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「十二夜」 公演評とABT「白鳥の湖」
昨夜千秋楽を迎えた「十二夜」@バービカン、新聞各紙の評を斜め読みしたところ・・・

面白いことに、新聞のカラーで評価がきれいに分かれてます。概して保守系紙では高評価、リベラル・左派系では辛口(たまたま、でしょうけど・・・)。

☆の数で見ると、最高がFTタイムズの4つ、テレグラフ(最保守)が3つ。インディペンデント(リベラル)も3つだけど、内容的には2つに近いような。最も辛口なのがガーディアン(最も左)で、☆2つ。それから、夕刊紙イヴニング・スタンダードがやはり2つ。

星の数が少ない評者に共通したコメントに、歌舞伎の高度に様式化された演じ方が「同じことの繰り返し・いつ終わるとも知れぬパントマイム劇」に見えて退屈・・・というのがありました(ふむなるほど)。あと、イヴニング・スタンダードの評者が、『蜷川氏が国際的な評価を確立したディレクターであることには疑いの余地がないが、私的には彼の舞台にあるのは美しいイメージだけ・中味がない、と常々感じる』と書いていて、う~ん。言いたいことはちょっとわかる気がする・・・打ち上げ花火みたいにド派手に咲いて・散って・後に何も残らない、という美学も、潔くて私は好きだけど。

このレビュー、たまたま最初に辛口の二本を読んで「ひゃ~厳しいなあ」とちょっとびっくりしたんだけど、それは、☆2つってバレエ/ダンスやオペラ評だとそうそうお目にかからないという印象があるので。事実誤認だったらすみません、でも中味結構ネガティヴなことが書いてあっても☆の数は3つぐらいあげてることが多いような気がする。演劇評は厳しいのかなぁ・・・まぁ、シェークスピアということで、この評者の方々は星の数ほど・ありとあらゆる「十二夜」プロダクションをこれまでご覧になってるだろうから見る目もシビアなんでしょうね。

で、今日"バレエ/ダンス評ってやっぱり甘いんじゃないか・・・"と思わされたのが、ballet.coのリンクからざっと読んだABTの「白鳥の湖」評(はい、突然ですがここから話題スイッチします)。タイムズとガーディアンは☆3つ(えっ!あの白鳥に3つもあげるの!?)、オブザーバー/ガーディアンの評者に至っては、『ダンサーのレベルは高い』って・・・絶句。

ABTのマッケンジー版「白鳥の湖」、金曜に鑑賞したのだけど、いや、何というか・・・・。近年全幕古典バレエ作品を見てこれほど気が滅入ったこともない・なんか見ていて悲しくなってくるやら脱力するやら。

いや、想像していたほどはひどくはなかったんですよ 踊りのレベルは。なにせ前回ABTが来た時(確か2年前?)に見た人たちからさんざんホラー・ストーリーを聞かされていて、戦々恐々としてたので、その割には、という意味では・・・。

しかしねえ・・・演出・美術・ダンサーの技術と魅力、全てが見事に中の下のレベルで収束していて、平たくいうと、興奮もドラマもなにもない・バレエを見る喜びも味わえない、「白鳥の湖」ってこんなにつまらないバレエだったか?で、それが世界的に(一応)「メジャー」と位置づけられるカンパニーのパフォーマンスなわけで・・・愕然。

私的に一番困ったのは、このバレエ団がこの作品に対してどういうヴィジョンを持っていて・この作品を通して何を伝えたいのかがさっぱり見えてこなかったこと(思想がない)。舞台に一体感が感じられなかったのはそのせいでは・・・(群舞が揃ってないとかいうのとはまた別の話)。明らかに耳に聴こえてくるのは白鳥の音楽で、目に入るのは白鳥のステップ・・・だけどこれは私の知っている白鳥とは似て非なるもの。(で、一幕の、まるで精気の感じられない群舞の踊りを見ながら決意したことが。「マリインスキーの白鳥のチケットをアップグレードせねば!」と。きょうびまともな(&自分の美的好みに合う)白鳥の湖を見る機会は稀にしかないのだ、とひしひしと実感して、この白鳥に12ポンド出したならマリインスキーの白鳥に95ポンドだしてもバチは当たるまい・・・と固く心に決めたのでした。)

当夜の主要キャストは、ヴェロニカ・パルト(オデット/オディール)、マルセロ・ゴメス(ジークフリート)、デヴィッド・ホールバーグ(ロットバルト)。パルト目当てでこの日・3日目を選んだのだけど、彼女にはややがっかり・・・。マリインスキー時代の彼女を全幕の主役で見たことはなかったけれど、まずまず良い印象を持っていたので、期待していたのだけど。相変わらずグラマラスな美女だけれど、バレリーナのオーラには欠ける。踊りは可も無く不可もなく・・・なのだけど、びっくり(&落胆)したのが、ポーズが美しくないこと・・・。ワガノワのバレリーナといえば彫琢されたクラシカルなポーズの美しさがトレードマークの一つのはずだけど・・・あれは、マニエリズム~バロックまでいっちゃってますね(いや、今のロシアにはこういうダンサー少なくないですが)。そして、マイムのシーンなどで表現がやや大袈裟というかニュアンスに欠ける。全体に、どうも私には魅力の薄いオデット/オディールだった・・・。

デヴィッド・ホールバーグも見るのを楽しみにしていたダンサーなんだけど、特筆事項なしというか。確かに美脚の持ち主、スター性もそこそこありそう。この版のジークフリートは二人のダンサーが演じるのだけど、ホールバーグは美味しい部分担当。(二幕の舞踏会にオディールを伴って登場、女王や各国の王女達を誘惑する・・・マシュー・ボーンのスワンからアイデア借りたか?という役どころ)この誘惑者・ロットバルトは典型的なドゥミ・キャラクテールの役の造形なので、踊りはバリバリに上手くなくちゃいけないし・カリスマもなきゃいけない、完璧な"show stopper"たることを求められる、結構大変な役回りだと思うんだけど、その部分ちょっと弱かった。

主要キャストの中で(というか全ダンサーの中で)一番好感度高かったのは、マルセロ・ゴメス。正直踊りは大したこと無いかなと思ったけれど、大柄なのにとてもソフトな動きと所作、演技も真摯で、この集団の中でもっともエレガントなダンサーはこの人だったかと。

・・・というわけで、私自身の感想は比較的穏便な?プロの評よりballet.coにわずかながらポストされているアマチュア・クリティックのそれ(失望した・・・との声がいくつか)と近いです。(そもそも感想がほとんど投稿されていないという事実が多くを語っているのではないかと・・・)もっとも、ご参考までに申し添えますと、当夜の観客の反応は決して悪くはなく、カーテン・コールではブラヴォーもとんでました。(チケット売れてないと散々言われていたけど、演目が白鳥で金曜の夜というせいもあったのか、お客の入りは7割ぐらいはいってました。)

American Ballet Theatre "Swan Lake"(27/3/09)

Choreography: Kevin McKenzie after Marius Petipa & Lev Ivanov
Music: P.I. Tchaikovsky
Sets & Costumes: Zack Brown
Lighting: Duane Schuler

Odette-Odile: Veronika Part
Prince Siegfried: Marcelo Gomes
Benno: Gennadi Savaliev
von Rothbart, An Evil Sorcerer: Vitali Krachenka,
David Hallberg

Pas de Trois: Maria Riccetto, Isabella Boylston, Gennadi Savaliev
Cygnettes: Yuriko Kajiya, Sarah Lane, Misty Copeland, Marian Butler
Two Swans: Hee Seo, Nicola Curry

Conductor: Charles Barker
Orchestra of English National Opera
2009-03-30 11:06 | その他のバレエ・ダンス公演 | Comment(2)
Comment
Naokoさま、こんばんは!
ひゃ~クリティックの厳しさに驚きました。
これはやはりシェークスピアだから?
「十二夜」という作品に対する愛情の裏返し?
きっとこの方たちのスタンダード、というか心の中に消えない名舞台があってその標準をつい引き出してしまうのでしょうかしら・・・

ABTの白鳥について、わたくしも多分どのキャストでも満足できないだろうな・・・と思ってしまうのは、マッケンジー版があまり好きではないのと同時に、やはりマリインスキーのロパートキナを観てしまった時点で、もうこれ以上の白鳥はありえないだろうな、と心に刻んだせいかもしれません。
唯一の例外はパリ・オペのヌレエフ版。
あの過酷なテクニックと持久力への挑戦は一幕から息を継がせず見せてしまう不思議な魅力があるので・・・(^^;)
ABTについてはガラで部分的に見るには面白いと思うダンサーもいますが、全幕だとどうでしょう?
わたくし自身、マラーホフのガラでは気に入ったドヴォロヴェンコ・ベロツェルコフスキーで全幕を見ようかと当初は思っていて、ギリギリになってやはりやめてしまったり、とやはり全幕、白鳥を観るにはそれ相応の(自分の好みにあった)ダンサーでないと持たないですよね。
「白鳥」自体がそういう作品なのだと思います。

ヴェロニカ・パルトについては未見なのですが、評判が良いのできっとLONDONでも話題になるのだろうと楽しみにしていましたがxxx
ポーズが美しくない、というのはがっかりですね。

ゴメスはフェリの引退公演のときにあの女優魂にガップリ四つに組んで踊っていたのを見て以来、”イケメンサッカー選手”風の風貌に似ず、こんな内面の深さをも出せるのかと注目していたのですが、本当に良いダンサーですよね。
ホールバーグは私見ですが、クラシックよりもモダンの方が似合うダンサーなのかもしれません。。。



maria 2009/04/05(日) 06:10:51) 編集


mariaさん こんにちは

> ひゃ~クリティックの厳しさに驚きました。
> これはやはりシェークスピアだから?
> 「十二夜」という作品に対する愛情の裏返し?
> きっとこの方たちのスタンダード、というか心の中に消えない名舞台があってその標準をつい引き出してしまうのでしょうかしら・・・

私も初めに読んだのが辛口評だったのでひいてしまいましたが、その後比較的高評価のものが出てきたので、ちょっとほっとしたというか。まぁ(イギリスの)クリティックの意見が一致することなんて殆どありませんので、これぐらいで普通なのでしょう。

さて、ABTの白鳥ですが。

(既にご覧になっているかもしれませんが)なんと、あの後パルトの白鳥を絶賛する声が続々あがっていて、びっくり。以前アメリカのバレエフォーラムで彼女のスレッドが立っていて白熱した議論が続いていたことがあるのですが、そのときも意見を二分するダンサーなのね・・・という印象を持ちましたが、今回も。ballet.coに彼女の強力なサポーターと思われる男性が、"パルトがABTのプリンシパルでないのがいかに理不尽なことか”と綿々と書き綴っているのを読みましたが、熱烈な支持者も多いみたいです。

まあ私自身の白鳥ダンサーの好みも相当偏っているので(意思的で芯が通っていて・余計なことをしないダンサーで見たいので)、他人様のことはあれこれ言えないですが・・・(笑)

> ゴメスはフェリの引退公演のときにあの女優魂にガップリ四つに組んで踊っていたのを見て以来、”イケメンサッカー選手”風の風貌に似ず、こんな内面の深さをも出せるのかと注目していたのですが、本当に良いダンサーですよね。

ゴメスはまた別の役で見てみたいです。イケメン・サッカー選手ね~(笑) 私の第一印象は、「ティアゴ・ソアレスのちょっと年の離れたお兄ちゃんみたいだなぁ」でした。
Naoko S 2009/04/06(月) 07:16:53) 編集

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