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シルヴィ・ギエム インタビュー
昨日のThe Observerにシルヴィのロング・インタビューが出ていました。

・・・"ロング"とは言っても、イギリスの新聞ではいつものことながら、彼女の経歴や数々の逸話を紹介する記事の部分が長いので、ご本人自身の言葉はそう多くはないのですが。今迄あまり聞いた記憶がないなあ・・・と思われる&興味深いコメントをちょっとご紹介しようかな、と。

あ、その前に、シルヴィと言えば先週仏プレスで報道されてたんですが、数年前にフィンランド国立バレエに振付けた「ジゼル」の台本(シナリオ)をめぐって一騒動あったようです。

このギエム版ジゼルをフィンランド国立で舞台化する前に、シルヴィは"映像版"・「ジゼル」の制作を企画していて、そのプロジェクトは結局おハコになってしまったのだがこの時のシナリオをフィンランドで使ったらしいんですね。で、このシナリオの共著者の女性がロイヤリティ?を求めて訴訟を起こしていたらしいんですが、2月末にシルヴィとフィンランド国立に10万ユーロの賠償金を払うよう裁判所が命じたとか。

http://fr.news.yahoo.com/afp/20080305/tcu-proces-danse-droits-auteur-contrefac-0b4785e.html

ギエム版ジゼル、私はコヴェント・ガーデンでスカラ座バレエ団&シルヴィーの共演で見ましたが、なかなか個性的で面白いヴァージョンだったけれど、その後上演されたという話をあまり聞きませんでした。ひょっとしたら、この件がひっかかっていたのかな?

えーここから本題です。オブザーバー紙のギエム・インタビュー、記事のURLはこちら:

http://lifeandhealth.guardian.co.uk/women/story/0,,2262349,00.html

☆ギエムはバレリーナには珍しく、バレエを始めたのが11、2才と遅かった
『ダンスは私の視野には全く入ってなくて、むしろ挑戦みたいなものだった・・・自分の身体がどこまでやれるか・限界に挑戦したい、という感じ。で、今もその限界を探っている・・・』
『子供の頃のアイドルは、プリマ・バレリーナではなくて、ナディア・コマネチ。オペラ座スクール入学当初は全く馴染めなかった。皆で「コッペリア」公演を見に行った時のことをよく憶えてる・・・同級生の女の子達はすごく興奮してたけど、ダンス以上にチュチュや見た目に感激してるようにみえた。私はそういうことには全く興味がなかった・・・』

☆古典バレエからコンテンポラリー・ダンスにスイッチしたことについて
『ラッセル・マリファントの作品を一目見て気に入り、自分も挑戦したいと思ったんだけど、それは彼の舞踊言語(マーシャル・アーツやブラジルのカポエイラの影響を受けている)が自分にとって全く未知のものだったから。例えば"シンデレラ"とか(何でもいいんだけれど)同じ作品を何度も何度も繰り返し踊って、そこから得られることが何かあるかしら?どんなレパートリーにも良い点と悪い点があるものだけど、何度も同じものを踊ることで大体悪い部分が引き出されてしまうものなのよ。もしダンス作品にいのちを与えたかったら、新鮮な食べ物を補給してあげなきゃいけないでしょ?(こことゴミ箱を行ったり来たりして食べ残しをあさってくるんじゃなくてね!)』

☆ヌレエフに才能を見出され若干19歳でエトワールに任命された後は、パリオペ・カンパニー内での風当たりがとたんに強くなる
『入団した当初はまわりは皆いい人ばっかりで、"団結してる"と思っていたけど、徐々に、そんな甘いものじゃないと気づいた。自分にできる防御策は、他人を完全にシャットアウトすることだった。ヌレエフの信頼にこたえるには、結果を出すこと・いい舞台を見せることしかない。居心地がいいとは到底言い難い状況だったけど、自分にできることはそれ以外何もなかった。自分の首を絞めようとする人間を止めきれるものじゃない。私に出来ることは、踊ることだけだった。』

-貴女の首を絞めたいと思ってる人間は沢山いた? "Oui."
-誰?名前をあげていただけますか? "Non."

☆自分の舞台を映像撮りされるのが嫌いな理由
『フィルムになるなら自己ベストの舞台で残したい。でも、前もって"この公演がベストになる"なんて、絶対にわからないでしょ?バレエ映像ってどうも面白みに欠けるのよ・・・フィルムにはヴァイヴレーションも香りもない。』
『自分の最盛期の映像を残しておかなかったことに悔いはない。例えばルドルフ(・ヌレエフ)の映像、幾つか残ってるけど、あれで彼の全貌が伝わるわけじゃない。ダンスははかない芸術・・・その場にいて、瞬間を捉えなきゃ意味がないのよ・・・あとは、消えていくだけ・・・』

☆子供を持たない人生・・・と決めたのはいつ?
『若い頃、コールで踊っていた一時期子供がほしいと思ったことがあるけど・・・結局、そうしなかった。”幸いにも。”』
なぜ、"幸いにも"なの?
『それは・・・もし子供がいたら自分がこれまで成し遂げたことは多分できてなかっただろうと思うから・・・決して犠牲じゃないのよ そういう人生を選んだだけ。』

☆仮にギエムが後悔することがあるとしたら、それは踊りにかかわることだけ。たとえば、これまで数多くの作品を踊り・批評家から最大級の賛辞をうけているにも関わらず、彼女自身は一度として「白鳥の湖」の舞台で真に成功した、と感じられたことがない。
(白鳥の湖について)『失敗するのがいとも簡単なバレエで、成功させるのはほとほと難しい・・・そのレベルに近づけたことすらないと思うわ・・・。何度もトライしたけど、まるで拷問のようだった。ステージに上がることが怖くなって、目を開けられなくなって・・・19歳の時に初めて踊って以来ずっとこのプレッシャーに耐えてきたけど、ある時、"もう限界・十分やったわ”って自分に言い聞かせたの。』

☆ギエムはかつてロイヤル・バレエの将来の芸術監督候補にあげられたことがあるが、本人は全く興味がないようだ。

☆最後の一言・・・
『色んな人から、"君がバレエの在り方を変えた"って言われる。で、バレエ公演に行くでしょ、舞台を見て感じるのは・・・あんな(ひどい)方向への変化に、自分が貢献してなきゃいいんだけど・・・ってこと!だって、私をコピーするなら彼女達はもっとずっと上手くやるべきでしょ?』
『それでも・・・ピカソが24人いる状況なんてありえないわよね。ピカソ(=オリジナル)は所詮一人だけ・・・』

<終>
2008-03-11 09:35 | 情報系(ニュース、公演) | Comment(11)
Comment
おはようございます。The Observer紙は購読しています。この「Women」というつきいちの付録雑誌は、めったに読みません。が、今回ばかりは熟読しました。僕は、「ダンスは儚い芸術」、という言葉が強く印象に残りました。それにしても、写真は最新のものを使って欲しかったです。

 「ジゼル」の訴訟についての情報、ありがとうございます。ギエムの活動に支障をきたすようなことにならないことを祈るばかりです。
 
守屋 2008/03/11(火) 14:52:36) 編集

Naokoさん、こんにちは。

ギエムの「ジゼル」をめぐる訴訟の件、私もダンソマニで読んではいたのですが、いまいちよくわからず。 なるほど、"映像版"の企画という背景があったのですね~。 ありがとうございました。
守屋さん(はじめまして。)がおっしゃっているとおり、彼女の今後の活動に支障をきたさないことを祈ります。

The Observerのインタビューのご紹介もありがとうございます。 すごく面白いですね、これ。 自分自身を非常に客観的に捉え、全く"媚び"のない物言いにはいつも敬服します。

>>"私をコピーするなら彼女達はもっとずっと上手くやるべきでしょ?"

痛烈な一言ですね~。 わはは~。

『白鳥・・・』の話も興味深かったですが、そんな「白鳥」を日本の観客の前では踊ってくれる。 日本の観客を完全に信頼してくれている気がして、そこはかとなく嬉しさを覚えるのは私だけでしょうか。
mizuko 2008/03/11(火) 16:59:52) 編集

非常に率直な、ギエムらしいインタビュー。
ご紹介ありがとうございます!

ギエム版「ジゼル」の訴訟の話も興味深く拝読しました。
著作権は守られるべきですが、今回のマラーホフのガラで、彼が踊る予定だったベジャール作品の上演許可が間に合わず演目変更があったり、ギエムが自作の再演を自由に行えなかったり、一観客としてはいかがなものかと思う場面もありますね。。。

抜粋でご紹介いただいただけでも、彼女のバレエと向き合う真摯さが伝わってきます。
映像化については、映画「DIVA」でも録音をいっさい許さない歌姫が出てきますが、最後はファンの若者が隠し撮りした「ラ・ワリー」をともに聴くのですよね・・・。
そのときそのときの舞台に全てを賭けて、「あとは消えていくだけ・・・」とはなんとも潔い。
「白鳥」に対する過敏なまでの真剣さも含め、彼女の思考とキャリアが浮き彫りになっている読み応えのあるインタビュー、じっくり読ませていただきます!
maria 2008/03/12(水) 05:29:58) 編集


守屋さん、Observer定期購読されてるんですね~。ネット版には写真がついてなかったので、プリント版はどうなのかな~と気になってましたが、古いものでしたか・・・残念。 

>>僕は、「ダンスは儚い芸術」、という言葉が強く印象に残りました。

私、このシルヴィの言葉は非常に頷けたんですよね・・・ダンスの舞台って、パフォーマーと観客が同じ場に居合わせて、時間と空間を共有することに意義があるんじゃないか、と常々感じているので。(そこにいなきゃダメ、って感覚が強い・・・)勿論観客の立場からは、「芸術作品」としてでなくて「記録」としてでもいいから映像を残してほしい・・・という気持ちもあるんですが、仕方ないですね・・・。


mizukoさん

>>なるほど、"映像版"の企画という背景があったのですね~。

私もこのニュース記事だけではイマイチぴんとこなかったので、訴えた方の名前でちょっと検索してみたんですよ。そうしたら、この方のバイオが出ているサイトがあって、そこにしっかり「シルヴィ・ギエムの映画版・ジゼルで脚本を書く」という一文がありました。それで思い出したのが、かなり前にballet.coで読んだギエム・インタビュー。

サイトの管理人・ブルースがフィンランド国立バレエの「ジゼル」初演時にヘルシンキまでシルヴィを追っかけてインタビューしたもので、このとき映像の話が出てくるんですよ。ご興味ありましたら、是非ご一読を:

http://www.ballet.co.uk/magazines/yr_99/apr99/interview_sylvie_guillem.htm

シルヴィの場合、彼女の公演が近づくと毎回必ずと言っていいほど何らかの形でメディアに取り上げられてますけど、インタビューはつまらないのが多いんですよね。彼女に関するお決まりの「能書き」ばっかり長くて・・・

今回のは結構面白かったので、つい紹介したくなったのですが、インタビューワーの手腕も多少はあったのかな?(〆の文章、インタビューを終えて合気道のクラスに向かうシルヴィのことを、"in search of a litlle bit of more bodily wisdom"と書かれているのを見て、「ああわかってる人なんだなー」と感じました。まぁ、単純にシルヴィ自身が最近は胸襟を開いて語ってくれるようになった、ということなのかもしれませんが・・・。)


mariaさん、シルヴィはいつも率直かつ合理的な語り口でnon-senseを一切許さない、という印象がありますが、以前は自分自身について語るとき、もう少しガードが固かったような記憶があります。やはり年齢とともに若干メローになったのかな・・・と感じたのですが、いかがでしょうか。(それでも十分トガってますけど・・・)

私的には『白鳥』の話が一番面白かったです。彼女がこの作品を踊る上で目指していた理想とはどんなものだったのか、何故自分はそこに到達できないと感じていたのか、ずっと先でもいいので是非一度伺ってみたいものです・・・
Naoko S 2008/03/12(水) 09:41:17) 編集

ホント、シルヴィらしい発言ですよね。他のダンサーが言うと誤解されそうなことでも、彼女が言うと納得できちゃうのはそれだけの実績を見せてくれているからだと思います(盲目ファンですみません)。でも、ファントしては映像が欲しいです…。記事のご紹介ありがとうございます。
ミッツィカスパー 2008/03/13(木) 00:40:18) 編集

はじめまして。興味深い記事をありがとうございます。私は2006年初めまでロンドンにいたので、ちょうどすれ違いかもしれません。

上記の私のブログの記事で、こちらの記事を紹介させていただきました。これからもバレエ情報を楽しみにしています。
Noriko 2010/02/18(木) 01:17:23) 編集


Norikoさん はじめまして。新聞記事リンクの件わざわざお知らせくださり恐縮です。

2006年初めまでロンドンにお住まいだったのですか きっとオペラハウス等で何度もすれ違っていたことでしょうね・・・!
Naoko S 2010/02/22(月) 03:53:37) 編集

Naoko Sさん始めまして。
私は、2003年に東京、上野の文化会館で、
シルヴィ・ギエムを初めて見ました。
ボレロを演目は「ボレロ」
バレンボイム&シカゴ響の伴奏でした。

圧倒的でした。
天才というのはこのような人を指すのかと、
腹の底から納得出来ました。

それ以降、ギエムの追っかけをしています。
(国内だけですが・・・)
ヒロチェリ 2011/04/07(木) 10:56:45) 編集


ヒロチェリさん はじめまして。

シルヴィ、7月にサドラーズウエルスで新作(byフォーサイス)を披露してくれるので(しかもニコラと!)すご~~く楽しみなんですよ。秋の日本公演ではこれも踊るんでしょうかね??
Naoko S 2011/04/09(土) 23:05:56) 編集

こんにちは。天気が素晴らしすぎて、ロンドンではないみたいですね。

 昨日、7月7日追加公演が発売になりました。これは、売り上げをすべて日本の震災被災者への寄付になるそうです。友人のおかげでこれも購入できたので、4回も観にいくことになりました。うち2回は最前列をゲットしたので、とても楽しみです。まったく同じプログラムの上演が、9月にサドラーズであるらしいです。発売は、5月16日とのこと。

 秋の日本公演では、アシュトンの「田園」があるそうです。詳細が発表になったら、帰国を考えようかと思っています。
守屋 2011/04/22(金) 22:34:26) 編集


守屋さん こんばんは。

シルヴィの追加公演の件、一昨日のEvening Standard紙で見ました。サドラーズはブッキング手数料が2.2ポンドと高いんですが、この手数料も義援金にまわすそうですね!さきほどサイトをチェックしたら、発売2日目にして既にかなり売れていました。完売になるのも時間の問題でしょうね。

同じプログラムの公演をまた9月に再演するんですか、プルミエから二ヶ月後に再演とは、こんなことが可能なのはシルヴィならではですね(情報ありがとうございます~)。当然ニコラも来てくれるんでしょうね・・・とオペラ座のサイトをチェックしてみたところ、新シーズン開幕は9/21。リファール/ラトマンスキー・プロで、どちらかにニコラ出そうな気がするので、となるとサドラーズは9月前半かしら・・・。

(シルヴィ@サドラーズ公演についてはちゃんと記事にしなくちゃと思ってたのですがやっぱり書かなきゃ、ですね。守屋さんにお知らせ頂いた情報も紹介させてくださいませね~☆)
Naoko S 2011/04/23(土) 07:28:02) 編集

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