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In conversation with... ヴィオレット・ヴェルディ
昨夜(4/28)、オペラハウスの最上階にあるクロア・ステュディオで開催されたイベントに行ってきました。

20世紀を代表するバレリーナの一人、ヴィオレット・ヴェルディが自身のキャリアを振り返って語るトーク・セッション。聴き手は元BRBプリンシパル、現RBカンパニー・マネジャーのケヴィン・オヘア。

シルヴァー・ヘアを綺麗にセットして、黒のブレザーに同じく黒の膝下丈スカート姿で会場にあらわれたヴェルディさん。さっぱりした雰囲気の方で、一見すると一般人とあまりかわりなく見えたけれど、黒のストッキングに包まれた脚が美しかったです(さすが!)。時折身振り手振りを交えながら、表情たっぷりに語ってくださいました(約80分間)。

(会場で渡されたハンドアウトにヴェルディさんの経歴が記されていてこれも紹介したいのだけど、とりあえず、忘れないうちに発言内容で印象に残ったものをメモしておきます。以下、走り書きしたメモ&記憶を元にできるだけ正確な再構成を試みますが、当方の聞き間違いor解釈違いということが十分有り得ますので、"大体こんな感じのことを語られていたようだ"ぐらいに取って頂きたく・・・。)

<キャリア初期について> 

V: 1930年代生まれ、生後わずか4ヶ月の時に父が他界。占領下のパリでバレエを習い始めた(恩師として特に頻繁に名前が出てきたのが、Victor Gsovsky)。プロのダンサーとして初めて舞台に立ったのは(なんと!)11~12歳のとき。一時期ローラン・プティのところでも踊っていたことがある。プティは感情の起伏がある人だけど、同時にダンサーにとって働きやすい雰囲気もつくれる人。凄く若いカンパニーで、ダンサー達は皆ハングリーでエネルギーが漲っていた。

そのあとロンドン・フェスティヴァル・バレエやABTで踊ったり・・・キャリアの最大の転機が訪れたのが、NYCBに入団した1958年。
 
<NYCB、バランシン、ロビンスについて>

V: どこかのバレエ団で踊っているところをバランシンにヘッドハントされたというわけではなくて・・・Mr.Bはそういう方法は絶対にとらない人だった。なんというか・・・どんなに欲しいダンサーがいても、状況が自然とそうなることを待つ、というアプローチ。当時私はどこにも所属していなくて、それでも既にバランシン作品を踊った実績はあった。で、Mr.BからNYCBに来ないか、と誘われたのだけど、驚いたわ・・・ショックだった。

だって私、バランシン・バレリーナは例外なく手足がすんなりと長くて・頭がちっちゃくないといけない、ってずっと思い込んでいて、自分は全然違うタイプだったから。(注:ヴェルディさんは当時の水準からいってもかなり小柄な方。)《O: 最初からプリンシパルで迎えられたんですよね?》 そうなの!まったく、信じられない話だったわ。

NYCBに入団して、一番最初に踊った作品は「シンフォニー・イン・C」、そして「ディヴェルティメント」・・・。暫く後にデヴィッド・ブレアと「チャイコフスキーpdd」を初演したわ。この作品は「白鳥の湖」の原版に入っていた本来のブラック・スワンpddの音楽を使っているでしょう。このスコア、長年博物館に埋もれていたんだけど、NYのチャイコフスキー財団のピーター・マーシュが偶然見つけたのよ("幸いボルシェヴィキはスコアを焼かなかった!")・・・それでMr.Bがこの音楽に振付たわけ。

《会場の男性から出た質問: 『Mr.Bは振付の過程でダンサーの即興的な動きなどを認めていたか?それとも非常に厳格な決まりがあってそれに従うだけだったのか?』》

V: Mr.Bは、「これは自分の振付作品だから誰にも触れさせない」っていう類の振付家とは対極にあるタイプ。ダンサーがやり易い・得意な動きを使う方向に常に持っていくの。
ああして・こうしてと一方的に指示したりはしないし、本当に"selfless"(無私)の人だった。自分は自分の与えられた天職を全うするだけ("I'm at a service...")、という姿勢。構想中の作品にぴったりのダンサーさえ見つかれば、あとは流れるようにことが進んだ。("flowed, flowed, flowed...") ダンサーに何か助言するときもいたってソフトにアプローチして、「君("Dear")、ね、あの部分はこんな風にしてみてはどうかな・・・?」と、問いかけるスタイル。

V: ジェリー(・ロビンス)は全然違うタイプ。彼は複雑で、気難しくて・・・大変な完璧主義者で、創作過程で自分を極限まで追いこむのが常だった。「ダンシズ・アット・ア・ギャザリング」初演の時、私は"グリーン"を踊ったんだけど、ジェリーが、ほら こんな風にするんだよ・・・って見せてくれる動きが、それはもう凄くキマっていて。アメリカ人ならではの、ちょっと突っ張った・粋な感じ("swaggering")が素晴らしかった・・・自分には絶対あんな風には踊れない、って青くなったわ。

「ダンシズ・・・」で思い出すのは、ヌレエフとこの作品で共演した時のこと。彼が私のパートをえらく気に入って、真剣にリハーサルしてたのよ。その様子を他のダンサー達と、「ルドルフったら本気であの《女性の》パートを踊るつもりなのかしら?」って興味津々で見ていたものよ。

《O: 昨シーズン、「ジュエルス」がロイヤル・バレエのレパートリー入りしましたが、貴方は「エメラルド」の初演者の一人ですよね。この作品について何か思い出がありましたら・・・。》(注:ここで、話している二人の背後に置かれたスクリーンに、以前このブログでも紹介した「Mr.Bを囲むジュエルス初演の美女たち」の写真が映し出される。)

「エメラルド」といえば、Mr.Bの創作過程は非常にスローだった・・・と言ってもいいかもしれない。なんと、初演から10年後に、小さなpddを一つ付け足そうとしたの!結局それは実現しなかったけれど・・・。《O: もしかしたらそのヴァージョンを上演しているカンパニーがあるかもしれませんね?》 そうね、どこかにあるかもしれない。

<パリ・オペラ座バレエ芸監時代>

(76年にNYCBを退団(引退)して翌年パリ・オペラ座バレエ団の芸術監督に就任する。)

V: オペラ座で私がやろうとして出来なかったことの一つが、マクミラン作品の上演を成功させること。私は英国の振付家の作品が大好きで、特にマクミランものをフランスの観客に見せたかった。でもあまり受けなくて・・・どうもフランス人には理解し難い振付家だったようで。若いダンサー達(ドミニク・カルフーニ等)を起用して『四季』という作品を創ったのはいい思い出。オペラ座は最初の一年はまぁよかったんだけど・・・厳格なヒエラルキーや組合ルール等対処しなければ問題が山ほどあって。

私はどこで何をしていても、「自分が一番じゃなきゃイヤ」なんて風には全然考えないタイプ。NYCBは(ヒエラルキーがゆるくて?)ある意味ダンサー皆が等しく一番になれる雰囲気があって、私にとっては心地良い場所だった。パリ・オペラ座バレエの芸術監督を3年で辞めて、そのあとボストン・バレエの共同監督になったのだけれど、結局これらの経験を通して自分にはディレクター職は向いていない、と悟った。

《会場の女性から出た質問: 『ダンサーからディレクターに転身されたわけですが、最も難しかったことは?』)

V: 決定を下すこと・・・"迅速な"決定を下すことね 自分の周囲の人々を窮状から救うために。あとは、アドミニストレーション(実務方)との闘い!

<バレエ教師の仕事について>

V: 私自身は系統だったスクーリングを受けた経験はない。様々な流派の教師について多様なスタイルを学んだ・・・。だから、私のティーチング・スタイルは一言で言うと"フレンチ・ポトフ風”。生徒の長所などを嗅ぎつけるのが得意な方だと思う・・・教えることは、本当に大好き。《O: 貴方はボリショイ・バレエ団に招かれた初めての外国人女性教師だったとか?》 そう、ラトマンスキー氏に招聘されたんです。ボリショイのダンサー達に「素早い足の動き」を教授してほしい、ということで。

現職はインディアナ大学・ブルーミントン校の音楽学部教授("Distinguished Professor")。音楽学部の中にバレエ科があって、プロのダンサー・振付家の養成を目的とした本格的なコースです。高等教育レベルでシリアスにバレエを学べるのは素晴らしいことだと思うわ。学習環境にも恵まれていて、学内に自前のシアターやオペラ・カンパニーまであるんですよ。大学のある9月から5月までは大学生達に教えて、夏の間は世界中回ってプロのダンサー達を指導する・・・という生活を送っています。

☆☆☆

昨夜のオーディエンスは、ざっと見積もって5-60人といったところだったでしょうか。圧倒的にシニア・シチズンが多かったのですが、客席からの質問・コメントは、「ひょっとして貴女は○○年のxx公演で踊っていませんでしたか?」とか、「○○年に貴女が踊ったxxは素晴らしかった」という類のものが多かった。(で、この○○部分に入るのは6-70年代。)会場には古き良き昔を懐かしむムードが漂っていて、私には(残念ながら)彼等と思い出を共有することはできないわけだけれど、多分そう遠くない将来自分も同じことをしてるのだろうな・・・という気がしたり(笑)。

☆ヴェルディさんが現在所属されているインディアナ大学のHP。左コラムの"Faculty"をクリックすると教授陣の紹介ページに飛んで彼女の写真(&ミニ・バイオ)を見られます:

http://www.music.indiana.edu/department/ballet/
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2008-04-30 08:43 | 情報系(ニュース、公演) | Comment(4)
都さんの「水の女王」&ローレン・カスバートソン
一昨夜、ロイヤル・バレエのトリプル・ビルが開幕しました・・・「セレナーデ」、"Rushes"(キム・ブランドストラップの新作)、「オマージュ・トゥ・ザ・クイーン」の3本。オマージュ~の初日の「水の女王」にキャストされていたコジョカルが降板して急遽都さんが踊ったようですが、早速舞台写真がballet.coのギャラリーにあがっています(綺麗~~☆):

http://www.ballet.co.uk/gallery/jr_rb_serenade_rushes_homage_roh_0408/jr_homage_water_yoshida_130_500

(アリーナは新作Rushesとの掛け持ちだったためオマージュ~の方を降りたのではないかしら・・・残る日程は今のところ予定通りオマージュ~にアリーナの名前もあります。)

そして日本公演、ゼナイダのおめでたでシルヴィアの代役が誰になるのか注目していましたが、やっと発表されましたね。初日・7/3はマリアネラ・ヌニェス、7/5ソワレはローレン・カスバートソン。

http://www.nbs.or.jp/blog/0807_royal/

初日のヌニェスはごく順当ですが、びっくりしたのがカスバートソン。私の記憶が確かなら、彼女は確かまだロンドンではこの役踊ってないんですよ・・・。ヌニェスが計3回踊るならラムが2回踊ってもいいと思うんだけどそうせずにローレンに白羽の矢を立てたわけですね。

ローレン・カスバートソンは生粋のロイヤル育ちで貴重な(英)国産ダンサー。彼女の対する周囲の期待は相当のもので、ファースト・ソロイストながら既に眠り、R&J、白鳥の主役を踊っています。

http://info.royaloperahouse.org/ballet/index.cfm?ccs=250&cs=1209

ローレンの映像といえば思いつくのはこれ。以前も紹介しましたが、BBCサイトで白鳥のマスター・クラス映像を見られます。教師はアントワネット・シブレー&アントニー・ダウエル、パートナーはルパート・ペンファーザー。(30分弱あります)

http://www.bbc.co.uk/radio3/classical/tchaikovsky/video/

まあ~しかし、あの大変な役をツアー地でデビューとは、プレッシャーですねー。ご成功をお祈りします!! (オリオン役がギャリーでよかった?頼りにしてます<エイヴィス様・・・)
2008-04-25 09:35 | ロイヤル・バレエ | Comment(14)
パトリック・デュポンの海賊
パトリック・デュポンのサロメ映像がないかな~とサーチしていたら、サロメは見つからなかったんだけど、こんなものにブチ当たりました。

彼の若き日の「海賊pdd」映像。テレビ・スタジオで録画されたものかな?(パートナーはローランス・デビア。司会者らしき男性はシャルル・アズナブール??)1978年4月の撮影みたいなので、デュポンは19歳になったばかりのはず。

全編で4分ちょっとの映像みたいですが、無料で再生できるのは1分弱のみ。1.5ユーロ払うと全部見られるみたいなのですが(?)、私は試していません。ご興味ある方は是非トライしてみてくださいませ。

http://www.ina.fr/archivespourtous/index.php?vue=notice&from=fulltext&full=patrick+dupond&num_notice=3&total_notices=16

このサイト、以前ベジャール関連の記事の時にも登場願いましたが、INA・フランス国立視聴覚センター(拙訳)のもの。バレエ映像も掘れば色々と出てきそうですが、デュポンのものは彼の名前で検索すると7本のみヒット。残る6本はニュースやトーク番組映像のもので、きっちり踊っている姿を見られるのは、残念ながらこの「海賊」だけみたいです。(ちなみにYouTubeにはシルヴィ・ギエムと「エスメラルダpdd」を踊る貴重な映像があげられてます。)
2008-04-24 08:29 | パリ・オペラ座バレエ | Comment(2)
ベラルビ引退公演、パトリック・デュポン最後のダンス
ダンソマニで見て気になった情報をメモメモ・・・

AFP通信が報じるところによると、カデル・ベラルビの引退公演は7/13(マチネ)の「シーニョ」で、となりそうだとか。(パートナーはマリ=アニエス・ジロ) ここ数年は舞台に立つ回数がめっきり減っていたベラルビさんですが、引退後は創作(振付)活動に専念されるのでしょうか・・・

それからこちら、密かに大ニュースではないかと思うんですが、去る土曜の夜、パトリック・デュポンの最後のダンス公演がパリで開催された、というもの。

会場はパリ8区のエスパース・カルダン、招待客オンリーの"トップ・シークレット"の公演で、デュポンは「西洋と東洋の結婚」というテーマのダンス作品を披露したそうです。(パートナーはLeila Da Rocha) 公演の写真が下記サイトから見られますが、ファンの方にはちょっとショックかも・・・・私はショックでした こんなに痩せてしまったなんて。実年齢(49歳)よりずっと上に見えます・・・

http://www.purepeople.com/7278-Photos-Patrick-Dupond-la-derniere-danse.html

パリオペを離れてからは不幸な出来事が続いて、フランス・バレエ界のスーパースターだった面影は、悲しいことにもはや認められないけれど・・・。最盛期のデュポンを知るバレエ・ファンの中には、今でも彼が"史上最高の男性ダンサー!"という人少なくないのではないかな・・・それぐらい凄いスターだったものね。(うちの姉もその一人・・・)

記事には、デュポンは今後はもう踊らない・・・と書いてありますが、引き続き舞台・芸能人としての活動は続けていかれるのでしょうか。《どんなことをされるにせよ、ご成功をお祈りいたします・・・☆》
2008-04-22 09:18 | パリ・オペラ座バレエ | Comment(3)
パリオペ・ガラ公演@ポルデノーネ 《後半》
前半から間が空いてしまったけど、ポルデノーネ・ガラの後半分を駆け足で。

《後半》

1. スプリング・アンド・フォール (ノイマイヤー)
音楽: ドヴォルザーク (セレナーデ op.22)
ロレーヌ・レヴィ、アクセル・イーボ、ファビアン・レヴィヨン

2. ディアナとアクテオン (ワガノワ)
音楽: ドリーゴ
マチルド・フルステー&ステファン・ビュイヨン

3. アレス・ワルツよりソロ (ツァネラ)
音楽: ヨセフ&ヨハン・シュトラウス
ドロテ・ジルベール

4. さすらう若者の歌 (ベジャール)
音楽: マーラー ”Lieder eines fahrenden Gesellen”
ローラン・イレール、マニュエル・ルグリ


ガラ後半は「スプリング・アンド・フォール」でスタート。最初のソロはファビアン君、シルフィードとは打って変わってのびのび踊ってました。(もう、顔の表情からして全然違う・・・。)彼はやや上体が硬いのかな?時折スムーズさに欠けるとみえる場面もあったけれど、なかなかイキのいいダンスを披露してくれて、若いっていいなぁ・・・と眩しい思いで見つめていました。pddを踊ったレヴィとイーボは3年前の南仏公演でもペアを組んでいたような記憶があるのだけど、とってもスムーズでいい踊りでした。アクセル君もドリーブ・スイートの時よりずっと生き生きしていたし、レヴィもこの作品だとハツラツとした持ち味が悪くない(しかし、この方何を踊っても表情が同じなような・・・)。

続いてはマチルドとステファンの「ディアナとアクテオン」。当初劇場発表の出演者情報には全く名前のなかったマチルドが、蓋をあけてみれば3演目に登場・・・と大活躍だったわけですが、3本目はコテコテのロシアもの。パリオペ若手の中では随一のテクニシャンという点を買われての起用かと思われ、この振付も危なげなくこなしていましたが、まだ若いのでムリもないとはいえステージ・プレゼンスがどうにも軽い。(見た目ディアナというより彼女のおつきのニンフの一人か、バンビちゃんって感じだし・・・) ビュイヨンは立派な体躯を(ここでも)惜しげなく披露する、アポロンのような白の衣装(タイツは履いてない)なのだけど、狩人というよりはグラジエーターみたいに見える(スミマセン!)。あと、実は私この人の踊りにピンときたことがついぞなく・・・今回も。(何が悪いというわけではないんだけど、相性の問題かな・・・) このペアでニ演目を見て、二人の体格があまりに違いすぎるので、パートナーとしてはちょっと厳しいんじゃないか・・・と私的には感じましたが、観客の反応は凄く良かったです。二人とも盛大な拍手をもらっていました。

「アレス・ワルツ」のソロを踊るドロテを見たのはこれで三度目、前回は(これまた)3年前の夏の南仏公演の時。

あのとき、まだスジェだったドロテが、グラン・エトワール3人(イレール、ルグリ、デュポン)に負けないオーラと魅力を発散して強烈な印象を残してくれたのだけど、今回は・・・"わぁー大人になったなぁ・・・"と思わず感慨に浸ってしまった。3年前のドロテは積極的に自分をアピールしようという意気込みがもっと全面に出ていた感じがあったけど(それも私は凄く好きだった)、今回はもう少ししっとり・作品の洒脱な雰囲気をごく自然に醸し出す、余裕のある舞台姿。音楽は主にオペレッタ・こうもりからランダムに切り取ったものをパッチワークみたいにつなげていて、時折唐突に音が途切れて無音の状態になったりするんだけど、なかなか面白い。黒のマニッシュなパンツ・スーツを身に纏ったドロテの、なんとも粋な舞姿。

最後はもちろん、イレールとルグリの「さすらう若者の歌」

さすらう~は見る度ごとに少しずつ違った感慨をもたらしてくれる作品なのだけど、この夜のパフォーマンスは、これまで見たどれとも"かなり"違っていたような・・・。

端的に言うと、「音楽」をより強く感じさせる舞台だったんですよね。私はこの作品、4年前の夏のルグリ・ガラで初めて見たのだけど、そのとき以来殆どいつも・イレールとルグリの舞台に濃厚な文学性を感じることが多かったのだけど(優れた文学作品を読む醍醐味に近いものを感じるというか・・・)、今回はしばしばオペラの舞台を見ているような感覚に襲われ・・・(特に、激情にかられた・非常にエモーショナルな第三曲とか。)

オペラティック、即ち人間臭いドラマ性がいつになく強く感じられた理由の一つは、多分「若者/旅人」と「運命」のコントラストが非常に明確だったからではないか、という気がするのだけど・・・。イレールの無防備な表情がナイーヴでロマンティックな若者像をくっきり浮き立たせている一方、ルグリの冷淡な運命のペルソナは益々冴え渡っていて・・・。ルグリは身のこなしがあまりに軽やかで、それが悪魔的に見えてしまうような凄みがあった。かたやイレールは技術面ではやや衰えの見える場面があって、テクニカルな意味での"コントラスト"も確実に存在していたけど、そんな要素も呑み込んでなお・"表現者"として拮抗している二人のダンサー。踊りこんでそれぞれの役柄・持ち味が益々深められた結果、のあのドラマだったのではないか・・・。最後のシーンで、「運命」の差し出した手を戸惑うようにじっと見つめてから、おずおずとそこに自らの手を重ねていく「若者」の表情・・・胸を衝かれました。

<終>

☆文中何度も出てくる「3年前の南仏ガラ公演」ですが、カルカッソンヌとニームの野外劇場で行われた、パリオペのガラ公演のことです。この時書いた日本語メモがどうしても見つからない・・・ので、英文レビューへのリンクを貼っておきます・ご参考まで(殆ど「さすらう~」のことばっかりですけど・・・)。

http://www.ballet.co.uk/magazines/yr_05/oct05/ns_rev_paris_opera_0705.htm
2008-04-21 08:35 | パリ・オペラ座バレエ | Comment(4)
マリインスキー・バレエ 英国&ウィーン公演
来月予定されているマリインスキーの英地方都市公演、仮キャストが出ました(ballet.co発)。取敢えず、自分が見に行くかもしれないバーミンガム公演の分だけ転記しておきます。

バーミンガム・ヒッポドローム (5/20~24)

☆5/20(火) ジュエルズ

エメラルド: ノーヴィコワ、セルゲーエフ、コレゴワ、エルマコフ、セーリナ、ゴンチャル、コルサコフ

ルビー: ソーモワ、コンダウーロワ、ファデーエフ

ダイヤモンド: ロパートキナ、コルスンツェフ

☆5/21(火) ジュエルズ

エメラルド: コレゴワ、セルゲーエフ、コンダウーロワ、エルマコフ、セーリナ、ゴンチャル、コルサコフ、ステピン(?Stepin)

ルビー: ゴールブ、コルサコフ

ダイヤモンド: テリョーシキナ、コールプ

☆5/22(木) ガラ

ショピニアーナ: コレゴワ、コルスンツェフ、ボリシャコワ、ゴールブ

タリスマン: ニオラゼ、ロブーヒン

ヴェニスの謝肉祭: ノーヴィコワ、シクリャローフ

グラン・パ・クラシック: テリョーシキナ、サラファーノフ

アレルキナード: シェシナ、コルサコフ

スワン: コールプ

チャコフスキーpdd: ソーモワ、ファデーエフ

『ラ・バヤデール』より影の王国: ロパートキナ、コズロフ

☆ドン・キホーテ

5/23(金) ソーモワ、サラファーノフ

5/24(土)マチネ ニオラゼ、ロブーヒン

5/24(土)ソワレ オスモールキナ、ロブーヒン 


バーミンガムの前の週にはマンチェスター郊外のソルフォードで公演があるのだけど、配役は微妙に違ってます。(ダイヤモンドでのロパートキナのパートナーはコズロフ、2ndキャストはテリョーシキナではなくソーモワ・・・等々) 詳細はこちら:

http://www.ballet.co.uk/dcforum/DCForumID18/227.html#15

興行主のHochhauserのサイトにはまだ何も出ていないので、あくまで速報ベースとみるべきなのでしょうけど、ほんとにロパートキナこんなに沢山踊るのかなあ・・・。(←疑念の塊り) あと、重々承知のこととはいえ、ヴィシの名前がないのがやっぱり残念。彼女のルビーは絶品なのに・・・

ああしかし、このバーミンガム公演、果たして行けるのかどうか・・・実は現状かなり微妙なのであります。

私事で恐縮ながら先週辞令が出て、来月1日から所属が変わることになったのです・・・仕事内容は殆ど変わらないんだけど。移って直後、ロモリ引退公演を見るために6,7日の二日間は既に休暇申請してあるんだけど、その二週間後にまたこの平日ど真ん中の3日間、休み取れるだろうか・・・うーん。(ロパートキナがほんとに来るなら、何とかせねばならないが・・・)

さて、マリインスキー・バレエ、イギリスの後はウィーンのフォルクスオーパーで公演があります。6/28~30に「白鳥の湖」公演が3回、29日のマチネはパレエとオペラのガラ公演(ガラはゲルギエフ指揮)。こちらは既にキャストが公式発表されていて、28日の白鳥初日の主演ペアはロパートキナとコルスンツェフとなってます。

http://www.volksoper.at/Content.Node2/home/spielplan/spielplan_detail.php?eventid=813781

見に行く予定は全くないんだけど冷やかしでブッキング画面に行ってみてびっくり!チケット代、最高額が150ユーロもします。(最低額は3ユーロだけど、多分これはリスニング・シートでしょう・・・)フォルクスオーパーだからややアフォーダブルなのかなと想像したのが甘かった。この劇場の本公演のチケット代最高額の倍ですよ この値段・・・。でもってもっと驚いたのが、オペラ/バレエ・ガラ公演の価格設定が白鳥と全く同じこと。どちらかが間違ってるんじゃないか??と一瞬まじまじと画面を見つめてしまった・・・
2008-04-19 08:49 | マリインスキー・バレエ | Comment(4)
パリオペ・ガラ公演@ポルデノーネ 《前半》
とりあえず、前半のみ。

"Gala di Danza Ballet National de l'Opera de Paris"

Etoiles: Dorothee Gilbert, Laurent Hilaire, Manuel Legris
Solisti: Mathilde Froustey, Laurene Levy, Stephane Buillion,
Axel Ibot, Fabien Revillion

13 aprile, ore 20.45
Teatro Comunale Giuseppe Verdi Pordenone

《前半》

1. ドリーブ・スイート (マルティネス)
音楽: ドリーブ
マチルド・フルステー、アクセル・イーボ

2. ラ・シルフィードpdd (ブルノンヴィル)
音楽: ローヴェンスキョル
ロレーヌ・レヴィ、ファビアン・レヴィヨン

3. ヌアージュ (キリアン)
音楽: ドビュッシー (Trois Nocturnesより『雲』)
ドロテ・ジルベール、マニュエル・ルグリ

4. スパルタクス (グリゴローヴィチ)
音楽: ハチャトゥリアン
マチルド・フルステー、ステファン・ビュイヨン

5. ギリシャの7つの踊りより「ハサピキ・ソロ」(ベジャール)
音楽: テオドラキス
ローラン・イレール



この夜のオープニングは、前々から興味津々だったジョゼの振付作品「ドリーブ組曲」。今回ポルデノーネの地にてやっと見ること叶ったわけだけど、作風はチャーミングながらも振付はアカデミックな技巧をちりばめていて、若いペアを鍛えるにはぴったりの?なかなか楽しい小品。

もっとも、若いとはいってもマチルドの方は既にかなり場数を踏んでいるので、アクセル君より先輩格。きっちり踊れていたし、多少子供っぽくはあってもひとまず舞台姿は堂々としてる。(ガラ公演のトップ・バッターって結構難しい役回りだと思うんだけど、マチルドのあの舞台度胸は大したもんだわ・・・。)アクセル君の方は、・・・うーん・・・。かなり厳しかったな。序盤はまずまずだったんだけど中盤から乱れが出てきて、その後は何となく自信なさそうな表情で、踊りにも立ち居振る舞いにも余裕がない。(会場はオケピットがなくて舞台が近かった。私は5列目・センターに座っていたせいでダンサーの表情までよく見えた・・・)あと、この作品は「シルヴィア」の音楽を使ってるんですよね。荘厳華麗でパワフルなこのスコアにpddを振付けるのは諸刃の剣かもしれない・・・と思ったりも。若い二人は時としてやや音楽に負けてしまっているように見えることがあって。

続いては、こちらも若手(コリフェ)ペアによるpddだったんだけど、これには、かなーり・・・ 困った(凹んだ)。

ブルノンヴィルのこのpdd(ラ・シルフィード)を、技術的条件をクリアできてない(レヴィヨン)&役柄にまるで合ってない(レヴィ)ダンサー達に踊らせるのは・・・イカンでしょう。レヴィヨン君はともかく踊りが荒すぎて・・・技術的にはいいところは一つもなかった、と言っては酷だけど、そうとしか言いようがない。特に回転もの(ザン・レールだったか)で、回りきれずに残りはムリヤリ体勢を自分で戻してることが何度かあって、見苦しかった。レヴィ嬢は、振付はとりあえずこなしていたけれど、姿勢が悪いのかポーズが綺麗に見えない。それと、シルフィードというキャラクターをどう捉えて・表現するかはダンサーの個性次第とは思うけれど、あの媚び媚びの表情で一体彼女が何を表現しようとしていたのか・・・あまりにも不可解。(とりあえず、"空気の精"の風情は、まるでなかった。)

発表会風のパフォーマンスが続いてヤレヤレ・・・と先行き不安になりかけたそのとき、幸いにも次の作品でガツーンと・・・(救われた!)。ドロテとルグリの「ヌアージュ」、これがもうもう、素っ晴らしかった~~~!

これ多分初めて見たと思うんだけど、男女関係の緊迫感と親密さが数分間のダンスにコンパクトに凝縮されているような、キリアンならではの抽象作品。阿吽の呼吸が必要とされるスリリングな動きが随所に出てくるんだけれど、二人の息はぴったり合っていて、終始、流れるようなダンス。深いブルーに染められた背景に溶けこむような、同色の半袖ユニタード(?)姿のルグリ、ドロテは生成色で裾部分のみ青く染められているシンプルなドレス着用。音楽と青色の使われ方になんとなく北の国の冬景色を連想させられてしまったのだけど・・・。二人のダンサーの動きそれ自体がドラマを紡いでいる、希少かつ幸福な光景を、ただただ息を詰めて見つめていた。(もっとずっと見ていたかった・・・短すぎる。)

3年前の夏に、やはりパリオペのグループ公演でこの二人がpdd(アレス・ワルツ)を踊るのを見て、新たなスター・カップルの誕生を予感したものだけど、あの時まだスジェだったドロテも今やエトワール。急速に大人の女性に脱皮しつつある彼女と相変わらず若いルグリ、二人の間の距離が更に縮まって、いい感じのペアになったなぁ・・・と感慨が。(私今回の前にルグリの舞台を見たのがいつだったか思い出せないのだけど、前回見た時よりも若々しくなっていたような気がした・・・)カーテンコールでは勿論二人に盛大な拍手が。

続く演目は「スパルタクス」。何故にこのpddを・・・??ちょっと微妙な作品選択だったような。(バラエティをもたせようとしたんでしょうかね・・・)フリーギアのソロを踊るマチルドはなにぶんにも少女のような容姿・体型なのと上半身の柔軟性にやや欠けるため、どうも脚だけが踊ってるような印象があって。(それはある意味狙いとしては当たっているのかもしれないが・・・)この若いダンサーに情緒を求めるのは酷かもしれないけど、それがないと、変な話ダンサーの脚ばかりが目につくように出来ている振付なのよね これ・・・。ステファン・ビュイヨンは登場シーン、顔の表情はかなり役になり切っていて(立派な体躯も手伝い)一瞬はっとさせられるんだけど、その後は・・・二人の間に通い合うものがあまり感じられなくて、ビュイヨンが運び屋にしか見えず。

前半最後はイレールのギリシャ(ハサピキ・ソロ)

・・・いやもう、なんというか、ズルいです これ(イレール)は・・・。たった一人で舞台に出てきて、たった一人で舞台をこんなに輝かせて、疾風のごとく去っていく・・・カッコ良すぎる。極めた人の強さ、と言ってしまえばそれまでですが・・・最近のイレールは、見るたびに踊っているときの表情がリラックスしていて・"若者”になっているようにみえるんだけど、今回も若々しかった。観客の大半はこの作品を見慣れていないのか、音楽が一旦切れる場面で(終わったと思ったのか)盛大な拍手を始めたのだけど、ここでイレールは満足そうな笑顔で客席に向かって一礼するも、緊張感を途切れさせることなく・怒涛のフィニッシュに持ち込んでいた。勿論お客は大喜び、歓声に応えるイレールも爽やかな表情で、嬉しそうだった・・・。(大好きなベジャールのこの作品を・大好きなダンサーが踊ってくれる、この至福!イレールのギリシャは、やはり特別でした・・・。)ああ~それにしても、すっかりベテラン・成熟した大人のダンサーの舞台でないと感動できない体質になってるのかなぁ 私・・・。ガラ後半は、どうなることか??

<続く>
2008-04-17 08:33 | パリ・オペラ座バレエ | Comment(2)
戻ってきました~
駆け足のイタリア遠征から戻って来ました。今回の公演地・ポルデノーネも前泊したトレヴィーゾも特に観光地という趣きはないものの、よく整備された中規模の街でした。街中を歩いてるのはほとんど地元民とおぼしき人々ばかり、観光客・特に東洋人の姿は皆無。(・・・にもかかわらずどこでもわりと英語が通じることに感動&すごく助かった。)

両都市とも歴史上ヴェネツィア共和国の一部だったことがあるらしい・・・のだけど、トレヴィーゾは若干ミニ・ヴェネツィアの趣き?街のいたるところに運河というか水路が流れていてなかなか風情があり、ドゥオモのほかにも立派な教会が複数点在。ポルデノーネはトレヴィーゾよりやや小規模で街の中心部は小一時間もあれば見て回れる。どちらでも面白かったのは、夜になるととたんに街がその姿を変えること。日中観光客の私が歩き回っている時間帯は店は閉まってるし人影もまばら。ところが、日が暮れる頃からにわかに通りが活気づいて・・・イタリアの夜の儀式、passeggiataが始まるんですよね~。

一体何処からこんなにわいてくるんだろう(失礼!)と不思議でならないんだけど、人がわらわらとどこからともなく集まってきて、あっという間に通りという通りが人でごった返して、日本的に言えばまるで祭りの夜みたい。ウィンドウ・ショッピングやお喋りに興じる皆さん、何気にお洒落な格好で、人に見られることを楽しんでるような雰囲気も。イタリアならではの光景を久々に目にして、なんか楽しかった。

肝心の公演の方ですが・・・会場のテアトロ・コミュナーレ・ジュゼッペ・ヴェルディはモダンなホールで、座席数900弱・座席レベルは3階(日本風に言うと4階)まであり。お客の入りはよくて、少なくとも平土間はほぼ埋まっていた。昨夏のチヴィタ・ノヴァの会場と比べると、ホールの造りもお客さんの質も格段に良かったような気が・・・。(まぁあの時は舞台にも客席にもかなりヴァカンス気分が蔓延してましたからね・・・)

出演者はこの方々でした: イレール、ルグリ、ジルベール、フルステー、レヴィ、ビュイヨン、イーボ、レヴィヨン

出演者変更により演目も劇場サイトで発表されていたものからかなり変わったのですが、詳しくは後ほど・・・
2008-04-15 09:59 | パリ・オペラ座バレエ | Comment(2)
イレール、ルグリ&パリオペ・ダンサーズのガラ公演
北イタリア・ポルデノーネで開催される一夜限りの「パリオペ」ガラ公演がいよいよ明後日に迫っています。

"ポルデノーネってどこ?"この公演について知るまで聞いたことのない街だったのですが、最寄りの大都市はヴェネチア。幸いなことにそのヴェネチアよりもさらに近い距離にある街・Trevisoの空港にロンドン・スタンステッドから直行便が飛んでいるので、移動にはさほど苦労しなくてすみそうです。(ただ、正確にはここは"ロンドンの”空港じゃないんだけど・・・ロンドンの東・エセックスにある空港なのです。ロンドン南西部在住の私には、この空港まで辿り着く方が実は面倒だったりする・・・)

参加予定ダンサーは、イレール、ルグリ、ドロテ、レヴィ、エイマン、ベザール、ボデ、イーボ、ドミニャックの9人。上演予定作品は、「春と秋」、「ギリシャの7つの踊り」、「白鳥の湖」、「アレス・ワルツ」、「海賊」、「エンジェル」、「グラン・パ・クラシック」、「さすらう若者の歌」。

・・・以上が公式サイトからの情報なんですが、ルグリ・サイトの情報と出演者がちょっと違ってるのが気になる。ルグリ・サイトには、フルステー、ビュイヨン、レヴィヨン(?)の名前があるんですよ。なんとなくこっちの方が正しいような気も・・・(そうだといいんだけどな~女性が二人だけじゃさびしいしね。)

http://www.comunalegiuseppeverdi.it/spip.php?article655

http://www.manuel-legris.com/actualite.html

・・・というわけで明朝より留守にします。(コメントは"承認後の表示"に設定変更していきますのでどうぞ宜しく) Ciao!
2008-04-12 12:34 | パリ・オペラ座バレエ | Comment(4)
マリインスキー・バレエの昇進者情報
米フォーラムを見ていたら、先日記事にしたマリインスキー・バレエの昇進情報が公式サイトにアップされてるというポストを発見。早速見に行ってきましたが、英語版はまだ工事中のようです。これが最終版かどうかはちょっと不明ですが、とりあえずロシア語版のページはこちら:

http://www.mariinsky.ru/ru/ballet/soloist 

ダンソマニの速報と殆ど変わりないけど、ファースト・ソロイストに昇進した女性があらたに二人追加(?)されています・・・エカテリーナ・オスモールキナとアナスタシア・コレゴワ

そして、こちらはダンソマニ速報(予想)が悲しくも当たってしまったようで、ロスターからジャンナ・アユポワの名前が消えています。(さびしいな・・・。)アユポワというと今や希少な古風で優美なバレリーナ・・・という印象が強かったけれど、不思議と今よく思い出すのは、一度だけ見た彼女の「マノン」。デ・グリューを踊ったゼレンスキーとの化学反応がそれはもう・・・ちょっと言い表せないぐらい凄くて、忘れられません。それからプリンシパル・ランクではもう一人、ベテラン男性ダンサーのヴィクトル・バラノフの名前も消えています。

リストにざっと目を通して個人的に納得いかないことがあるんですが・・・ヤナ・セーリナの昇進がまたしてもおあずけになっていること。確かに彼女は古典の全幕主役は(多分)まだ踊っていないかもしれないけど、マリインスキー・バレエ一の働き者なのに!(彼女がいなかったら海外ツアーなんて一体どうなってることか!プンプン)あと、相変わらずイヴァン・コズロフ君の名前が載ってないんですが・・・実は、彼はまだ正式に移籍してないとか??(謎です・・・)

え~ではまとめ。マリインスキー・バレエ団のランク別・ダンサー・リストは現状こんな感じです(今回の昇進者は青字):

☆プリンシパル

ディアナ・ヴィシニョーワ、ウリヤーナ・ロパートキナ、ユーリヤ・マハリナ、イルマ・ニオラゼ、ダリヤ・パブレンコ、ヴィクトリア・テリョーシキナ

イーゴリ・ゼレンスキー、イーゴリ・コールプ、ダニーラ・コルスンツェフ、レオニード・サラファーノフ、アンドリアン・ファジェーエフ、エフゲニー・イワンチェンコ

☆ファースト・ソロイスト

タチヤナ・アモーソワ、ソフィヤ・グメーロワ、イリーナ・ジェロンキナ、マヤ・ドゥムチェンコ、エルヴィーラ・タラーソワ、オレーシャ・ノーヴィコワ、エフゲーニャ・オブラスツォーワ、アリーナ・ソーモワ、 イリーナ・ゴールブ、エカテリーナ・オスモールキナ、アナスタシア・コレゴワ

アンドレイ・バタロフ、アントン・コルサコフ、イリヤ・クズネツォフ、ミハイル・ロブーヒン、ウラジーミル・シクリャローフ 、ニキータ・シェグロフ

☆セカンド・ソロイスト

ナデジダ・ゴンチャル、アレクサンドラ・イオシフィディ、ユーリヤ・カセンコワ、エカテリーナ・コンダウーロワ、クセーニャ・オストレイコフスカヤ、タチヤナ・セーロワ、エレーナ・シェシナ、タチヤナ・トカチェンコ、ユーリヤ・ボリシャコーワ

ルーベン・ボボフニコフ、アンドレイ・イワーノフ、マクシム・フレブツォフ、ワシリー・シェルバコフ、マキシム・ジュージン、アントン・ピモノフ、アレクサンドル・セルゲーエフ

(・・・・タイムアップにつき以降割愛!)

2008-04-11 08:51 | マリインスキー・バレエ | Comment(6)
ヘヴィメタ・クラシックス
先週タイムズ・オンラインで読んだ、とっても興味深いお話。

去る日曜のロイヤル・オペラ・ハウス。一般の観客には気づかれることもなく、しかし、ある静かな変化が起きていたようで・・・

何かというと、この日から「職場における騒音対策」に関わるEUの法規制が施行されたんだそうです。具体的には、今後オペラ・ハウスでの公演中の"騒音"レベルを週平均85デシベルに抑えることが義務付けられるようになると。我々観客は知る由もないわけですが、ちょっと前からオペラ・ハウスのオケ・ピット内には測(騒)音機が置かれていて、毎夜公演の"騒音レベル"を測っているんだとか。で、85デシベル以上の"うるさい"音楽を演奏した後には少しマイルドな演目を持ってきて調整するよう務めているのだそうです。

この法律、本来は恒常的に機械などの騒音に晒されているファクトリー・ワーカー等を念頭に置いたものらしいですが、一般産業界では二年前から既に施行ずみ。音楽・エンタメ業界は"音を出すのが仕事"という特殊な事情を考慮して法施行までに二年間の準備期間が認められ、この間にオケピット内部のアコースティック改造に着手したり楽団員に配る耳栓(!)を用意したり・・・騒音対策にかかる出費も馬鹿にならず、これまでに約5万ポンド(約1千万円強)を使っているとか。

(オーケストラの楽団員が演奏中に耳栓をすることがあるなんて、初めて知ってショックでしたが・・・楽器の大型化がすすみ、材質の変化もあって、昔にくらべてオケの音は大きくなる一方なんだそうです。当然、楽団員は職業病として難聴になってしまうことも少なくなく、過ぎた騒音から彼等を守ることが雇用者には義務付けられていると。記事によると、ロック歌手は昔から耳栓を愛用しているらしい。それでもピート・タウンゼントやスティングは難聴になってしまったそうですが。)

これ、EUの法律ということでイギリスに限らないんですよね・・・欧州の歌劇場ではプログラミングの際に芸術的・経済的判断に加えて「騒音レベル」も考慮しなければいけない時代になったということで・・・なんか大変だなぁ・・・。

さて、タイムズ紙によるオペラ・バレエ作品の「騒音番付」はざっとこんな感じ:

<許容範囲内・ただし危険水域に近い>

☆モーツァルトのドン・ジョヴァンニ: 81デシベル

☆ドニゼッティの愛の妙薬: 82デシベル

☆ヴェルディのラ・トラヴィアータ: 83デシベル

☆ロッシーニのチェネレントラ: 84デシベル

☆ドリーブのシルヴィア: 85デシベル


<許容範囲外・プロテクションが必要!>

☆プッチーニのトスカ: 86デシベル

☆チャイコフスキーの眠れる森の美女: 87デシベル

☆ワーグナーのワルキューレ: 88デシベル

☆プロコフィエフのR&J: 89デシベル

☆シュトラウスのサロメ: 89デシベル

☆チャイコフスキーの白鳥の湖: 90デシベル


な~んと、ここにリストされてる中では白鳥の湖が一番"ウルサイ"ことになっています!(注: 記事中には測定の定義が出てないんだけど、多分最強音の部分をピンポイントで測った時の数字?だとしたら、白鳥の湖はクライマックスの部分かなあ・・・)

http://entertainment.timesonline.co.uk/tol/arts_and_entertainment/music/article3676238.ece

[おまけ] 世の中で一番うるさい音楽は何か?と気になってちょっとググってみたら、英語版Wikipediaに"Loudest band in the world"というエントリーがありました。この記事によると、Manowarというヘヴィメタ・バンドが94年のギグで129.5デシベルを記録したのが最高(悪)らしい(自己申告)。さらに、テニス界に目を転じると、唸り声の大きさで歴代一位と言われるマリヤ・シャラポワの記録は、101デシベルでした!
2008-04-10 08:05 | 音楽 | Comment(4)
Dance, Dance, Dance 《マティス!》
ロンドンは4月に入って冬に逆戻りしたような天候が続いてます・・・(なんと昨日は雪が降った!)早く暖かくならないかなぁ 日がグンと伸びたのは嬉しいんだけど。

さて、ロイヤル・アカデミーで開催中の"From Russia"展にやっと行ってきました。夜間開館している金曜に行こうと決めてたんだけど、前売り券は既に完売と言われて、当日飛び込みで見てきました。(入場制限があるのかと思いきや、直接行けば誰でも入れたみたいで、拍子抜け。来る者は拒まず状態だったので、物凄い人・人・人・・・・それほど広くない館内が人でごった返す光景に、昔上野であったバーンズ展を思い出してしまった。)

結果的には行って大正解。色々と面白い絵を見られたけど、なにしろ、マティスに尽きます。戻って来て週末に備忘録をしたためておこうと思ったんだけど、どうにも文章にする気にならず・・・久しぶりに見た大画面のマティスにすっかり興奮して、妙にハイになってしまったのでした。マティスはいつだって大好きな画家の一人だけれど、今回は今迄にないくらい刺激されてしまい・・・はああ。ということで実はまだ興奮状態が続いてるんだけど、心を鬼にしてメモを書いてみることにします。

"From Russia: French and Russian Master Paintings 1870-1925 From Moscow and St. Petersburg"

-第一室。入ってすぐ、天井近くの高い位置に置かれたイリヤ・レーピンの絵("17 October 1905,1907,1911")に出迎えられる。あとは、人がぐちゃぐちゃ多すぎて絵が見えない・・・むむ。レーピンの絵があとニ枚(確か・・・)とイサーク・レヴィタンらのロシア「移動派」(The Wonderers)の絵が数枚。一番印象に残ったのは森の中に佇む一人の少女?(聖人か妖精にも見える・・・)の絵。フォークロア調で幻想的、緑色の微妙なヴァリエーションが繊細で綺麗だったんだけど、絵のタイトルがわからず・・・。(カタログ買わなかったし、リーフレットにもRAのサイトにも出てない) このロシア人達の絵に交じって、彼等に影響を与えたとされるフランス人画家達の絵が並べられている(コロー、ドーヴィニー、テオドール・ルソー等)。この辺、人と人の間からちらちら覗き見るだけで、そそくさと次にすすむ。

-第二室と第三室はこの展覧会の最大のウリ、「シチューキンとモロゾフのコレクション」。なぜロシアの美術・博物館がフランス近代絵画の名作を多数所蔵しているかというと、20世紀初頭にセルゲイ・シチューキンとイヴァン・モロゾフというスーパー・リッチかつ目利きのロシア人コレクターがいたから。当時本国では見向きもされなかったアンチ・サロン派のフランスの画家達(印象派、ナビ派、キュービスト、フォーヴ・・・)の絵をせっせと買い集めてモスクワの豪邸("palace")に飾り、このコレクションを一般にも開放したことでロシアの先進的なアーティストに多大な影響を与えた、ということ。ロシア革命後シチューキンとモロゾフは西側に亡命、彼等のコレクションは国家に接収されて今に至っている・・・というわけ。(ちょっと前に読んだ新聞報道によると、両家の子孫はロシア政府に対して"作品の返還は求めないが補償金を請求している"とか。)

最初の部屋は印象派が沢山。モネ("Poppy Field")、ピサロ("Avenue de l'Opera")、ルノワール("Portrait of the Actress Jeanne Samary")等々。あとはセザンヌの絵が数枚(St.ヴィクトワール山、女性像、珍しい・ごく初期のダークでややグロテスクな"Girl at the Piano: 'Tanhauser' Overture")。近年印象派には益々不感症になりつつあることをあらためて確認しながら(ルノワールの女優の肖像画は綺麗だったけど。等身大?に描かれた、なんとも美味しそうな女性!)、あ~もうちょっとこう、ビビッとくるのはないかなぁ・・・と助けを求めて室内を見回すと、目にとまったのが部屋の隅にある一枚の絵。近寄ってみて、あ~なんだ と納得。マネの”In the Bar"という初めて見る絵(油彩)。ダンボールみたいな色の素っ気無い背景に、手前にはテーブルに身を投げ出したような低い姿勢の人物(殆ど白い塊りみたいに見える)、後景にはもう一人の人物の横顔(パイプをくわえたユーモラスな男性像)。二人の人物が重なり合った瞬間を切り取って即興的タッチで描いていて、使われている色は(主に)白と黒のみ。それがなんともスタイリッシュで洒落ている。(この手のマネの"即興画"、大好き!)この絵が第二室最後の作品で、次の部屋に足を踏み入れようとして右斜め前方に見えてきたのが・・・マティスの「ダンス」。視界に入るやフラフラとこの絵に引き寄せられ・・・

-第三室は最もスペーシャスな展示室で、マティス以外にも色んな画家の絵があったんだけど(ピカソ、ゴーギャン、ドニ、ボナール、ドラン等々)、マティスの前で金縛り状態。一応他の絵もざっと見て回ったけど心ここにあらずで、そそくさと切り上げて「ダンス」の前に置かれたベンチに腰をおろす。大昔にNYで"姉妹作"を見た時はこんなに迫ってくるものはなかったと記憶してるんだけど・・・これはまるで別物。そして勿論この部屋にあるどの絵にも似ていず・・・

- 色彩はそれ自体が人間心理に多大な影響を及ぼすというのはわかりきった話だけど、久しぶりに絵(色)を見て感覚がガーッと解放されたというか・・・ちょっとした興奮状態(軽い躁状態)に陥ってしまった。ある種の"色の画家"の場合(たとえばロスコもそうだけど)絵の大きさがかなり重要と思われるのだけど、この「ダンス」も画集やウェブ・ギャラリーで見るのは勿論、縮小率やや改善された展覧会のポスターのサイズで見るのともまるで印象が違う。「ダンス」は縦2.6m、横3.9mの大作。使われている色は(ざっくり言って)人物の濃いオレンジに近いテラコッタ色と背景の青と地上の緑の三色のみ。(人物のテラコッタ色が古代ギリシャの壷を想起させ、ひいては踊る人物たちがあの壷から抜け出したきたようにも見える。そう考えるとこのモダンな図像が途端に古典的な風格を帯びて見えてくるのが面白い。)絵の前の立つと、3つに限定された色の、それぞれの色面の大きさがこれぐらいは必要なんだな・・・ということを実感。なんというか、大きな画面の前に身を置いて・色に包まれて初めて感じられるものがあるというか・・・(これは、例えばロスコの場合も全く同じなんだけど)。

- 何なんだろうな この不思議な感覚は・・・なかなかその場を去りがたくて、ベンチに腰掛けてぼんやりしたいんだけどそれができない。何故なら近くにもう一枚、強力なヴァイヴレーションを発している絵があるのです。マティスの絵は「ダンス」のほかに三点来ていて、そのうち一点がこれまた大作の「赤い部屋」。この絵がまた、もう・・・・

<続く>

☆今回見たエルミタージュ博物館蔵の「ダンス」:

http://www.royalacademy.org.uk/exhibitions/from-russia/

☆こちらはNYのMOMA所蔵の「ダンス」。あらら 色がかなり違うのね・・・

http://www.moma.org/collection/browse_results.php?object_id=79124
2008-04-08 08:31 | アート情報 | Comment(0)
マリインスキー・バレエのNY公演
昨夜開幕したマリインスキー・バレエのNYシティ・センター公演。米フォーラム・BalletTalkに早くもファンのホットなレビューが寄せられていますが、ビデオ・リンクもありました。ロシアのニュース映像で、ドレス・リハーサルの模様を見られます。(ロパートキナのライモンダとヴィシニョーワ&ファデーエフのパキータ!)

http://news.ntv.ru/129488/

検索していて目についたのですが、マリインスキー・バレエのNY公演は実に6年ぶりなんですね。前回は2002年で、ロパートキナが怪我と産休で舞台を離れていたとき・・・それ以前に彼女がNYで踊ったのは99年との情報がありましたが、本当だとしたら、なんと9年ぶりですよ。彼女を見るのは今回が初めて、というファンも少なくないのでしょうね。

ワジーエフの進退問題が依然スッキリしない中(今回彼はツアーに同行していない・NYタイムズ報道)、芸監抜きで3週間に渡る長期公演がスタートしたわけですが、米フォーラムのレビューを読む限り初日は大成功だったようです(ある一点を除いては・・・)。

今回のNY公演では6つのプログラムを上演するんですが、珍しいことに全てミックス・プロ。プログラム1は「ライモンダ3幕」、「パキータ・グラン・パ」、「バヤデール・影の王国」で、初日の昨夜のキャストは、順にロパートキナ&コルスンツェフ、ヴィシニョーワ&ファデーエフ、ソーモワ&サラファーノフ。

フォーラムに感想を寄せているファンの皆さんは一様にロパートキナとヴィシニョーワ、そして脇を固めたソリスト(特にテリョーシキナ、セリーナ、コンダウローワ)に惜しみない賞賛を贈っていますが、ソーモワ一人が大不評状態。ロパートキナとヴィシニョーワを見た後に何故このダンサーで〆なきゃいかんのだ~!と怒り心頭に達する気持ちはわからないではないけど(どう考えても順番逆でしょうこれ)、それにしてもまぁ~激烈な叩きよう。今夜の影の王国はロパートキナ主演の予定なので、NYのバレエ・ファンには二日続けて見て頂いて、目を清めてもらうしかないですね~。

ところでこちらもBalletTalkで見たのですが、マリインスキー・バレエは今秋またアメリカで公演があるんですね。今度は西海岸・カリフォルニアのオレンジ・カウンティです。期間は10/7~12、演目は「ジゼル」と「ドン・キホーテ」。海外ツアー、今年はアメリカ公演が多いのね いいなぁ・・・ロンドンには一体いつ戻ってきてくれることか・・・《嘆息》。

http://www.ocregister.com/articles/center-series-jan-2007886-dec-season
2008-04-03 07:00 | マリインスキー・バレエ | Comment(12)
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