ボリショイ・バレエ 『シンデレラ』
ユーリ・ポソホフ振付・ニュープロダクションの『シンデレラ』、初日を見てきました。
CAST

Cinderella: Svetlana Zakharova
The Prince: Sergei Filin
The Storyteller: Viktor Barykin
Stepmother: Maria Volodina
Stepsisters: Anastasia Vinokur, Lola Kochetkova
Dancing Master: Gennady Yanin
The Prince's Friends: Yan Godovsky, Denis Medvedev, Batyr Annadurdyev, Yuri Baranov
The Four Seasons – Spring: Elena Andrienko
Summer: Anastasia Kurkova
Autumn: Natalia Osipova
Winter: Nelly Kobakhidze
Blue Angel: Anna Rebetskaya
Opera Diva: Daria Vorokhobko

グリゴロ版白鳥に続き、こちらも「お伽話否定ヴァージョン」のシンデレラ。ここでシンデレラを踊るダンサーは厳密に言うと、シンデレラそのものではない・・・という一寸ひねった話になっている。ある小惑星に住む作家が新作を構想中。彼のアシスタントのPtashkaは『シンデレラ』の物語が好きで、作家のイマジネーションを刺激しようと、自らシンデレラ役を演じてみせることを提案。つまり、この版のシンデレラは通常の無垢で純真なヒロインではなく、そのヒロインを演じる役。最終的にはPtashkaの忍耐と演技力は王子との結婚により報われる(仕組んだのは作家)・・・と、虚構が現実になるというオチ。プロコフィエフのシニカルでダークなスコアに因襲的なお伽話は似合わない・・・と言えなくもないので、これはなかなかクレバーな演出ではなかろうか。

常にクールな視点を持ち続けている(はずの)演技者・シンデレラ役はザハロワ。普通のお伽話ヴァージョンだと、ザハロワが灰かぶり??と却って説得力がないかもしれないけれど、この現代風・シンデレラはまずまず適役。あえて難を言うと振付との相性・・・わりと流れるような柔らかな動きが多かったと思うのだけど、それが硬質な彼女にはあまり合っていなかったような・・・。継母とアグリー・シスターズは徹底して戯画的に描かれている。シスターズはとてもふくよかに見えて(実際そうなのかも)、ピンクのチュチュを着てぎこちなく動く姿はミス・ピギーのようだった・・・。(ダンス教師役のヤーニンはコミカルで踊りは上手いし大いに楽しませてくれました。)四季の精たちは連日ソロイスト役で登場しているアンドリエンコ、オシーポワ、コバヒゼに加えてクルコワ。皆さん相変わらず綺麗で上手いです。他にはこの版ならではの?登場人物である青い天使(サイレント映画のスター)とオペラ・ディーヴァのうち、青い天使を踊ったレベツカヤが小粋でセクシーな舞台姿で印象に残った。2幕の宮廷の舞踏会シーンではおかっぱ頭にチャールストン風のドレスを見に着けたフラッパーガールズと軍服&黒スーツ姿の男の子たちが登場。(この冒頭のワルツの振付はいただけなかった。もっと大胆にスゥイングしてほしかった・・・)

演出だけでなく小道具・衣装に色々と面白いアイデアを詰め込んで観客のウケを狙う、サービス精神が感じられる作りになっている(これはバレエに思い入れのない一般客の方がより楽しめるんじゃないかなあ・・・と思われる)。四季の精のアテンダントとしてトンボやバッタやひまわり人間が登場するのには仰天。ちなみに観客に一番ウケていたのは、舞踏会のお開きの場で大階段にズラリと並んだ招待客たちが両手にもったオレンジを振りかざすシーン。何故か妙に可笑しい・・・(友人いわく、あれは宝塚歌劇団の”Oh宝塚!”そのものだとか・・・)

えっと、突然ですがここから超ミーハー・モードに入りますのでご注意を・・・

私にとって昨夜の最大の収穫、それはフィーリン王子を見られたこと!全身白ずくめのいでたち(白の軍服風衣装に白のブーツ)が素晴らしくお似合いで、驚いたことに髪型が白鳥の時と全然違っていた!変型マッシュルーム?前髪を降ろして全体にふんわりボリュームつけていて(60年代GSまたはビートルズ風)、サイドは流してるんですが(パートリッジ・ファミリーのデヴィッド・キャシディ風)、もうもう可愛いのなんの・・・35歳にしてこの可愛さは反則でしょ~~!フラッパーガールズの熱い視線を浴びながら彼女達と踊っている時はノーブルでイノセントなんだけど、時折ちらりと見せるニヒルな表情が、なんとも色っぽくて素敵。もう~フィーリンから一時も目が離せない~状態に突入。

王子は2幕の途中からやっと登場してくれるのですが(待ち時間が長いのよ・・・)、その登場の仕方が、まるでアイドル歌手(笑)。舞台中央の大階段の手すりの中央あたりからダーッと滑り降りて颯爽とご登場。シンデレラが王子の前に姿を現すときもこの手すりを滑ってくるんだけど、その彼女をしっかり待ち構えてキャッチ。昨夜も踊り自体は彼の基準からしたら6,7割程度に見えたけれど、ひたすらエレガントにザハロワをサポートする姿に感涙しました。最後のpddは振りもなかなか美しく、よかったです・・・(ここでは寝室のロミオ風・白いブラウスの前をはだけて熱演してました)。白鳥の時もそうだったのですが、何度も続くカーテンコール、最後にパートナーに膝まづいてレヴェランスする・それはそれは美しい姿にしっかりKOされてしまいました。

・・・ということで、今回のボリショイ・ツアー、私的にはすっかりフィーリン祭りと化しつつあります(笑)。次は、『明るい小川』です!

<おまけ>いつものballet.coのギャラリーで写真が見られます(なぜか一幕だけでフィーリン王子がいないんですが・泣)。

http://www.ballet.co.uk/gallery/jr_bolshoi_cinderella_0806
2006-08-09 09:17 | ボリショイ・バレエ | Comment(6)
Comment
Naokoさん、やっぱりフィーリンにノックアウトされましたね~(笑)。いや~、かっこいいでしょ、シンデレラの王子役のフィーリン!男の色気満載って感じですよね(何故かツボが一緒かも)。「明るい小川」のフィーリンも最高ですよ~。お楽しみに!(ニカさんファンの私ですら、この演目のこの役はフィーリンが一番だと思う!)

http://www.bolshoi.net/balet/cinderella/libretto.htm

こちらのページのカメラマークをクリックすると「シンデレラ」の舞台写真が見れます。1番上のは1幕、真ん中は2幕(フィーリンもあります!)、そして一番下のはお稽古場の様子です。お稽古場の写真の中で、一番下の一番右の写真のフィーリンのお稽古着が個人的に思いっきりツボりました(笑)

あ、ちなみにアグリー・シスターズは勿論肉襦袢着てますよ~。
けいちか 2006/08/09(水) 15:00:32) 編集

ひゃ~~けいちかさん 貴重なサイトのご紹介有難うございます!

わーい フィーリン王子が一杯!私もお稽古着姿でどツボにはまりました(爆)。一番下の中央のザハロワとの2ショット、美しいですねえ・・・真剣なまなざしが素敵だわ~ほれぼれ。

今回けいちかさんのお薦めに従ってフィーリンでシンデレラの王子を見ておいて本当によかったです。今後ともアドバイスをどうぞ宜しく。(アグリー・シスターズについても有難うございました。イギリスらしいというか、新聞評についている写真はシスターズのものが一番多いのです。ザハロワもちょっとありましたが、フィーリン王子のは全然ありません!怒)

さてさて、いよいよ明日はロンドン・プレミエの『明るい小川』!ロンドンのバレエファン全員集結で盛り上がりますよ~ きっと。いや~楽しみだ。今日<こそ>は早く寝なければ・・・・
Naoko S 2006/08/10(木) 05:01:19) 編集

Naoko Sさん、初めまして。いつも楽しく拝読しております。今夜(9日)のフィーリン、残念ながら前髪を固めていて、完璧マッシュルームではありませんでした。踊るにつれ、少しづつ前髪がはらりと額にかかっては来ましたが...今夜はザハロワが舞踏会を去る時に落さねばならない肝心のガラスの靴を受取り損ねて(?)落せず、従ってフィーリンもキョロキョロと探して困ってましたー。
Partita 2006/08/10(木) 07:56:14) 編集

Partitaさん 初めまして。貴重な情報を有難うございました!!

なななんと昨夜はフィーリンの髪型かわってたんですね!ということは初日はとても貴重なものを見られたわけか・・・(でも、動くにつれ前髪がはらりと額にかかるというお姿も見てみたかったですわ~)

Partitaさんは今夜のThe Bright Streamご覧になったでしょうか?フィーリン最高!!!!でしたね(・・・はは強制してすみません)。明日も彼が踊ってくれるのなら手持ちのチケットをグレードアップしたいくらいです!
Naoko S 2006/08/11(金) 07:39:15) 編集

あんなにベレー帽(?)が似合うロシア人も、彼以外にいないのではないでしょうか。シルフィード・チックなお衣装&見事なドラッグ姿に完全にノック・アウトされました!
Partita 2006/08/12(土) 07:23:49) 編集

Partitaさんもご覧になったんですね!<明るい小川

フィーリン、本当に素敵でしたよねえ これは彼の代表作になるかも?詳しくは別稿にて・・・
Naoko S 2006/08/13(日) 06:55:36) 編集

コメントを書く
#

管理者にだけ表示
06
--
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
--
>>
<<
--