パリオペの「サンドリヨン」開幕
昨夜の初日がストで流れて開幕が今夜にずれこんだオペラ座のサンドリヨン(シンデレラ)。さきほど公式サイトに行ってみたら、本日付で最新キャスト情報がアップされていました。

http://www.operadeparis.fr/Saison-2006-2007/Distribution.asp?Id=994

ななんと、今夜はオレリー&ルグリなんですね~。そういえば、ダンソマニにエルヴェは怪我でプレミエは踊れないようだ・・・と書いてあったけど、大丈夫なのかしら??今のところ今月後半の映像撮りの時には間に合うようですが・・・(ところで、今のキャストで映像を残すのも勿論結構なんだけど、私的にはサンドリヨンに関してはビデオになっているものをdvdで再販してほしいなぁ。なんたってヌレエフがパリの愛弟子達と共演する姿を見られる、唯一の映像なんだから!)

あとリストをざっと見て気づいたのですが、今回アレッシオはプロフェッサー役にキャストされていないのね!あんなにニッカーボッカーとキャメル色のタートルネックが似合ってチャーミングなダンス教師もいないのに・・・残念。一方、ドロテの名前がしっかりリストされていたのには心底ホッとしました。

私は今回はパスするつもりなのですが、どうしてもパリまで行って見なければ!という気分にイマイチなれないこともあるけど、前回あまりに素晴らしいものを見てしまったので未だちょっと封印しておきたい・・・という気分もあるんですよねー。ちょうど2年前の今頃、主役ペアはオレリーとジャン=ギー。この二人が何しろもう素晴らしくて、細かな不満はさておき、夢のようなシンデレラだった・・・(遠い目)。私はこの同じ年の秋にガルニエで行われたマリインスキー・ガラでロパートキナと共演する姿を見てジャン=ギーに開眼したのですが(遅すぎ!)、そういう思い出もあって特に印象深いのでした。懐古の情にかられて当時書いたレビューを引っ張り出してみたのですが・・・こんな感じです。(当時KARENさんが運営なさっていたバレエ・フォーラムに寄稿したものです。)


☆パリ・オペラ座バレエ『サンドリヨン』 20042005年4月30日鑑賞

シンデレラ: オレリー・デュポン
スター俳優: ジャン=ギョーム・バール
意地悪姉妹: ナタリー・リケ、ノルウェン・ダニール
継母: エマニュエル・ティボー
プロデューサー: ウィルフリード・ロモリ
ダンス教師: アレッシオ・カルボネ
父親: ローラン・ケヴァル

この夜の感想は、「オレリー最高!」これに尽きます。全幕を通じてオレリーの輝きがどんな宝石よりもきらきらと美しくガルニエの舞台を照らして、バレエを見る喜びを与えてくれました。最近は彼女の舞台を見るたびに、予想をはるかに超える感動をもらっているのですが、この日もまさにそうでした。洗練されたパリジェンヌのオレリーが、灰かぶりなんてどうなることやら・・・というこちらの先入観を裏切り、今まで見たどのシンデレラよりもごく自然に、すんなりと物語に引き込んでくれて。何よりもまず表情が魅力的。映画スターに憧れる純真無垢な子供のような表情、舞踏会から現実に戻り、夢のひと時を思い出してうっとりする表情・・・彼女の夢見るような瞳を見ていたら、お伽噺の中のお伽噺で、主人公の造形なんてことさら考えたこともなかったこの作品を新しい目で見ることができたような気がします。シンデレラという女の子の美徳は、辛い現実に耐えて幸福を勝ち取った忍耐力にではなく、むしろ夢を見る力を人一倍強く持っていたことなんじゃないかなぁ・・・とか。ポジティヴに夢見るオレリーのシンデレラには、けなげさはあっても哀れっぽさは微塵もありません。彼女のキリっとした端正な美しさに「変身前」の地味なグレーの衣装がことさら映えていました。(私はちらちらとオードリー・ヘップバーンの、清潔で気品ある美しさを思い出していました・・・)踊りの方も、今回ほど彼女が素晴らしい音楽性を持ったダンサーだと思えたことはありません。プロコフィエフの不安定でシニカルなスコアに難なくのって、複雑に見えるヌレエフの振付も完全にものにしていました。ラ・シルフィードの映像を何度も見て感じていたのですが、オレリーはクラシックの定石を外れるようなことは決してしないけれど、その枠からちょっとだけ、ユニークな彼女ならではの個性がハミ出してしまう、そこが私の目にはなんともスリリングで魅力的。今回、踊りについては、一つ一つの動きが練りに練られたもの・彼女の中で完全に消化されている、という印象があり、今の彼女の充実ぶりがひしひしと伝わってきました。

オレリーのお相手は、実に久しぶりに見るバール。彼については、個性派ぞろいのパリオペ男性エトワール陣の中にあって無色透明な存在、という個人的印象があるのですが、その没個性という個性がこの役にぴったり。踊りもサポートも手堅く、品が良くて、女性ダンサーをきちんと立てる騎士的なマナー。何よりシンデレラを優しく包み込むような王子様の表情が見ているこちらにも安心感を与えてくれます。オレリーもとても踊りやすかったのではないかしら。

意地悪姉さんにはナタリー・リケとノルウェン・ダニール。この二人は3幕のディヴェルティスマン(スペインと中国の踊り)が表現力豊かで素晴らしかったです(特にリケのスペインは大人の魅力たっぷりでした)。継母役のティボーは女装が全く違和感なくて、ポワントシューズもしっかり履きこなしてましたが、願わくばもうちょっと踊ってほしかったなぁ。そして、こちらも最後にいつ見たのか思い出せないぐらい久しぶりのアレッシオ@ダンス教師役。キャメルのタートル・セーターに同系色チェック柄のニッカーボッカー&ちょび髭、このいでたちがハマリ過ぎ。なんともチャーミングなダンサーですよねぇ この役は踊るシーンがかなりあるのですが、もっともっと踊ってほしかった!

<再度・オレリーのシンデレラについて>明るい未来が待っていることに疑いを持たない女の子、という感じでお茶目でもありました。忘れられないのは、最後のpddでオレリーが見せた幸せ一杯でとろけそう・・・というような、とっても柔らかな表情。彼女一体何があったんだろう?と邪推したくなるほど素敵だったのですよ。チャップリンの衣装で踊ったタップ・ダンスも決まってましたよ。

ヌレエフ版シンデレラはこれ以前にはギエム&ジュドの映像でしか知らなかったのですが、私的には特別好きなヴァージョンというわけではなくて。今回舞台を実見して、やはり作品としては今ひとつ入り込めない部分もありました。舞台をハリウッドに設定したアイデアはユニークでいいと思うけれど、肝心の映画撮影シーンを挿入したディヴェルティスマンはイマイチ遊び心に欠ける気がしたし、長くてちょっとだれてしまいました(もっと大胆にお遊びに徹底してもいいのでは?キングコングも全然愛嬌がないし!)。何より群舞の振付が面白く感じられなかったのが大きいかも・・・舞踏会でもっとも有名なワルツを使ったシーンがありますが、ここで思いっきりスゥイングしてくれないともうこちらは全然ノレない・酔わせてもらえない・・・この振付は私にはダメでした(そういえば四季の振付も全く印象に残ってない・・・)。

と、苦情ばかりが続いてしまいますが、これらの弱点を補って余りあるのが最後のpddでした。理想のパートナーを探し当てたスター俳優が、みすぼらしいグレーのドレスのままのシンデレラと踊り始めるシーン。彼がシンデレラを抱き上げてゆっくりと動き、シンデレラが子供のように彼に身を任せるシーンがあるのですが、なんとも暖かな優しさに満ちていてグッときてしまいました。このpddで印象的だったのは、オレリーが常にバールを目で追いながら踊っていたことです。まるで彼から目を離すとこの夢のような瞬間が消えてしまう・・・と思っているかのように。途中シンデレラは女優のドレスにお召しかえして踊ります。リフトを多用した振付で、音楽がプロコフィエフということもあり、マクミラン版R&Jのバルコニーのpddをちらっと思い出したりしました。(マクミランの振付のアクロバティックなところはなかったですが。)上手く表現できないのですが、ヌレエフの振付で、こんなに優しさに満ちたpddは他にあまり思い出せないぐらいです。このpddはとっても好きになりました・・・・。 (引用終)


ああ~思い出すなあ あのオレリーのとろけそうな表情。以前Chaumetの広報誌にモデル兼フィーチャー・アーティストとして登場していたオレリー。「彼女の好きなパートナーはルグリとバール」と書いてあって、へえー オレリーはパリの正統派王子と踊るのが好きなのね~と思ったものですが、確かにあれほど自分を輝かせてくれるパートナーならそりゃ好きになるでしょうねえ・・・と、この舞台を見た後で深く納得したのでした。ジャン=ギーはここのところ健康状態を理由に古典全幕の主役を踊る機会が減っていますが、今回彼がプリンスを踊らないのは、返す返すも残念です・・・。
2007-04-12 00:14 | パリ・オペラ座バレエ | Comment(7)
Comment
立て続けに失礼します。^^;

はあ~。羨ましいです~。こんないい舞台を見てしまったら、しばらくは同じ演目は見たくなくなってしまいますよね~。今回無事オレリー×エルヴェでフィルム撮りされれば、オレリーのシンデレラが拝める!私、オレリー(も)大好きですから~。(近年ぐんぐん良くなって、とても嬉しい。) まぁ、生の舞台には敵いませんし、エルヴェも本調子ではない(であろう)けど、見られるだけでいいですわ。フランスではこの『シンデレラ』が4月30日にテレビで放送されることになってるようですよね。エルヴェの怪我の回復が本当の意味で間に合うといいなぁと願ってます。

ジャン=ギーはさぞかしサポートが上手いのでしょうね。パリでのヌレエフ・ガラ(「Hommage à Nureeve」 観たのです、私。)でのルディエールとのシンデレラpddも、全てが流れるようで素晴らしかったですよね。「このpddってこんなに素敵だったんだ!」ってそのとき思いました。

ドロテの復帰は嬉しいですね~。アレッシオはどうしたのかしらん。ヤン・サイズも。(夏の東京は大丈夫だろうか。)
mizuko 2007/04/12(木) 13:07:41) 編集


オレリーは本当に、年々目を見張る充実ぶりですよね~。エルヴェもここは何とか踏ん張って、キラキラの王子様オーラで魅了してほしいです。(キャー 想像してたら、やっぱり見たいかもー!)本国では早くも4月にTV放送ですか!日本にもそのうちいくのでしょうね いいなあ・・・

ヌレエフ・ガラ、私見てないんですよ~ ジャン=ギーとルディエールのシンデレラpdd、羨ましすぎですー!

あ ほんとだヤン君の名前がない・・・彼もコンスタントに舞台に登場していることが少なくて、心配(&残念)なダンサーの一人ですね・・・怪我でないといいんだけど。
Naoko S 2007/04/13(金) 07:37:06) 編集

ええっ!?ヌレエフ・ガラをご覧になってなかったのですかー!?おぉ、Naokoさんともあろうお方が。。。
このお二人のシンデレラpddは、このガラの白眉の一つでした。もう一つは、イレールとルグリによる初の「さすらう若者の歌」。
むっふっふ。なんかちょっと優越感~。

今回のサンドリヨンですが、ダンソマニのハイドンさんのコメントを読むまで気がつかなかったんですけど、意地悪な姉からミリアムの名前も消えてるみたいです。すごく興味があったのに、残念。
mizuko 2007/04/13(金) 23:37:31) 編集

そうそう、Naoko Sさんはオレリー×ジャン・ギーをご覧になっているんですよね~。エルヴェも楽しみだけど、でもジャン・ギーのスター俳優、観たかったです~。彼との出会いは、来日公演でのニコラ降板が最初だったけど、そのショックの割りに、印象良かったんですよねー。でも、それ以来全幕の主役は観れてません~。早く本調子になってバンバン踊って欲しいです。
はなはな 2007/04/13(金) 23:51:51) 編集


mizukoさん 私は比較的頻繁にパリに行くようになったのはほんとにここ数年のことなんで、特別公演でも見てないもの沢山ありますよ。さすらう~も初めて見たのは東京ででした。しかし、さすらう~と並んで強く印象に残るほど素晴らしいシンデレラpddだったとは!見てみたかったですねえ。


はなはなさん 残念ながら、ジャン=ギーが今後古典作品の主役を踊る回数はどんどん減るような気がします。(もっとも来シーズンなんて古典はほとんど上演しないから機会すらないわけですが・・・)ここ2年ぐらいの間にジャン=ギーの長文インタビューを3本読みましたが、その中で健康上の理由(おそらく怪我の蓄積と思われる)で、労働量の多い古典作品をこなすことが困難になっている・・・と語っていましたので。最近キャラクター系に転身を図りつつあるように?見えるのは、彼自身そうした役により興味をひかれているらしいことに加え、「健康上の理由」も影響しているのかもしれません・・・。
Naoko S 2007/04/14(土) 02:04:30) 編集

そうですか・・・ジャン・ギーがそれ程までに素晴らしいサポート術を心得る古典作品の名パートナーだったとは・・・。
オレリーのお墨付き。
そしてヌレエフ・ガラでのルディエールとのPDDでも、とは 余程のゆるぎない実力に対する評価、と見てよろしいのでしょう。
そして、その興味が湧いてきたときには時すでに遅く、「健康上の理由」により、方向性を転換しつつある・・・とはなんとも皮肉な話ですわ(;;)。

ところで「シンデレラ」役のオレリーの素晴らしさについて書かれた部分を読んでいて、やっぱり!と思ったのは、昨年の東京公演での「パキータ」でも、同じようなことを感じましたので・・・。

>哀れっぽさは微塵もありません。彼女のキリっとした端正な美しさ 中略 私はちらちらとオードリー・ヘップバーンの、清潔で気品ある美しさを思い出していました・・・

本当に、灰かぶりと見せて実はお姫様、ジプシー娘と見せて実は貴族の血を引くもの・・・という設定が無理なく演じられる明るさと品の良さと彼女ならではのサムシングをチャーミングにプレゼンテーションできるあたり、オレリーの充実振りを現しています。
彼女が古典の主役を演じるたびに、高まる期待を抑えることが出来ないゆえんですね。あぁ、8月が待ち遠しい☆

ティボー君の継母、アレッシオのダンス教師にも反応してしまいました。さぞかし楽しめる舞台だったことでしょう!!


maria 2007/04/14(土) 21:28:20) 編集


そうなんですよmariaさま・・・ジャン=ギーの魅力に気づくのがいかんせん遅すぎた私です。ここ数年インタビューを読むにつけ、彼がいかに古典を愛し、確固たる信念を持った・尊敬すべき人物であるかを思い知らされ、思慕の念を募らせているんですけど・・・(涙)。

あぁ~そうですよね mariaさん&皆さんは今夏ルグリ・ガラがありますものねー いいなぁぁ。オレリーのパキータは日本公演の時大好評だったんですよね。私は来シーズンやっと見ることができるかしら?これは、すごく楽しみにしています♪ 
Naoko S 2007/04/15(日) 05:44:22) 編集

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