2005/2006シーズンを振り返って(4) ロイヤル・バレエ「くるみ割り人形」
ちょっと間があいてしまいましたが、しつこく昨シーズンの回顧録の続きです(あと一、二回で終わる予定です!)。

・・・と、その前に一言。

もう日付がかわってしまいましたが、本日9月25日はパリオペ最年少のプルミエール・ダンスーズ、ドロテ・ジルベール嬢のお誕生日だそうです(ダンソマニで見ました)。

「ドロテお誕生日おめでとう!新シーズンがあなたにとって素晴らしいものとなりますように!くれぐれも怪我などせずに元気に活躍してくださいね 期待してますよ~☆」


・・・で、本題です。地元ロイヤル・バレエの公演で昨シーズン最も印象に残っている、吉田都さん主演の「くるみ割り人形」のレビューを再掲します。

ロンドンのバレエファンの間でも「業界一の金平糖」と認知されて久しい都さんのくるみはいつ見てもその完成度の高さで他の追随を許しませんが、この夜はとりわけ忘れ難い名舞台を見せてくれました。身も心もクラシック・バレエを見る幸せで満たしてくれた、ロイヤル・バレエ・2005年12月6日の公演です。(尚、初出はRIEさんの「バレエ日和の掲示板」です。RIEさん再掲を許可下さって深謝です!)

Cast

The Sugar Plum Fairy: Miyako Yoshida
The Prince: Federico Bonelli
Clara: Iohna Loots
Hans-Peter/The Nutcracker: Ricardo Cervera
Herr Drosselmeyer: Gary Avis
Dr. & Mrs. Stahlbaum: Christopher Saunders, Elisabeth McGorian
Grandmother: Vanessa Fenton
Grandfather: Alastair Marriott
Dancing Mistress: Genesia Rosato
Waltz of the Flowers (Rose Fairy): Mara Galeazzi
Rose Fairy's escorts: Martin Harvey, Valeri Hristov, Yohei Sasaki,
Thiago Soares
Leading Flowers: Deidre Chapman, Lauren Cuthbertson, Sarah Lamb,
Laura Morera

ロイヤルでは過去二シーズンこの時期はシンデレラを上演していましたのでくるみは久しぶり。そのせいか、初日のこの夜のオーディトリアムはバレエ公演には珍しく、アンフィのスタンディングに至るまでぎっしり満員御礼、劇場にはうきうきと期待に満ちた空気が流れていて良い雰囲気。私的には毎年くるみでも嬉しい人間なので、久しぶりに見たライト版に激しく反応してしまい、この版の完成度の高さにあらためて唸らされました。「神は細部に宿る」とは著名な某建築家の言葉ですが、ピーター・ライト版くるみはまさにこれ。舞台上の全ての要素(動いているものも静的なものも)は徹底的に選び抜かれ、磨きをかけられ・・・ キーワードは「伝統」、「ノスタルジー」、「エンターテイメント」、そして「調和」といったところでしょうか。これらを具現化するために細心の注意とデリカシーと愛情をもって全ての構成要素が配され・有機的に作用し、その幸せな帰結がこの作品・・・といいたくなるような。

一幕のスタールバウム家のクリスマス・パーティーのタブローはノスタルジー全開で泣ける泣ける。ロイヤルの生命線であるキャラクター・ダンサーの素晴らしさが舞台を引き締め(Gary Avisのドロッセルマイヤーにはあと一歩、表現に深みが欲しいと感じましたが)、美術、衣装、セット転換ともにお約束通りというか保守的な趣味を頑固に貫き通していますが、古臭さは微塵もなし。現代の観客も充分にこのドラマに入り込める、その裏には、それこそ執拗なほど細部にこだわった仕事がある・・・。

そして、このプロダクションの美学を体現するバレリーナといえば、勿論、都さんをのぞいて他にはいません。ディテールへの執拗な配慮、繊細さ、調和とはまさに都さんのバレエそのもの。私自身、そして現在のロイヤルにとってデフォルトの金平糖である彼女のくるみの舞台はいつも素晴らしいですが、この夜は、なんというか、もう神懸り的な凄さでした。幕が降りて美しい笑顔で万雷の拍手に応える都さんに、駆け寄って・ひざまずいて・頭を垂れたくなる・・・そんな殊勝な気分にさせられました。2幕のgpddの導入部分はいつも通りの端正な「クラシック・ミヤコ」風に始まったのですが(絶妙の間の取り方、一分の狂いもない動き、清らかな舞台姿・・・)、後半にむけ、都さんがどんどん「チャレンジャー」と化していったのに(すみません変な表現で・・・)、こちらもえっと驚く間もなく引き込まれ、アダージョの後半部分で音楽がクレッシェンドに差し掛かるともう心臓が早鐘を打ち、胸が痛くなるほど。多分目をつぶっていても踊れるのでは?と思わせるほど都さんはこの役を自家薬籠中におさめていますが、gpddがすすむにつれ、徐々に踊りが大胆になっていったように見えたのです。音をたっぷり取ってギリギリ、極限までひっぱり、一気にリリース!金平糖のエントランスのシーンでの間の取り方には見ていて髪が逆立ちました。この夜の都さんはいつも彼女の舞台を特徴づけている「調和」にスリリングさというスパイスが加わって、いつも以上にプリマとしての輝きに満ち溢れていました。

その他のダンサーたちについて・・・ ボネッリは大先輩の都さんを相手の初日登板でプレッシャーは相当のものだったと思いますが、エレガントに、控えめにバレリーナをたてるパートナー役に徹していて好印象でした(ジョナサンがコーチ役でクレジットされています!)。他にはリッカルド・セルヴェラ、ボーイッシュな個性とクリーンなテクニックがHans-Peter役にぴったりでした(彼は随分と踊りが綺麗になりましたねぇ・・・)。

(end of Part 4)
2006-09-26 08:22 | ロイヤル・バレエ | Comment(2)
Comment
100年前の9月25日にショスタコービッチが誕生しました。ドロテはショスタコービッチと同じ誕生日なんですね。おめでとう~。
けいちか 2006/09/26(火) 23:45:00) 編集


>>ドロテはショスタコービッチと同じ誕生日なんですね

!なんと まあ。けいちかさん教えてくださって有難うございました。(ドロテはご存知かな??)
Naoko S 2006/09/27(水) 07:46:05) 編集

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