マティルデニ回目&カサロヴァの公演予定
ロイヤル・オペラのマティルデ・ディ・シャブラン、二回目の鑑賞(10/31)。

うん、楽しかったです。初日に見たときは正直、"しよーもないオペラだなー"とクイック総括せざるをえなかったけど、メインの歌手陣がこれだけ優れていると、歌手の力量を味わわせてくれるアリアが沢山盛り込まれている・・・というだけの理由で、"これ そんなに悪くないかも~"と(早くも)宗旨変えしそうに・・・。この日も大満足で家路に着いたのでした。

で、当夜の私的MVPは・・・ファン・ディエゴ・フローレス♪に進呈~~。

登場直後から、"あ、今夜は違うぞ"と思わされる強さがあって、セリフも歌も真っ直ぐ耳に飛び込んでくる。(バカ殿(!)の演技にもますます磨きがかかって、笑いをとっていたし・・・。)コッラディーノのアリアのシーンでは、目を閉じて彼の美声にひたすら聞き惚れていました(至福・・・)。

ま~しかし、ほんとうにクリーンなパフォーマーですね 彼は。声質といいテクニックといい表現といい舞台姿といい・・・こんなにイノセントで善のオーラに満ち満ちた・心洗われる歌手はほかにはいませんね。日頃口の悪いこの国のクリティックですら、彼の前にはガードが緩んでしまうのも頷けます。(後述しますが・・・今回主要メディアの公演評は必ずしも絶賛調ではなかったんですが、フローレスとソプラノのクルザックに関しては概ね肯定的でした。特に初日のフローレスは決して絶好調ではなかったけど、正面きって批判的なこと書いてる人は殆どいなかったような・・・)

終演後に友人と、"フローレスって年とったらどんな役をやるんだろうねー?"という話になり、やや行き詰ってしまったのだけど(いかんせんオペラの知識がないので、想像がつかない・・・)、それでふと思い出したのが、昨シーズン予定されていたリゴレットへの出演をキャンセルした話。確か彼の声質からいってマントヴァ公の役は負担が重過ぎる、要は自分に合わないと判断した・・・という理由だったと思うのだけど、賢明な決断にほっと胸を撫で下ろしたおぼえが。(ああいう役は、凡百のテナーにまかせておけばよろしい・・・)今後益々ヘヴィーでドラマティックな役を歌わせようという周囲からのプレッシャーが強まるのではないかと思われるけれど、フローレスには天から授かった貴重な(稀有の)資質をくれぐれも大事に大事に、守り育ててほしい・・・一般ウケするメジャー作品をレパートリーにせずとも、得意分野で芸を極めていただければ、それで十分なのですけど・・・・(ファンとしては)。

【11/3追記】今日友人が、「フローレスってリゴレット全幕デビューしてたよ~確か」と教えてくれて、えーっと慌ててサーチしたところ、今年6月にドレスデンでマントヴァ公を歌っていたことが判明。この公演はARTE(仏・独共同TV局)で放映されたようで、YouTubeにもビデオがあげられてました!フローレスがこの役は自分に合わないと最終的に判断したのは、どうやらこのドレスデン公演の後だったようです。(一度もやってないわけではない。予定されていた来年のマドリッドでのリゴレット公演は既にキャンセルしている模様)大変失礼いたしました。(この役は、やめておいた方がいいと思う・・・ビデオ見てみたけど、
”No, no, no!!"って感じでした・・・)
 

とりあえず、当面の私の夢はフローレスをモーツァルトのオペラ(全幕)で聴くこと・・・特にドン・オッターヴィオ、歌ってくれないかなぁぁ・・・(この役にはひとかたならぬ思い入れがあるもので・・・)

ソプラノのクルザックはこの夜も好調、見事なプリマドンナぶり。二幕のクライマックス、暴君コッラディーノをまんまと手なづけたマティルデが得意満面で歌うアリア(「女は征服し・君臨するように生まれついてる」)が今回もまたまた天晴れな出来で、聴いていて実に気持ちよかったです。フローレスとの間のケミストリーもなかなか。

エドアルド役のカサロヴァは、一幕のアリアは初日の方がよかったけど、二幕のアリアは今回の方が○(ホルンも多少マシになってたし・・・)。相変わらずハイパー・テンションでカリスマが凄かったけど、初日に比べれば周囲からの浮き方はさほどでもなく。(友人説では、『周りに合わせるために今日は少し抑えてたんじゃないか』・・・って。ははは、そうかも・・・)二幕後半にエドアルドとコッラディーノが対峙するシーンでは、カサロヴァのハンサムぶりとフローレスのラヴリーさが好対照で、なんともいえず贅沢な図を堪能しました(時よ止まれ~~状態)。

さてそのカサロヴァですが、今回主な公演レビューで評が真っ二つに割れていたのは(私が見た限りでは)、彼女一人でした・・・!

いや、なんとなく予想はしていたんだけど、やっぱり・・・という感じで。彼女のようなタイプのパフォーマーを受け付けられない人たちもいるんですねえ。(なんたってグル様のリサイタルすら手放しで誉めない人たちなので・・・)一番凄いのがIndependentのレビューワーで、彼女のエドアルドがよほどお気に召さなかったとみえ、さんざっぱら貶したあげくに、

"awful"

の一言で片付けてました。

・・・あの、"awful"って・・・。いや、私もこれまでイギリスのメディアでオペラ・ダンス関連のレビューはそれこそ星の数ほど読んでますが、プロの批評家がプロのパフォーマーを『ヒドい』の一言で切り捨てる図、は初めて目にしたような・・・それだけカサロヴァの個性が強烈ってことなのでしょうねえ。

その強烈な"カサロヴァ体験"、次回は一体いつできることやら~とネットサーチしていて見つけたんですが、来年5月にRFHでチューリッヒ・オペラの"Agrippina"(ヘンデル)にご出演予定であることが判明:

http://www.southbankcentre.co.uk/calendar/productions/zurich-opera-38690

さらに、2011年1月にはコヴェント・ガーデンに再び戻ってきてくださるようです(セヴィリヤ)!

http://www.musicalcriticism.com/interviews/kasarova-1008.shtml

しかし2年以上先!気が遠くなりそう・・・その前に、何処かで彼女の舞台に接する機会があることを祈りたい・・・。

☆ マティルデ~は次回11/3の公演が録音されて、BBC Radio3で11/22に放送される予定です(ネットからも聴けます):

http://www.bbc.co.uk/radio3/operaon3/schedule0809.shtml
2008-11-03 09:48 | オペラ | Comment(4)
Comment
こんばんわ。

>2011年1月にはコヴェント・ガーデンに再び戻ってきてくださるようです(セヴィリヤ)!
 来年上演するのに、またですか!こんなことを書くとカサロヴァ・ファンの皆さんには怒られそうですが、ロジーナは30代前半までの役だと思うんです。同じロッシーニでカサロヴァを観るなら、彼女にふさわしいであろう凛々しいズボン役がある「タンクレディ」を持ってきて欲しいですよ。
守屋 2008/11/05(水) 08:39:12) 編集


守屋さん こんばんは

>>来年上演するのに、またですか!

・・・それ、私もちらと頭をよぎりました(笑)。

ロジーナは30代前半・・・なるほどねー。確かに、できることなら私も彼女はズボン役で見たいです。タンクレディ、いいですね~!あとは、最近彼女がハマっているらしいヘンデルとか・・・(来年のRFHコンサートはそうですが)。ま~どんな役でも演じてくださるなら喜んで見に行くつもりではいますが、ついつい贅沢言いたくなっちゃいますね・・・
Naoko S 2008/11/06(木) 07:46:55) 編集

JDF、カサロヴァは申し分なく歌ってくれて大満足。それに負けず劣らずクルザックの声量と技量に驚きました。ソプラノのロッシーニ歌手って珍しいですよね? グル様も昔ロジーナを歌ってましたからクルザックも歌えそう。JDFのお馬鹿キャラ、いい味出してましたね。大いに笑えました。強がって突っ張ってたのに、そのうちに女性にコロリ参ってしまう演技が可愛すぎて・・・。お陰で1幕2時間もあっという間に感じました。11/3の公演では主役3人がますますパワフルに思えましたが、もしかしたら私の座ったアンフィの席の音響のせいかも(それとも録音のために皆がいつもよりも張り切ったとか?)。カサロヴァが歌い終わるたびにもの凄いブラヴォーの嵐でこれはJDF以上のものだったんですよ。このオペラのためにロンドンまで行った甲斐がありました。JDFの次回の来日は2010年ボローニャ歌劇場「清教徒」だそうです。あぁ、4年ごとって待つには長すぎます。
ミッツィカスパー 2008/11/08(土) 22:08:45) 編集


ミッツィカスパーさん こんにちは。

3日の公演もメインプレイヤーは絶好調だったようですね~ Radio 3での放送が楽しみです!

>>11/3の公演では主役3人がますますパワフルに思えましたが、もしかしたら私の座ったアンフィの席の音響のせいかも(それとも録音のために皆がいつもよりも張り切ったとか?)。

ローワー・アンフィのサイド席でしたっけ?あそこは確かに音の聴こえ方(反響の仕方)がすごいですよ・・・左サイドだと特にそういう傾向があるような。

>>JDFの次回の来日は2010年ボローニャ歌劇場「清教徒」だそうです。あぁ、4年ごとって待つには長すぎます。

4年に一回とは確かに酷ですね・・・ところで、JDFは確か来年1月にこの歌劇場でこの演目に出演のご予定ですよね??ボローニャは大好きな街だし、この情報を目にした時はちょっと食指が動いたのですが、"まず間違いなく・チケットは取れないだろう"と早々にギヴアップしてしまいました。

さて、話をマティルデに戻しますが・・・当方火曜の最終回のチケットを持っているのですが、仕事がたまりにたまってるし6時半の開幕時間に間に合うか・パスすべきか・・・と迷ってたんです。でも、やっぱり行くことに決めました~。この豪華キャスト、逃す手はありませんよね!
Naoko S 2008/11/10(月) 06:59:38) 編集

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