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パリ・オペラ座、ロイヤル・オペラ・ハウスの財政事情
これは私的にはちょっとした"ニュース"なので、書き留めておくことにします。

一昨日オペラ座のサイトを眺めていたら、こんな"見出し"にぶち当たった。"L'Opera en chiffres"・・・「数字で見るオペラ座」。はて、こんなページ今まであったかな?とクリックしてびっくり・・なんと、そこには過去5年間のオペラ座の収支報告が。

http://www.operadeparis.fr/Tout-Savoir/Opera-en-chiffres/

いや、もしかしたらこれまでもサイトのどこか奥深くに潜んでいたかもしれないのですが、私的には初めて目にするオペラ座の財務情報。"お~ついに出たか”とついつい見入ってしまいました。

"ついに"というのは・・・もう10年近く前になるけれど、改装前のロイヤル・オペラ・ハウス(ROH)が財政難でジリ貧状態だった時に、人に頼まれてROHの台所事情・特に収入源のミニ調査をしたことがあって。で、国からの補助金のこととなると、メディアの報道なんかでは必ずパリとの比較が出てきたんですよね。文化活動が国からの手厚い保護を受けているフランスと違ってイギリスでは公的助成金だけには頼れない、パリ・オペラ座の予算規模はROHの4倍位ある・・・等々の情報を目にして、本当にそんなに違うんだろうか?と調べてみるも、ネットではオペラ座の数字が見つからず。その後英語圏のバレエ・フォーラムでこの件が話題になっていたことがあったのだけど、パリのファンが「オペラ座は情報開示してないのでわからない」と書いていて、そんなものか・・・と思ってたんですよね。

では早速直近の会計年度の数字を見てみましょう~。(注: あくまで試訳です)

☆パリ・オペラ座2007年度収支総括 (単位:百万ユーロ)

支出
 
給与(アーティストへのギャラ除く) 96.89
公演費 36.13
その他支出 42.35
支出計 175.36 @1.27 = GBP138.08m

収入

補助金 99.33 @1.27 = GBP78.21m
公演(チケット売上げ収入) 48.20
寄付金  6.55
商業活動による収入 12.74
その他収入 12.34
収入計 179.16 @1.27 = GBP141.07m

収支差額(a) 3.80
Contentieux(b) 2.76
Résultat courant (a)-(b) 1.04

ポイント1: 2007年度、パリ・オペラ座が国家から受けた助成金額は、約1億ユーロ=約7,800万ポンド(=約160億円)。助成金が全収入に占める比率は55%。

この数字を、同年のロイヤル・オペラ・ハウス(ROH)の会計報告と比較してみます。(出所:ROHのアニュアル・レポート↓)

http://info.royaloperahouse.org/AfcStyle/DocumentDownload.cfm?DType=DocumentItem&Document=ROH_AR07_Final_Web.pdf

ポイント2: 2007年度、ROHがアーツ・カウンシル・イングランド(国)から受けた助成金額は、約2,560万ポンド(=約52億円)。助成金が全収入に占める比率は28%。

・・・というわけで、国からの補助金、パリはロンドンの3倍強貰っているわけね・・・積年の謎が解けてすっきりした~。

すっきりしたところで、次にこの助成金が全収入に占める割合を比べてみると、パリは5割強・ロンドンは3割弱。(オペラ座はもっと行くんじゃないかと想像してたんだけど《7割ぐらい》、こんなものか。ROHの数字は前から知っていたけど、3割弱ってエライんじゃないかなぁ・・・)

先を急ぎます。悩ましいのが、「支出部門」。この数字をどう読み取ればいいのか、途方にくれています・・・

ポイント3: 2007年度、パリ・オペラ座の総支出に占める比率が最も高かった費目は、「給与総支払い額《招聘アーティストのギャラは含まず》」("Masse salariale--hors cachets d'artistes")で、55%。

これ、要は人件費のことなんでしょうかね・・・?「人件費」という費目に具体的にはどういう支出内容が含まれるのか、国・組織によって定義は違うでしょうけれど・・・年間約160億円の国家の助成金がほぼ丸々(98%)「人件費」に費やされている計算になる、という事実はショッキングだなあ。(私がフランスの納税者だったら、ちょっと内容調査したくなるかも・・・)

しかし、どうも腑に落ちない・・・映画「エトワール」でパリオペ・ダンサーのお給料の話がちらっと出てきたけど、エトワールだって決してびっくりするような高給取りではなさそうだったし、以前パリオペ管が団員を募集していたときに提示されていたサラリーも然り。劇場所属アーティスト達が特別厚遇されているというわけではなさそうなんですが(年金や福利厚生は手厚いのかもしれないけど)。劇場が二つあるし、単純に人(スタッフ)が沢山必要・・・ということなのか。それともここで言う「人件費」には、もっと深~い意味(カラクリ)があるのかなぁ・・・。

ポイント4: 2007年度、ROHの総支出に占める比率が最も高かった費目は、「公演費(教育事業含む)」で、65%。

う~ん これはまた、優等生すぎないかROH?(笑)って数字だなあ。(この点はアニュアル・レポートで胸張って強調している点でもあるんだけど。)同じ年にパリオペが純粋に「パフォーマンス」に費やしたのは全支出の二割強・・・。実額でいえばROHはオペラ座の優に倍以上、公演にお金かけていることになっています*: ROH5,910万ポンド>オペラ座2,850万ポンド。) *ROHは教育事業・オペラ/バレエの普及活動を含む数字

ROHの支出費目には「人件費」がないんだけど、バレエ団・オケ・コーラス・裏方さん達のお給料はどの費目に含まれてるのか?まさか「公演費」に入ってるとは思えないけど、"Management & Administration"がそうだとしたら、オペラ座と桁が違う!

・・・と、なかなか楽しい数字の比較ではありますが、キリがないのでこの辺でやめておきます。尚、私は会計に関してはまったくの門外漢で、開示されている数字を単純に並べて見比べているだけなので根本的な見落としがあるかもしれませんが、ご容赦のほどを。(二つの劇場の会計報告の正しい見方について、おわかりになる方は是非ご教授頂きたく!)
2008-06-03 09:41 | 情報系(ニュース、公演) | Comment(3)
Comment
こんにちは
興味のある比較ですね、RHO従業員の支出がはっきりしませんがこれはどう考えても“Performance”にかかわった費用としてここに入っていると考えられますね。
確か新作プロダクションの費用には給料や外注費用すべて繰り込まれていたはずです。

営利目的が最重点でないとされるパフォーマンス アーツ関係では雇用者の生活促進や教育に重きがおかれるのでしょうかね。

ミッチィカスパーさん↓↓ に横レスです
実は僕も舞台で見るのは初めてでした、すこしスカートがくたびれてきてはいたもののエレガントなキトリでしたね。
残念ながらこの衣装は日本でのガラには使われません、
その後に作った“レス エレガント”なオぺラハウス仕様になります。
Yoshi 2008/06/03(火) 18:32:11) 編集

初めてコメントさせていただきます。
いつも面白く読ませていただいています。
特に今回は、あまり誰も着目しない切り口での分析で、へぇー!と感心しきりでした。

さて、パリオペラ座の高い人件費についてですが、昨年のストの際、オペラ座の職員は裏方にいたるまで、定年後も手厚い年金保護を受けられると聞きました。
ということは、現在働いている人のみならず、定年後の元職員に払う年金まで含めての、人件費なのでしょう。
とすると、単純計算で二つの劇場の現職員数を、ロイヤルの倍と考えると、退職後の元職員×二つの劇場分もあわせて、合計4倍の人数を養う、ということに…(あくまで単純計算ですが)。
それとも、それにしても高すぎたりしますか?
ロイヤルのことを実はまったく知らないで書き込んで申し訳ないのですが、ロイヤルも同じように年金制度がしっかりしているかもしれませんしね。

素人考えを気ままに書いてしまい、すみませんでした。
これからも楽しく読ませていただきますね。
シファ 2008/06/03(火) 18:49:44) 編集


Yoshiさん、

>>RHO従業員の支出がはっきりしませんがこれはどう考えても“Performance”にかかわった費用としてここに入っていると考えられますね。

そうですよね~そうでないと心配になってしまう、この数字の差・・・。人件費を(一種の)固定経費としてではなく事業費としてみている、ってことなんでしょうかねー。(まぁこの方が国・納税者に対しては通りがいいでしょうね。)

>>確か新作プロダクションの費用には給料や外注費用すべて繰り込まれていたはずです。

なるほどー 貴重な情報に感謝です。(また何か思いつかれたら是非教えてくださいませ・・・)


シファさん 初めまして、コメントありがとうございました。

そうそう、あの長期ストの時に新聞報道で読みましたが、オペラ座ほかいくつかの国立の劇場スタッフに適用される年金制度(かベネフィット)は導入時の17世紀?以来変わっていないとか・・・!かなり恵まれた制度のような印象を受けましたが、財政上は当然重くなりますよね・・・。

オペラ座とROHの従業員数なんですが、シファさんのご推察、かなり近そうですよ。まず、オペラ座の正規雇用スタッフは1,680人と少し前のフィガロ紙に出ていました↓

http://www.lefigaro.fr/musique/2008/03/20/03006-20080320ARTFIG00356-riccardo-mutipremiere-a-l-opera-de-paris.php

ROHの方は、先ほどググってみたけど概数しかわからず。06年11月時点のBBCサイトの報道によると、「フルタイム・スタッフは約800人」とのことなので、オペラ座の約半数とみてよさそう。

ところで、私自身もROHの内部事情にはまるで通じてませんし、それこそ素人考えで色々想像しているだけですので~(遠慮は無用ですよ!)。何が適正か、っていうのは難しいですよね。というか、芸術とパトロネージの関係ってほんとに難しい・・・(結構興味ある分野だったりするのですが)。

芸術活動が国の保護を受けること自体には勿論異論はないのですが(不可欠)、どの程度が適切なのか?助成金が多ければその分縛りが入って芸術上の自由や独立性を脅かされることにならないか?(パリの、「人件費」が支出の中で突出しているのを見たりすると)劇場は人材が資源とはいえ、何事も過ぎたるは・・・とか、色々と考えてしまいます。
Naoko S 2008/06/04(水) 09:16:09) 編集

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