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ロイヤル・オペラ 「ワルキューレ」(10/28)
英国は昨日(10/28)から冬時間に切り替わりました。これから3月末までの間、日本との時差は9時間になります。

今日会社を出たら、まだ6時前だっていうのに、ほとんど闇夜!真っ暗で、思わずため息ついてしまいました。長い夜が延々続くこれからの季節、観劇の回数がますます増えそうです・・・

都さんとフリストフのR&Jレポがまだ途中ですが、こっちの方がさくっと書けそうなんで、先にあげちゃいます。昨日鑑賞したリング・サイクル二日目、「ニーベルングの指輪・第一夜」の「ワルキューレ」。

<キャスト>

Siegmund: Plácido Domingo
Sieglinde: Eva-Maria Westbroek
Hunding: Stephen Milling
Wotan: John Tomlinson
Brünnhilde: Lisa Gasteen
Fricka: Rosalind Plowright
Gerhilde: Geraldine McGreevy
Ortlinde: Elaine McKrill
Waltraute: Claire Powell
Schwertleite: Rebecca de Pont Davies
Helmwige: Iréne Theorin
Siegrune: Sarah Castle
Grimgerde: Claire Shearer
Rossweisse: Elizabeth Sikora

Director: Keith Warner
Set Designs: Stefano Lazaridis
Costume Designs: Marie-Jeanne Lecca
Lighting: Wolfgang Göbbel

Conductor: Antonio Pappano
The Orchestra of the ROH

(224th performance at the ROH)


昨夜のサイクル3・ワルキューレは大変な盛り上がりのうちに幕を閉じました。

いや~よかったです。これ、やっぱりリング四部作の中で一番見応えがあるんじゃないかしら 前回単発で四作品上演されたのを観たときもそう感じたんだけど。(ワグナーの熱心な聴き手では全くない人間の、漠たる感想です。)

昨日は、私的にかなり危なっかしい出だしだったんですよ 実は(先週に続いて・・・)。行きのピカデリー・ラインがいきなり不通になっちゃって(まぁこれ自体は日常茶飯事なんですけどね)、アールズ・コートで立ち往生すること20分。日曜で他のラインもシャット・ダウンされてて、仕方なく遅れてきたピカデリーに乗って、結局レスター・スクエアの駅に着いたのが開演時間の午後3時キッカリ。”絶対に、開演は5分は遅れる!"と信じて駅から猛ダッシュして、場内の灯りが落ちる30秒前に席に滑り込みました。(ほんっとーに、ラッキーだったわ・・・)

一幕、幕が上がるや舞台上手におかれたダイニング・テーブルの上にうつ伏せで横たわるドミンゴ@ジークムントの姿が目に入る。凄かったのが、彼が第一声をあげるや、ぎっしり満員のオーディトリアムが(文字通り)水を打ったように静まりかえったこと。幕が上がってほどなく、舞台と客席を完全に掌握してました。こういうことのできるパフォーマー、久々に見た。

一幕前半のドミンゴは、決して絶好調ではなかったように見えました。最初の数分は随分と鼻にかかった声で、”ひょっとしてお風邪?”と焦ってしまった。(いや、この鼻にかかった声も実にセクシーでよかったんですが。)高音域で声に艶と伸びがいまいちかなと感じられる場面があって、むしろ低音での陰影ある表現がよかった。

昨夜感心(感激)したのは、この人の歌唱の彫刻的な美しさ。うまく言えないのだけど、発音?発声?のせいなのかしら 発せられた言葉が実にくっきりとたち上って、まるで生き物のよう(ほんとに上手く表現できないんですが・・・)。私なんて、彼の美声を聴けるだけで恍惚としてしまうけど、やっぱり非凡なのは声質だけじゃないのね・・・。

そして驚くべきは、還暦をとうに過ぎたお年で、ヒロイックな恋人の役がなんてよく似合うこと。一幕、生涯人に追われる運命を背負った・影のある迷い人の時は、やや世を拗ねた表情。それが、幼少時に生き別れとなった双子の妹・ジークリンデと運命的な再会を果たしたところから、徐々に若々しい表情にかわっていく。

二幕のドミンゴ@ジークムントは、ジークリンデを全身全霊で愛する一人の男そのものだった。純粋で愛に飢えたジークムントにとって、ジークリンデが自分の妹である事実は、彼女を愛するさまたげにはならない。ひたすらまっすぐに彼女のことだけを想って、ジークリンデには居場所のないヴァルハラに行くことを断固拒否する。その思いの深さと一途さに、女戦士ブリュンヒルデは目を開かれる。父ヴォータン(ジークムントはヴォータンと人間の女性の間の子供)に裏切られ、フンディングの剣によって命を絶たれるジークムントが、その直前に、こんこんと眠るジークリンデを見守るシーン。幼子を寝かしつけるように愛おしそうにジークリンデを見守り、切々と彼女への思いを歌いあげるシーンが、この夜のハイライト。情熱的で甘くて、かつ知的な抑制のきいた、本物の大人の男・・・こんな人(オペラ歌手)、絶対他にはいない!

三幕の山場は父・ヴォータンの命にそむいたブリュンヒルデがヴォータンとさしで対峙するシーン。表向き怒り狂うヴォータンは、その実どうやって状況に収拾つければいいか、まるでわかってない。その父に自分の真意をなんとかわかってもらおうと説得につとめるブリュンヒルデ。堂々めぐりの議論が続いて、いい加減途中で飽きてくる。(・・・もうさぁ ヴォータンは娘に惚れてる時点で既に負けてるんだから・・・彼女に劫罰下すことなんて所詮できるわけないんだから、素直に負けを認めて、とっととこのシーンけりつけてよ~と、見ながら心の中で”巻き"を入れてしまった私。)自分より遥かに勇敢で高邁な志を持つ娘、その娘を愛してしまっている父、この二人の対決シーンをここまで引き伸ばすって、ワグナーには相当思い入れのあるシーンなのかなぁと邪推してしまいましたよ。

トムリンソンとガステーンは<いつもながら>とても有能なパフォーマーだと思いました。でも、感動はしないんだよね・・・(時間の都合上、そのほかの出演者についてはコメントできません あしからず。)

最後に、オケは、よくなかったです。弦はまあまあだったけど、戦犯は管!(・・・と思う。)2幕のクライマックス・シーンの一つ、ブリュンヒルデがジークムントに「死の宣告」をする場面。無音で静寂が支配する中、(多分)管楽器の(多分)ソロがもの悲しい音を発するところで・・・

なんともヘナチョコな音が飛び出したかと思うと、シュワ~と消化不良のまま情けなく鳴って、散った・・・。「そこで外すか、ボケ~~~!!」・・・思わず舌打ちしそうになりましたよ・・・(ったく!)緊迫感に満ち満ちたシーンが台無し。(あれって絶対わざとでしょうね そうとしか思えない!)

☆☆☆

演出のせいもあったのかもしれないけれど、今回ラインゴールド~ワルキューレと再見してつくづく感じたのは、リング四部作ってイヤになるほど人間臭い、ほとんどリアリズムのオペラだなあ・・・と。「神々」が登場するわりには、ファンタスティックな要素があまり感じられないんですよねえ。音楽は劇的で官能的、なかなか面白くはあるけど、私的には「劇」の比重(存在感)が圧倒的に大きい「楽劇」。それにしても、このリブレットねえ・・・(作品の元ネタのゲルマン・北欧古詩もこんななんでしょうか・・・?)

現実的といえば・・・たとえば、ヴォータンとフリッカの夫婦のやりとりなんて、あまりにリアルで(高圧的な・女王様的な妻に、抵抗してはみるが結局勝てない夫)、もう少し夢を見させてくれよ~といいたくなるというか。

ともかく、ヴォータンという人物がリアルすぎるのよね・・・恐妻家で、中年男の悲哀が感じられて、なんだかいたたまれなくなっちゃう。"神"とは名ばかり、結局は妻と娘の意思(の強さ)に翻弄させられてる、ダメダメ男(好意的な言い方をすると、気が弱くて優しい・・・とか?)。

あと、19世紀的な道徳観が作品中ちらちらと顔を出すのが面白かった。典型的なのが、フリッカ。彼女は「婚姻の女神」で、結婚の聖性を擁護する十字軍的存在。夫が人間の女に孕ませた息子(ジークムント)の存在が面白くないのは勿論、兄と妹の間の愛なんて許せるはずがない。しかも妹の方は婚姻の絆を破っている(夫・フンディングを捨ててジークフリートと逃亡中)。でも、不老不死の神たる存在が、下々(mere mortals)のモラルが気になるなんて?

ジークリンデの態度・心情にも、モラルが影をおとす。ジークムントと出会った直後は情熱的に彼を愛するのに、ほとぼりが冷めると、自己嫌悪に陥ってジークムントを拒絶する。"私は汚れている”とかいう類のセリフがあるんだけど、こういうの、シラけます・・・。たかだかオペラ作品なんだから、その辺は多少自由でいいじゃないかと思うんだけど、やっぱりその当時はまずかったんでしょうかねえ。(え、今でもまずい?)

☆☆☆

カーテンコールは、たいそう盛り上がりました。ドミンゴとジークリンデ役のウエストブレーク、そしてトムリンソンにはアンフィのお客さんから盛大なフラワー・シャワーが。ドミンゴへの拍手とブラヴォは勿論すごかったけど、それと同じぐらいトムリンソンにも熱烈な拍手が送られてました。途中から場内総立ちで、何度も続くカーテン・コール。三幕は出番がなくて休憩できたドミンゴは元気を回復したのか(?)、しきりに舞台の上に散った花を拾って、マエストロ・パッパーノや他のキャストに嬉しそうに手渡していました。
2007-10-30 09:14 | オペラ | Comment(0)
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