・・。しかと堪能してきてくださいませ。(しかし、舞台から彼女が伝えていた・・・って、テレパシー~~??)
Naoko S 2009/12/01(火) 10:19:16) 編集

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