スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
-------- --:-- | スポンサー広告
Rothko - The late series (1)
1月23日、テート・モダンにて。以下自分用の備忘録・・・

☆第一室: シーグラム壁画のためのミニチュア習作が数点。横長の長方形にいくつか色がのせられていて、ここには鮮やかなブルーや黄色も見られる(完成品は暗い赤・紫・褐色のオンパレードだが)。鮮やかなクリムゾンの美しさに目が喜ぶ。「シーグラム壁画」のプロジェクトが露と消え、棚ボタでテートに作品の一部が転がりこんできたわけだが、当時のテートのディレクターが画家に示した「ロスコ・ルーム」のプロトタイプも展示されていた。(こじんまりした正方形の空間に「壁画」が8枚。はて現状もこういうアレンジだったっけ・・・・憶えてない。)

☆第二室: 狭い空間に絵が一枚。ホイットニー美術館蔵の"Four Darks in Red"(1958、キャンバスに油彩)。ロスコ作品の中で最もポピュラーと思われる、で私も一番好きな、いくつかの色面が重なってるスタイルの絵。これは四層(見ようによっては五層?)で、上からダークブラウン、漆黒、赤褐色、(わざと塗り残したような)白味を帯びた赤、ダーククリムゾン。

かなりサイズが大きいのと部屋が混んでたせいもあったのだろう、人々は遠巻きにして見てる。最初は私もおとなしく離れて見てたのだけど、人が少なくなったときを見計らって、思いっきり絵に近寄ってみる。(とはいっても絵の下に(床に)パネルが敷かれていてこれが奥行き1m以上あったので、それ以上近くにはいけなかったが)ああ、これよこれ・・・離れて見てたときとまるで印象が変わる。やっぱりロスコは近寄って見て色に包まれないと。遠目にはわからなかった、色面と色面の間・境界線の部分の緊張(線の震え)、画面下の、絵の具が滴り落ちた痕跡、漆黒の色面の奥深くにまだまだ他の色が潜んでいそうなのが浮かびあがってくるような気がして、ずーっと見続けていたかった・・・けど、人が増えてきたので、泣く泣く退散。(ちなみにロスコはかつて、『(自分の絵を見るのに)理想的な距離は18インチ』と語っていた*とか。18インチって、約46cm・・・目一杯近寄ってもまだ遠かったわけだ。ロスコは絵を吊り下げるときの"高さ"についても注文つけてたな 確か・・・床から数インチとかなんとか。この絵は床から約30cmの位置にあったので、まぁまぁ。展示会のほかの作品は大抵どれも床から高い位置に吊るしてあったので、どうしても離れて見ることになってしまって・・・やや不満。私的には、できることならロスコの絵は床に置いて見たい・・・。)

** http://www.tate.org.uk/tateetc/issue14/ofmind.htm

☆第三室: 部屋に差しかかろうとした時、真っ先に目に飛び込んできた絵がなんとも邪悪なオーラを発していて、ちょっとひるむ。この第三室が「シーグラム」壁画を一同に集めた・展覧会最大のウリの部屋なのだが・・・あたりを見回して、絶句。ああひょっとして、これのことか・・・2008年の美術展を振り返るTelegraphの記事で、「今年最悪の・破廉恥極まりないディスプレイ」とクリティックが酷評してたのは・・・。

だだっ広い長方形の部屋の壁を埋め尽くした14枚の絵。部屋が広すぎる、おまけに出入口が四隅にあって人の流れがバラバラ・一方向でなく雑然としてるので、絵の発する"気"が拡散してしまってる。シリーズ画であるにもかかわらず、絵と絵の間に相互作用が感じられない・・・なんかまるで、品評会の会場に行き当たりばったりに並べられた絵の群れみたいにも見える。

結論から言うと、別段この壁画シリーズを「一同に」集めてくれなくてもよかったかな・・・と(こういう展示しかできないのであれば)。テートの常設展がそうであるように、絵との親密さを保てるスペースで・絵に囲まれて鑑賞したい。展示会の入口で渡された小冊子によると、そもそもシーグラム・ビルのレストラン(The Four Seasons)の壁に飾れる絵は7枚だけだったが、ロスコはトータルで30枚描いた、と。まさかそのうちの半分が寄せ集められて、こんな風に展示される日が来ようとは、画家は想像だにしていなかったに違いない・・・。

ダークレッドに塗りつぶされた巨大なキャンバスを鮮やかな色彩が染め抜いて、その形は古代の神殿の柱を思わせる。中には"火柱"のように見えるものもあって、見ようによってはかなり暴力的ともいえるかも。これらが暗赤色の画面にさらに暗い色をのせた、やや重苦しい・沈鬱な表情のキャンバスと向かい合ってる。最初に見た「邪悪な絵」("Black on Maroon"/1958)だけど、室内を一巡してからまた戻って再見したところ、若干おとなしくなっていた(ように見えた)。これはあの・あまりに有名な逸話が頭の隅にこびりついていて、偏見で見てしまったのかな・・・(でもやっぱり、ちょっとヤな感じがするんだけど)。

逸話というのは、ロスコがこのプロジェクトを引き受けた際周囲に語っていたこと。『(フォーシーズンズは)NYの大金持ち野朗どもが食いに来るレストランだよ・・・奴等はひけらかしに来るのさ。俺がこの注文を引き受けた理由はただ一つ、ある企みがあったから・・・悪意がね。あの部屋に食事しに来るクソ野郎どもが、すっかり食欲をなくすような絵を描いてやりたいんだよ。ついでに、俺の絵のせいで部屋中のドアも窓もレンガで塞がれて・完全に閉じ込められてる・・・ってな気分にさせられたらいいね・・・奴等は一生頭を壁に打ちつけるしかないってわけ。』* この時50代半ばだったロスコ、勿論"怒れるオヤジ"を気取ってるんでも何でもなく、かなり本音だったんじゃないかと思う。(画家の言葉を100%字義通り受け取るのは危険だけど、彼は終生アウトサイダーだった・・・)シーグラム壁画に若干の"毒"を感じとっても不思議はないのかも・・・。

*http://books.google.co.uk/books?id=xwP_jO9zI00C&dq=St+Ives+Mark+Rothko&source=gbs_summary_s&cad=0
2009-01-27 11:06 | アート情報 | Comment(2)
Comment
ご自分のための備忘録・・・とされているのにコメントしてしまいます(^^;)
とても興味深く拝読しました!

昨年、やはりNaokoさまの記事がきっかけで長年行ってみたいものだと思いつつその微妙な遠さ(千葉の佐倉)に逡巡していた川村記念美術館でシーグラム絵画を鑑賞。
作品自体の大きさに合わせて2室に分けて展示がされていたのですが、レストランを飾るにはあまりに濃厚なその色彩に展示のせいか採光のせいか・・・とその強さに圧倒されつつも一抹の疑問を抱いていたのですが、今回の記事で釈然と致しました。
なるほど~高級レストランに飾られることを逆手にとった諧謔的なコンセプトが秘められていたのですね・・・。

あと、至近距離で、あるいはある程度近しい空間で観るときの、色彩の世界に取り込まれたような不思議な感覚は、旧テート・ギャラリーの小さな部屋が連なるロスコ・ル-ムの展示を観たときの強い印象と重なりました。
それまで現代美術コレクション、の一端として他の作家の作品とMIXして1~2点だけ見ていたのでは感じ取れないものをテートでは感じ、それ以来気になる作家となったロスコでしたので・・・。
18インチ、納得です(^^)

maria 2009/01/29(木) 17:14:05) 編集


mariaさん こんにちは。私的なつぶやきメモに反応してくださって有難うございます。

>>長年行ってみたいものだと思いつつその微妙な遠さ(千葉の佐倉)に逡巡していた川村記念美術館でシーグラム絵画を鑑賞。

ほんと、仰るとおり、都内からだと"微妙な遠さ"なんですよね・・・結局私は未訪の地なんですが、この"シーグラム壁画・集結プロジェクト"はテートの後川村に移動するんですよ。きっとあちらの方が優れた展示で見せてくれるだろうと想像するのですが、mariaさんも、お時間が許せば是非・・・v

>>なるほど~高級レストランに飾られることを逆手にとった諧謔的なコンセプトが秘められていたのですね・・・。

シーグラム壁画となると判で押したように必ず出てくる話なんですが、勿論本当のところ(画家の意図)はどうだったのか、わかりませんよね・・・。ロスコについて書かれたものを読むと、わりと矛盾に満ちた(=とても人間的な)人物のようにも見えるし。

>>それまで現代美術コレクション、の一端として他の作家の作品とMIXして1~2点だけ見ていたのでは感じ取れないものをテートでは感じ、それ以来気になる作家となったロスコでしたので・・・。

ロスコ自身他の画家の作品と並べて展示されるのを嫌って、自分だけの空間を確保することに拘っていたんですよね。(彼の絵と対峙するのはいつでも非常にプライヴェートな体験なので、それも当然かな・・・と納得ですが。)

"18インチ"、機会がありましたら、是非お試しをv
Naoko S 2009/01/30(金) 10:47:23) 編集

コメントを書く
#

管理者にだけ表示
10
--
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
--
>>
<<
--
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。