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イレール&ロモリ@エクサンプロヴァンス
"Un trait d'union"

2007年11月17、18日 Pavillon Noir (Aix en Provence)

振付: アンジュラン・プレルジョカージョ
初演: La Biennale nationale de danse du Val-de-Marne (1989年)
パリ・オペラ座バレエ団初演: 2003年12月
音楽(録音): バッハ/チェンバロ協奏曲 第5番 ヘ短調 BWV1056 第二楽章 (グレン・グールド、コロンビア・シンフォニー・オーケストラ)
効果音: Marc Khanne
衣装: Nathalie Fontenoy
照明: Jacques Chatelet

キャスト: ローラン・イレール、ウィルフリード・ロモリ

ああ・・・終わってしまいました。あまりにも短すぎた・・・まるで蜃気楼のようだった。東京でフラれ、チヴィタノヴァでフラれ、三度目の正直でやっと目にすることのできたイレールとロモリの再共演。舞台を見ながら、どうか・このまま終わらないで・・・と心の中で虚しくつぶやいてた。二人の姿、ずっとずっと、見ていたかった・・・。

キャパ400人位の小さな会場はぎっしり満員、明かりが落ちると、真っ暗闇の中一筋の弱弱しい光が舞台を水平に照らす。グレン・グールドのバッハ。空気がまったく動かない・静的な空間に、袖から一人の男がおぼろげに姿をあらわす。身体を低くおとして両腕でゆっくりとソファーを前に押しやりながら舞台中央にすすむ。真ん中にソファーを落ち着けるとしばしソファーを相手に戯れる、というかいろんな動きを見せる(ソファの上に微妙なバランスで立ってみたり、ソファに顔を滅茶苦茶にこすりつけてみたり)。

この登場シーンのイレールの姿にはややショックをうけた。衣装はヨレヨレのランニング・シャツに黒のズボン(に素足)なんだけど、"こんなに痩せてしまったのね・・・"と。4年前のパリ初演で見た時はもう少し身体に厚みがあったし、精悍ですらあったのに。変わらないのは、彫刻的な彼のシルエットとこのライティングの相性のよさ。スポットかつ抑えめの照明なので、陰影がくっきり。(イレールの麗しいプロフィールが、いやでも引き立つ・・・)

ソファと戯れる男。一瞬バランスを崩し、ソファがひっくり返ってその下敷きになる。このあと、第二の男が登場する。第二の男・ロモリはダーク系のシャツにニュートラルな色味のズボンといういでたち、やや威圧的に舞台に登場。ソファを元の位置に戻すと、そこにどっかり腰をおろす。ややあって、立ち上がると、うつぶせに横たわる男に軽く蹴りを入れる。この後、見せ場の(?)シーン。うつぶせの状態からジャンプするイレールの背中をロモリががしっとキャッチ、ロモリの身体の上でイレールが仰向けになって、ロモリがやや愛撫するような所作をしてから突き放す、という動きが3,4回繰り返される。(このシーンは無音。これ以降二人が丁々発止のダンス/演技を繰り広げる場面では効果音が使われているのだけど、若干グルーヴ入ってたりしてなかなかよい。)

ロモリ扮する第二の男がイレール扮する第一の男を虐待?コントロール?しているのかと思いきやその関係が逆転したり、二人の男は敵対関係にあるようにも見えるし、時として恋人同士のようにも見える。前回初めて見たときに二人の関係が何ともスリリングで、”一体この二人どういう関係なんだろう”とどきどきしながら鑑賞していたら20分あっという間にすぎた。今回、この特別公演に寄せてプレルジョカージョが作品についてコメントしていたけど、その中で、「人の出会いの不思議さ・なぜ人は出会いを求めるのか」、「古くはプラトンの饗宴にある、"(失われた)自分の半身探し”」・・・というような言葉があった。ふうん・・・もしかしたら、この二人は互いの分身なのかもしれない。反発し合いながらも、決して完全に相手を切り離すことができない・・・

動きは純粋なダンスというよりは多様な身体表現の追求?マーシャル・アーツ風の動きがあったり、常に緊張感があって、男性的でシャープな動きが多い。二人の男がシンクロして踊るシーンでは、悲しいかな、現役エトワールと第一線を退いたエトワールの差が歴然。(ロモリの動きがキレキレで、なんともかっこよかった!)ボクシングのように打ち合いする拳闘シーン(?)では、やみくもにぶつかっていくイレールの前に、岩のように立ちはだかるロモリ。こういうシーンでは、なんだか妙にイレールが可愛く見えてしまって、ええっ これは・・・と焦る(ペトルーシュカもそうだったけど)。

やや筋力が落ちてしまったかな、と思わせるイレールの動きに、カミソリのようにシャープだった、かつてのあのキレはない。それでも胸を衝かれるのは、以前と変わらない、いやむしろ強化された集中力と舞台にかける熱があるから。最近のイレールは、舞台の上で45歳という年齢そのままの自分をさらけ出して、裸になることを怖れてない・・・なんら虚飾のない、殆ど無邪気といいたくなるほどの、無心の舞台。

カーテンコールではイレールとロモリ、何度も互いの健闘を称え合い、爽やかな笑顔をみせてくれた(殿、可愛い~!)。途中プレルジョカージョも加わって三人で拍手に応える。二人の間に挟まれたプレルジョカージョも、本当に嬉しそうだった。

初日の舞台がハネた後、偶然プレルジョカージョ氏と一言二言言葉を交わす機会があったのですが、こんなことを仰っていました。「ローランとウィルフリードがこの作品を踊ると、まるで映画を見てるみたいで、いいんだよねえ・・・」

そう、そうです。映画のような舞台が実現するのはこの二人だからです!是非またどこかで再演してほしい・・・これが最後では、あまりに勿体無さすぎ・悲しすぎます・・・。

☆ Glen Gould plays Bach (click on Sample No. 8):

http://www.amazon.com/Bach-Piano-Concertos-Gould-Bernstein/dp/B0000025U5
2007-11-21 10:18 | パリ・オペラ座バレエ | Comment(4)
Comment
Naoko Sさん、お帰りなさい。そしてありがとう~~!!!!
舞台の様子をとても詳しく表現してくださって、おかげで脳内で殿とウィルフリードが動いている様を色々と思い描くことができ、なんだかもう胸が熱くなってウルウルしてしまいました。
今まで、例の「見せ場?」シーンの1分程度の映像しか見たことがなく(プレルジョカージュのWEBでも同じ部分のシーンしかUPされていませんし)、どんな始まり方をするのかすら知らなかったので、Naokoさんのレポ、本当に嬉しかったです。
プレルジョカージュが二人のダンスに対して抱いている想い・・。自分の創造した芸術を的確に表現してくれるダンサーとの出会いは、彼にとっても幸運なことなのでしょうね(涙)。まさに最良の化学反応というところでしょうか。
本当に、このまま終わるのは勿体ない!! たくさんのファンが更なる上演を望んでいることを、彼らに知ってもらいたいですね。そして願わくばそれが実現しますように・・・。
るな 2007/11/21(水) 10:47:31) 編集


るなさん こんにちは。

お粗末さまでした~。筆力と時間が足りず、後半ははしょってしまいましたが、なにとぞご容赦のほどを。(あ、ちなみに最後のシーンは、ソファの頭に脚をかけて逆十字型に垂れ下るイレール←客席に顔をむけている、その横に直立不動で立っているロモリ、という図でした)

>>今まで、例の「見せ場?」シーンの1分程度の映像しか見たことがなく(プレルジョカージュのWEBでも同じ部分のシーンしかUPされていませんし)

ちょっと前からプレルジョカージョの公式サイトでこの作品の映像を流してましたよね。あれはフィルム用に制作されたヴァージョンで、演出も舞台とはちょっと違っているようです。映像だと緑色の部屋が舞台になっていたり、例のシーンの振付も、イレールとロモリとは全然雰囲気が違います。映像の方は結構メカニカル・かつ素早くあの動きを繰り返してますよね イレール&ロモリはずっとゆっくりで、その分スリリングなんです・・・

>>自分の創造した芸術を的確に表現してくれるダンサーとの出会いは、彼にとっても幸運なことなのでしょうね(涙)。

私などは、この二人は振付家すら意図しえなかった何かを作品にもたらしたのではないか、とすら思います。

パリのダンサーたちの魅力はここなんですよね・・・多分踊る人が踊ればいくらでも無機質に(あるいは無味乾燥に)踊れるだろうと思われる作品でも、人間としての魅力と強烈な個性で作品を面白く・感動的なものにしてしまう・・・。イレールとロモリは、その代表的なひとたちですね。

>>本当に、このまま終わるのは勿体ない!! たくさんのファンが更なる上演を望んでいることを、彼らに知ってもらいたいですね。そして願わくばそれが実現しますように・・・。

旅の恥はかき捨て、ってわけではありませんが、ご両人と振付家に、日本で是非この作品の上演を!と切々と訴えてきました。が、こればっかりは、どこかから招待がかからないことにはねえ・・・(嘆息)。皆で手紙を書くしかない!?←どこに??
Naoko S 2007/11/22(木) 07:12:13) 編集

Naokoさま!
お帰りなさいませ~。
コメントしたこといっぱいの先週、回線不良によるネット落ちで歯噛みしておりましたがようやく復帰。
めくるめく殿とロモリの舞台レポ、(時折落涙しつつ・・・)しかと拝読いたしました。

そうそう、多分プレルジョカージュの意図していなかった部分をパリオペダンサーが発展させるという構図はあるのではないかとわたくしも思います。
逆に言うと、プレルジョカージュの作品は、そういう余地を残しているがゆえに、ダンサーにとってみても演じ甲斐があるのでは・・・そのあたり、殿に語っていただきたいと思うmariaです。

Naokoさまの切なる訴え、ファンを代表してありがとうございました。、ということはブランチもご出席なさったのでしょうか、あぁ・・・(勝手に想像してコウフンしています)
maria 2007/11/22(木) 08:06:46) 編集


mariaさん こんにちは。

ネット落ちですかー さぞご不便だったことでしょう。(復活早々にお越しいただけるなんて嬉しいですわ♪)しかし、拙レポでmariaさまを泣かせてしまったなんて・・・(オロオロ)。

ハイ、結局ブランチ会出席したんですよ・・・殿はいっぱい語っていたので、きっとmariaさんの仰るポイントもカバーされていたのではないかと。でも、何せフランス語は、"●×?△"状態でして・・・(ああ~情けなや)。必死に訴えたのはデマチしたときなのです。むなしい陳情だったかもしれませんが・・・。
Naoko S 2007/11/23(金) 08:21:20) 編集

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