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ミハイロフスキー・バレエ 「スパルタクス」(7/23)
ミハイロフスキー・バレエのロンドン・デビュー・シーズン、全幕作品を一回ずつ鑑賞しました。感想・第一弾。

☆「スパルタクス」(7/23)

Spartacus, a gladiator: Alexey Turko
Crassus, a rich patrician: Andrey Kasyanenko
Valeria, Spartacus's beloved: Vera Arbuzova
Sabina, Crassus's beloved: Irina Perren
Crixus, Spartacus's friend: Andrey Masloboev
Pompeius, a military leader: Andrey Bregvadze
Elaida, Pompeius's beloved, a courtesan: Natalia Tsyplakova

The Mikhairovsky Ballet and Orchestra
Conductor: Karen Durgarian

私が見たのは二日目のセカンド・キャスト。初日を見た友人から、「ヴェガスのショーみたいだよ~合唱つきのところが思いがけないボーナスで美味しかった」と聞いていて怖いもの見たさで出かけたけど、シリアスなバレエ作品としてではなくエンタメと割り切れば、まずまず楽しめる内容だった。敢えてドラマ性を排除したのか?人物の相関関係とか状況を説明するようなマイム・シーンはほとんどない。(まぁなくても見てればわかりますが・・・。)ひたすら踊りと怒涛の"ノリ"だけで一気に突き進むスペクタクルで、こういう"見世物"的な行き方もアリかとは思うけど、ナラティヴ部分があまりに弱いのが全体に薄っぺらなプロダクションの印象をさらに底上げしていたことは否めないかも。

ごくごく大雑把に言うと振付には3パターンぐらいしかなくて、男性ダンサーのマスキュリンな力を誇示する振り(その割に勇壮さはあまり感じられなかったが・・・ペテルブルグ派だから本来は優雅さがカンパニーのウリ?)、極端に類型化された"女"を象徴する振り(誘惑者としての娼婦と弱き者・庇護すべき存在としての妻)、アクロバティックなpddの振り・・・これを使い回して上演時間(正味)約2時間半を乗り切るわけだから、途中やや飽きがくるのは仕方ない。一幕はかなりスピード感があり、何が何だかわけがわからないうちにすぐ終わってしまったという印象があったけど、二幕は長すぎた。一幕で私的に最も興奮した&このプロダクションの美点と思えたのが(友人談の通り)合唱を大量投入していた点で、一部の合唱隊は舞台上でパフォームしていてこの人達の存在が音だけでなくヴィジュアル的にも相当厚みを与えていたと思うのだけど、二幕では出番が減ってしまって、そうしたら途端に睡魔に襲われてしまった・・・。

面白いことにこのミハイロフスキー版スパルタクスの主役はタイトル・ロールのダンサー&パートナーではなくて、むしろクラッスス&his missusなんですね。クラッススとサビーナ(あるいはそのどちらか)がほぼ出ずっぱりで、見せ場のpddも多い。スパルタクスの妻のヴァレリアなんてあまり出番がなくて、忘れた頃に登場する・・・という感じで。あと、このヴァージョンにはポンペイウスが登場するんだけど、一体何のためか最初は訝しかったのだけど(時折力を誇示するようなマイムを披露するだけ)、彼を登場させることで、反乱軍のリーダーとしてのスパルタクスへのシンパシーよりも、"為政者礼賛"のカラーをより強く感じさせる効果があったような(少なくとも私にはそう見えた)。なにせスパルタクスと妻、反乱軍のシンパ達との内面のドラマが殆ど描かれていないので、スパルタクスがただの粗暴なグラジエーターに見えてしまうきらいがあり、ヒロイックな闘士へのオマージュという作品にはなっていなかったような。(スパルタクス役のTurkoという人がまた典型的な悪人面の持ち主で・・・感情移入することが極めて難しい。ヴァレリア役のArbuzovaは今時のロシアの女性ダンサー標準?細くて手足が長くて筋肉質で頭が小さくて・・・振付のせいもあり、バレリーナというよりはちとアスリート風に見えてしまった。)

クラッスス役のKasyanenkoはまだ若いダンサーなのかやや幼く見えるタイプで威厳とカリスマが欠如していたけど、あの大変なリフト技をなんとかクリアしていたのでそれだけでも褒章ものでしょう。彼のパートナーのペレンもあのアクロバット技を難なくこなしていて、彼女も間違いなく敢闘賞。(しかし、サビーナは役柄上セクシーな振付がかなりあるんだけど、マネキン人形のような美貌の彼女には、まるで色気がなかった・・・)二組の主役のpddはどれもリフト・難技を多用していて、特にクラッススとサビーナのpddはサーカスすれすれのアクロバット技が続き、見ている方も思わず力が入っちゃう(笑)。最も有名なアダージョで踊られるスパルタクスとヴァレリアのpddは二幕最後の方で登場するんだけど、こちらはグリゴローヴィチ版の影響濃厚。(それにしても、この音楽ってこういう振付しかできないのかなぁ・・・なーんか類型的でつまらん。)

そういえばこのスパルタクスにはもう一人、準主役級の人物が配されているのですが、スパルタクスの友人で腹心?のCrixus。この人はサビーナの誘惑にコロッと負けて反乱軍を裏切り、スパルタクスと争って揉み合ううち(確か事故で?)剣に倒れる・・・という末路を辿るのですが。Crixus役のMasloboevは堂々たる体躯の、そこそこステージ映えするキャラクテールだったけど、いかんせん役柄が・・・この人物を登場させた意義や如何?彼の存在でドラマ性が深められたというわけではなかったような・・・。

振付&ダンサー以外の点について少々。

音楽: オケの演奏はほとんど笑っちゃうぐらい騒々しくて、例のEUのオケ騒音規制のコントローラーが聴いたら書類一式抱えてすっ飛んできそう(軽~く120デシベルは超えてたんでは?あ、でもロシアはEUじゃないから関係ないか・・・)。特に一幕のクライマックスでの打楽器の鳴らし方が圧巻で、劇場中の打楽器奏者をかき集めた上ヤマト太鼓の一群が加わってるかのような大音量。(そういえばこの夜トランペットがへたれまくりだったけど、おそらく誰も気にしてなかったであろう・・・と。)

セットと衣装: セットは、コロッセオを縦にすぱっと分割した壁(変な表現ですが・・・)何枚かが背景に配されていて、これが場面によって向きを変えて使われていたけどなかなか効果的だった。あと、後景に巨大なマスクが置かれていたり、猛獣(今回は人間だったけど・笑)の入ってる檻があったり、やや劇画チック。衣装では、グラジエーターたちが着用しているメタリックな戦士コスチュームと対照的な、支配層の装束のきらびやかな色、特に金・赤・白の使い方が目を惹いた。ライティングは、一部まさにラスヴェガスのショー並みの(?)ケバケバしいシーンあり。(私はグリゴロ版スパルタクスも苦手としていて特に思い入れはないんだけど、この版と比べるとグリゴロ版が"シック"に見えてくる・・・と言えば大体の雰囲気わかっていただけるでしょうかね??)

最後に・・・大変に穿った《&ムリヤリな》見方をすると、この過剰感ありまくりのプロダクション、政治・経済面で強気《&独自の》大国路線を内外にアピールしているように見える昨今のロシアの、国の勢いと強烈な自負心に重ね合わせることができるかも・・・なんてふと思ったりした。

☆ ballet.coギャラリーで舞台写真を見られます(ファースト・キャスト):

http://www.ballet.co.uk/gallery/jr_mikhailovsky_spartacus_coliseum_0708
2008-07-28 03:52 | その他のバレエ・ダンス公演 | Comment(6)
Comment
NaoKoさん、レポありがとうございます。お待ちしていました。Castは私もイリーナ・ペレンしかわかりません~。この演目の為に若手を新たに雇ったのでしょうね、と推測します。(実はミハイロフスキーは来日中。恒例の「夏休みバレエまつり」です。これ、正式名ではありません。私の感覚ではこんな感じ。London公演の為、ペレンは後から合流)本家ボリショイのスパルタカスより派手、豪華、だなんて、バレエ作品というより、Showでしょうか。だから、トラちゃんも出演のはずだったのかしら?でも、エギナ、フリーギアもあまり活躍しないのですか…。見所に欠けますね。アクロバティックな踊りが主だと飽きますよね。感情表現に長けたDancerがいないからなのかなあ。
日本では全幕はやらないかもしれませんね。
まりあ 2008/07/28(月) 08:16:11) 編集

NaokoS様、おっしゃる通りいやはや騒々しかったですよねぇ。まさに人海作戦。大きな声では言えませんが、コーラス聴きたさにリピートしてしまいました(笑)。

私的になかなかイケていると思ったのは、初日のクラッススを踊ったマラト・シェミウノフ君。ロパ様のお相手候補に上がったのではないかと思うほどの見栄えのする長身と整った顔立ち&しなやかな踊り&濃い演技で、会場のおば様方の心を射止めておりました。彼、ペレンのご主人だとか。ペレンちゃんは美しいながらも何踊っても感情表現が見事なほど「無い」ですね!あまりに表情が変わらないので「あの若さでまさかボトックス?」と思ってしまいました~。とは言え、彼女の卓越した身体能力と細く長~いライン&美脚にはすっかり魅せられ、堪能いたしました。コールドもロシアのバレエ団ならではの美しいダンサー揃いで、二大巨頭(マリンスキー&ボリショイ)不在のロンドンの夏が救われた気分です。ルジ監督、是非またロンドンに来てくださいませ。
Partita 2008/07/28(月) 23:55:22) 編集


まりあさん、

>>バレエ作品というより、Showでしょうか。

そう、そういう感じでした。一夜の派手派手なエンターテイメントを求めるお客さんにはもってこいの演目ではないかと・・・(あ、でも常連でリピーターだった人かなりいたみたいですけど。)

>>でも、エギナ、フリーギアもあまり活躍しないのですか…。

えっと、一応役名がグリゴロ版とは違ってましたので、あらためて:

フリーギア → ヴァレリア
エギナ → サビーナ

サビーナ役は大活躍でしたよ 踊ってる時間一番長かったんじゃないかなー?クラッススだけでなくCrixusともpdd踊りますので。


Partitaさん どうも~。"コーラス聴きたさにリピート"とは!でもわかりますよ あのコーラス投入はナイスなアイデア&成功してましたよね!

>>私的になかなかイケていると思ったのは、初日のクラッススを踊ったマラト・シェミウノフ君。ロパ様のお相手候補に上がったのではないかと思うほどの見栄えのする長身と整った顔立ち&しなやかな踊り&濃い演技で、会場のおば様方の心を射止めておりました。

ふえ~ん 私は彼を見られませんでした・・・確かに常連のオバさま達にウケてましたよね~。しかし、ロパのパートナー候補に上がりそうなほどの逸材とは!初日を見なかったことが悔やまれます・・・。

>>あまりに表情が変わらないので「あの若さでまさかボトックス?」と思ってしまいました~。

ひゃ~ これ大ウケしちゃいました(笑)。でも、ほんとにお人形さんみたいでしたよね彼女・・・その上大変なアクロバット技を見事にこなしてくれるので、人間離れしてることおびただしかったですね。(しかし、ペレンさんは結局スパルタクス3日・4回ともご出演だったのでしょうか?凄い人だ・・・あ、貴重な"アイテム情報"ありがとうございます~・笑)

>>コールドもロシアのバレエ団ならではの美しいダンサー揃いで、二大巨頭(マリンスキー&ボリショイ)不在のロンドンの夏が救われた気分です。ルジ監督、是非またロンドンに来てくださいませ。

救われましたか!このカンパニーは近いうちにきっとまたロンドンに呼び戻されるでしょうね~(常連ビジターになるかな??) 
Naoko S 2008/07/29(火) 07:49:02) 編集

NaoKoさん、役名の間違い、ご指摘頂いてありがとうございます。ホントだ、違います。いつものようにはやとちりですみません。 ミハイロフスキーには既に常連、リピーターがいらっしゃるのですか?ペテルブルグ迄見に行っていらっしゃるのでしょうかね…。NaoKoさん、ミハイロフスキー(旧レニ国)は、初めてご覧になられるのですか?私はルジさんがゲスト出演していたので(彼の最近の来日公演はレニ国ゲストがほとんどでした。最初はパートナーにディアナ、レドフスカヤ、ザハロワなど連れて来てくれましたが、後半はレニ国のペレン、シェスタコーワとなりました。ハァ)もう、た~くさん見ました(見させられた、とも言う)
ルジさんが芸監になり、コールドはかなり入れ替えたので、若手の美しいDancerになりました。(ルジさん、自分がゲスト出演していて、ずっと思ってたのよね、きっと~)ペレンちゃんはお顔も身体の線も美しいのに、表現が無く、とっても残念なバレリーナなんです。ご主人のマラトは背が高く、見栄えしますが、う~~ロパートキナのパートナーには力量が釣り合わないのではないでしょうか?
マリィンスキーのプリマとミハイロフスキーのDancerではかなりな力の差があります。(ルジさんは鬼のようにスパルタ教育しているようですが)
でも、Londonでお客様の獲得はおめでたい事ですね!ロパートキナがゲスト出演する、なーんて日があるかもしれないですね。
まりあ 2008/07/29(火) 08:32:12) 編集


>>ミハイロフスキーには既に常連、リピーターがいらっしゃるのですか?ペテルブルグ迄見に行っていらっしゃるのでしょうかね…。

あ、リピーターというのはこのシーズンの、という意味です。スパルタクス初日を見て気に入り毎回足を運んでいた常連バレエファンが少なからずいた・・・ということです。

>>NaoKoさん、ミハイロフスキー(旧レニ国)は、初めてご覧になられるのですか?

数年前にゼレのガラ公演でコール・ドとソリスト数人見たことがあったけれどカンパニーとしては初めてでした。

>>でも、Londonでお客様の獲得はおめでたい事ですね!ロパートキナがゲスト出演する、なーんて日があるかもしれないですね。

今回"お客様の獲得"には確実に成功していたように見えましたよ。きっと近いうちにまた来てくれるんじゃないかなー。(「ロパートキナのゲスト出演」も大歓迎ですわ~)
Naoko S 2008/07/30(水) 16:05:32) 編集

ミハイロフスキーの今回の公演で、リピーターがいらっしゃるとは、おめでとう!ですね。(ちょっと淋しい気持ちもしますが。ルジさんはヨーロッパに軸足を置いているし、ま、芸監としては当然の目標ですよね。)ゼレのガラ、で一緒に公演した事があったんですかあ~さっすがLondonです。久しく見ていないゼレ、日本に来てくれないかなあ。
まりあ 2008/07/30(水) 17:40:45) 編集

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