スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
-------- --:-- | スポンサー広告
「白鳥の湖」オンTV
BBCのチャイコフスキー・エクスペリエンスが昨日スタートしました。開幕プロはミニ・ドキュメント"Magic of Swan Lake”と、マリインスキー・バレエの「白鳥の湖」・劇場中継

Magic・・・はバレエ史上最も有名かつ人気のあるこの作品の魅力にダーシー・バッセルが迫る30分のドキュメンタリー。ダーシーはナレーター兼ダンス・デモンストレーターとして登場、ロベルト・ボッレとのリハーサル風景や(オデットがジークフリートと出会い身の上を語るマイムシーンを言葉で説明しながら見せていたところが面白かった)、ロイヤル・バレエ・スクールの生徒達にお手本を見せるシーンで登場(グラン・フェッテがすごい迫力だった!)。

ほかコメンテーターとして登場したのは以下の皆さん: ロパートキナ、ゲルギエフ、ヴァジエフ、マシュー・ボーン、アダム・クーパー、ロイヤル・バレエのリハーサル・ピアニスト、ジュディス・マックレル(舞踊評論家)、絵本作家の方(子供に人気のバレエ絵本「アンジェリーナ・バレリーナ」の作者)。(注:この他にもいたかもしれませんが今思い出せないのでご容赦のほどを。)

内容は明らかにバレエに馴染みのない、特に若い視聴者をターゲットにしているように見えました。非常にわかりやすく作品の概要を解説していて、イギリス人なら誰でも知っている(おそらく)バレリーナ・ダーシーを進行役に起用していたせいもあり、一般の視聴者にもとっつき易かったのではないかしら。過去の映像がちらちらと挿入されていたけど、私的に珍しかったのはナタリア・マカロワとミカエル・ドナールの踊る白鳥湖のアダージョ・シーン(これは初めて見ました)。

続いて放送されたマリインスキー・バレエの劇場中継もドキュメンタリーと同様の意図で編集された、バレエ初心者向けヴァージョン。BBCは今回の劇場中継を、「世界的に知られたキーロフ・マリインキー劇場版をベースに今回BBCのため特別に制作された『白鳥の湖』」と宣伝していたのですが、これは本当でした。放送枠はなんと一時間半(!)、この中に、素人ビューワーの忍耐力に耐え得る、素人目にもアピールする場面のみを厳選して(?)編集された、ダイジェスト版・白鳥でした。

大胆にもカットされた場面は一見してわかっただけで・・・・一幕一場:ワルツ、ポロネーズの前半(道化のソロもなし!)、一幕二場:アダージョの直前にアンサンブルが踊る部分、コーダ、ニ幕:花嫁候補の踊り、チャルダッシュ、マズルカ、三幕:前半のアンサンブルのみの踊りほぼ全部--放送されたのはオデット登場シーンから。(・・・これらは私にもすぐにわかったメジャーな削除部分なので、おそらく他にも細かなカットは多々あっただろうと思います。) 

カメラワークはクローズアップが多すぎ、時にスタジオ撮りではないかと思わされるショットが入っている点も含めて、やたらとこのバレエを<過剰に>ドラマティックに見せたいという意図がミエミエ。主要な場面転換の度にポーズが入りダーシーのナレーションがかぶさる・・・という「親切さ」も含めて、徹底して制作者の意図はこのバレエ作品をより広いオーディエンスにむけアピールしたい、という点にあるのは明白で、その意味ではある程度成功していたのではないか・・・と思います。

この二つの作品はセットで見るべきで、実際、続けて鑑賞したら結構楽しめました。バレエファンとしてはマリインスキーの白鳥は全幕で見たかったけれど、まあ今回の放送はコアなバレエファンのことは全く念頭に置いていないかのようなつくりなので、それは仕方ない。国営放送局であるBBCがバレエ芸術をより一般に広めたいと明確な意図をもって企画したのであればそれは結構なことだし、賞賛に値しますが・・・。

私が唯一腑に落ちなかったのは、なぜよりにもよってこの企画にマリインスキーの白鳥を選んだのか?ということ。セルゲイエフ版白鳥は現在世界のメジャーなバレエ団で上演される白鳥の中で最も純粋に踊りに全てを語らせる(舞踊の力だけでみせる)ヴァージョンと言ってまるで間違いではないと思うのですが、その特徴がこのフレームの中で活かされていたかというと?

しかも、主役はロパートキナです。彼女は表現者として特別シアトリカルな表現(特に英国の視聴者が好むような)に秀でているわけではなく(そもそもそういう伝統の中に育っていない)、むしろその対極にあると言っていいバレリーナ。(ロパートキナは演技をしない、と言っているわけではなくて、彼女の最も非凡な資質は、抽象表現に優れていることにあると思っているので・・・) 一般の視聴者によりアピールするよう狙ったのか、時としてことさらこのバレエをメロドラマティックにみせよう、という意図を演出に感じたのだけど、ロパートキナは勿論この目論見には加担できません。(勿論彼女は十分に美しく・白鳥の化身そのものに見えたので、邪念のない視聴者にはすんなり受け入れられたであろう、とは思いますが・・・)私的にはロパートキナの白鳥(特に白鳥湖のシーン)がなまじ様式としてほぼ完成されている分、このフレームの中では時に様式美だけが突出して、一歩誤ると陳腐に見えかねないきわどさを感じてしまった。(これが単純に演出のせいなのか、それとも自分が今の彼女の白鳥に感じてしまう一種の「勤続疲労」のせいなのか、判断しかねるのがつらいところなんですが・・・)

で、このコンテクストの中では、例えばロイヤル・バレエの白鳥を放送した方がより狙っていた「効果」をあげられたのではないか?などと思ってしまったわけです。番組の感想、バレエ・ファンでなく一般の視聴者に是非聞いてみたいものです。

フレームのことはさておき純粋にバレエについて言えば、ソリストと群舞の踊りはなかなかに楽しめたし、何よりコルスンツェフの成長振り(って、偉そうでスミマセン・・・)には驚きました。以前と比べると格段に自信に満ちたジークフリートで、表情豊かなパフォーマンスをみせてくれて好感度大。(ただ、ロパートキナとの間にはやはりケミストリーは感じられないのよねえ・・・)そしてクズネツォフのロットバルト。セルゲイエフ版はメークも可哀想すぎることになっていてあまり報われない役にもかかわらず、これだけ楽しませてくれるなんてエラい!私は個人的に彼がジークフリートでロパートキナとの白鳥を見たいのですが、実現の可能性ないかしら・・・あれだけしっかり彼女をリフトできるんだし、是非ペアを組んで頂きたいのだけど、どうでしょう?ロパートキナは05年夏に見たときと同様、オデットよりもオディールの方が、そして最終幕がとてもよかった。昨年夏ロパートキナの白鳥が映像撮りされると聞いたときに、思わず、「3-5年後にしてくれないかなあ・・・」とリアクションしてしまったのですが、これを見てやっぱりそう感じてしまいました。数年後にもう一度、今度はごく普通のカメラワークで、音楽はより普通のテンポで、彼女の白鳥の舞台を再録していただきたい・・・切に希望します。
2007-01-23 07:57 | マリインスキー・バレエ | Comment(3)
Comment
なるほど、そういう趣旨の番組だったのですね。NHK BSで放送された「白鳥の湖」は2時間13分でしたから、単純に考えて43分のカットですねえ。そのうえポーズやダーシーのナレーション付きとなると、もっと削られているのかしら…。あ、カメラワークはやっぱりアップが多かったです…。

"Magic of Swan Lake”、ダーシーとボッレのリハ風景が楽しみです! さっき姉から無事に録画できた(ファイナライズもできた)とメールがあったので、DVDが届くのが楽しみです♪
はなはな 2007/01/23(火) 23:30:29) 編集

なんとも楽しそうな番組・・・。
イーサン・スティーフェルがコンラッド、アリはコレーラ、マラーホフがランケダムをコミカルに演じたABTの「海賊」を思い出しました。
ダーシーはバレエ番組のナビゲーターとしては最適かも!

で、ご紹介されるのがマリインスキーの白鳥、しかもロパートキナ、というのがトーンとしては合わない・・・。
たしかにその通りでございますわ、

初心者にも(初心者だからこそ!)一流の芸術から入って欲しいという演出意図は充分に組んだ上で、やはり、他のチョイスもあったのでは?とクチを挟みたくなります(笑)


maria 2007/01/24(水) 01:22:00) 編集


はなはなさん お姉さまが無事録画してくださったのですね どうぞお楽しみに~。(ダーシーはとってもチャーミングでしたよん)

NHK-BS版はノーカットだったんでしょうか。さすがバレエ大国・日本ですよねえ だって白鳥の湖の劇場中継で1時間半の放送枠なんてことしたら日本だったら暴動が起きそう(笑)。イギリスではなにせバレエはごく一部(しかも中流以上)の年寄りの娯楽と思われているようなところがありますから、簡略版ではあってもともかくこういうアプローチしやすい形で見せたことには意義はあったと思うんですが・・・


mariaさん

>>ダーシーはバレエ番組のナビゲーターとしては最適かも!

ええ ぴったりでしたよ。彼女がずっとデモして見せるので、その後の本番・舞台映像でもきっと彼女が踊るんだろう、と期待して見ていた視聴者も多かったのでは・・・。

>>で、ご紹介されるのがマリインスキーの白鳥、しかもロパートキナ、というのがトーンとしては合わない・・・。
たしかにその通りでございますわ、

ん~ でも今にして思えば、特に違和感なく見て楽しんだ方も多かったかも・・・という気になったりもします(やっぱりロパートキナですしねー と、気持ちが揺れちゃって・・・ゴメンナサイ)。

私はセルゲイエフ版白鳥には愛着をもっていますし、ロパートキナには思い入れがありすぎるので、これは、まあそういうファンの戯言ということで・・・。
Naoko S 2007/01/24(水) 09:21:27) 編集

コメントを書く
#

管理者にだけ表示
10
--
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
--
>>
<<
--
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。