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2005/2006シーズンを振り返って(2) 「カリギュラ」
パート1に引き続きパリの昨シーズンを振り返ります。

で、取敢えずイレールですが(笑)。前半は調子良かったんですよね・・・それはもう、夢のように。パリ、ロンドンで「ル・パルク」を9回(もっと?)踊った直後に、新作「カリギュラ」の重要な役どころで登場。さらに年末のヌレエフ版白鳥ではロットバルト/ウォルフガングの「役デビュー」を果たし、現役引退しているにも関わらず、この時点では(恐らく)登板回数最多の「エトワール」だったのよね・・・しかし、この後に落とし穴が・・・。年明けて1月、怪我を理由にイタリアでのフェリ・ガラ出演をキャンセル、そして2月の日本での美神ガラも・・・。ロモリとの”Un trait d'union”をもう二度と見る機会はないのだろうか?と考えるにつけ、つくづくあの時の降板が惜しまれる。ま、でもシーズン最後のベジャール・プロには無事復帰して渋い舞台を見せてくれたので、終わりよければ全てよし!としておきましょう。

続いては新作「カリギュラ」について・・・当時書いたメモをもとにちょこっと雑感を。(鑑賞日は2005年11月4、7日)

「カリギュラ」はニコラ・ル・リッシュの振付家としての本格的デビュー作で、コメディ・フランセーズの俳優・ギョーム・ガリエンヌとのコラボレーション第一作。音楽はヴィヴァルディの「四季」。色々な筋から伝え聞く(読む)ところでは、作品の基本コンセプトと日本の神社仏閣からインスパイアされたというセット・デザインのアイデアは主にガリエンヌに拠っていたらしい。見る前にカミュのテキストを読んで、これを言葉のないダンスで表現するのはかなり難しいだろうなあ・・・と漠然と感じていたんだけど、いざ舞台を実見した印象は・・・ うーん一言でいって何もかもが中途半端。舞台上の構成要素はバラバラに存在していて上手く噛み合っているようには見えなかったし、主人公の人物像も彼の葛藤も人間関係も、全てにわたって表現が弱い。暴君だけどパントマイムと劇を愛した皇帝でもあった・・・という面に光をあてたかった、とニコラがインタビューで語っていたけど、肝心のその部分が全然迫ってこなくて。カミュの戯曲を読んで感じたのは、カリギュラという人物が劇であれ映画であれクリエーターに素材としてアピールするのは、結局彼の荒唐無稽で不条理な「戯言」。台詞があればこそ彼の戯言を見る人それぞれ好きに解釈させて、一種の知的遊戯を提供できる。言葉をもたない表現形式であるダンスなら、逆にリブレットに縛られず自由な翻案も可能だけれど、そういうアプローチには見えなかったし。(とは言え「知的遊戯」は多少は感じられる部分があって、ダンス作品として決して感心はしなかったのに、見終わった後にちょっと後をひいたのはそのせいかも・・・)

ニコラが使っていたダンス言語はダンサーとしての彼が通過してきたものを素直に押し出してきた・・・という印象で(キリアンあり・エクあり)、意外なほどクラシックがベースになっていた。ルナ役の女性ダンサー(クレールマリとミュリエル・ズスペルギー)はポワントシューズで登場し、中には白鳥の湖からのダイレクトな借用か?と思われるような振付もあり。異色だったのがイレールの踊るムネステー(Mnester)の動き。ムネステーはカリギュラに偏愛されたパントマイム役者で、戯曲ではあまり重みのない役だけどここではかなり存在感ある、重要な役。各タブローの冒頭に登場して静謐なマイムを披露してはまた消えていく、若干予言者めいた役どころ。(彼の登場シーンは主に無音か効果音が使われていて緊迫感が高まる。)クラシックのパで踊ることはほとんどなくて、マイムとマーシャル・アーツの型を決めるようなシャープな動きを繰り返すんだけれど(内股の動きもあり)、これがもう、カッコイイの何の。時にゆったりと、時に空間を切り裂くようなムーヴメント・・・ギリギリまで絞られたストイックな肉体を自在に操る姿は圧巻、まるで動く彫像のような美しさ・・・他のダンサーとはまるでレベルの違う動きの質、身のこなしの美しさ、そしてあのカリスマ・・・イレールのみ周囲から隔絶した存在・異次元星人のように見えた・・・というのが実はこの作品で一番印象に残っていること(ファン馬鹿・ご容赦!)。

カリギュラ役はファースト・キャストのジェレミーが怪我でほんの数回しか踊らず、私が見た2回とも主演はマチュー・ガニオ。マチューは光り輝く美しさで、今の年齢ならではのアポロニアン的な美に溢れていました。私の目には、カリギュラにはとてもとても・・・彼が「暴君ぶり」を演じても、子猫が爪をたててるぐらいのインパクトしか感じられなかったなぁ だって今のマチューはあまりに純粋な美しさと善のオーラに満ち満ちているんだもの・・・。ごく素直に今の彼の美質と個性を活かすことのできる新作を誰か創ってくれないかしら?切に希望。まぁ、ファンとしてはどんな役でもどんどんトライして芸の肥やしにして頂ければそれでいいんですが。

・・・以上、辛口でしたが、この作品来シーズン(2007/08)に再演の噂があるとか?勿論また観に行きますよ イレールとマチューの競演が再現されるなら!(ゲンキン・・・)

(end of Part 2)
2006-09-18 07:49 | パリ・オペラ座バレエ | Comment(4)
Comment
私は、ニコラへの愛ゆえか(笑)、最後まで惹きつけられてしまいましたよー。いやー、マチューも成長したわねえ…って感慨も。でも、一番嬉しかったのは最後のカーテンコールでニコラが出てきた時だったけど(^^ゞ でもカデール振付の「嵐が丘」(これも来シーズン(2007/08)に再々演されるとか)より全然良かったー。

ダンサーには、現役のうちは振付よりももっと踊りを見せて欲しいですけどね…。
はなはな 2006/09/18(月) 10:48:49) 編集


>>ダンサーには、現役のうちは振付よりももっと踊りを見せて欲しいですけどね…。

同感です!この作品、ニコラが主役を踊ってもよかったのでは?と思ったりしましたが(当時)。わ、「嵐が丘」も再演ですか?実は無意識に避けて通っていた作品なんですが、いよいよ遭遇しなくちゃいけないかなぁ・・・覚悟しておきます。(いや特別深い理由があるわけじゃないのですが、原作に思い入れが強すぎて、映画でもTVドラマでも納得できたためしがないので・・・)
Naoko S 2006/09/19(火) 04:36:36) 編集

「嵐が丘」の再演は、ダンマガの9月号インタビューでカデールが、「07/08年シーズンに再演される『嵐が丘』がぼくの引退公演になります」と言っているのですよ(でもその後、ピナの「オルフェオとエウリディーチェ」に出演するらしく、それが本当の最後の舞台になるだろうとのこと)。カデールって「嵐が丘」の舞台にダンサーとして立ったことはないですよね? 自らヒースクリフを踊って引退なのでしょうか~。
はなはな 2006/09/19(火) 21:13:38) 編集

はなはなさん

>>自らヒースクリフを踊って引退なのでしょうか~。

うーんちょっと考えにくいですよねえ ご自身は過去2回一度も踊ってらっしゃらないですよね?それとも特別に数回だけ踊って引退公演とされるんでしょうか。

それにしても、カデさんもいよいよ引退が迫っているんですね。個性派の色男がまた一人舞台から姿を消してしまう・・・さびしいですね・・・。
Naoko S 2006/09/20(水) 06:26:35) 編集

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