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ロイヤル・バレエ 「ミックス・ビル」 (3/5)
昨夜Radio3のMET中継放送を流しながらこの記事を書いてたんですが、ナタリー・デッセイ主演の「ランメルモールのルチア」、期待に違わず素晴らしい出来!"鈴を転がすような"・・・とはあまりに陳腐な表現だけど、こんなにも澄んだ・透明度の高い声の持ち主はそうそういないでしょうね。その美声たるやあまりに非現実的な美しさで、時として人間臭いドラマ性がやや希薄かなと感じられてしまうほど・・・というのは贅沢というものでしょうね。男声も充実していました(Giuseppe Filianoti、Mariusz Kwiecien)。

さて本題、去る水曜に見たロイヤルのミックス・プロのレポートです。時代もスタイルも異なる四人の振付家の作品を並べたプログラムで、まずまず楽しめました。

☆"Electric Counterpoint"
振付: クリストファー・ウィールドン
音楽: バッハ、スティーヴ・ライヒ
デザイン: ジャン=マルク・ピュイサン
ビデオ・アーティスト: マイケル・ナン、ウィリアム・トレヴィット
サウンド・デザイン: ムクル・パーテル
ギター独奏: ジェームス・ウッドロー
ピアノ独奏: ロバート・クラーク

キャスト: エドワード・ワトソン、サラ・ラム、ゼナイダ・ヤノウスキー、エリック・アンダーウッド

☆「牧神の午後」
振付: ジェローム・ロビンス
音楽: ドビュッシー
衣装: アイリーン・シャラフ
セット/照明(原版): ジャン・ローゼンタール
ステージング: ジョック・ソト

キャスト: カルロス・アコスタ、サラ・ラム

☆「ツィガーネ」
振付: ジョージ・バランシン
音楽: モーリス・ラヴェル
衣装: ホリー・ハインズ
ステージング: スザンヌ・ファレル

キャスト: マリアネラ・ヌニェス、ティアゴ・ソアレス 他アンサンブル

☆「田園の出来事」
振付: フレデリック・アシュトン
音楽: ショパン(編曲: ジョン・ランチベリー)
デザイン: ジュリア・トレヴリャン・オマーン
ステージング: アントニー・ダウエル、グラント・コイル
ピアノ独奏: フィリップ・ギャモン

キャスト
ナタリヤ・ペトロヴナ: アレッサンドラ・アンサネッリ
ベリヤエフ: イヴァン・プトロフ

イスラエフ: ジョナサン・ハウエルズ
コーリャ: ポール・ケイ
ヴェラ: アイオナ・ルーツ
ラキティン: デヴィッド・ピッカリング
カーチャ: ヴィクトリア・ヒューイット

指揮: バリー・ワーズワース
演奏: ロイヤル・オペラ管


ミックス・ビルの幕開けは、今回初演のウィールドン振付作「エレクトリック・カウンターポイント」。従来この劇場ではみられない・新しいタイプのダンス作品で、アイデアはまずまずじゃないかと思ったけれど、繰り返しの鑑賞に堪えるかどうかは・・・物珍しさがなくなった後に尚アピールを保てるだけのクオリティがあったかどうかは、疑問。

前半は4人のダンサーが一人ずつ短いソロを踊る(音楽はバッハ)。このとき彼ら自身の言葉による(おそらく)語りが入るのだけど、"ダンサーの独白"的コメントで特に深い意味はなさそうだった。踊るダンサーの背後にはスクリーンがあって、ここに鏡のように彼等の分身?が映し出される。トップバッターのラムの時は舞台上の彼女の動きが正確に投影されているように見えて鏡みたいなものかと思ったのだけど、徐々にここには全く別の映像が映し出されていることが判明。ヤノウスキーの時にはこの映像部分が面白くて、舞台上の彼女はレオタードにワイドパンツ風の衣装で踊っているのだけど、映像の中の彼女はとってもゴージャスなフルボリュームの・裾のなが~いドレス姿でマダム風。このドレスを思いっきり下半身に撒きつけてから"ばさっ"と裾を翻すシーンがあって、まるでファッション・ショーを見ているよう。最後は映像にもう一人の女性(分身)が登場するのだけど、なかなか美しいイメージだった。

ソロで最も印象に残ったダンサーは、踊り・語りともに(4人の中で唯一プリンシパルでない)エリック・アンダーウッド。ウィールドンのムーヴメントを最も魅力的に見せていたのは彼だったんじゃないかなあ・・・見事な筋肉美も圧倒的なものがあったけれど、一番驚いたのは(ぐぐっときたのは)、彼の声!!いやはや、なんていい声してるんでしょう この方・・・!モルガン・フリーマンをもっと低音にした感じ、といったら言い過ぎか?深みのあるバリトンのセクシーな声にクラクラ・・・(やられました。まさかバレエの舞台にこういう驚きが待っているとは・・・あまりに動揺してしまって、彼が何を語っていたのかはまるでキャッチできず!)

後半はペア、アンサンブルになって踊るのだけど、うーん私はどうもウィールドンのpddの振付(男女の)が好きじゃないみたい。リフトが多くて身体を離さず踊ることが多い印象があるのだけど、どうも退屈で・・・音楽は後半のライヒの方が作品によく馴染んでいたような。カーテンコールでは、ヤノウスキーは映像で着用していたドレス姿で、ラムはポンポンみたいにキラキラ光る銀色のチュチュを身に着けて登場。観客の反応は上々でした(この夜一番ウケていた演目だったかも)。

ウィールドンが自身のカンパニー・Morphosesを立ち上げた時のマニフェストに、「バレエはもっとセクシーになれるはず・現代の観客にアピールする作品を創りたい」というような内容が入っていた記憶があるんですが、彼のターゲットは2・30代の"cool"なお客なのでしょうね。(で、これはオペラハウスが開拓したい観客層ともぴたりと合致。)バレエ・ボーイズの手になる視覚効果にお洒落な衣装・・・とイメージ重視の戦略はまずまず奏功していたと思われ、一部(ひょっとして多数派?)の観客には確実にヒットしていた模様。

続いてロビンスの「牧神」。

・・・実は私、この作品を面白いと思ったことがついぞなく・・・ 今回もまた。

多分自分には縁のない作品・・・ということで、言わぬが花、でしょうね。しかし、それにしても、主演のアコスタとラムはあまりに健全な良い子ちゃんに見えて、ほんとにつまらなかった・・・男性ダンサーがナルシスト系だともう少し面白く見られるんじゃないか、と想像するのですが・・・。

バランシンの「ツィガーネ」はこの夜初めて見ました。ツィガーネ=ジプシーの意味らしいのだけど、激情的かつ哀愁をおびたヴァイオリン・ソロが印象的なラヴェルの音楽、フォークロア・ダンスをベースにしたような振付と、なかなか面白かった。冒頭の女性ダンサーのソロでは、いわゆる古典のキャラダンでよく見られる動きに素早く複雑なパを組み合わせていたように見えました(ポワントシューズ着用)。かなり難しそうだったけどヌニェスは果敢にこなしていたし、ラテンの血が騒ぐのか?熱っぽい表現も見られてよかった。しかし、彼女以上にこの作品が嵌っていたのは、パートナーのソアレス!こんなに楽しそうに、情熱的に踊る彼を見たのは初めてかも・・・見得の切り方も普段よりずっと"過剰感"があって痛快だったなー。それに男性ダンサーの着用していたフォークロア調な衣装、これが彼に激・似合ってたのよね~。(ま、ともかくこの二人は今何を踊っても楽しそうで・ハッピーに見えて、いいですね~。)

ミックス・ビル、トリはアシュトンの「田園の出来事」。最初のウィールドンの作品が若いお客さん向けとすると、こちらはオペラハウス常連のシニア層向け?隅々まで制作者の美意識が行き届いた凝ったセットの中で、帝政ロシアのブルジョワ家庭に起きる一夏の"事件"を描いた、演劇的で古風なロマンティシズムを感じさせる作品。

今回の再演で注目を集めていた初役でファースト・キャストのアンサネッリ、冒頭表情も動きも硬くて、どうなることかとハラハラ。物語がすすむにつれて感情の昂ぶりのままに、演技はかなり良くなっていきましたが、振りの方は・・・課題多し。女主人・ナタリヤが束の間の恋に落ちる家庭教師・ベリヤエフ役のプトロフも、演技面の物足りなさはともかく、振付がまったくものになっていなくて動きがぎこちないのがショックだった。(つくづく、アシュトンの振りは馴れるまでは大変なのね・・・)

この二人の組み合わせは「アポロ」で見て以来二度目?かなり期待していたのですが、うん、やっぱり悪くなかったです。「アポロ」では昔取った杵柄?余裕綽綽のディーヴァぶりでプトロフ君を翻弄したアンサネッリでしたが、この演目では今の彼女の年齢相応の未熟さが出ていて、彼も何となくもさっと垢抜けない雰囲気なのでどことなく微笑ましいというか、可愛いペアでした。(プトロフ君ってほんと大根なのよね・・・でも、いつまでたっても演技面で洗練されないという彼のこの個性?が上手く作用することもあるので・・・2月に見た「ディファレント・ドラマー」なんて凄く良かったし・・・。)何せこの演目というと私が一番回数見ているのはギエム&コープの大人のペアだったので、今回のペアはかなり(色んな意味で)新鮮でした。ヴィジュアル的にもなかなか見た目麗しく・お似合いの二人なので、今後も是非組んで踊っていただきたいわ~。

☆舞台写真はこちら・ballet.coのギャラリーからどうぞ:

http://www.ballet.co.uk/gallery/jr_rb_wheeldon_quad_roh_0208?page=1

2008-03-09 23:22 | ロイヤル・バレエ | Comment(8)
Comment
ナタリーデセイ、彼女はお姿も、声も美しく、ホントにこの世のものでない、という表現ピッタリ。残念ですが、なかなか日本では彼女のオペラは見られないんですよ。お好きなグルベローヴァは、日本びいきなんですね、今年の秋にもウィーン国立歌劇で、来日されます。チケが高いので、私は行かれない~。(贅沢な悩みですね)ロイヤルのTriple、ウィールドン作品見てみたいです。
「田舎~」は、なかなか難しいですよね、Videoで見た、マカロワ・ダウエルが私は好きです。ところで、プトロフは大根なんですか?ロイヤルにいるのに?実はまだ末見です。
まりあ 2008/03/10(月) 08:38:51) 編集


まりあさん、デッセイさんはあまり来日されないんでしょうか。グル様はほぼ毎年行ってらっしゃるようで・・・いいですね~。

プトロフ君は、いわゆる「演技派」のダンサーではありませんね 少なくとも。ロイヤルにいるからこそ演技力弱いのが目立っちゃうのかもしれませんが・・・でも彼はどちらかといえばノーブル系ダンサーなので、私などは、彼にはこのまま変わらず・淡白でいてほしいなあ~なんて思ったりもするのですが。
Naoko S 2008/03/11(火) 05:57:59) 編集

NaoKoさん、デセイさんは、あまり日本にいらっしゃいません。あ、昨年は秋に、ソロリサイタルがありました。でも、オペラは…。日本で上演する作品にたまたま、彼女の役柄がないんでしょうか。Naokoさんのプリマドンナはほぼ毎年いらっしゃいます。日本がお好きなんですね…。さて、プトロフの淡々と…。日本ではSleepingをマルケスと踊る予定です。確かに美しい姿ですよね。一度見たいとは思いますが、ガラ公演は大阪公演のみですし、悩みます。日本では、夏の「パリオペエトワールのガラ」発売が近づいています。
正直、チケ発売が早過ぎで、どうしようもありません。(全て悩む)
まりあ 2008/03/11(火) 08:11:05) 編集


まりあさん、日本もバレエ公演目白押しで、どれを見るか悩んじゃいますね!眠りにプトロフ君登板ですか?彼の王子役、いいと思いますよ~(といっても最近彼が古典を踊るのを見ていない私ですが・・・)。

>>日本では、夏の「パリオペエトワールのガラ」発売が近づいています。正直、チケ発売が早過ぎで、どうしようもありません。(全て悩む)

でも、夏の公演をこれから売り出すならまだマシなのでは・・・。(ボリショイは早すぎましたよね・涙)
Naoko S 2008/03/12(水) 09:07:19) 編集

Naokoさん、ミックスビルのレポ嬉しいです。実はDifferent Drammer と合わせて行こうかなと思っていたのですが日程に無理がありやめました。イヴァンは時々ロマンティックさに欠けると思うのですが、王子役は美しくて見とれてしまいます。5月に踊るサラとの「眠り」を観に行くので楽しみです。この組み合わせ、日本でも実現してくれないかしら? 英バレエ・フォーラムではアンサネッリに対して賛否両論のようですが、ゼナイダはどうだったのでしょうか。個人的にはふたりともアシュトン・ダンサーのイメージがなく、私は今でも「田園」というとシルヴィ&ジョニーしか考えられません。

ナタリー・デッセイの「ルチア」はyoutubeを見られますのでぜひ!↓いくつか違う場面がありますが、やっぱりコレでしょう。

http://www.youtube.com/watch?v=Bn8l0YXIqJ8&feature=related

昨年、日本のリサイタルでも狂乱のアリアを歌ってくれましたが、歌い終わったら倒れるんじゃないかと思うほどの迫力。彼女はヨーロッパでの公演が忙しいのでしょうねぇ、きっと。

ミッツィカスパー 2008/03/13(木) 00:28:38) 編集


ミッツイカスパーさん こんにちは。

5月の眠りでプトロフとラムが組むのでしたっけ?私も行こうかしら・・眠りのチケット最低一枚は取ってあったと思ったのに、この間ピリオド3・4のチケットを整理していたら、"あれ?眠りがない!!"と気づいたのでした・・・。(その代わり、全然取った記憶のないオペラのチケットが出てきたり・・・ヤレヤレです。)

>>英バレエ・フォーラムではアンサネッリに対して賛否両論のようですが、ゼナイダはどうだったのでしょうか。

私は今回1stキャストしか見ていなくて、ゼナイダのナタリヤは見ていません。(ballet.coでは彼女のナタリヤ、滅茶苦茶評判いいですね~)

youtube映像のご紹介有難うございます!(週末の楽しみにとっておきます・・・v)デッセイさん、次はいつコヴェント・ガーデンに来てくださるかしら・・・いつでも熱烈・歓迎いたしますよ~♪
Naoko S 2008/03/13(木) 06:26:09) 編集

マリインスキー国際フェスティバルに出演予定だったエルヴェの名前が突入消えました。ディアナとの異色ペアはキャンセルです。ま、ちょっとホッとしました。だけど、こんなに直前は驚き!やっぱり、夏の「エトワールガラ」はキャストに不安が~。ロイヤル来日の際は、オススメの美しいプトロフ君を見てみようかと思います。情報ありがとうございます。私もパートナーがラムになるとうれしいな!と期待している一人です。マルケス、ゴメンなさいね。
まりあ 2008/03/13(木) 08:45:04) 編集


>>マリインスキー国際フェスティバルに出演予定だったエルヴェの名前が突入消えました。ディアナとの異色ペアはキャンセルです。

そうなんですよね・・・異色ペア、残念ながら実現しませんでしたね。結局白鳥初日はヴィシ&コルプに落ち着いたようで・・・コルプはロッホとも踊るので2回登板になったんですね。

http://www.mariinsky.ru/en/fest225/balletfest

夏のRB公演、プトロフ君機会があったら是非見てみてくださいね~。
Naoko S 2008/03/13(木) 09:56:26) 編集

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