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エディタ・グルベローヴァ ウィグモア・リサイタル (3/20)
行って来ました。まだ3月だけど、多分今年のマイ・ベスト公演になるんじゃないだろうか・・・という予感がします。(私の貧しい想像力では、これ以上のパフォーマンスに出会えるとは到底思えないので。出会えることを祈りたいけど・・・)

私、グル様ことグルベローヴァを崇拝してやまない数多くの音楽ファンの端くれではありますが、今まで彼女の生の舞台に接した機会はたった一度だけ(ウィーンの『ロベルト・デヴルー』)。あれからもう6年近い月日が流れ、今なお第一線でご活躍とはいえ還暦を過ぎた彼女の歌唱に多少の翳りがあっても不思議はない・・・などと、聴く前はやや不安があったのですが。まったく失礼千万な杞憂に過ぎませんでした。ひょっとして"衝撃度"ではウィーン以上だったかもしれない・・・61歳のソプラノ、ウィグモア・ホール"デビュー"リサイタルのメニューはこちらです:

"Wigmore Hall Song Recital Series - Edita Gruberova"

☆Wolfgang Amadeus Mozart
Als Luise die Briefe; Das Veilchen; Oiseaux, si tous les ans;
Dans un bois solitaire; Ridente la calma; Un moto di gioia

☆Franz Schubert
Der Jungling an der Quelle; Der Fluss; Im Haine; Lied der Mignon
Nos. 2-4; An Silvia; Gretchen am Spinnrade; Der Hirt auf dem
Felsen

☆Anton Dvorák'
Love Songs, Op.83

☆Richard Strauss
Die Nacht; Allerseelen; In goldener Fülle; Zueignung

☆アンコール
??(フランス語のオペラ?)
シャモニーのリンダよりアリア

Piano: Stephan Matthias Lademann
Clarinet: Andrew Marriner (in "Der Hirt auf dem Felsen")


ウィグモアは座席数617のこじんまりとしたコンサート・ホール。このインティメートな空間にふさわしい、"小さな"歌曲を中心としたプログラム構成で、まるでプリマ・ドンナが自宅サロンで友人達を集めて催すミニ・コンサートに招かれたような、贅沢な気分を味わいました。(・・・実は、終盤一気にこのムードは急旋回を遂げるのですが・・・)

私はこのホール、過去に二回か三回来たことがあるだけで、いつもピアノのリサイタル・かつストールズ(平土間)の席に座っていたのですが、実はアコースティックがちょっと気になっていて。座った位置のせいか?どうもうっすらビブラートみたいな残響音が若干残る印象があってそれがあまり好きじゃなかったんですよね。昨夜は一段上の階・バルコニーに座ったのだけど、オープニングのモーツァルトではこれがやはり少し気になりました。どうも"ビブラート"がグルベローヴァの歌の輪郭をぼやけさせてるような気がして・・・ただ、二曲目からはあまり気にならなくなって、夜がすすむにつれ全く気にならなくなったのですが・・・(慣れただけ?)。

"本編"では(私にもわかるような)難技を披露する場面はそれほど多くなかったように見えたけれど、その分純粋に彼女の声の美しさ、歌唱(発音)の明瞭さ、完璧なコントロール・・・等々をじっくり味わうことができて、なんて贅沢な時間だったことか・・・。(バルコニーだけど列の中央寄りに座っていたせいもあり、まるで彼女が私一人のために歌ってくれているような錯覚に陥るほど、舞台が近く感じられた。)女王というよりはむしろ王(者)の風格が漂う、堂々たる舞台姿にも感激(威厳のかたまり!)。第一部の最後のシューベルトの曲だけクラリネット奏者がジョインして華やいだ雰囲気になるのだけど、ここでのグルベローヴァとクラリネットの丁々発止の掛け合いがすごく楽しかった。まるで鳥が歌うように何の力みもなく、自由自在に跳ね回る・輝かしい声!(人間の声に勝る楽器はなし!)この空間を完全に掌握して余裕綽々で妙技をさらりと披露する彼女の姿に、客席は大喜び。

休憩後第二部はドボルザークの自然描写的?かつやや内省的な歌が続く。この空気が一変したのが、"本編"最後のシュトラウス。それまでの素朴でやや私小説的な色合いを持った作品群に比べると、こちらは奥行きのある・オペラティックな音楽。特に好きだったのが、"Allerseelen"(All Souls)で、ヴィジュアル・イメージを喚起する音楽のせいでふと脳裏に浮かんだのは、冷たく光る・研ぎ澄まされた剣。・・・そう、この種の音楽を表現するときのグルベローヴァは、最も高貴な刀剣のように切れ味鋭く・”力"を誇示する、大変にマスキュリンなパフォーマーになる。(女性に相似形をさがすとなると、ジャンヌ・ダルク?一切の不純を許さない・おそろしく潔癖な聖処女。)

最後の"Zueignung"が終わると客席から真に尊敬のこもった熱烈な拍手が贈られ、グルベローヴァは余裕の優雅な微笑みで応えると、ピアニストのラーデマンの健闘を称えて彼をハグしていた。一旦袖に引っ込むもすぐに舞台に戻ってきてくれて、アンコール一曲目。これが、なんという曲だったのかわかりません・・・(すみません!!)歌詞はフランス語だったような気がするんですが・・・。わりと軽妙・洒脱な雰囲気のアリアで・・・出た!このときまでセーヴしていたのか?この夜誰もが期待していた、コロラトゥーラの難技が炸裂!!強弱・緩急つけて自由自在にコロラトゥーラを駆使して、途中ちょっとじらすようなところもあって、観客(私)は彼女の掌中でじっと堪えるのみ、というか・・生かすも殺すも彼女の一存次第。人間の声にはこんなことが可能なのだ、そして、ここまで自分の声を思うままに操ることのできる人がいるのだ・・ただただ驚異的、の一言。勿論客席のボルテージも一気にヒートアップ。

再び熱烈な拍手に応えて、アンコール二曲目は『シャモニーのリンダ』からアリア。自家薬籠中のものとしたレパートリーで、こちらも余裕でコロラトゥーラを連発。それだけでも震えがくるというのに、フィニッシュのフォルテッシモで完膚なきまでに打ちのめされる。デモーニッシュで凄まじい破壊力をもった歌唱で、小さなホールの壁が崩れ・天井が落ちてくるんじゃないかと一瞬怖れを抱いてしまうほどだった。(ただボリュームがあるだけの歌唱とは違う、耐え難いほどの緊迫感と重さに、押し潰されそうになる・・・)

シュトラウスからアンコールの二曲にかけての性急かつドラマティックな展開は真に劇的な良質のオペラ作品を見て味わう・ゾクゾクするような興奮とめくるめく陶酔にも似て・・・。終わって心身ともにぐったりしてしまい、フラフラしながらホールの外に出ると、来た時には降っていた雨も上がり、夜空には雲が流れて月が白々と輝いていて・・・グルベローヴァの威光が雨風も振り払って月を呼び戻したのか・・・と一瞬身震いしてしまった・・・。
2008-03-22 00:37 | オペラ | Comment(8)
Comment
こんばんわ。本当に、本当に、本当に素晴らしいコンサートでした。まだ歌える、また来て欲しいです。あの「歌」を聴けるなら、どんな苦労も厭わないです。
守屋 2008/03/23(日) 05:32:10) 編集


>>あの「歌」を聴けるなら、どんな苦労も厭わないです。

じゃ是非是非グル様鑑賞ツアーを組んで、大陸に乗り込みましょう~~。

守屋さんのブログにも書き込みさせて頂きましたが、私は当日券を買いに行ったお陰でしばしリハーサルの音に耳を傾けるという体験までできて、ほんとにシュールな一日でした・・・。(今でも地に足が着いてないかも・・・)
Naoko S 2008/03/23(日) 09:03:52) 編集

naokoさん、素晴らしい歌声だったのが、想像出来ますね。なぜか日本がお気に入りのご様子のグル様。なのに、一度も拝聴していない私は不幸者のようです。何せ、日本のオペラは高いし、バレエの4倍くらいは軽くします。でも、ここは思い切り、秋のウィーン国立歌劇来日「ロベルト~」を見に行こうかと。あと、NBSはまだ未発表ですが、ソロリサイタルを4ヶ所で行う予定。いつも思うのですが、日本では何故写真規制がああも厳しいのでしょうか?お姿、美しくて、素晴らしいですね。
まりあ 2008/03/23(日) 11:12:50) 編集

Naokoさん、ご無事にチケットをゲットできて本当によかったですね。当日券のお陰でリハまで聞けたとはボーナス。

>>ゾクゾクするような興奮とめくるめく陶酔

ふふっ、その余韻がかなりしばらく続くと思いますよ~。私も昨年そんな状態でした。日本では彼女の歌声を毎年のように聞くことが出来て幸せですが、実は秋のロベルト・デヴェリューは演奏会形式ということでがっかりしてます(ぜいたくな不満ですね)。セットか何かの関係でオペラ上演が不可能らしいです。というわけで、私も11月のリサイタル詳細情報を待ってるひとりであります。

アンコールのフランス語の軽妙・洒脱なアリアって、「マノン」のガヴォットでしょうか? だとしたら、グル様の表情がかわいらしかったのでは?
ミッツィカスパー 2008/03/23(日) 23:32:08) 編集


まりあさん、そうそう日本はチケット代が高いですからね・・・(私は今回25ポンドしか払ってません・約5,000円!)ブックされる前によくよくご検討くださいませ。(自分は大感動しましたが、グル様は決して誰にでもススメられるというタイプのアーティストではないので・・・今回つくづく感じましたが、決して万人ウケするタイプではない・聴き手を選ぶパフォーマーだと思います・・・)


ミッツィカスパーさん、ありがとうございます お陰様で無事聴くことができました!

>>実は秋のロベルト・デヴェリューは演奏会形式ということでがっかりしてます(ぜいたくな不満ですね)

そのようですね。私も昨日だったかNBSサイトで見て、「?」と不思議だったのですが。それにしても1月にリサイタルが4回も予定されてるなんて、羨ましい限りです。私はグル様のファンサイトで今後のご予定をチェックして、ミュンヘンあたりどうかなぁ~~などと思案中です。

>>アンコールのフランス語の軽妙・洒脱なアリアって、「マノン」のガヴォットでしょうか?

ごめんなさい 相変わらず不明のまま・・・。ネット上で読める英文レビューは今のところコレ一本みたいなんですが↓、この評者の方はリサイタルをさほど楽しめなかったご様子で(3つ☆)、カーテンコールについては触れてもいないんです・・・(聴かずに帰っちゃったのかも!)。新聞レビューが出たら判明すると思うので、わかり次第お知らせしますね。

http://www.musicalcriticism.com/concerts/wigmore-gruberova-0308.shtml
Naoko S 2008/03/24(月) 01:45:05) 編集

一番乗りでコメントしようとしたのですが、なぜかはねられてしまいました。今度は大丈夫かしら?

あんな狭いホールなのにお会いできなくて残念でした。きっといらっしゃるだろうとは思ってましたが、当日券だったんですか。私は仕事が忙しい時期なので、やっぱり会員になるしかなかったと思うことにします。高かったけど、長い間買えるかしら駄目かしら、ハラハラするのも嫌だし。でも、このコンサートで切符の買い方について学んだ私、次に生かします。

私は彼女を初めて生で聴いたので(そしておそらく最後でしょうけど)、一生の思い出にします。近い席から写真も取りまくったので満足です。
ロンドンの椿姫 2008/03/24(月) 04:47:21) 編集


椿姫さん こんにちは。

えっコメントはねちゃいましたか?それは大変失礼致しました。(何度も書き込んで頂き恐縮です・・・)

椿姫さん、前から3番目だったのですよね?このリサイタルのために会員になられた甲斐があって、よかったではないですか~。さすがに私も当日ホールに向かう時は、買えなかったらどうしよ~と蒼ざめてたんですが、着いてみたらBox Officeに並んでる人影もなく・・・拍子抜けでした。12時過ぎてもスタンディング・チケット買いに来る人も全然いないし・・・(独・墺・日本じゃ考えられないですよね~。《田舎の》ロンドンでよかったかも~~)

それにしても、ウィグモア・ホールって観客の年齢層がめちゃ高いですね。クラシックのコンサートって久しぶりだったのでそう感じたのかなあ・・・周囲見回すとどこもお達者倶楽部状態で、ちょっと居心地悪かったです。

>>私は彼女を初めて生で聴いたので(そしておそらく最後でしょうけど)、一生の思い出にします。

わあ潔いですね・・・でも確かに、これが最初で最後でも悔いはない、と思わせてくれるほどの凄いパフォーマンスでしたもんね。私は往生際の悪い性格なので、まだ暫くジタバタしそうですが・・・。
Naoko S 2008/03/24(月) 07:20:25) 編集

naokoさん、こんにちは。なんと、リサイタルが5000円?羨ましい~。日本は軽くその3倍です。日本でのリサイタルは11月ですよ。東京一回、新潟一回、あと二回はどこだったか、忘れてしまいました。(西の方でした)一般受けするわけではない~。アドバイスありがとうございます。ちょっとCDで予習してからにする事に致します。それにしても「ロベルト~」の演奏会形式って、どうなんでしょうか?NBSに確認してみます。余談ですが、 「コシ」はあの値段なのに、平日以外、ほぼ完売だそうで、Sが60000円だったかと思います。日本って凄いですね~。
まりあ 2008/03/24(月) 08:17:24) 編集

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