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2005/2006シーズンを振り返って(1) 「ル・パルク」
いよいよロンドンとパリでは新シーズン開幕です。その前に慌てて昨シーズンの回顧を・・・印象に残った公演の、当時書いたレポをまとめて掲載します。(実は似たようなことを過日ballet.coの「ロイヤル以外の昨シーズン・バレエ・ハイライト」というスレッドに書いていて、これから順次再掲するレポに登場する公演は大体ここのサマリーにあるものと同じです。)

http://www.ballet.co.uk/dcforum/happening/5687.html#6

まずは昨シーズンのオープニング、パリ・オペラ座の「ル・パルク」

そう、去年の今頃はパリとロンドンの二都市でル・パルク漬けの至福の日々を送っていた私・・・イレール主演の公演を6回観ることが出来て、シーズン開始早々に最大のイベントを迎えてしまい、最後の公演が終わった時にはすっかり虚脱状態、この後に見るべきものがあるのか・・・?と、暫しル・パルク・ロス症候群に襲われたものでした。不思議と今思い出すと感傷的にはならずに、むしろパリオペ・ダンサーズと長距離マラソンを共に完走したような爽快な達成感が残っていたりするのですが・・・(甚だ僭越ではありますが!)。

なんと23年ぶりだったパリオペラ座バレエ団のロンドン公演。日本と違って英国ではイレールxゲラン主演のル・パルク映像がTV放映されたことはないし、バレエ・ファンの間ですら殆ど知られていないコンテンポラリー作品のロンドン初演。(コンテンポラリー作品が選ばれたのは、この時の来英が「ダンス・アンブレラ」というダンス・シリーズへの参加目的だったため。)多くの観客にとって初見の「ル・パルク」、ファン・批評家からの反応は<予想通り>困惑と拒絶反応の入り混じった辛口のものが殆ど。主演のイレール、オレリーの芸術性とダンサー達のレベルの高さは誰もが絶賛していましたが、あまりに"French”な香りに満ち満ちた作品世界に拒絶反応を示す向きも少なくなかったです。英仏どちらにも属さない「外野」の立場から見ていて面白かったのは、両国間に厳然と横たわる感性の違い・特にエロティシズムの捕らえ方の決定的な違いが浮き彫りになったこと。個人的にはきわめて賢い・パリオペの面目躍如!と納得させられる作品選択だったと思っていますが。

尚、ここに再掲するレポは当時KARENさんのBalletForumに投稿させて頂いたものです。KARENさん、転載を許可下さって有難うございます!(注: レポは、とても長いです!)

1. 「ル・パルク」 於パリ パレ・ガルニエ 2005年9月

(1) ピュジョルxイレール

ピュジョルxイレール組の2回目にして最後の公演、9/22(木)のソワレ見てきました。主役以外の配役はこちらです(アクサン記号省略):

Les Jardiniers: Mallory Gaudion, Simon Valastro, Nicolas Noel,
Adrien Bodet

Les Demoiselles: Muriel Halle, Laure Muret, Cecile Sciaux,
Eve Grinsztanj, Alice Renavand, Severine Westermann,
Christelle Granier, Christine Peltzer

Les Messieurs: Guillaume Charlot, Nicolas Paul, Pascal Aubin,
Jean-Philippe Dury, Yong Geol Kim, Alexis Renaud, Erwan Le Roux

ローラン・イレールが舞台に立っている以上、私の目は彼を見るためにあるので、非常に偏った感想ですがお許しを・・・(他の演目でも勿論そうですが、ル・パルクは特にそうなってしまうのですよ)。ええとですね、この夜のイレールは、一幕から異常なテンションで飛ばしていました。一幕の「観察」のシーンから既に、動きはキメキメ、表情には緊迫感溢れ、あまりの迫力に思わず、イレール きっ キレてる・・・とつぶやいてしまった私。ピュジョルを見る目は恋しているというより、この女を落とす!と獲物を見るような強ーい視線で、恋愛感情全くなし。かたやピュジョルはライオンの眼光に射すくめられた鹿のようなか細さ・けなげさで、二人の間に愛は感じられませんでした。二幕の「抵抗」のpddでイレールが舞台右手から左にピュジョルを抱きとめようと猛烈アタックかけるシーンでは、あまりにぶつかり方が激烈なので音が聞こえそうなほど・・・。彼の動きが大きいので、どんどん舞台を横切ってしまい、最後にピュジョルが頭突きするシーンは限りなく舞台の端っこで展開することとなり、彼女が頭突きするたびにイレールが思いっきり後ろに退いて中央に寄ろうとしていたのに思わず苦笑・・・ ともかくこの夜のイレールにはガルニエの舞台は狭すぎました。(バスティーユだと舞台が広いですから問題ないんですけどね・・・ちなみにセットは勿論ちゃんと収まっていましたが、ある方によると、「木が一本足りない」とか・・・笑)

ピュジョルは、私が想像していたよりずっとこの役が違和感なくて、よかったです。彼女は背伸びすることなく今の自分を素直にさらけ出していたというか・・・一、二幕では殆どアグレッシヴに迫るイレールになすすべもなく突き動かされていた、という印象ですが、三幕の「解放」のpddでは、やっと大胆さがでてきて体当たりの踊りを見せてくれました。貴婦人と呼ぶには若過ぎる、育ちのいい良家のお嬢さんが年上のプレーボーイに初恋をして、どう振る舞えばよいかわからない・・・という感じ。とまどいながら徐々に恋心を募らせていく彼女のお相手には、同様にジェントルで静かな情熱を感じさせるダンサーの方がお似合いだろうなあ・・・と思ったり。個人としては二人とも持ち味が出ていて良かったけれど、全く別世界の住人のようでコンビネーションが悪かった・・・あと気になったのは、二人の背の高さの違いがかなりバランス悪く見えてしまったこと。この差が動きの微妙なニュアンスにも確実に影響してしまっていたし・・・。

実は今回見る前に一番恐れていたのは(若いレティシアが相手ということもあり)、「先生顔のイレール」が出てきたらどうしよう・・・ということだったのですが、その懸念は幸い杞憂に終わりました。・・・それどころか、後輩に対する大人な配慮限りなくゼロ、ひたすらマイペースで踊るイレールにファンとしてはすっかり意を強してしまいましたが、愛の物語にはなっていなかったなあ・・・。

昨夜のエレオノーラとヤン・ブリの公演も見ようかどうしようか迷っていたのですが、イレールの「毒気」にあてられてどうも劇場に足を運ぶ気分になれず、結局今回は一回だけ見て戻ってきました。来週末、今度はオーレリとイレールで見て来ます。このペアは既に何度もこの作品で共演しているし、愛の物語を紡いでくれることと期待しているのですが・・・


(2) デュポンxイレール

・・・さて遅ればせながらご報告です。オーレリxイレール組で9月30日、10月1、2日の3回見てきました。(主役以外のキャストは毎回前週と同じでした)今回はイレール、かなり落ち着きを取り戻しておりました(笑)。オーレリとのパートナーシップが成熟にむかいつつある証左ともとれるし、より現実的には、5日連続で踊らなければならないという状況がセーヴ気味にさせた・・・ともみれますが。この二人の描くル・パルクは、プレルジョカージョをインスパイアしたとされる17~8世紀仏恋愛文学の世界はかくや、と思わせてくれる美しい舞台でした。華麗な宮廷における恋愛ゲーム・・・イレールは宮廷一の色男にしてプレイボーイ、オーレリは10歳位年下の家柄のいい高貴なプリンセス。オーレリはいつもの硬質な美しさに、感情をじっと押し殺しているような佇まいが印象的でした。プレルジョカージョは特に『クレーヴの奥方』の主人公が恋心を必死に抑えようとする、その「抵抗」する姿に感銘を受け、これをベースにダンス作品を作りたいと考えた
そうですが、その意味ではオーレリは振付家のイメージにかなり近いダンサーかもしれません。イレールはこの役を自家薬籠中のものとしているので、演技も踊りも余裕しゃくしゃく・・・若手ダンサーたちのなかにあって彼のあまりにアダルトな色気が、<いつものごとく>舞台で若干彼を周囲から浮かせていましたが、これは「彼の」作品だから、許されるのよねー、ということで。相手変われば戦術変わる・・・で、常に緊張感を漂わせたオーレリに対しては、イレールもピュジョルと組んだ時の殆ど強引なアプローチを引っ込め、、情熱をストレートにぶつけるというよりは少し押し隠して紳士的。貴婦人に思慕する騎士にも見えて、なかなかに雅な王朝絵巻、の趣もありました(若干「リーベスリーダー・ワルツ」の時の二人を思い出したり・・・)。

3年前にこのペアを初めてこの作品で見た時は、イレールはもっと若々しい恋する男で、ひたすら直情的にアタックをかけていて、一方のオーレリは押しても引いても叩いてもテコでも動かない「不感症」のプリンセス(失礼!)に見えてしまったのですが、今回はずっとしっとり、静かな情熱を感じさせるカップルになっていました。(例えば、一幕で二人が出会い、目が合うシーン。イレールの目線にはゲランとの時のような好奇心、ピュジョルとの時のような射るような強さはなくて、何か人生を達観しているような静けさと自分の魅力を熟知している余裕に溢れていて、まさに大人の男・・・嘆息)オーレリのソロ(+庭師ですが)で印象深かったのは、3幕冒頭の「夢」のシーン。映像のゲランではそんな風に感じたことはなかったのですが、オーレリでこのシーンを見ると、これははっきりヒロインの性への目覚めを表現しているように思えて(無意識のなかに潜む願望・欲望というか)、ふーむなるほど・・・と新たな発見でした。

3つのpddの中では私的には「抵抗」が一番ぐっときました。オーレリの繊細な動きと感情を抑え気味の表情と、イレールの男性的でダイナミックな動きと抑えきれない情熱がほとばしってしまう表情のコントラストが印象に残っています。「激突アタック」のシーンでは、イレールはオーレリを比較的ゆるやかに抱きとめて、抵抗する彼女が身体を離そうとする時にその都度しっかり顔を見るのです(やみくもに激突するよりこっちの方がいいにきまってますわ~)。最後のシーン、イレールは頭突きされると最初はなかなか顔を上げないの・・・最後に感極まったような表情で上を向くのですが、見ている私も勿論、しっかりKOされましたー。

コール・ドのダンサーたちにはかなり若手が起用されて入れ替わりがあったけれど、その中で映像でも踊っていたミュリエル・アレの気品ある美しさ、ローラ・ミュレの存在感ある踊りが見られて嬉しかったです(ミュレは「嘆き」のシーンのドラマチックな表現が素晴らしかったです)。「アプローチ・ゲーム」の第3ヴァリエーションを踊った Eve Grinsztanjも挑発的なダンスをさらっとした色気で見せてくれて適役。「欲望」で今回イレールのお相手をつとめたラッキー・ガールはクリステル・グラニエ(・・・というのはパリのファンの方が教えてくれた情報です)。お顔立ちと長い手足がちょっとドロテに似ていて、なかなかお色気のあるダンサーでした。男の子たちの中ではこの作品をずっと踊り続けているギョーム・シャルロが舞台を引き締めてくれましたが、全体にもうちょっとキレある+しまりのある踊りを見せてほしかったなあ。ガルニエでこの作品を見るのは今回が初めてでしたが、私はバスティーユの方が断然好きです!バスティーユの広々とした空間の方が背景に使われている「空」が映えるし、椅子取りゲームもやりやすそうだし、何より音楽が・・・バスティーユのアコースティックで聴いたモーツァルトの気持ち良さは今でも忘れられないのです。今回はオケがパリ・オペ管でなかったせいもあるかもしれませんが(演奏はEnsemble Orchestral de Parisでした)、音がスカスカしていて、序曲の「リンツ」は全然走ってくれないしがっかりでした・・・。

ガルニエは毎回ほぼ満席の盛況で、この作品のパリでの人気はある程度確立されているのだな、と感じました。で、最後の一言・・・イレールがパリでこの作品の全幕を踊るのがこれが最後だったのだとしたら・・・。世の中にこんなに理不尽なことはありませんわ。今の彼は舞台上の誰よりも美しく、アーティストとして絶頂期にあるのに・・・。必ずや何かの機会にまたパリの舞台でル・パルクを披露してくださることと、信じて待ちたいと思います!


2. パリオペラ座ロンドン公演 「ル・パルク」 

<公演前夜・2005年10月10日記>

いよいよ今週末に迫ってきました「ル・パルク」ロンドン公演!

昨日のDailyTelegraph紙にルフェーブル芸監のインタビューが出た以外は今の所特に主だったメディアでの取り上げが無いようでちょっと残念。先ほどサドラーズのサイトでチケットの売れ行きをチェックしてみたら、初日はさすがに残席僅少でしたが最終回の日曜マチネはまだかなり残っていました。ロンドンはいつも出足が遅いので蓋を開けてみれば多分満員御礼になるとは思いますが・・・。

なにしろ23年ぶりのロンドン訪問ですからもっと盛り上がってもよさそうなもんですが、クールなんですよねロンドンのバレエファンは・・・(というか、クールなふりしてるんですよねほんとのところは)。前回の時の様子を知りたいと思い、いつものUKサイトでヒヤリングしたところ、生き証人の皆さんからフィードバック頂きました。それによりますと、

☆前回の公演は82年の夏、於・ロイヤルオペラハウス。
☆演目は「ラ・シルフィード」(ラコット)、「真夏の夜の夢」(ノイマイヤー)
☆参加ダンサーはポントワ、テスマー、ルグレー、クレール、プラテル、ルディエール、ドゥナール、ジュド、デュポン・・・群舞でギエム、ゲラン、ピエトラガラ、モラン、イレール、ルグリ・・・と錚々たる顔ぶれ。(詳細はこちら↓)

http://www.ballet.co.uk/dcforum/happening/5222.html

ロンドンとパリの劇場でなぜもっと頻繁にエール交換がないのか常々不思議に思っていました。近すぎる故?政治的、もしくは経費等の諸問題?理由は色々あるとは思いますが、根っこに一般の観客の「ご当地主義」=地元のカンパニー+時々来てくれる旧ソ連圏のバレエ団を見ていれば十分・・・という基本姿勢があるように思えてならない私です。極上のクラシック・カンパニーなら何でも見たいという強欲なバレエファンはあまりいないということでしょうか でもいくらなんでも23年ぶりなんてひどすぎませんかねえ(ロイヤルのパリ公演に至っては一体いつそういう機会があったのか依然としてわからず・・・)。せめて数年に一度、お互いのカンパニーを交換して見る機会があればいいのに・・・としつこく夢想してしまいます。


<公演前夜・2005年10月14日記>

昨夜はロンドン公演前夜祭!と「エトワール」の特別上映会に出かけていったのですが、まあお客の少ないこと・・・小さな映画館なのに1/3も入っていなくて。お客は数十人、という程度だったでしょうか。殆ど宣伝されていなかったせいもあるかとは思いますが、それにしても・・・比べても仕方ないけど、もしこれが日本だったら・・・とやっぱり考えてしまいました。(UKサイトに一応この情報ポストはしたんですが、常連バレエファンもほんとに数人しか来てなかったわ・・・) ルフェーヴル芸監のイントロダクションがあったのですが、「どうせここに来ているのはみなフランス人か仏語を解する人だろう」という判断からか、通訳は最後にサマリーをさらっと伝えるのみ・・・。ただ、彼女が、「今回ル・パルクをロンドンにもってきますが、英国のお客の反応がとっても楽しみなのよー」とちょっといたずらっぽく言っていたのに、思わず私もくすくす・・・と笑いをおさえきれず。本当に、観客(およびクリティック)の反応がとーーーっても楽しみです。


「ル・パルク」 於ロンドン サドラーズ・ウエルス劇場 2005年10月

(1) ファースト・ナイト

ロンドン公演初日、観客の反応は・・・・・

・・・・すごーーーーーーくよかったです!カーテンコールでびっくりするほど熱のこもった拍手とブラヴォーがとんでいました。大成功といっていいでしょう!

今晩は、ともかく、オーレリが凄かった~~! 間違いなく私がこれまで彼女をこの役で見たベストの公演!!パリで見たときよりも表現がさらに豊かに、恋する女性の感情の機微をオーレリがこれほど自然に、官能的にみせてくれたことは初めてかもしれません。この役を着実に自分のものにしつつあるなあ・・・と頼もしさを感じさせてくれました。1幕でのイレールがちょっと元気がなくて、パリでの5連荘がたたったかな?と心配になる場面もあったのですが、後半にむけてどんどん二人の間の感情が高まってきて、2幕と3幕のpddはあまりの美しさにただただ涙していました・・・。

庭師、群舞ともダンサーたちはパリでのメンバーと同じです。(指揮者も同じ、ピアニストのエレーナ・ボネさんも来てくださってます!)みんなすばらしかったです・・・来てくれて本当にありがとう!!と一人一人にお礼を言いたい気持ちです。

初日とあってカーテンコールではプレルジョカージョも登場、オーレリが袖に呼びにいくと、しばらく彼女の前にひざまずいてじっと彼女の手を握っていました。彼も盛大な拍手を浴びてとっても嬉しそうでした。振付家冥利につきたことでしょう・・・


(2) ロンドン公演総括

今年最大のバレエイベントが終わってしまい、シーズンはまだ始まったばかりだというのに、しばし「ル・パルク ロス」状態で呆けております・・・ が、今のうちに若干レポを補足しておきたく再度お邪魔しました・・・

☆今回のロンドン公演のキャストは結局初日と2日目のマチネがデュポンxイレール、2日目のソワレと最終日マチネがピュジョルxブリダール。デュポンxイレール組は先にちょっと触れましたが、初日はオーレリが目を見張る素晴らしさ。まるで何かから解放されたかのように生き生きとしていて、ごく自然に情熱が滲み出る表情と堂々たる舞台姿に感動。このペアをこの作品で見るとたいがいイレールがリード役、とみえてしまうことが多いのですが、この夜は前半若干精彩を欠いていたイレールをオーレリがカバーしているように見えるほど頼もしかった・・・。2日目はイレールも1幕から調子がよくて(演技が濃い・濃い~)、密度の濃い・甘美な世界をみせてくれました。同じ組み合わせで踊っても日によってこんなに違う・・・パートナー間の力関係がシフトするスリリングさというか、駆け引きの醍醐味を垣間見せてもらえたような面白さもありました。

一方のピュジョルxブリダールですが、この二人だともうまるで別世界の物語。ブリダールのル・パルクは初めて見たのですが、独特の味わいがあって面白かったです。なんというか、飄々とした風貌でコミカルな雰囲気で、貴族には見えないんですが・・・(登場シーンからなぜか口をもぐもぐ動かしたりしていて、ヘラヘラしているように見えて誰かに似てるなあ・・・と思ったら、なんとピート・サンプラス!)あえていうならヤン・ブリは下級貴族で、身分違いの家格の高い良家のお嬢さんに恋してしまった気弱な男。対するレティシアは毅然として自分の欲しい物がはっきりわかっている聡明で気の強い娘。どちらかというとレティシアにヤン・ブリが引っ張られているというか、少なくとも彼は誘惑者という役作りではなかったような・・・。二人の間の愛はちょっと弱かったように感じましたが、ヤン・ブリの独特の味わいとレティシアの体当りの演技は結構ロンドンのお客にはウケていて、こちらのペアの方が好き、という声もきかれました。ル・パルクは、踊るダンサーによって十人十色の世界を見せてもらえる、そして個性豊かでダンサーとして第一級のパリオペのダンサー達が踊ることによってその面白さが一層引き出される、そういうダンス作品だなあとつくづく感じました。

☆ソワレ公演は2回ともほぼ満席でしたがマチネは結構空席も目立ちました。全公演満員御礼とはいきませんでしたが、客席の反応は毎回とてもよかったです。KARENさんがル・パルク・パリ公演のスレッドでコメントされてましたが、確かにこの手のコンテンポラリー作品は「バレエというとチュチュとタイツ姿に拒絶反応を示す」こともあるだろう一般のお客さんにはむしろ受け入れられやすかったのではないかしら。一方で常連のバレエファン・クリティックの間では、23年ぶりのパリオペ公演がクラシック作品でないことを落胆する声も多くきかれました。面白いことに、あまり関心しなかったという人の反応は判を押したように似通っていて、「ダンサー達は素晴らしいが作品はわけわからん・振付もつまらないしなんでこんな作品をもってくるんだ?」というもの。作品選択の是非以外に、レビューを読んでいて面白かったのは、やはりイギリスとフランスの感性の違い・特にエロティシズムの捕らえ方の決定的な違いがあるなぁ・・・とつくづくと感じさせられたこと。この作品は一度見ただけではなかなか面白さが感じられないのではないかと思うので、今回ダメだったイギリス人バレエファンにも是非何度か見てほしいんですけどねぇ・・・

☆最後に訂正とお詫びです!パリ公演のスレッドの方で「アプローチ・ゲーム」の第3ヴァリエーションを踊ったのはエヴェ・グリンステインと書きましたが、クリステル・グラニエの間違いだったようです・・・今回最前列で見ていて気づきました。

(end of Part 1)
2006-09-17 01:01 | パリ・オペラ座バレエ | Comment(5)
Comment
素晴らしいレポです。堪能しました。パリ・オペラ座には、次回はエックの「アパルトマン」か「ジゼル」を持ってきてほしいです。
守屋 2006/09/17(日) 22:13:44) 編集

オペラ座ロンドン公演から1年経ってしまったのですね。ル・パルクへの英人バレエ・ファンの拒絶反応はほんと、凄かったですねー。みんなイレールが美しい!と口を揃えてはいたけれども...私的にはこれ以上望み様のない最高のバレエ・シーズン開幕でした。

守屋さんがおっしゃる様に、ロンドンでエクの作品 by オペラ座ダンサーを見れたら最高ですね。ただ、イギリス人の反応が怖い...(ま、彼等はオペラ座が古典の作品を持って来ても何だカンダ言うんだろうなぁ)

あぁ、又ル・パルク見たくなって来ました。この作品って中毒になりますよね?今からDVD見てゲランとイレールに悩殺されたいと思います。
Partita 2006/09/18(月) 01:09:14) 編集

守屋さん Partitaさん

>>パリ・オペラ座には、次回はエックの「アパルトマン」か「ジゼル」を持ってきてほしいです。

>>(ま、彼等はオペラ座が古典の作品を持って来ても何だカンダ言うんだろうなぁ)

そうですねえ 私も今のオペラ座の「オペラ座らしさ」を見せるには、エックとかコンテンポラリー作品の方がいいように思います。ヌレエフ改訂版の古典作品を持って来たら、ル・パルクにおとらず拒絶反応を引き起こす可能性大のような気が・・・。
Naoko S 2006/09/18(月) 06:31:13) 編集

NaokoS様、るな様のサイトでお話をさせていただいたことのある、mariaと申します。こちらでは初めまして・・・。
いつのまにかこのような素晴らしいブログを立ち上げていらしたのですね!
過去ログも含め、じっくり読ませていただきたいと思います。

まずはイレールですが(笑)相手役によって刻一刻と変化するさま、息を呑んで拝読しました。頭突きの場面(なんという表現でしょう、でも仕方ありません)一瞬のちに天を仰ぐ・・・あぁ、眼に見えるようですわ(涙)
パリ、ロンドンをつづけて完走されたNaokoS様ならではの視点、レティシアとサンプラス(失礼!ウケました)、王朝絵巻から、ぐっと感情が入ると驚くべき変容をみせる最近のオレリー(これは日本公演でも、作品ごとのイメージがあまりにも違うので・・”当たり”の彼女の素晴らしさは実感しております)などなど、堪能させていただきました!
また、お邪魔致します。
このような稀有なご経験のおすそ分け、本当にありがたく思っております・・・!!
maria 2006/09/18(月) 14:32:42) 編集

mariaさま こんにちは!

息切れ・ヘタりながらも何とか完走を遂げた「ル・パルク・マラソン」も今は良き思い出・・・あのエモーショナル・ローラーコースターの日々を忘れないように、とここに当時のレポをまとめておいたのですが、楽しんで頂けたのなら嬉しいです。(わたくしもmaria様の流麗な文体から繰り出される痛快なレポ、いつも楽しみに拝読させて頂いております!)

また、是非遊びにいらして下さいね~~ イレールねたで盛り上がりましょ~。


Naoko S 2006/09/19(火) 05:17:15) 編集

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