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パリ・オペラ座バレエ 「ジゼル」 12/10
細々と書き綴っていたオレリー&ニコラのジゼルの感想、なんとか最後までこぎつけた・・・(年内にアップできてよかった~)。

<キャスト>

ジゼル: オレリー・デュポン
アルブレヒト: ニコラ・ル・リッシュ

ミルタ:  マリ・アニエス・ジロ
ヒラリオン: ステファン・ファヴォラン
ペザンpdd:  ミリアム・ウルド-ブラム、エマニュエル・ティボー
ドゥ・ウィリ:  ベアトリス・マテル、ナタリー・ケルネ

オレリーとニコラ・・・二人がペアを組むジゼルは前回<非常に視界の悪い席から>一度見ていますが、あの時とは、ニコラがもう・・・まるで別人だった!

前回私が見た日のニコラは調子が悪かったのか、踊りも表情も焦点が定まっていなくてどうも影が薄くて・・・一幕ではカールのヒラリオンに食われているようにすら見えて、オレリーのジゼルがとても個性的で面白かっただけにバランスが悪くてイマイチ消化不良の印象を免れなかった。

で、今回。この夜のニコラは、登場シーンから動きも表情も引き締まっていて、緊迫感が伝わってきていい感じ。一つ一つの演技・ちょっとした動作も細かく、さり気なく彼らしい役の造形で、すごく気持ちが入っていることがわかる・・・ 彼は見るからにノーブル、というタイプではないけれど、穏やかでゆったりした所作にお育ちの良さが伺える・・・というタイプの貴人に見えました。

さて気になる役作り、ニコラのアルブレヒトはどういう男か?というと・・・その特徴はこれに尽きます: ただひたすらに、限りなく、優しい。優しくて若干優柔不断で、地に足のついてないピーターパン型(笑)。まず現実逃避志向があって、ジゼルのことも本気で恋するんだけれど、熱情よりは束の間の甘い夢にひたっていたい・・・という夢想型の恋。夢の恋人であるジゼルを見つめる目は終始優しさに満ちていて、彼女をまるで大事な宝物のように扱う。村人のダンスシーンでジゼルが胸を押さえて苦しがる場面では、彼女の肩をしっかり抱きしめて何度も心配そうに顔を覗き込んで。ヒラリオンに正体を突き止められた直後婚約者・バチルドに鉢合わせして彼女の手に口づけるシーンでは、キスすることができずに彼女の手に顔をうずめてしまう・・・。一幕のニコラの演技は万事ナチュラルで(投げキッスの音もジェスチャーもパリオペ標準からすると控えめ!)演劇性は希薄だけれど、逆に自分の個性を素直に出すことでそのまますんなり現代的で魅力的な若者・恋人像をつくれてしまうところが強味。これはこれで面白い、今の時代のアルブレヒトだなぁ・・・と納得して見られた。

対するオレリーのジゼルは、何よりもまずその<大変な>美貌に感嘆させられる。彼女が登場するや舞台が瞬時に華やいで、そこに存在するだけでドラマ性十分。どんな男でもこの娘に恋せずにはいられないし(アルブレヒトがまじまじとジゼルの顔を見て、何て美しいんだ・・・と衝動的に永遠の愛を誓うマイム・シーン、あの場面が説得力あることこの上ない)、この娘には何か普通でないことが起きるに違いない・・・と予感せざるを得ないような、とんでもない美貌。そこに、この人の持ち味である子供らしさが加わって、快活さと茶目っ気も併せ持つ、なんとも魅力的な少女。(ほぼ)同級生ペアのニコラとの並びはすごく自然で、現代のパリの恋人たちという雰囲気もあった。

そして一幕のオレリーの演技、これは前回よりも大きく・濃くなった印象が。前回のオレリーのジゼルで最も強く印象に残っているのは一幕の狂乱シーン。正気を失ってからのジゼルが、まるで退行現象を起こして幼児に戻ってしまったかのような表情を見せて心底ぞっとさせられたけれど、今回はわりと普通のアプローチ。顔面蒼白でまさに血の気がひいていた(ように見えた)前回に比べ体温が高めの狂乱シーンで、身振りも顔の表情も大きめ。この日のオレリーが凄かったところ・・・アルブレヒトの裏切りを知ったジゼルがショックのあまり錯乱して倒れ、母親に介抱される・・・そこから顔を上げ・身体を起こすと彼女は既にあちらの世界の住人になっていて、この後最後までずっとこのテンションを維持して突っ走っていたこと。ニ幕、オレリーは完璧にコントロールされた動きと感情を極力抑えた静謐な表情で、この世の者ではない存在・ウィリになりきっていました。ニコラのサポートが素晴らしかったせいもあり、ふわりと軽く宙に舞い、水面を滑るようになめらかに森の中を行き来して・・・。抑制された表現は役の透明性を高め、ジゼル2幕はかくあるべし!とすら思えたほどで、オレリーの正統派クラシック・ダンサーとしての素晴らしさを再認識させられた夜でした。

そしてニコラの2幕。クライマックスでミルタに命じられてアルブレヒトが踊るシーン。ニコラのアントルシャ・シスは初めから素晴らしくパワフル・かつ美しいのだけど、それが後半加速度的に凄くなっていったのです・・・。人間業とは思えない、まるで見えない力に踊らされているようにみえて、この場面・この踊りだけで彼はジゼル2幕の超自然性に「リアリティ」を与えてくれました。最終場面、ニコラのアルブレヒトは観客に背を向けもと来た自分の世界に戻って行きます。逃避型の青年が、ようやく現実の世界に向き合う覚悟ができたかのように見えました・・・。

主役二人以外のダンサー達について: ステファン・ファヴォランのヒラリオンは天上桟敷のお客さんにもしっかり届きそうなめりはりある演技でよかったです。ペザンpddは二人並ぶと兄妹のようなミリアムとエマニュエルのペア。ミリアムも溌剌と小気味良い踊りを見せてくれましたが、ここでは何といっても、ティボーのダンス力が爆発!ただ天才的に踊れるダンサーというだけでなく(勿論それだけで十分凄いことだけど)、純粋にその踊りの力だけで観客を異常なまでに興奮させてくれる人なのですよね 彼は・・・。パリオペが何故彼にクラシック作品の主役を踊るチャンスを与えないのか、全くもって不可解・理不尽。まあノーブル役はなかなか回ってこないのかもしれないけれど、パリオペのコーラス(ラ・フィーユ・マル・ガルデ)は貴方しかいないわよ!と、呆れるほどにすごいティボーの踊りを見ながら心中密かにエールを送っていました。ジロのミルタ・・・まさに女王そのものでした。あれだけの威厳とカリスマ、そしてフェミニンさを備えたミルタはそうそう見られるものではないでしょう。ウィリのダンスの終盤にミルタが舞台を斜めにグラン・ジュテでつっきる場面は圧倒的な迫力でゾクゾクしたけれど、ポワント・シューズの音はほとんどしなかった!

本来ならローラン・イレールの引退公演となるはずだった10日のジゼル・・・彼が最も得意としていた役の一つ・アルブレヒトで華やかにガルニエから送り出したかったというのがファンの偽らざる心理。でも、旧世代の偉大なエトワールを送るべき公演で、「今」のパリオペの顔である二人のグラン・エトワールがこれだけ充実した舞台を見せてくれたのだから文句はありません。多少感傷的な気分も手伝って、結局、この夜の舞台はイレールへの最高のはなむけになったのではないか・・・などと感じたことでした。
2006-12-30 08:43 | パリ・オペラ座バレエ | Comment(5)
Comment
わーい、Naoko Sさん、10日のジゼルのレポをどうもありがとうございます。他の方から観たニコラ@アルブレヒトってどうなのか、とっても気になっていたのですよー。そうですか~、なるほど☆ オレリーとのペアも良かったようですね~。

イレールをご覧になれなかったのは本当にとても残念なことですが、でもNaoko Sさんが「イレールへの最高のはなむけになったのではないか」と感じることができた舞台で良かったです。
はなはな 2006/12/31(日) 00:37:45) 編集

ノッている時のニコラの凄さ、あらためて実感した舞台でした。はなはなさんもブログで詳述されていますが、フィルム撮りのキャスト(ニコラ、レティシア、ロモリ、ジロ・・・)もすごく良い出来・・・という話が伝わってきて、いつ映像を見られるのかわかりませんがとっても楽しみです。(フランスのTVが見られるといいのになあ・・・)
Naoko S 2006/12/31(日) 07:52:35) 編集

Naoko様、ジゼルレポ、ありがとうございます。
”永遠の青年”二コラと、今や盛りの美女オレリーとの並び、ちょっと想像しづらかった(この組み合わせを見たことがないので・・・)と思っていたのですが、いや、大変充実した舞台、だったのですね!
二コラの持つあのリアリティ(実際以上に舞台上で生の肉体を感じさせ、それが青春の息吹を伝えるところがこのヒトの持ち味ですよね)、オレリ-の研ぎ澄まされた役の解釈と明るい華やかさのオ-ラ(あんなに美人なのにお茶目な演技もまた自然)、脇にジロさんの無音グラン・ジュテ・・・。

はぁ~。堪能させていただきました!
フィルム撮りはヒラリオンがロモリなのですね、こちらも良さそう、楽しみです♪
maria 2006/12/31(日) 10:36:45) 編集

あ、ティボーくんにコメントし忘れた!

ミリアムとティボーくん、と言えば、日本公演の白鳥で確かトロワとナポリで拝見した・・・。
ミリアムのキラキラ感は勿論ですが、ティボーくん、一幕でわたくしを釘付けにしたマロリー隊長を忘れさせるほどの素晴らしい踊りで、一度見たら次からは、彼が出てくるだけで思わず身を乗り出して期待値MAX状態に・・・。
ナポリがあんなに面白い踊りだと思わせてくれたのはティボーくんが初めてでした。

>純粋にその踊りの力だけで観客を異常なまでに興奮させてくれる人なのですよね 彼は・・・。パリオペが何故彼にクラシック作品の主役を踊るチャンスを与えないのか、全くもって不可解・理不尽。

全くその通り!
あざとさなしにヒトを惹き付ける踊りそのものの力が漲る彼の舞台、主役でフルに見たら凄すぎて疲れそう?
コーラスは確かに似合いそう・・・。わたくしからも一票入れさせていただきますわ♪
maria 2006/12/31(日) 10:43:47) 編集

maria様

オレリーとニコラの組み合わせ、とってもよかったですよ。実力・華が拮抗し合うペアで、普段もっと一緒に踊る機会があるといいのに・・・などと思ったりしました。

ティボー君、日本公演でもばっちりアピールしていたのですね~ (・・・あ、違った 彼の場合あえてアピールしなくても踊ってるだけで十分魅了しちゃうんですよね。)「主役でフルに見たら凄すぎて疲れそう」って、鋭いかも~。彼が踊る姿を見ていると圧倒されるだけでなく妙にこちらも力が入ってしまうのですよねー。

コーラスに清き一票、有難うございます♪ 実現した暁には、修行を兼ね?ロイヤルのラ・フィーユに客演などして頂けるとナイスなのですが・・・あのすんごい踊りでロンドンの観客を興奮の坩堝に叩きこんでいただきたいわ~(熱烈歓迎します!)。
Naoko S 2007/01/01(月) 06:18:57) 編集

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