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ロイヤル・バレエ&スクールのドキュメンタリー
過日TV放送された、ロイヤルバレエの舞台裏に潜入したドキュメンタリー・"The Royal Ballet: Dreams to Reality”(12月26日、BBC2)。ダンサー/スクールの生徒達へのインタビュー、リハーサル風景と舞台映像から成る一時間の番組でなかなか見応えがありました。

タイトルの"Dreams to Reality”は、コール・ドの女性ダンサー、アイオナ・ルーツのコメントからとられたもの。子供の頃から生活はレッスン一色、熾烈な競争を勝ち抜いた者だけがプロのダンサーになることができ、さらにその中のほんの一握りの選ばれた人間だけがトップに立つことができる・・・それがバレエの世界の厳しい現実。アイオナはロイヤル・バレエに入団するという子供の時の目的は達成したものの現実はバラ色というわけではなく、夢見ていた生活とのギャップに折り合いをつけなければいけない・・・と。

クラシック・バレエという魔物に魅入られてしまった人々が生きる夢と現実・・・否が応でも映画『エトワール』(パリオペラ座のダンサー達を追ったドキュメンタリー)を思い出してしまいました。以下に、印象的だったコメントを抄訳して番組のラフな再現を試みてみます。

オープニング: 今年6月に初演された”Homage to the Queen”から”Earth”のパート(主役ペアはリヤーン・ベンジャミンとフェデリコ・ボネッリ)とフィナーレ部分の舞台映像、続いてロイヤル・バレエ・スクールのオーディションの模様。

- 海賊のpddリハーサル中のダーシー・バッセルとカルロス・アコスタ(ともにプリンシパル・ゲスト・アーティスト)。

バッセル(楽屋でメークしながら質問に答える): 私は37歳で二人の子持ち。二人目の子を産んだ後戻ってこれるとは思いもしなかった。こんなケースは初めてよ・・・まだ舞台に立っていられるなんてボーナスみたいなもの。プリンシパル・ダンサーと母親業の両立は大変!まだはっきり言えないけれど、この先あまり長く踊るつもりはないの。《若い頃とは身体が変わってきていることをどう思うか?》 周囲の人たちは若い頃と全然変わらないって口々に言うけど・・・まぁ、そう言ってくれてるだけよね。《リハーサル・スタジオに戻って同じ質問をカルロスに。ダーシーの腰にそっと手を回しながら》 年を重ねて芳醇さをます赤ワインみたいなものだよ・・・年取ってさらによくなるのさ!

- ロイヤル・バレエ・スクール(以下RBS)。アコスタをアイドル視する黒人の男子生徒: バレエ団に一人しか黒人のプリンシパル・ダンサーがいないっていう状況はちょっとさびしいけど、でも彼が踊る姿を見ると奮起するね・・・彼にできるなら僕にだって!ってね。《貴方もプリンシパル・ダンサーになりたい?》 勿論。ものすごく、ね。なんていうか・・・僕がどれほど、心底プリンシパル・ダンサーになりたいと思っているか、誰にもわからないだろうね。

- ”Homage to the Queen/Air”のpddリハーサル中のタマラ・ロッホ(プリンシパル)とルパート・ペンファーザー(ファースト・ソロイスト)。コーチはジョナサン・コープ。

ロッホ: 学校のジムでやっていたバレエのレッスンを受けたのがきっかけでこの道に。何年も持つように、と母が子供の私にサイズのすごく大きなトウシューズを買ってくれたわ・・・ 《年齢は?という質問に笑いながら》 教えないわよ!うーん そうねえすごく若くも歳とってもいない。一般的には一番ダンサーとしていい時期だと思われている・・・うん、多分今すごくいい時期にいると思うわ。バレエの素晴らしいところは一日のうち数時間だけ、自分以外の色々な人物になれること・・・ドラッグなしで現実逃避できるってわけ!(笑いながら) 私にはバレエはこうあるべき、という自分なりの理想があるけれど、まだそこまで到達していない・・・だから、まだまだ努力が必要なの。("Air”のステージ映像が流れる)

- アイオナ・ルーツ(コール・ド・バレエ): 入団は9年前。バレエ団を支える コール・ドのメンバーよ・・・誰でも憧れるように、ジュリエットを踊るのが夢だった・・・うん、今でもそう。今30歳で、この先これ以上昇進するとは思っていない。入団して数年は完璧なコール・ド・ダンサーになろうと自分を適応させるのに必死だった。気づいたらすっかり集団の中に埋もれてしまって・・・もっと自分を強くアピールすべきだったのよ。夢と現実のギャップは大きいわ・・・一世代に一人しかダーシー・バッセルは生まれない。そんな素晴らしいダンサー達と同じカンパニーに所属しているというだけで誇り、という気持ちはあるわ。大体スターになるべきダンサーにはスタートの時点で別のレールが敷かれていて、才能を見込まれれば準備ができていなくてもどんどんチャンスを与えられる。実際、ダンサーの運命は芸術監督の手に委ねられているのよ。監督に嫌われたら?よそのバレエ団に移るしかないわね!この年になると将来のことがすごく不安になる・・・金銭的なことね。あと5年踊れるとしてもその先は?何か職業訓練を受けなきゃいけなくなるのかしら。冗談じゃなく、「中年の危機」に直面している気分よ・・・

- RBS 15歳の男子生徒: 昔の級友たちにはRBSに来ていることは話してない・・・皆僕はドラマ・スクールに行ったと思ってるよ。子供の頃バレエを習ってることが同級生にわかっていじめにあったんだ。それ以来、バレエのことは親友以外の誰にも話さないことにしてる。

- RBS 15歳の女子生徒: もしもこの学校をやめることになったら何をしようかな・・・軍隊に入るわ!《えー?だってここと軍隊じゃ大違いじゃないの?》 ううん・・・すごく似てるわよ、ほんとに。

- RBS 17歳の女子生徒: ダンサーである以上身体のあちこちに痛みを抱えているのは普通。プロのダンサーに痛み止めの薬は必需品よ。3年前腰を悪くして今も治療中。大体ダンサーって怪我しても誰にも言わずに我慢して治療が遅くなる。口外しないのは、信用を失うのが恐いからよ・・・彼女は怪我してるから踊れない、って言われたくないのよ。夢?ロイヤル・バレエのプリンシパル・ダンサーになること。でも、この職業ではいつ何が起きるかわからないから、バレエ以外の選択肢も常に考えておかなきゃ。

- RBS 18歳の男子生徒: 出身地はグラスゴー郊外の町。ラフな地域で、バレエなんて知ってる人は殆どいない・・・バレエをやっている男はゲイだ、と思われてるんだよ!ほら、タイツ履いたりするから・・・ 夢はプリンシパル・ダンサーになること。ゲスト・ダンサーとして世界のあちこちを回って踊れたら最高だな。《コール・ド・バレエじゃだめなの?》 最初の数年だけならいいけど・・・バレエは毎日本当に集中して努力しなきゃいけないんだ。群舞で踊るためにこんなに苦労してるわけじゃないからね・・・

- スティーヴン・マクレー(コール・ド・バレエ*): ダンスを始めた頃はこれがキャリアになるなんて思いもしなかった。今入団2シーズン目で20歳。 《まだまだ若いから十分時間があるわね》 うーんどうかな 僕は短気な方だからね(笑って)。目標は勿論トップに上り詰めること。プリンシパルになれなくてもファースト・ソロイストでいい・・・なんて言う奴がいるとしたら、ウソついてるだけだよ。ここにいるのは理由があってのこと・・・バックで踊るためじゃないからね!《でもあまり野心的だとみられたくないのでは?》 彼等(バレエ団幹部)は僕が野心的な人間だってこと、よくわかってると思うよ。 (Homage to the Queen: Fireのソロ・ヴァリエーションを踊り喝采をうける舞台映像が流れる)

 *筆者注: マクレーはこの映像撮り直後「ソロイスト」に昇進しました

- ローラ・モレラ(ファースト・ソロイスト): 入団11年目で28歳、ランクはプリンシパルの一歩手前のファースト・ソロイスト。アンダースタディの役については全てのステップを完璧にこなせるし開幕直前まで調整している・・・以前ドン・キホーテの主役を踊ったこともあるわ。舞台の真ん中で踊る味を知っていながらプリンシパルになれないのは正直辛い。なぜ特定の役が回ってこないのか、理由は絶対にわからないからそれも厳しいわ・・・仮にその役にふさわしい脚の形をしていないから、と言われたらショックでしょうけど。自分では変えようがないものね。誰でもどんどん歳をとって残された時間は限られているとわかっているのに特定の役をもらえないのは本当に落ち込むし、時々ひどく疲れを感じる。一旦ステージに上がってしまえば全てOK、と思えるんだけど。

- ラ・フィーユ・マル・ガルデのpddをリハーサル中のカルロス・アコスタとマリアネラ・ヌニェス。

アコスタ: ダンサーに怪我はつきもの。痛みに本当に慣れることなんてないけど、痛み止めを飲んでまたステージに立つしかないんだ。僕は世界中で踊ってるよ・・・昨夜テキサスから戻ってきたばかり(11時間のフライト!)。ラ・フィーユはちょっとトリッキーなバレエで小道具が沢山でてきて・・・

ヌニェス: アルゼンチン出身で24歳、このバレエ団で一番若いプリンシパルよ。一年だけRBSのアッパースクールに在籍してから入団。当時は英語もできないし家族や友達もいないし、慣れるまで本当に大変だったけれど、自分がやりたいことはここにあるとわかっていたので我慢できた。いつも出番の5分前が一番緊張して気分が悪くなるくらい・・・でも音楽が聴こえてきて一旦舞台に立つとすっかり落ち着いて、最高の気分になれるの。

(ラ・フィーユ一幕のpddを舞台脇からカメラが捉える。見せ場のリフトを失敗、その後舞台セット裏で目を瞑って一人身体を休めるアコスタ。肩で息しながら裏方スタッフと短い言葉のやりとり。場面変わってカーテンコール、抱き合う二人の表情がややぎこちない。) ヌニェス: あの失敗はショックだった・・・カルロスの顔を見たら彼がどんな気分かすぐにわかったわ。次回はもっといいものを見せるから、また戻ってきて! アコスタ: ビッグ・リフト以外にも細かいミスがあった・・・リハの時間が足りなかった。舞台ではこういうことが起きるんだよ・・・ 

- RBS 12歳の男子生徒: 僕はプリンシパルじゃなくてファースト・ソロイストになるのが夢。なぜかって?プレッシャーに弱いからプリンシパルはつとまらないと思うんだ。《貴方の人生で一番重要なことは?バレエ?》 ここにいる限りはそうだね バレエだよね・・・人生には他にも色々大切なことはあるけどね 例えば、えーっと えーっと・・・・(しばし考えるけれど何も思いつけない)。サッカー選手になりたいって子はそこいら中にいるけど、バレエダンサーになりたいって子は少ないじゃない。だから、僕にもチャンスはあるね!

- RBS 19歳の女子生徒: 最終学年で今仕事探しの真っ最中よ。私は背が高すぎるのが問題で・・・173cmだけどポワントで立つと10cm以上高くなっちゃうから。ヨーロッパ中のダンス・カンパニーでオーディションを受けたわ、ドイツ、フランス、ベルギー・・・イタリアとスペインはあまり機会がなかったけど。どこでも言われることは同じ。「貴方はとてもいいダンサーだけど、うちにはパートナーになれる男性ダンサーがいない」って・・・膝から下をカットできればいいんだけれどね!実は30近いカンパニーに志願したのよ それで仕事が見つからないなんて・・・落ち込むわ。もう諦めた方がいいのかと思うこともあるけど、8年間バレエ一筋でレッスンに励んできたのに・・・。

- ロイヤル・バレエのクラス風景。バーレッスンするダンサー達。

ローラ・モレラ: バレエは子供の頃からずっと続けていて、自分の全人生をこれに賭けているようなもの・・・だから、私にとって何よりも大切なものなの。

タマラ・ロッホ: 私にとってはバレエが自分の言葉(language)・・・自分にとってすごく自然なもの。11歳の時から踊り続けているから、もうステップを心配する必要はないの。音楽が聴こえてくれば自然と身体が動いてくれるから・・・

カルロス・アコスタ: 最後の舞台が自己ベストの舞台となるようにしたいね!

(ロッホとアコスタがロメオとジュリエット公演のカーテンコールでアプローズに応えるシーンで、幕)

-終-
2007-01-02 04:36 | ロイヤル・バレエ | Comment(3)
Comment
はじめまして。
いつも楽しく読ませて頂いています。
この英国ロイヤルバレエのドキュメンタリー、ぜひ見たいと思っていたので、詳しく説明していただいて、スッキリしました。
ダンサーの内面や生活を取り上げる番組は面白いですよね。
ぜひ日本でも放映して欲しいです。
この記事を私のブログで紹介させていただきました。
これからもロンドンの生情報、期待しております。
haru 2007/01/02(火) 10:15:18) 編集

Naoko Sさん、詳しいご紹介どうもありがとうございました。本当に厳しい現実ですね…。ぜひぜひ映像を観てみたいです。NHKで放送してくれたらいいのになあ…。
はなはな 2007/01/02(火) 22:17:04) 編集

haruさん はじめまして。楽しんで頂けたなら嬉しいです~。これ本当に面白くて、ロイヤル・ファンならずともバレエ・ファンなら是非とも見ていただきたい番組です。貴ブログにお邪魔させて頂きましたが、バレエを踊っていらっしゃるんですね ご自分でも踊られる方がご覧になったら、より一層ダンサー達の発言がリアルに感じられるかもしれません。

はなはなさん 番組が始まって間もなくダーシーとカルロスの海賊リハ風景が映るんですが、もう二人とも大スターの余裕~~ってオーラが凄く出てて印象的でした。pddのフィニッシュで二人が顔を見合わせるところ、ダーシーがにっこり微笑むんですが、とっても華やかで可愛かったです。

Naoko S 2007/01/03(水) 05:38:46) 編集

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