「ニジンスキーの伝説」 東京バレエ団(9/12,13,19) Part 1
東京バレエ団のニジンスキー・プロ、東京と西宮で三公演見ることができました。感想のパート・1です。


<キャスト>

☆東京・国際フォーラムC」(9/12,13) 

「レ・シルフィード」: プレリュード 小出領子、詩人 木村和夫、ワルツ 西村真由美、マズルカ 奈良春夏、コリフェ 乾友子、田中結子

「薔薇の精」: マチアス・エイマン、吉岡美佳

「牧神の午後」: シャルル・ジュド、井脇幸江

「ペトルーシュカ」: ペトルーシュカ ローラン・イレール、バレリーナ 長谷川智佳子、ムーア人 平野玲、シャルラタン 高岸直樹

指揮/演奏: アレクサンドル・ソトニコフ、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団


☆兵庫県芸術文化センター 大ホール(9/19)

「レ・シルフィード」: プレリュード 吉岡美佳、詩人 フリーデマン・フォーゲル、ワルツ 長谷川智佳子、マズルカ 田中結子、コリフェ 高木綾、奈良春夏

「薔薇の精」: 大嶋正樹、高村順子

「牧神の午後」: シャルル・ジュド、井脇幸江

「ペトルーシュカ」: ペトルーシュカ ローラン・イレール、バレリーナ 小出領子、ムーア人 平野玲、シャルラタン 高岸直樹

指揮/演奏: アレクサンドル・ソトニコフ、関西フィルハーモニック管弦楽団


★「レ・シルフィード」

東バのシルフィード、今回初めて見て、かなりショックを受けた、というかびっくりした。舞台の隅から隅まで「和」の美意識が支配する、日本のバレエ団ならではの空気の精。こんなの初めて観た・・・。舞台を見ているうち当初の驚きが何ともいえない感慨にかわっていって、ある意味このプログラムの中で最も強烈な印象を受けた演目かもしれない・・・東京のキャストで、特にそうだった。

そしてこちらもびっくりだったのが、なんともまったりとしたスロー・テンポのオケ。初日は仰天したけど、もしかしてこれもバレエ団の独自性(個性)にあわせた解釈なのかもしれないと思うと、不思議と舞台の動きと釣り合いがとれているように感じられて気にならなくなった。

日本のダンサー達が踊るシルフィードなのだから和的で当たり前・・・と言えばそうなのかもしれないけれど、それを(日本人である自分に)感じさせつつ作品として昇華させ、普遍的な美に到達していると見えた・・・これは、小さからぬ快挙なのではなかろうか。(外国人がこの舞台を見て一体どんな感想を持つのか、聞いてみたい!)

群舞の揃い方が何といっても圧巻だったが、それが見た目や動きだけでなく作品解釈や、それこそ美意識にまで至っていると感じられたことが、新鮮だったのかもしれない。(常日頃"個性集団"の群舞を見慣れているもので・・・この均質性・統一性は、貴重な美質。抽象作品で匿名性の高いこの種の作品に、日本人の感性と価値観がとりわけよくフィットするということなのだろうか?)

私的にこのシルフィードから最も強く感じられた「美意識」は、その"ひそやかさ"。静けさというよりももっとデリケート、そして独特の「間」の感覚。これが実は、かつてロイヤルで観た吉田都のジゼル二幕に感じたことに非常に近かった。あの時も、(私的には)極めて和的としか感受しようのないジゼルで、そうかと言って役の原型を逸脱しているわけでは勿論なくて、そのことに驚かされ、このバレリーナに殆ど畏怖の念を抱いてしまったのだけど。

ダンサーの中でダントツ印象に残っているのは、プレリュードを踊った小出領子。丸顔の愛らしい容姿と裏腹に芯の強さを感じさせる踊り、何よりシルフの世界に没入してしまっているのは彼女一人に見えた。ソロを踊った他の女性ダンサーたちには今ひとつ心を動かされなくて、詩人役の木村さんは正直ミス・キャストではないかと感じてしまったのだけど(フォーゲル君は可もなく不可もなく・・・)、小出さん、彼女のシルフィードは素晴らしかった。

唯一気になったのは、演出とセット。背景画にシンプルな森の情景が描かれているのはいいんだけど、何とどう見ても明朗な昼の光の中なんだなあ・・・この作品をフォーキンから直々に伝授された故アリシア・マルコワが、「この作品は"月"に支配されているのよ・・・」とドキュメンタリー映像で語っていたことがあって、強く印象に残っているのだけど・・・。ここはやはり、月明かりに照らされたほの暗い夜の情景とすべきではなかろうか。

(続く)
2007-09-24 08:58 | その他のバレエ・ダンス公演 | Comment(4)
Comment
Naoko Sさま

二度目のコメントをさせていただきます。
西宮にいらっしゃってたんですね!私も同じ劇場の客席におりましたので、もしかしたらすれ違っているかも(笑)
今回のプログラムは私にとってすべてが初見でしたので、誰がいいんだかよくないんだか?普通はどんな演出なんやら?わからない状態で見ておりました。とりあえず、シャルルとローランは別世界のお人・・・ということだけはしっかり理解できました。

大阪も、朝夕はかなり涼しくなってきたのですが、お昼はまだまだ暑いです。これぞ大阪といえばそうなのかもしれないですね。
それでは、ロイヤルの鑑賞コメント楽しみにしております!
Odette 2007/09/26(水) 00:23:46) 編集

Odetteさん こんにちは。

おおー西宮公演ご覧になったのですね。会場もとてもいいホールで、いい公演でしたよね!

>>とりあえず、シャルルとローランは別世界のお人・・・ということだけはしっかり理解できました。

いや、本当にこの二人のベテラン・ダンサーはちょっと異次元の存在でしたね。まだまだ今後も長く舞台に立ち続けていただきたい!と祈るばかりです。

大阪、お昼はまだ暑いんですか?いいですねえ・・・こちらは今、夜11時過ぎですけど、気温10度以下ですよ~。今回急遽の大阪行きだったので全然観光する時間がなくて、取敢えずタクシーで大阪城の近くまで行ってお城を遠巻きに眺めて帰ってきました。次回はもっとゆっくり滞在したいです!


Naoko S 2007/09/26(水) 07:23:17) 編集

Naoko様、日頃見慣れた(笑)東バダンサーズへの客観的かつ的確なコメントをありがとうございます。
”和的でひそやかな”シルフ、うーん、今回もNaoko様の感性に唸らされました。
群舞の揃い方は世代交代の一つの成果ではないかと思っています。
見た目も美形が増えて嬉しい限り。
小出さんは踊りに詩が見えますよね。

・・・しかし、東バをほめられて我がことのように喜ぶ日が来るとは。。。
祭典会員で、海外バレエ団の引越し公演で良席を確保できる代償(?)として、もれなく東バの公演がついてくるのを苦々しく思っていたわたくしですが、何度も観るうちに身内感覚になっているのかも(NBSの策略にまんまと?!)
maria 2007/09/26(水) 07:42:56) 編集

mariaさん こんにちは

>>群舞の揃い方は世代交代の一つの成果ではないかと思っています。

おーそうだったのですか 現在のコール・ドのメンバーは比較的若い方々なのかな?

>>見た目も美形が増えて嬉しい限り。

本当に、綺麗な方が多くて目移りしちゃいました(笑)。特に私の目を惹いたのは、《mariaさんに教えて頂いた》コリフェの一人・乾さんでしたが。

>>・・・しかし、東バをほめられて我がことのように喜ぶ日が来るとは。。。

えーっとシルフィードのアンサンブルは素晴らしいと思ったし作品として大変面白かったのですが、後半の感想はやや辛口になるかもしれません・・・(汗)。どうぞ大目に見てやってくださいね~。
Naoko S 2007/09/27(木) 06:20:56) 編集

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