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パリ・オペの『ベジャール・プロ』 Part 2
イレールの今シーズン最後の舞台を見届けるべく、先週末、再び駆け足で行ってきました。フランスに詳しい同僚が、「バスティーユ・デイの週末はパリジャンが街から脱出していなくなるからパリを独り占めできるわよ」と言っていたけど、実情は・・・街は観光客に占拠されてました。ともかく6月とは比べ物にならない観光客(特に団代客)の多さ・・・凄かった。パリの街は公的な建物は勿論、タクシーやバスに至るまで国旗を掲げていて、かんかん照りで真っ青な空にトリコロールの旗が翻るシーンがあちこちで見られました。
キャスト:

7月13日ソワレ

『中国の不思議な役人』 Le Mandarin Merveilleux
中国の役人: ローラン・イレール
ギャング団のボス: ステファン・ブイヨン
手下の娘: マロリー・ゴディオン
ジークフリート: ヴァンサン・コルディエ
若い男: ジスレーヌ・ライカート

『扉とため息のためのヴァリエーション』 Variations pour une porte et un soupir
アメリー・ラムルー、ジェレミー・ベランガール、アレッシオ・カルボネ、ヤン・ブリダール、ウィルフリード・ロモリ、カデール・ベラルビ、ベアトリス・マテル

『ボレロ』 Boléro
メロディー: ステファニー・ロンベール
リズム: ステファン・ブイヨン、エマニュエル・ホフ

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7月14日マチネ<無料開放日>

『中国の不思議な役人』 Le Mandarin Merveilleux
中国の役人: カデール・ベラルビ
ギャング団のボス: ヤン・ブリダール
手下の娘: アレッシオ・カルボネ
ジークフリート: ヴァンサン・コルディエ
若い男: ジュリアン・マティス

『扉とため息のためのヴァリエーション』 Variations pour une porte et un soupir
ヤン・ブリダール、カデール・ベラルビ、アレッシオ・カルボネ、ジル・イゾアール、ジェレミー・ベランガール、シャルロット・ランソン、ステファニー・ロンベール

『ボレロ』 Boléro
メロディー: ニコラ・ル・リッシュ
リズム: ステファン・ブイヨン、エマニュエル・ホフ

まずは13日。なんとこの日は友人がタイミングよくリターンでパルテールの最前列・ど真ん中の席をゲットしてくれた!この位置で、今シーズン最後のイレールの舞台を見ることができて感無量でした・・・。(彼の)初日から3週間後に見たイレールは、しっかり「舞台人の顔」で戻ってきてくれて、あの強烈な残像を残す、<彼にしかできない>シャープでスタイリッシュな動きを見せてくれた。マロリーも前回見たときより表情に凄みがあって、ちょっと殺気を感じた。この日のギャングの親玉・ステファン・ブイヨンとマロリーのコンビネーションは、ボスと手下というよりはダチ同士、って感じだったけど、それが却ってよかったような。終演後、幕の向こう側ではダンサーたちの拍手と歓声が。メイン・ロールの3人にとっては最終日、お疲れさま!よいヴァカンスを!とか言って盛り上がっていたのかしら。

さてこの日の『扉とため息』。一番印象に残っているのはジェレミーかな。 Gymnastique(体操)では自分の出番じゃないのに、これまた出番でないアレッシオと二人で、マジメ(?)に踊る3人のダンサーの輪に乱入してちょっかいを出す。その後、アレッシオと二人、互いに相手にからむような動きを続けて、あれ やたらアレッシオがジェレミーのシャツを引っ張ってるなあ・・・と思ったら、出ました。ガツン!と頭突き~。勿論場内は大爆笑。その後二人は抱擁し合って終わり。あーあ、小学生じゃないんだからねぇ・・・と思いつつも、笑わせてくれたし、空気を変えてくれたので、うん これはよかった。あとは最後のMort(死)で、例によってのたうち回り系の動きが多い中、一人静かに舞台を歩き回ってからおもむろにハーモニカを取り出し、椅子にかけてずっと吹いていた(ブルースっぽい音楽)。あのジェレミーの姿は、結構好きだった。

『ボレロ』はこの日一回だけ登場のステファニー・ロンベール。大役に抜擢されて相当緊張していたのか、前半は険しい表情で動きも硬かった。ステファニーというと、現代的で強い女、というイメージがあるんだけれど、そんな日頃の彼女の印象に近いボレロだった。でもこの作品の真ん中を踊るオーラは若干足りなかったような・・・ 一番前で見ていたのに、マリ=アニエスのあの吸い込まれるような磁力はステファニーからは感じられなかった。(勿論、エトワールのマリ=アニエスと彼女を比べては酷ですが・・・)ステファニーの個性というか面白さが感じられたのは後半、男性コール・ドが加わって徐々にヒートアップするあたり。男達の視線を浴びて、彼女の表情も挑発的になっていったような・・・ちょっとカルメン風だった(プティのお洒落なカルメンではなく、オペラの方です)。あくまで男達の<上に>君臨して女王のようだったマリ=アニエスと比べると、もっと俗っぽいというか、「メス」が勝っているような。カーテンコールの盛り上がりは、ニコラやマリ=アニエスの時と比べるとやっぱり少しおとなしめ。厳しいことに、ちょっとブーイングも出ていた。周囲の評判も軒並みふるわなかったけれど、私はまぁまぁだったんじゃないかな・・・と思うけれど。

翌7月14日はバスティーユ・デイの無料開放日。客席はスタンディング・エリアまでぎゅう詰めの満員御礼。空席が無くて、なんとパリオペ幹部は通路の階段に座って見ていました。オケのラ・マルセイエーズの演奏に続き、マンダリン。数時間並んだ疲れが出たのか、睡魔に襲われてしまって集中できず。カデールの役人を見ながら、どうしても前日のイレールの残像に邪魔される、というせいもあったのですが。

『扉とため息・・・』は、いよいよ楽日とあって、かなりリラックスしたムード。ヤン・ブリは相変わらず酔っ払ったような動き。このリズム感、レゲエにぴったり・・・ ヤン・ブリ、レゲエで踊ったらすっごく似合いそう。誰か彼のこの個性を引き出してくれる振付家がいればいいのに・・・などとつぶやきながら鑑賞。この演目で初めて見たシャルロット・ランソンの動きがまた柔らか系で、女版ヤン・ブリと呼びたくなる感じ。彼女はアイデアもユーモラスで面白かった。7人中いつも女性は2人なんだけど、この日の紅二点のもう一人、ロンベールはれいによってシャープで硬質な動きだったので、二人のコントラストが際立っていた。前回見たときあまり感心しなかったベラルビ、最終日とあってか(?)ちょっといつもと違うことをしてくれた。Mort(死)で、ずっと動かず椅子に座って何をしてるのかと思ったら、おもむろに風船をふくらまし始める。トリコロールの三色の風船を持って、今度は後ろのボードにマジックで何か書き込みしている。"Mort Tous”(死・・・全員で)と書いてある部分の"Mort”の横にHier, Demain と書き、Tousの後にNon と続けて、その後三つの風船を一つずつ割ってから「絶命」していた。何の意味があったのか・なかったのかは不明だけど、まあ小道具を持ってきたり多少は工夫してくださった・・・ということで。ちなみに彼のこのパフォーマンスはかなりウケていました。

前回の感想に、「ダンサーにとっては、想像力と感性と身体能力をフルに発揮することを強いられる上、毎回批評の対象として自分を曝け出してるようなものだから、相当キツい作品」と書いたけれど、今回見てきてこれはちょっと違うな、と。むしろ、ダンサーは想像力と感性と身体能力をフルに発揮<したくてもできない>からこそ余計に難しいんじゃないかな、と感じるようになった。一番の障害は、やはりあの「音楽」。メロディーのないメカニカルな音(=ノイズ)でフローがないため、動きもぶつ切りにならざるを得ない。できることなら、作品のコンセプトはこのまま・別の音楽で上演されないかな、と思ってしまう。で、ダンサーは毎回批評の対象として自分を晒しているのは本当だから、どうせならお客に採点させるのはどう?拍手したりブーイングするだけじゃなくて、ハイ、貴方は何点・合格/不合格、とか。舞台と客席の間にそういうインタラクションがあるとすごく面白いことになりそうだけどなあ。

トリの『ボレロ』。ニコラの、若々しい青年の肉体にやんちゃな男の子の心が宿る、清清しささえ感じさせるメロディーはやっぱり面白い。そして、この日はつくづくパリオペ男性ダンサー達の踊るボレロの、品格ある美しさにうならされる。多分ベジャール・ダンサーズが踊るともうちょっと野性味や猥雑さが出るのではないか、と想像するのだけど、そうした資質とはほぼ無縁のパリオペのボレロはひたすら綺麗で、あからさまなエロティシズムはご法度、とでも言いたげ。リズム&男性ダンサーズの動きでなんといっても私が好きなのは腰を振りながら両手を前に差し出す部分。ソウルフルな腰の入り方が最高にカッコいい振りなんだけど、パリオペのダンサー達が踊るとセクシーというよりは、スタイリッシュ。そのパリ風の洗練された美をもっとも感じさせてくれたダンサーは、以下4人でした・・・エマニュエル・ホフ、ギョーム・シャルロ、ジャン=フィリップ・デュリ、グレゴリー・ドミニヤック。

終演後の観客の反応は熱狂的で、パルテールは(多分上の階も)全員総立ち、カーテンコールは何回続いたか憶えていないぐらい。バスティーユ・デイのお祭り気分に、これ以上似つかわしい作品もないでしょう・・・劇場を出たあとも、しばらくハイなままでした。やっぱり、ベジャール、大好き!
2006-07-23 10:04 | パリ・オペラ座バレエ | Comment(0)
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