マリス・リエパ・ガラ (2/24) 《後半》
続きです。

8. 「スペードの女王」pdd イルゼ・リエパ&ドミトリー・グダーノフ
音楽: チャイコフスキー
振付: ローラン・プティ


ヘルマンvs伯爵夫人・"対決"のシーン。(背景画はしっかりボリショイから?もってきてました。)今のリエパは、やっぱりこれだな~。彼女が舞台に登場するだけでさっと空気が変わる。銀色のベリーショート・ヘアに、おなじくらい蒼白の顔、黒い唇。シンプルな黒のローブをまとった彼女のごく柔軟でしなやかな動きと鋭角的な表現に、目が釘付け。

グダーノフのヘルマンにはさすがにツィスカリーゼの存在感とドラマ性はなかった。でも逆に、"ごく普通の男"がふとしたきっかけで道を踏み外し・破滅していく、そういうリアリティは感じられたような。


9. 「ファラオの娘」pdd マリヤ・アレクサンドロワ&セルゲイ・フィーリン
音楽: プーニ
振付: ピエール・ラコット


我が"最愛の"バレエ・ペア登場~!

劇場に着いて、キャスト表で二人の名前を確認した瞬間・・・

・・・あ~来てよかった マーシャ&フィーリン ありがとう~~!!と感涙状態に。同時にちょっと心配でもあったんですけど(日本~ヒースローから直行か?)。

舞台の照明がぱあっと明るくなって、ゴージャスなスター・オーラに包まれた二人が登場すると、客席から自然に拍手が。導入シーンはいつも通りに始まったのだけど、途中で一瞬心臓に悪いアクシデントが・・・

回転の後だったか?マーシャがつるっと滑って危うく転びそうになったのです。"あっ!"と心の中で小さく叫んだ私、客席も一瞬どよめいたのだけど、ここからがすごい。

一旦体勢を立て直すや、マーシャが客席に向かって、「アアンやっちゃったわ ウフ♪」ってな表情で、いたずらっぽく微笑んで見せたのです。

・・・いや~、大した度胸というか、機転というか、サービス精神というか、転んでもタダでは起きない(いや、実際転んじゃいないんだが)というか・・・まったくもって、実に、実に、素晴らしい!!

あの微笑み、私がマーシャ・アレクサンドロワにあらためて《ぞっこん》惚れ直したことは言うまでもありません。

さすがにこの後のマーシャはちょっとおとなしめ、やや慎重でしたが、対照的に元気一杯だったのがフィーリン!

・・・いや、実は私が心配してたのはフィーリンだったんだけどね(だって、ベテランだし・・・) まったくの杞憂でありました。なにしろ最初から最後までミョーに(と言ってはナンですが)爽やか~な笑顔振りまいてすんごく若々しい。こちらがびっくりするほど踊りも元気一杯で、さすがボリショイのスター、中0(ゼロ)日の登板だって目じゃないのね~と、フィーリンも惚れ直し・・・(ぽっ)


10. 「オネーギン」"鏡のpdd' アリーナ・コジョカル&ヨハン・コボー
音楽: チャイコフスキー
振付: クランコ


中0日の登板だったのはおそらくコボーも同じ。彼はここ数週間ずっとボリショイで新作ラ・シルフィードの振付をしていて、2日前の舞台ではマッヂを踊ったとか・・・。

そのせいか、リフトがかなり悲惨なことになっていた。一度ならずリフトが崩れてしまい、二人の間の呼吸は最後まで合うことがなかったような・・・ドラマを感じるまでには至らなかった。

印象的だったのはカーテンコール。アリーナが、手にしていた手紙を、"はいっ!(受け取って!)"って感じでぱしっとヨハンに渡したのが可笑しかった~。


11. 「イン・ザ・ミドル」pdd アニエス・ルテステュ&ジョゼ・マルティネス
音楽: トム・ウィレムス
振付: フォーサイス


パリオペから唯一参加の二人。な~んてエレガントなイン・ザ・ミドル!特にアニエスはちとエレガントすぎかも・・・スリリングさに欠けた。(オフバランスはギリギリまで引き伸ばしてほしかったなあ・・・)ジョゼの方が遊べていた感じ。彼の飄々とした風情もよかった。お客の反応はとってもよかったです。


12. 「ロメオとジュリエット」pdd サラ・ラム&デヴィッド・マッカテリ
音楽: プロコフィエフ
振付: ラブロフスキー


ロイヤル組のR&Jとはいえ、リエパ・ガラなので(?)ラブロフスキー版です。踊った二人については特記事項ないのですが・・・久々にこの振付(バルコニーpdd)を見て、ラブロスキー版のマクミラン版への影響を再認識させられました。ほとんど下敷きになっているというか、特にロミオの振付。


13. 「レヴェレーション」 スヴェトラーナ・ザハロワ
音楽: 効果音、ジョン・ウィリアムス
振付: 平山素子


意外にも?この夜最も印象に残ったのがこの作品。暗い舞台の上手・最前線に四角いスポットライトが当たり、長い髪をたらして白いロング・ドレスに身を包んだザハロワが立っている。すっと片手を上げてポーズする姿に緊迫感が漲っていて、思わずはっと惹きこまれる。焦燥感にかられるように舞台をせわしなく移動する、アンドロイドみたいなザハロワ。エッヂィで、時折ヒステリックですらある動きをしてみたり、髪を振り回したり・・・何か、癒されない渇きをもてあますような、そんな感じ。渾身の舞台でした。

正直言って作品が特別気に入ったわけでも、何度も見たいと思わされたわけでもないけど、こういう作品でザハロワを見られたことが嬉しかった(もっとコンテンポラリー踊るべき!)。惜しかったのは、音楽の選択。初めはピアノの鍵盤をぽーん・ぽーんと叩く音でそのあと効果音が入るんだけど、こういう路線でよかったと思う。途中から「シンドラーのリスト」のテーマ曲になるんだけど(イツァーク・パールマンのヴァイオリン)、おセンチすぎ・甘甘すぎで、舞台上のザハロワのクールな佇まい(たとえ"ヒステリックな"動きでも熱くはならない)とまるで相容れない。観客の反応は熱狂的で、瀕死の3倍ぐらい?すごかった。


14. 「ドン・キホーテ」pdd ナタリヤ・オーシポワ&レオニード・サラファーノフ
音楽: ミンクス
振付: プティパ


ボリショイとマリインスキーの若手テクニシャン二人によるお祭りフィナーレ。きっと二人で、「今夜は回ろうね!」かなんか示し合わせていたんでしょう 二人ともほんとにまぁ、よく回ってました。オーシポワなんて、キトリのVでポワントで斜めに舞台を移動する振りはすべて回転に変えていた(回転しながら舞台後方を水平移動してた)。それに加えて見得の切り方から何から、ともかくあまりにやり過ぎで、もう笑うしかない~状態。まぁガラだからね・・・と自分に言い聞かせつつ、でも、バレエに見えないんじゃないの これじゃあ・・・と嘆息。

オーシポワのキトリは私も大好きだし、ロンドンにわんさといる彼女の才能の賞賛者の一人でもあるけど・・・。いかに貴女の身体能力が凄いか、我々はとっくに存じ上げてますのよ。もはやこれ以上、何を証明してくれなくてもいいの。せっかくの恵まれた資質をムダ遣いしてないで、速やかに次なる発展段階に移行して頂きたいと思います!(オーシポワとサラファーノフ、お互いの悪い部分を引き出し合うパートナーのような気がしてならない・笑。あんまり一緒に踊ってほしくないわ・・・)

観客は大喜びで、その騒ぎ方たるや常軌を逸してました(喜びすぎ!)。まぁ、ガラですからね・・・

<終>
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2008-02-27 10:01 | その他のバレエ・ダンス公演 | Comment(18)
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