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"L'Aquila degli Abruzzi"
気怠るい月曜の朝。寝ぼけまなこでテレビのスイッチを入れると、目に飛び込んできたのは山頂が雪で覆われた、すんなりと姿のいい山の映像・・・ん?火山なのか 噴火しているように見えたけど・・・音声は、かろうじて「地震」と聞き取れただけで、すぐにカメラが切り替わってローカル・ニュースに。まさか、あれは富士山ってことはないだろうな・・・と胸騒ぎをおさえつつ続報を待っていると、トップ・ニュースが繰り返され、「イタリア中部で地震」というアナウンスが。

ああ、日本ではなかったのか・・・とやや安堵するも、画面に震源地の地図が映し出されるや一瞬凍りついて、眠気が吹っ飛んでしまった。ローマから約60マイル東に位置する、アブルッツィ州の州都・ラクイラ。《ああ なんてこった・・・》

ラクイラという街に知己があるわけでも、何かしらの縁があるわけでもない。一度も足を踏み入れたことのない土地で、でもいつか必ず一度は行ってみたいと、心の中に深く刻まれた名なのだった。

この街のことを知ったのは、一枚の写真との出会いがきっかけだった。時は89年秋・ところはプランタン銀座のアンリ・カルティエ=ブレッソン展。『写真から絵画への軌跡』と題された非常に充実した展覧会で、ブレッソンの作品をまとめて見ること自体が初めてだったせいもあるけれど、写真を見てこんなに興奮して・心を動かされたことはいまだかつてない!という至福のひとときを味わったのだった。

意外性と幻想性とユーモアと・・・中に何が入っているかわからない宝箱をひっくり返したような、ブレッソンの写真たちとの出会いは実に心躍る体験だった。そんな作品群の中で、一枚の写真に目が釘付けになる。"L'Aquila degli Abruzzi. 1951"と題された、風景画のような写真。中世風の建造物が立ち並ぶ街の情景を切り取ったもので、前景には道幅の広い通りが横たわり後景にはうっすらと山の連なりが見える。被写体そのものにこれといった特徴はないが、うっすらと朝もやがかかったような画面は静謐さに満ちている。ブレッソン特有の非現実性(夢の中で見たような光景・・・)と絶妙の構図が相まって、まるで"絵のような写真"だった。

この写真を見たときに、「この景色は昔見たことがある・この風景は知っている」と、強烈な既視感に襲われたのだった。そんな経験はしたことがなかったので、かなりびっくりしてしまい、暫くその場から離れられなくなってしまった。後で冷静に考えてみるに、多分子供の頃から好きでよく眺めていたルネッサンス絵画からのインプットが影響していたのだろうと思えるのだけど、そのときは、何故こんなにはっきりと「知っている」と確信に近い感覚を持てるのだろう・・・・と、夢の中にいるような気分だった。それ以来、「ラクイラ」はずっと心の奥に潜んでいて、たまにひょっこり顔を出したりしていたのだ。今回の地震で倒壊した建物は数千件にも達するという報道を目にしたが、一度この目で実物を見てみたい、と夢にみていたあの風景を見ることは、もはや叶わなくなってしまったのだろうか・・・。《被災地の一日も早い復興をお祈りいたします・・・》

☆マグナム公式サイトより:

http://www.magnumphotos.com/Archive/C.aspx?VP=Mod_ViewBox.ViewBoxZoom_VPage&VBID=2K1HZOYRI2M32&IT=ImageZoom01&PN=5&STM=T&DTTM=Image&SP=Search&IID=2S5RYDIF7LUJ&SAKL=T&SGBT=T&DT=Image
2009-04-08 07:11 | 未分類 | Comment(2)
Comment
初めてコメントします。バレエは普段ほとんど縁がないのですが、旅先で観劇するのは好きで、参考にときどきブログを拝見させていただいています。いつもありがとうございます。
ラクイラには数年前に旅行で1泊したことがあります。イタリア好きの日本人の間でもほとんど知られていない小さな町です。日本人年間訪問者数は2007年でたった253人。高山の麓にあって、クルマがないとアクセスしにくいというのもあるでしょうが。
私たちがこの町に立ち寄った理由は、連れの中に建築家がいて、「ラクイラの中世から残る建築物は一見の価値がある」と推したからでした。古いというより古めかしい(でも威圧感はなくチャーミングな)建物や路地が広がり、500年前もきっと同じ風景だったのではないかと思いながら散策しました。イタリアの高地には、時代に取り残されたようなこんな町がよくあり、文字通りタイムスリップしたみたいな気分にさせられますが、この町に関していえば、なぜだかかつて訪れたことがあるような感じがしたのを覚えています。Naokoさんは写真でも同じ印象を持たれたのですね。
ニュースではもちろん人命救助についての報道がメインだし、マイナーな町のせいで歴史的建造物の倒壊状況についての報道はほとんどありませんが、私たちが歩いたあの町は今どうなってしまったのか。もともと幾度もひどい地震の脅威にさらされてきた歴史のある町のようですから、いつかまた訪れることができるように、復興を祈って義援金を送りました。
rossonero 2009/04/16(木) 16:41:10) 編集


rossoneroさん はじめまして。

地震のニュースをきいて衝動的に書き連ねてしまった記事にコメントして頂けるとは思いもよりませんでした・・・しかも、現地に行かれたことのある方に。(感激です!)

>>日本人年間訪問者数は2007年でたった253人。

興味深いデータですねえ 私は"253人"って結構多いのではないかと思ってしまいましたが(笑)。特に観光の目玉になるようなモニュメントや景勝地に恵まれた土地ではないのですよね??

さて、ラクイラを散策されたときの印象をおきかせ下さり有難うございました。

>>イタリアの高地には、時代に取り残されたようなこんな町がよくあり、文字通りタイムスリップしたみたいな気分にさせられますが、この町に関していえば、なぜだかかつて訪れたことがあるような感じがしたのを覚えています。Naokoさんは写真でも同じ印象を持たれたのですね。

「なぜだかかつて訪れたことがあるような感じ」、でしたか・・・不思議ですよね 何なんでしょうねこの感覚は・・・。初めてあの写真を目にしたとき自分の内部で起きたリアクションは、"懐かしさ"というのとはちょと違う、"ここ知ってる"、だったんですよね。一体あれは何だったのか、今でもほんとに不思議です・・・。

rossoneroさんは復興のための義援金を送られたのですね 頭が下がります。私はただショックを受けただけでそういうことにまで思いが至らず・・・。被害の全貌を知るのが少しこわい気持ちもありますが、rossoneroさんにとっての思い出の場所とか建造物、そして私が見たいと願っている風景が永久に失われてしまった、ということがどうかありませんように・・・祈るばかりです。
Naoko S 2009/04/18(土) 10:24:38) 編集

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