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"Bewitched, bothered and bewildered"
昨夜BBC1でTVプレミエされた映画・"The History Boys"を見ました。舞台はシェフィールドのグラマー・スクール(男子校)、Oxbridge入学をめざす8人の生徒と教師の交流を描く青春もの。アラン・ベネット作・同名タイトルの劇の映画化いうことで"台詞が主役"なので、意味がわからない部分が多々ありましたが(男の子たちが背伸びして繰り出す皮肉とジョークなど)、いかにもイギリスらしい映画でまずまず楽しめました。

・・・で、書きたいことはこの映画についてではないのです(ゴメンナサイ)。映画は1983年のイギリスを舞台としているのでサウンド・トラックもその頃のブリティッシュ・ロックが多いのですが(ザ・スミスとかクラッシュとか・・・)、生徒の中で一人歌の大好きな男の子がいて、何かというとすぐ歌を歌いだすんですよ。ピアノ弾きの相棒もいて、"General Studies"の授業でこの二人が共演するシーンがあって、そこで歌っているのがスタンダード・ソングの"Bewitched, bothered and bewildered"。この曲大好きなので真剣に聴き入っていたら、最後の方で歌詞を替えて歌っていて、この生徒が想いを寄せる同級生への恋心をほのめかすような内容になってました。映画の最後、エンド・クレジットが流れるところでは、同じ曲を英人気シンガー・ソングライター、ルーファス・ウェインライトが歌っています。

で、久しぶりに聴いたこの曲にすっかりしびれてしまって、CDを引っ張り出して昨夜からロマンティックでセンチメンタルなスタンダード・ナンバーの世界に浸っています。歌っているのは、リンダ・ロンシュタット

リンダは70年代にカントリー・ロック歌手として一躍その名を馳せましたが(かのイーグルスはもともと彼女のバック・バンドだった・・・古い話です)、80年代にベテラン・バンドマンのネルソン・リドルと組んで全編ジャズ・スタンダード・ナンバーからなるアルバムを世に送り出しました。全部で三枚あったのですが、最初に出た"What's New"ですっかり魅了されて、続く二枚も愛聴版に・・・本当によく聴いた。

いわゆるアメリカン・スタンダードと呼ばれる、20~40年代の名曲がずらり(作曲家はガーシュイン、バーリン、ヤング、リチャーズ、etc)。リドルの洗練されたアレンジとリンダの甘いヴォーカルが絶妙の組み合わせで、ちょっとレトロで懐かしいムード一杯のラヴ・ソングス。アメリカ合衆国の生んだ20世紀最高の作曲家たちが創った音楽が素晴らしいのは勿論だけど、スタンダード・ナンバーは歌詞も素晴らしいんですよねえ・・・ほとんどベタとも言える素朴なラヴ・ソングが多いんだけど、これが私、大好きで・・・。

この三枚に収められている曲はどれも甲乙つけがたいくらい大好きなんだけど、特にリンダの甘くてフェミニンなヴォーカルが光るのは、片思いや失恋について歌っている、切ない(&やや自虐的な)曲の数々。囁きかけるように始まって、サビの部分で一気にエモーショナルに盛り上げる・・・って書くとあまりにベタに聞こえるかもしれませんが、これが洗練されてるんですよ~ 見かけはシンプルだけど、歌詞は韻を踏んでいたり・ウィットに富んでいたり。時折2~30年代のグラマーを想わせる描写もあって、これも大好きなんです~。

この中で切ないラヴ・ソングといえば、筆頭はアイラ・ガーシュィンが歌詞を書いた、"I've Got a Crush on You"、"Someone to Watch over Me"、"But Not for Me"の三曲。(アイラは天才作曲家ジョージ・ガーシュインのお兄さんですが、この人の歌詞にはほんとに泣かされます・・・)上で書いた"Bewitched..."は、Rodgers and Hartの名コンビで知られるLorenz Hart(作詞)と Richard Rodgers(作曲)の作品。

Lorenz Hartという人も切なくロマンティックな歌詞を書くことではアイラにひけを取らず、リンダのアルバムには"It Never Entered My Mind"という名曲も収められているのですが、まずは"Bewitched..."の歌詞をここに書きたくて仕方ないので書いちゃいます。

He's a fool and don't I know it
but a fool can have his carms
I'm in love and don't I know it
like a babe in arms
Love's the same old sad sensation,
lately I've not slept a wink
Since this half-pint imitation
put me on the blink....

...I'm wild again, beguiled again
a simpering, whimpering, child again
Bewitched, bothered and bewildered am I

Couldn't sleep and wouldn't sleep
When love came and told me
I shouldn't sleep
Bewitched, bothered and bewildered am I

Lost my heart, but what of it
He is cold I agree
He can laught but I love it
Although the laugh's on me

I'll sing to him each spring to him
And long for the day when I'll cling to him
Bewitched, bothered and bewildered am I

Men are not a new sensation
I've done pretty well I think
But this half-pint imitation
put me on the blink....

I've sinned a lot, I'm mean a lot
But now I'm like sweet seventeen a lot
Bewitched, bothered and bewildered am I

(lyrics: Lorenz Hart / Linda Ronstadt "'Round Midnight"の歌詞カードより)

タイトルは、恋に落ちて"魔法にかけられたような不思議な気分とショックを味わっている”感じがよく出てません?ああ、やっぱりこれは書くより聴くものだ・・・またリスナーに戻るとします。

☆この曲が収められているリンダ・ロンシュタットのアルバム、"For Sentimental Reasons"のアマゾン・ページ。サンプルを聴けます(2曲目):

http://www.amazon.com/Sentimental-Reasons-Linda-Ronstadt/dp/B000002H3L/ref=pd_bxgy_m_img_b

☆"The History Boys"のトレーラー・ビデオ(ナショナル・シアターのサイトにあがっているのは、この映画の監督ニコラス・ハイトナーがナショナルのディレクターだから?):

http://www.nationaltheatre.org.uk/historyboysvideo
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2007-12-30 07:46 | 音楽 | Comment(0)
ボリショイ&ウィールドンのドキュメンタリー(2)
パート・2です。

その前に・・・昨日の記事で、バレエ・ボーイズの日本での知名度がどの程度のものか・・・って書きましたが、今日思い出したんですけど、この二人はシルヴィ・ギエムと一緒に"Brokene Fall"を日本で踊ったことあるような(マリファント振付のやつです)。だとしたら、案外彼等の舞台を見たことのあるバレエ・ファンは多いのかな?

☆☆☆

ある日のリハーサルを終えて自室に戻ったウィールドンのコメント。(バレエ・ボーイズたちの助けを借りつつ)ダンサー達にモデルを見せながら創作していくのは本来の自分のやり方じゃないけど、必要だから仕方ない。最終的にはダンサー達が動きを自分のものに磨き上げていくわけだけど、実際手元にマテリアルがあるってことには凄く助かってる。

場面かわって振付家とロシアのプレスとのインタビュー・シーン。「若干33歳でバレエ界の最も有望な振付家とみられていることにプレッシャーを感じませんか?」という質問に、「うん 時々ね・・・でも考え始めるとほんとにプレッシャーになるから、できることは自分がやるべき仕事をこなしていくことだけなんだ。」あくまでリラックスした雰囲気で、現在の創作も上手くすすんでいる、という印象を与える如才ない受け答え。ここで、バレエ・ボーイズが一言。「インタビューは成功したけど、我々(ボーイズ)のこれまでの貢献については、クリスは見事にすっ飛ばした!」

インタビューのあと劇場の通路を小走りに行くウィールドンとナン。ちょっとばかり振付家にお灸をすえるべく、ナンがこの機をとらえて"僕等の目で見たこれまでの創作プロセス"について、カメラの前でコメント。"クリスはさ、なーんの予習も準備もなしにモスクワに乗り込んで来て、スタジオに直行して・・・たった二週間で作品創ろうっていうんだから。"(ここでウィールドンが横から口出しする・・・"何の準備もしてないなんてことないだろ!"。それをナンが遮り、"お前も言いたいことがあったら後で言えよ、俺に先に言わせろ!")

再びナン。"で、クリスはさ。自分は何もしないで・それでも何か起きると期待して、結局何も起きなかったんだから。で、クリスマス明けに俺達ほんと悪あがきしたよな。果てはトラックスーツに着替えて彼を助けてやったのにさ。"(ナンが喋ってる最中に何度かウィールドンが遮ろうとする。その都度、"Hold on a sec!"とナンに押し返される。)続いては、ウィールドンの"弁解"。

いや、君等にはほんと助けてもらったよ。(その言葉に、"そりゃ~どうも"って感じで皮肉っぽくThank youを言うナン。)ボリショイのプログラム、ほら皆劇場で手にするやつ、あれに君等の名前をクレジットすることもやろうと思えばできるよ。・・・でも、僕にはできない。なぜ?と訊くナン。"確かに、僕は君に作品を振付けたよ それは事実。でも、実際"君が"クリエーションしたわけじゃないだろう?"ときっぱり答えるウィールドン。そう言われては、ナンも、うんそりゃそうだ・・・と答えるしかない。ウィールドンは改めて、"アソシエート・コレオグラファーとしてプログラムに名前を出してほしいかい?”とナンに問う。ナンは無言。

リフトを待つ二人。ドアが開くと、ナンが皮肉っぽく、「お先にどうぞ、マエストロ!」と。ウィールドンは、「だめだめ、クリエーション・チームが先!」とかわす。リフトの中、ややぎこちない雰囲気。ナン: 「悪かった・・・今日はちょっとさ、何か言いたい気分だったんだよ」 ウィールドン: 「いいんだよマイケル・・・君の言うことはもっともだしさ。(これに対してナンがちょっと皮肉っぽく頷く)君達のお陰で助かっていることは認めるよ、ただ・・・」 ナン:「わかってるよ・・・ただそのことをこのリフトの外には漏らしたくないってだけだろ!」(一同笑)

タフな一週間を終えたウィールドンをボーイズ&パンチェンコが息抜きの週末旅行に連れ出す。行き先はサンクト・ペテルブルグ。一行はネフスキー・プロスペクト~エルミタージュと回って、最後にワガノワ・アカデミーの博物館に到着。イギリスではバレエの歴史といったら100年そこそこだが、ここでは実に200年を超す歴史があるのだ・・・というナレーションのあと、ワガノワ・アカデミー内(?多分)のスタジオに。多くの古典バレエ作品を生んだスタジオでしばし時を過ごすウィールドン。帰りの列車の中で過去数週間を振り返り、ウィールドンが胸中をあかす。

当初暖めていたコンセプト(物語バレエのハムレット)がワークしなかったのは自分の責任。日頃わりと自然発生的に物事がすすむことが多いから、上手くいくだろうとタカをくくってたんだよね・・・劇のハムレットはよく知ってるし。モスクワに来る前、ロシアのダンサー達と仕事するのは大変だって周囲からさんざん聞かされていたんだけど・・・多分ここに来た当初はそのことが頭のどこかにしっかりこびりついてたのかもしれない。

でも、最近やっと自分とダンサー達の間に歴然とあったバリアが崩れつつある、って感じてるよ。最初のうち、ダンサー達は僕を信用していなかったと思うな・・・だって、その頃の僕はいかにも自信があるかのように振舞っていたけど、内心パニック状態だったからね。表向きは平常心を保っているように見えたかもしれないけど、"偽の自信"だったんだよ・・・ダンサー達は僕の"怖れ"を嗅ぎ取っていたに違いないね。

モスクワに戻り、リハーサル・ルーム。劇場のジェネラル・マネジャーのゲットマン氏から、新作のタイトルを至急知らせてほしい、と連絡が入る。("今すぐ"!)タイトルはまだ決めていなかったので、"も~バレエのタイトルぐらいでこんなにパニクる人たち見たことないよ~"とぼやくウィールドン。ナンが助け舟を出す。「何か、モスクワを想起させるタイトルはどう?君の初めてのモスクワなんだしさ・・・」 ウィールドン: 「ちょっと考えてたのはね、"Not To Be"なんだけど・・・」 ("は?"と、ナンはピンとこない表情) ウィールドン: 「"Or Not To Be"は?他は、そうだなあ・・・"3rd Symphony", "Once Forgotten, Now Remembered","Part 3"・・・どう?" (ナンにはどれもピンとこない)

仕方なく、ナンがトレヴィットの奥さんに電話して(国際電話?)、彼女に思いつく"中世風のタイトル"を片っ端からあげてもらうことにする。リハーサルを続けるウィールドンを横目に、メモを取るナン。ナンのメモを覗き込むウィールドンの目に留まったのは、"Elsinore"。「これ、いいじゃない!」「でもさ、これ、ただの土地の名前だよ」「いいよ、構わないよ!」さらにメモを覗いて、「"Misericordes"・・・う~ん、これもいいなあ」とすっかりこの単語が気に入った様子のウィールドン。「それ、どういう意味?」と訊くナンに、「意味なんてどうだっていいよ fabulous wordだから!いかにも中世風の重々しさがあるじゃない」と振付家。横からパンチェンコが同じ質問(どういう意味なの?)をウィールドンに。「知らないよ~!調べなきゃね。」

その様子を見たナンがやや焦り気味に、「ここ、カット!」とカメラに向かって手で合図する。ウィールドンは全く悪びれず、「いや全然構わないよ。日頃よく作品タイトルについては父に相談してるし・・・大体の作品の雰囲気と自分のフィーリングを彼に伝えると、いつもすっごくいいフィードバックくれるんだよ。実際、僕の作品の相当数は彼が名付け親だよ!」 [注: モスクワで初演されたときの作品タイトルは”Misericordes"、その後"Elsinore"に改題されたという題も使っている]

意気揚々とゲットマン氏にタイトルを伝えにいく一行。その後自室に向かう途中、「いいタイトルだ!」とすっかりご満悦のウィールドンにナンが軽く皮肉をお見舞い。まったく、お前一人じゃろくなもの思いつかなかったよなぁ・・・何て言ってたっけ?"To be or not to be"?対するウィールドン: "Not to be!"パンだよ、言葉の遊びだよ!

場面転換。ある日のリハから戻ってきたウィールドン。やや興奮した面持ちで、「今日は何もかも上手く言った・素晴らしい日だった」とカメラに向かって報告。ダンサー達と理解しあえて、新しい作品を創ることができる・・・なんてエキサイティング!ここのダンサー達は厳格なクラシック教育を受けているから、皆動きがとても垂直的・直線的("upright")なんだ・・・僕がやろうとしているのは、ダンサー達にこういう動き方*もある、と示すこと。(* "concept of shaping the torso over something, or around something.")

いよいよ新作が完成。ボリショイ・オーケストラとの初めての合同リハーサル。初めて作品を目にするラトマンスキー芸監はいたく気に入った様子。「素晴らしいよ・・・ダンサー達のパーソナリティが見えてくる。過去数シーズン続けて踊ってるバレエ作品よりも、僕の目には良く見えるね。」続いて、プレス・コンファレンスの場面。作品の一場面を抜粋で見せている(アレクサンドロワのソロ)。プレスの反応はかなり良くて、ウィールドンはジャーナリスト達から質問攻めにあっている。さらにはTV局・Kulturaのトーク番組に出演する振付家(「視聴者が一億四千万人いるのよ!」と語る劇場関係者の女性)。

番組出演前にメークされるウィールドン。横で見ていたナンが、「すっごくスマートだねえ」とからかうと、「12歳の子供の気分だよ・・・スクールボーイみたいでしょ」と笑うウィールドン。[つぶやき: ウィールドンって頭が大きくて童顔で、子供がそのまま大きくなったようなルックスなんですよね。私的にはこのボーイッシュで気取らない雰囲気で相当得しているのではないか・・・と思ったり。] ウィールドンのコメント: 創作する際、完全にバレエのボキャヴラリーから外れることはしたくなかった・・・何といっても皆凄いバレエ・ダンサー達だからね。ただ、新しいディレクションをダンサー達に示したかっただけだ。彼等も最初は戸惑っていたけれど、お互いを信頼し合える段階に達してからは上手く行っている。信頼関係がすべてだからね・・・。

プレミエ公演直前。主な出演ダンサー達の一言コメント。

スヴェトラーナ・ルンキナ: クリスの評判は以前からよく聞いていて、一度一緒に仕事したいと思ってた。創作のプロセスを大いに楽しんだわ!

ルスラン・スクワルツォフ: 最初は彼が僕等に何を求めているのか、理解できなかった。でもすぐにお互いに慣れたよ・・・(この後いきなりカメラが彼の顔の上半分だけ映す。目をくるくる回しておどけるスク君)[つぶやき: これは絶対に、「明るい小川」・ニ幕のスク君を再現させようとしたに違いない!)

アナスタシア・ヤツェーンコ: ウィールドンが最も感銘を受けたダンサーが彼女。自身が主催するカンパニー・Morphosesに参加する気はないかと打診すべく、バレエ・ボーイズを彼女の元に派遣する。話を聞いたヤツェーンコは、恥ずかしそうに、でも嬉しそうな表情。「これが数年前なら全速力で走って(NYに)行っていたでしょうけど・・・小さい子供がいるので、今はムリ・・・」と。

マリヤ・アレクサンドロワ: 新しいことに直面したら、自分自身の内面にある何かを探し始めなければいけない・・・そしてそのチャレンジを受けて立てるかどうか見極めなければ。先に進むか・立ち止まるか、決断しなきゃいけないのよ。

ドミトリー・グダーノフ: 僕のパートにはまだハムレットのキャラクターが少し残ってるんだよね。どういうものかというと・・・宇宙かどこかから人類を浄化するためにこの世にやって来たスピリットとでも言うかな・・・。この作品は僕から新しい何かを引き出してくれたよ。[つぶやき: 仰る通り!私もこの作品で貴方の新しい顔を見せて頂きましたよ!]

この後、”Misericordes"全編を放送(約25分)。キャストは、グダーノフ、アレクサンドロワ、ルンキナ、ヤツェーンコ、レベツカヤ、クレフツォフ、スクワルツォフ、ゴドフスキー、ロパーチン。もともと照明をかなり落としているのだけど、TV映像で見ると舞台が暗すぎなのが残念だった。再見して気に入ったのは、マーシャとグダーノフのソロ、ルンキナ&スクワルツォフのpdd。(今年夏の鑑賞レビューはこちら)

http://londonballet.blog60.fc2.com/blog-entry-286.html

バレエ・ボーイズの総括は、「終わりよければすべてよし」。ウィールドンの新作は批評家のウケもよく、商業的にも成功した(初演に続く公演が全てソールド・アウト)と結んでいる。舞台がハネた後、ボリショイ・ダンサーズから寄せ書きしたTシャツが振付家とボーイズに贈られる。「僕はすごくハッピーだ!」とスピーチするウィールドン。モスクワを去る前にボーイズ達はもう一仕事。ボリショイのジェネラル・マネジャーのゲットマン氏を"rock'n roll野朗"と高く?評価していたボーイズは、"To be or Not to be"と彫りこんだアコースティック・ギターを氏に進呈。(バリバリのアメリカ語でお礼を言うゲットマン氏。)

最後は、打ち上げパーティーのシーン。劇場関係者たちと祝杯をあげ、一緒に写真を取るウィールドン。ヤツェーンコは結局Morphosesへのオファーを受諾、今後ニューヨークで踊る機会が増えそう。すっかりいい気分のウィールドン&ボーイズだが・・・一瞬カメラが静止する。「ん?誰か忘れてないか?」

と、次のショットでツィスカリーゼが登場![つぶやき: ニコライさんとルンちゃん、お互い"こんにちは"でなはくて"Mon amour, mon amour"と言い合っていたんですが、これが挨拶代りなのでしょーか??]

やや驚いて引き気味のウィールドンに対してとってもフレンドリーなツィスカリーゼ、「この次は、僕のためだけの作品を創ってね!」「・・・え君だけ?コール・ドはなし?」「うーん ちょっとならいいけど・・・」。ツィスカリーゼからプレゼントをもらって喜ぶウィールドン。最後は、ツィスカリーゼがウィールドンを優しくハグする2ショットで、幕。[つぶやき: 結局、このフィルムで一番強烈な印象を残したのは・・・ニコライさんでしたねえ。]

☆バレエ・ボーイズHPの番組紹介ページ:
http://web.mac.com/georgepiper/index/News.html

☆クリストファー・ウィールドンのMySpaceページ:
http://www.myspace.com/morphoses
2007-12-27 09:12 | ボリショイ・バレエ | Comment(7)
ボリショイ&ウィールドンのドキュメンタリー(1)
本日・クリスマス・デーから怒涛のバレエ・オン・TV週間が始まりました。まずしょっぱなはChannel4の"Strictly Bolshoi"。先日ちらりと触れましたが、ちょうど一年前に収録されたクリストファー・ウィールドンボリショイ・バレエ団における創作記録。(95分間)

いや~ これ、すんごく面白かったです。フィルム撮りしているのはウィールドンの長年のダチで英バレエ界が誇る、"踊れてカメラも回せる"二人組・バレエ・ボーイズ

バレエ・ボーイズのマイケル・ナンとウィリアム・トレビット、日本での知名度はどの程度なのかさっぱり見当つかないのですが、二人は元ロイヤル・バレエのプリンシパル。例の、熊川氏がロイヤルから衝撃の退団劇を果たしたときに共に出奔したメンバーで、このときの顛末をビデオカメラに収めたものがやはりChannel4で放送されて、その道で一躍有名人に。振付家と気心の知れた二人がカメラを回していたこともあり、非常に正直で見応えある映像となっています。

☆☆☆

2006年12月、イギリス人振付家として初めてボリショイ・バレエ団に新作を振付るため、モスクワに乗り込んだウィールドン。バレエ団のAD・ラトマンスキーの強い引きで現地入りするも、言葉の壁と、彼とボリショイ・ダンサーの仕事の仕方の違いからなかなか突破口を開けず、創作は遅々として進まない。

ウィールドンは当初から明確なアイデアをもって、スタジオに乗り込む時には完璧なプランをダンサー達に示せる・・・というタイプの振付家ではなく、漠然としたアイデアをダンサー達にぶつけて彼等のインプットにインスパイアされて作品を創っていくタイプのよう。一方、ボリショイのダンサー達は振付家から完璧なプランを指示されてそれをいかに完成に近づけていくか・・・というやり方に慣れている。(ウィールドンにとっては、ダンサーからの働きかけのない創作プロセスがかなりのストレスだったよう。一方ダンサー達の目には、当初実験を繰り返しているだけに見える彼の創作方法がリーダーシップの欠如に見えても仕方ないし、インプットを求められても戸惑うばかりだったろう。)

スター・ダンサーたちとの満足なリハーサル時間がなかなか取れないこともウィールドンを悩ませていたよう。新作の中心的ダンサーに予定されていたツィスカリーゼとルンキナの二人がpddを模索するシーンが映ったときに、カメラを回していたナンが、「ほとんど・信じられないくらい美しい!」と二人の動きに思わず感嘆の声を漏らしていたけど、この時がウィールドンの到着後(数日間?数週間で?)主役ペアの三回目のリハだったそう。二人ともウィールドンの要請によく応えてノッてきたかな、と思われたのだけど、暫くしてツィスカリーゼがやや意気喪失してしまう。主役二人が絡むシーンに、「これじゃハムレットじゃなくてカーマスートラだよ!」と愚痴ってみたり、ここでリハは一旦切り上げ。作品の方向性を見出せていないのに、ボリショイの裏方は着々と仕事をすすめていて、セットのうちの王座が完成したと報告が入る。焦るウィールドン。

ちょうど劇場がクリスマス休暇に入る直前に、物語バレエのハムレットはワークしない・自分の得意な抽象バレエを創ろうと決意して、ボリショイの総裁に今後の方向性について報告するウィールドン。"多分もうここに戻ってくることはないかも・・・"と冗談交じりにカメラに向かって手を振り、劇場を後にする。続いて、カメラに向かってナンが口早にコメント。「次に何が起きるか大体見えてきたよ・・・クリスは俺達に作品を振付けて、それをボリショイのダンサー達にモデルとして見せる、ってアプローチを取りたがるだろうな。なんたって俺等は彼の振付に慣れてるし、彼が何したがってるかすぐわかるしね。でも、きっとそのやり方じゃボリショイのダンサー達を怒らせるだろうね・・・だって、彼等は俺達が何者かなんて全然知らないだろ?」

クリスマス休暇が明けて、モスクワに戻ってきたウィールドン。創作期間の1/3にあたるこれまでの成果を捨てて、ほぼ白紙の状態に戻すことをダンサー達に宣言する。衣装部の用意した男性用のローブはボツ、帽子もボツ。(王座もボツ!)リハーサルではナンの予言どおり、ナンと、ウィールドンのアシスタントの女性が振付家の意図を形にして見せて、それをボリショイ・ダンサー達が模倣するという方式にスイッチ。ナンの憂慮していた事態は起きず、ボリショイのダンサー達は彼等の存在に感謝している様子、新たなやり方に急速に馴染んでいく。ダンサー達の中ではアナスタシア・ヤツェーンコがウィールドンの意図をよく理解し、かつ並外れた動きを見せ、リハーサル室の雰囲気が格段によくなっていく。

急遽ダンサーとしての役割が回ってきたナンが、通訳オクサーナ・パンチェンコ(バレエ・ボーイズとの共演も多いダンサー)を伴って街にバレエ・シューズを買いに行く。二人を劇場近くのグリシコに案内してくれるのは、アレクサンドロワ。店にはスーパーの特売コーナーみたいに、バスケットに山と積まれたポワント・シューズがある(セール品)。アレクサンドロワのようなプリマ・バレリーナには専属の職人が足にぴったりのシューズをつくってくれる、というナレーションの後に、「私は足の幅がすごく狭くて、合うシューズがなかなかない」とコメントするアレクサンドロワ。ぴったり・スキンタイトなブーツに包まれた本当にほそ~い足が一瞬クローズアップに。グリシコのメンバー・カードを持っているアレクサンドロワがナンの分も払ってくれる。ボリショイ優待価格か、なんと彼女は定価の9割引で買い物ができるのだ!(「9割引なんて・・・馬鹿げてる。そのカード、オフ・ライセンス*でも使える?」とおどけるナン。) [注: オフ・ライセンスというのは、英国で酒類の販売許可を有する店のこと]

再びリハーサル・ルーム、ツィスカリーゼのソロの振付を創作するシーン。風邪気味で咳がちのツィスカリーゼは目に見えて士気が下っている。音楽の選択はひどいものだし、「ウィールドンの指示にはロジックが見えない・・・」と彼への不信感を吐露。「ハムレット」がナラティヴ作品から抽象作品に変わってしまったことにも落胆の色を隠せないツィスカリーゼ。一方のウィールドンも、やることなすこと批判するツィスカリーゼにやや食傷気味。二人の間のテンションが一気に高まったのが続くシーン。ジャーナリスト数人がリハを見学したいと申し入れたのをOKしたウィールドン、それに対して、通常そうしたリクエストは自分我々(注)を通しているはずなのに何故それを無視するんだ、と抗議するツィスカリーゼ。すごすごと引き上げるジャーナリストたち。「貴方のやり方はイギリスでは通用するかもしれないけど、ここでは通用しないよ」とぴしゃりとコメントするツィスカリーゼ。対するウィールドンは若干ひきつりながらも、ここのやり方も自分は徐々に学んでるよ・・・とのセリフを残して、退室。

翌朝、足早にリハーサル・ルームに向かうウィールドンがカメラに向かって語る。芸監ラトマンスキーから電話があって、ツィスカリーゼは病気でリハーサルに出られない、という内容だった。要は、彼はこの作品から降りるということ。リハ室に入るなり、通訳の女性に、「ドミトリー(グダーノフ)は自分がファースト・キャストになるってこと聞いてるか?」と質問。明らかにグダーノフは知らされていなくて、その場で事情を理解した様子。グダーノフは「ありがとう」と一言だけいって、黙々とレッスンに励む。[つぶやき: グダーノフ、ちょっと表情が嬉しそうだったような。]

バレエ・ボーイズとパンチェンコは、降板したツィスカリーゼの様子を探るべく、雪の降る中彼を家に訪ねる。なぜか最初に辿りついたのは、モスクワ郊外の灰色のカウンシル・エステート(公営住宅)。明らかに住所を間違っている・・・。[つぶやき: 「ニコライがこんなところに住んでるはずなかろう~~!」] やっと目的地に着くと、予想に反してツィスカリーゼがフレンドリーに迎えてくれる。客人にお茶とお菓子をふるまうツィスカリーゼ。ポットとティーカップはヴェルサーチ製。「ヴェルサーチのティーポットなんて初めて見たよ~」とびびるナン。リヴィング・ルームのカップボードには沢山写真が飾ってあって、ここには僕の好きなアクターたちの写真を集めてあるんだよ・・・と説明するツィスカリーゼ。ダンサー達の写真もちらほらとある。「あなたの好きなダンサーは?」というナンの問いに、「えーっと・・・ローラン・イレールと・・・・シルヴィ・ギエム」と、彼等の写真を指差しながら答えるツィスカリーゼ。「シルヴィとは共演しないんですか?」という問いには、「だって・・・彼女はロシアでは踊ってないよ」。

リヴィングの壁にも写真がびっしり。他より一回り大きいウラーノワの写真を指差して、続いてお気に入りの自分の写真はこれ、と紹介したのが「ナルシッサス」のリハーサル写真。高~くジャンプするツィスカリーゼを見守っているのは、この作品の初演ダンサー・ワシーリエフ。ソファに身を埋めたツィスカリーゼは降板の理由について、もはや自分はハムレットを踊れないという事実に打ちのめされてしまい、体調を崩したと語る。ツィスカリーゼの家を後にした三人、トレヴィットの感想。ツィスカリーゼは真摯でいい奴だよ・・・彼は劇場の歴史にプライドを持っていて、自分の役割を熟知している("if only a little....")。

☆☆☆

OMG!だらだら書いていたら収集がつかなくなってしまった・・・ここで一旦切ります。

【注・2009年3月23日追記】 ツィスカリーゼの発言中、元の英訳では"my...."となっており「自分の~」と訳しましたが、これは誤訳で、正しくは"our"(「我々の」)とすべきと確認できたので、訂正します。この情報はモスクワ在住でロシア語堪能なけいちかさんに教えて頂きました。(けいちかさん、<いつもながら>ありがとうございました!)

http://hidebbs.net/bbs/keichika?n=44727069&s=7&m=10
2007-12-26 11:28 | ボリショイ・バレエ | Comment(15)
プチ情報 ザハロワ&バッセル
ダンソマニで見たのですが、スヴェトラーナ・ザハロワがスカラ座バレエ団の"Prima Ballerina Etoile"に任命されたそうです。

http://archivio.corriere.it/archiveDocumentServlet.jsp?url=/documenti_globnet/corsera/2007/12/co_9_071223058.xml

フェリの引退後、スカラでは女性でこの称号を持つダンサーがいなくなってしまったんですよね(男性はボッレとムッル)。私は密かに、現在パリオペを休職中のエレオノーラ・アッバニャートがヘッドハントされるんじゃないか、なんて想像してたんですけど(最初は"普通の"プリンシパル・レベルで)、その線はなさそうだな・・・ダンソマニ情報によると、エレオノーラは早くも来年2月の「オルフェとエウリディーチェ」で復帰するみたいだし。

「ザハロワは今後3シーズンこのポジションで契約」と読めそうな部分があるのですが、彼女は今後益々スカラの舞台で踊る機会がふえるのでしょうか。

さて、続いてはダーシー・バッセルの話題。

今年の夏ロイヤル・バレエを引退したダーシー、以前から漏れ聞こえてはいましたが、年明けに家族揃ってオーストラリアに移住するそうです。

http://www.timesonline.co.uk/tol/news/uk/article3087315.ece

ダーシーは心機一転・専業主婦になって、エコ・ライフを実践したいのだそう(自給自足をめざすらしい!)。ダーシー一家のその後については、おそらく数ヵ月後にまたイギリスの新聞が伝えてくれることでしょう。
2007-12-26 05:16 | 情報系(ニュース、公演) | Comment(4)
TV情報・ウィーンフィルNYコンサートほか
今日24日は日本は振替休日でしたよね。イギリスは平日だったけど多分殆どの勤め人は休暇を取っているのでは・・・ご多分に漏れず私も休暇中です。で、明日・明後日は公休日で更に連休となるのですっかりホリデーモード。TV局もこの時期はスタッフ不足のせいか、映画か再放送の番組ばかりですが、今日は90年のワールド・カップ・ローマ大会の特別イヴェント、3テナーのコンサートをやってました。この時のコンサートはカラカラ浴場を舞台にしていてめちゃくちゃ雰囲気あるんですよね~ アンコールの O sole mioとNessun Dormaは何度聴いても鳥肌もの・・・。

さて年も押し迫ってくると気になるのがウィーン・フィルのニューイヤーコンサートで誰が踊るのか?ってことで、ちょっとサーチしてみたところ、既にオフィシャルサイトに曲目ほか詳細がアップされていました。

http://www.wienerphilharmoniker.at/index.php?set_language=en&cccpage=news_detail&set_z_news=559

指揮者はフランス人のジョルジュ・プレートル氏ということでフランス色の強いコンサートになるようです。肝心のダンス部門については、ウィーン国立バレエ団が出演するという以外は情報なし・・・特にゲスト(スター)・ダンサーの名前は出ていません。しかし、気になったのは、バレエ・シーンの振付家の一人、ニコラ・ムザン氏の振付"テーマ"なんですが・・・来年オーストリア・スイスで共同開催されるサッカー・ヨーロッパ選手権を意識したものになるということで・・・更にググってみたらこんな写真を見つけてしまいました(下にスクロールして下さい):

http://www.zdf.de/ZDFde/inhalt/6/0,1872,1404038_idDispatch:7286364,00.html

ううう かなり微妙・・・サッカーのユニフォーム風コスチューム着用のウィーン国立の男性ダンサーたち。これは、覚悟して見る事にいたしましょう・・・。(当然?青きドナウにもダンス・シーンが挿入されるみたいですが、振付担当はクリスティアン・ティッヒー氏。こちらは穏便な演出なのかなあ・・・)

以下、英国限りのTV情報です。

日頃イギリスのTV局がバレエやオペラの番組を放送することなんて滅多にないんですが、唯一の例外がこの時期。クリスマス~お正月にかけて集中的に"high art"を取り上げるんですよね。明日以降私がマークをつけている番組は以下の通り:

12/25 Christmas Day

Channel 4 2:45pm - 4:20pm "Strictly Bolshoi"
クリストファー・ウィールドンがボリショイ・バレエ団に初めて作品を振付けた時のドキュメンタリー

BBC2 3:55pm - 4:25pm "The Magic of Romeo and Juliet"
ケネス・マクミランの名作・R&Jの秘密にジョナサン・コープが迫る、"behind the scenes"もの

BBC2 4:25pm - 6:50pm The Royal Ballet in "Romeo and Juliette"
ロイヤル・オペラ・ハウスからの劇場中継。主演はタマラ・ロッホとカルロス・アコスタ

12/26 Boxing Day

BBC2 1:15pm - 1:45pm "The Magic of Carmen"
オペラ「カルメン」を紹介する番組。ホスト役はロイヤル・オペラの音楽監督アントニオ・パッパーノ

BBC2 1:45pm - 4:25pm The Royal Opera in "Carmen"
オペラ「カルメン」の劇場中継(ザンベッロ版)。主演はアンナ・カテリーナ・アントヌッチとヨハネス・カウフマン

BBC1 8:30pm - 9:55pm "Ballet Shoes"
同タイトルの児童文学のドラマ化

ITV1 London 11:15pm - 12:15am "The Nutcracker Story: The South Bank Show"
サウス・バンク・ショーの「くるみ割り人形」特集

12/30

BBC1 4:20pm - 4:50pm "Rolf on Art: Beatrix Potter"
セレブ・ペインター、ロルフ・ハリスがベアトリクス・ポターの魅力に迫る。ロイヤル・バレエのバックステージ・レポもあり

12/31

BBC1 1:15pm - 2:30pm The Royal Ballet in "Tales of Beatrix Potter"
ロイヤル・オペラ・ハウスからの劇場中継

1/1 New Year's Day

BBC2 11:15am - 12:45pm "New Year's Concert 2008"
ウィーン・フィル ニュー・イヤーコンサート

・・・と、なかなかのラインナップなんだけど、明日のボリショイ・ドキュとジョナサンのR&Jの時間が重なってるのが許せない!バレエ関係たまーにしか放送しないくせに、なんでこういうことするのか・・・

もとい、ご覧になれる方は録画準備をお忘れなく~。(TV放映時間の情報は radiotimes.comに掲載されていたものです。当日再度確認必須ですよ)
2007-12-25 05:14 | 情報系(ニュース、公演) | Comment(4)
NYCBのくるみ映像
パリから戻ってきました~。

パキータ2回、アルチーナ1回見ましたが、パキータはやや不完全燃焼だったなあ・・・見ながら時にしんみりしてしまったり。(←特に深い意味はありません!)アルチーナでは、見事カサローヴァに振られました。キャスト・シートにはお名前があったのでホッ・・・としたのも束の間、幕が上がる直前に「謝りお姉さん」(いや、フランスでは謝りませんけどね)が登場して、彼女の口から Madame Vesselina Kasarova...と漏れた途端、もうガックリ・・・。代役でルッジェーロ役を歌ったのは Anna Radziejewska という方でした。多分初めて聴いた歌手だけど決して悪くはなかったし、オペラ自体も初見でまずまず楽しめたので傷は浅いですが・・・。

パリ入りした21日、男子コンクールの結果が気になったのでガルニエの売店で聞いてみたところ、お姉さんが一言「マチアス!」と。続けて、「あ、あとビュイヨンも」と教えてくれたので、マチアスが首位昇進を果たしたのか?と想像してたのですが、実際そうだったのですね。女子に比べて順当(穏当?)な結果に拍子抜けしてしまいました。(この二人は翌日・22日に揃って登場して元気に踊ってました。)

戻ってきていつものルーティン、ballet.coのリンクから新聞記事を読んでいたのですが、目に留まったのがこれ。「New York City Ballet・2,000回目のくるみ割り人形公演」というタイトルで、NYCB公演の舞台&舞台裏を紹介した映像。

http://video.on.nytimes.com/?fr_story=ce632d743627de8221e4f7f06d2c1e7a675a55b7

ホステス役兼金平糖の精を踊っているのはウェンディ・ウィーラン。くるみ2,000回公演を記念して、去る21日の舞台で3組の主役ペアが競演した・・・という話題ですが、信じられないのが"2,000回"という上演回数。このクリップにありましたが、バランシン版くるみの初演は1954年2月、ということは半世紀以上上演され続けているわけですが、それにしても2,000回って・・・

ちなみにロイヤルのライト版、先日私の見た12/14が274回目の公演だったんですよね。ライト版の原版は1984年12月に初演されていますが、この時から数えても23年かかって274回ですよ・・・NYCBの2,000回という偉業はいかにして達成されたのであろうか?ご存知の方がいたら教えてください!(気になって仕方ない・・・私バランシン版のくるみって見たことないんですよ 見たいなあ・・・)
2007-12-24 09:30 | 情報系(ニュース、公演) | Comment(3)
パリ・オペラ座バレエ 2007年度コンクールの結果
パリオペ年末恒例の昇進コンクール、今日(12/20)行われた女子の部の結果が早速Dansomanieに出ていました。

☆スジェ → プルミエール・ダンスーズ

1位昇進: Eve Grinsztajn (エヴェ・グリンスタン)

2位昇進: Muriel Zusperreguy (ミュリエル・ズスペルギー)


3位: Aurélia Bellet

4位: Laura Hecquet

5位: Sarah Kora Dayanova

6位: Alice Renavand

ということで、エヴェ・グリンスタン(←すみませんこの表記間違っているかも・・・読み方がわかりません!)とミュリエル・ズスペルギーがプルミエに昇進!

・・・私的には結構意外、というか、外部の人間からみて決して"わかりやすい”昇進劇ではなかったかなというか。順位が出るのは6位までのようで、上記以外に試験を受けたスジェ・ダンサーは以下3名: マリー・ソレン・ブレ、ファニー・フィアット、マチルド・フルステー。(私のご贔屓ファニー・フィアットは今年も・・・嘆息)

上り調子の若手・フルステー、エケらをおさえてプルミエの座を勝ち取ったのはともに入団10年超の、カンパニーの中堅になりつつある二人のダンサー。ミュリエル・ズスペルギーはここ数年ルグリのグループ公演で来日しているので日本のファンにもおなじみですね。一位昇進を果たしたエヴェ・グリンスタンは日本では殆ど知名度がないかも・・・ただ、彼女は映画「エトワール」にちらっと登場しますよね それで憶えている人が結構いるかな。(「白鳥」の花嫁候補の役について、「王子様を誘惑する・踊り甲斐のある役よ」というようなことを語っていた。)とても色っぽい雰囲気のダンサーで、キャラクター系のドゥミ・ソロイストに抜擢されることが多い印象があります。(私は最近では「嵐が丘」のイザベルを踊る彼女を見ました。)

エヴェって確かちょっと前にRepettoの宣伝に出てたよね・・・とふと思い出して検索してみたらネットにありました。(サイトにアクセスして左上の"Acte 1: La Marque"→"Savoir-Faire"をクリック。ライモンダの衣装のエヴェがちらりと映ります)

http://www.repetto.com/savoir.php

えー時間の都合上この下のランクはさらっといきます。コリフェからスジェに昇進したのは以下3人の皆さん:

Ludmilla Pagliero, Christelle Granier, Sabrina Mallem

残念ながらSBLで日本でも知名度のあがったシャルリーヌ・ジゼンダネーは4位、ロレーヌ・レヴィは5位で惜しくも昇進を逃しました。しかし、SBL組、カドリーユからコリフェに昇進した5人の中には名前がありました・・・エレオノーラ・ゲリノー嬢。この方、SBLで見た若手の中で私的に一番注目していた方なので嬉しいです!

明日は男子の部ですね(注目はなんといってもマティアスかな~やっぱり)。昇進された皆さんおめでとうございました!そしてコンクールに出場された全てのダンサーの皆さん、お疲れ様でした!!
2007-12-21 08:48 | パリ・オペラ座バレエ | Comment(0)
パリ・オペラ座 「アルチーナ」
今週末パリに行くのですが、あちらもかなり寒そう・・・。金曜と土曜の晩に「パキータ」を見て、日曜の昼はオペラの「アルチーナ」を鑑賞する予定。(まだ土曜のパキータのチケットは取れてないんだけど・・・)

日曜はバスティーユで「くるみ」の公演もかかっているけれど、実はヌレエフ版くるみの振付が苦手すぎる私、オペラも魅かれるしどうしようかな~と迷っていたところ、なんとオペラの方があっさり良席(38ユーロのお得席)が取れてしまったので、こっちに決めたのでした。

・・・もっとも、ヌレエフ版苦手とはいえ、ジョゼのドロッセルマイヤーが見られそうならくるみに鞍替えしようとも目論んでいたのですが、残念ながら彼は怪我で降板・・・。同じくプルミエを踊ることになっていたレティシアも怪我で降板してしまい、結局映像撮りはミリアムとジェレミーのペアで行われるんですよね。

いや、別にこの二人には何の恨みもないんですが、なーんかちょっとすっきりしないものが。これ皆さんとっくにご覧になってると思いますが、ちょっと前にダンソマニで紹介されていた、パリオペくるみの"アドヴェント・カレンダー"ビデオ。

http://toowam.france3.fr/test/casse-noisette/

舞台映像もちらちらうつりますが、幻のファーストキャストが踊ってる・・・ゲネプロの映像でしょうか??こういう映像があるなら、できればこっちをリリースしてほしいなあ ・・・。(ジョゼ・カルロス・マルティネスのドロッセルマイヤーを見せてくれ~~~!言いたいのはそれだけ・・・)

愚痴はこのへんで・・・本題のオペラ・「アルチーナ」。なぜ目を引かれたかというと、出演者リストに、ヴェッセリーナ・カサロヴァの名前を見つけたので。

数年前にロイヤル・オペラ「皇帝ティートの慈悲」にセスト役で登場して、スピリチュアルな歌唱で私をトリップさせてくれた、ブルガリア出身のメゾ・ソプラノ。その彼女を再びズボン役で見られる(聴ける)!日曜のマチネ公演にヘンデルっていうのも気持ち良さそうだし、すごく楽しみ~~。

☆ オペラ座サイトの「アルチーナ」ビデオ。騎士ルッジェーロに扮するカサロヴァのアリアをたっぷり7分間!聴けます:

http://www.operadeparis.fr/Accueil/Actualite.asp?id=384
2007-12-19 09:07 | オペラ | Comment(6)
ロイヤル・バレエ 「くるみ割り人形」 (12/14)
<キャスト>

金平糖の精: 吉田都
ザ・プリンス: フェデリコ・ボネッリ

ドロッセルマイヤー: ギャリー・エイヴィス
クララ(ドロッセルマイヤーの名付け娘): アイオナ・ルーツ
ハンス=ペーター(ドロッセルマイヤーの甥): リッカルド・セルヴェーラ
スタールバウム博士: クリストファー・サンダース
スタールバウム夫人: ジェネシア・ロサート
クララのパートナー: ジャコモ・キリアキ
ダンス教師: ジリアン・レヴィ
祖父: アラスター・マリオット
祖母: オリヴィア・コウリー
アルルカン: ジョシュア・トゥイファ
コロンビーヌ: ヴィクトリア・ヒューイット
ソルジャー: マーティン・ハーヴェイ
ヴィヴァンディエ: サマンサ・レイン
ねずみの王様: デヴィッド・ピッカリング
スパニッシュ: ジリアン・レヴィ、ホセ・マーティン、ローラ・マッカロック、ヨハネス・ステパネク、小林ひかる、トーマス・ホワイトヘッド
アラビア: イザベル・マクミーカン、デヴィッド・ピッカリング、蔵健太、ジョシュア・トゥイファ
中国: ジャコモ・キリアキ、ザッカリー・ファルク、リチャード・ラムゼー、アンドレイ・ウスペンスキー
ロシア(トレパック): スティーヴン・マックレー、マイケル・ストイコ
葦笛: ジェンマ・ボンド、カロリーヌ・デュプロ、サマンサ・レイン、クリスティーナ・エリダ・サレルノ
ローズ・フェアリー: ディードゥル・チャップマン
Rフェアリーのエスコート: マーティン・ハーヴェイ、平野亮一、ヴァリレィ・フリストフ、佐々木洋平
リーディング・フラワーズ: ヘレン・クロフォード、ヴィクトリア・ヒューイット、シアン・マーフィー、ジェンマ・サイクス


"Return of THE Sugar Plum Fairy"

ロイヤルのくるみ、開幕から7日・6回目の公演でやっとわれらが金平糖の精の登場!劇場に着いてキャスト・シートに都さんの名前があることを確認しても、本当に出てくださるのだろうか・・・と一抹の不安は消えず。そういう不安定な精神状態で鑑賞していたせいか、ただでさえツボを刺激されまくりのノスタルジックな一幕に(いつも以上に)涙腺がゆるんで困った。

一幕の主な舞台はスタールバウム家の客間。ジュリア・トレヴリヤン・オマーンによるセットデザインは、木目を強調した・シンプルで質実剛健なスタイル(ビーダーマイヤー様式というのだそう)。ここに、女性達の衣装の柔らかな色味やこまごまと置かれた小物が色を添えていて、決して寂しい感じにはならない。セットで最も目を引くのは、舞台中央後方に置かれたクリスマス・ツリー。

スタールバウム家の娘で思春期のクララを演じるのはアイオナ・ルーツ。確か数シーズン前からクララのファースト・キャストは彼女なのだけれど、正直言って何故このダンサーが?と以前は感じていた。踊りもルックスも取り立てて目を惹くというわけでなく・・・でも今回見ていて、彼女のパーソナリティの大きさ(豊かさ)に目を開かれた思いがした。(なんて感情表現が豊かなこと!)これはハンス=ペーター役のリッカルド・セルヴェーラも同じ。二人ともほぼ毎シーズン繰り返し同じ役を踊っているのに、全くマンネリにはなっていなくて丁寧に踊りこんでいて、演技も年々磨きがかかっている。(この二人はマイム・シーンが特に素晴らしい。)

同じ意味でクララのパートナー役を演じたジャコモ・キリアキもよかった。この夜特に反応してしまったシーン(小道具)のひとつが、"人形の家"。パーティーがお開きとなり一人二人とお客が帰り始める。クララは自分のドールハウスのベッドの上ににくるみ割り人形を大切に寝かしつける。(ここですでにうるうる・・・)そんなクララを優しく見守るボーイフレンド。彼が最後にその場を立ち去るとき、一瞬すごく切なそうな表情でクララを見たんですよ・・・(うううツボ・・・)。こういう芸の細かさは、さすがロイヤルのダンサー。

そして一幕のハイライトは《いつも・・・》、ドロッセルマイヤーのマジックでクリスマス・ツリーがぐんぐん大きくなっていくシーン。ひたすら涙腺を煽る音楽との相乗効果で、ここでノスタルジー全快&感情の高まり度はマックスに・・・。(そうそう、ドロッセルマイヤー役のエイヴィスはこの夜妙にテンション高くて何をするにも力入っていて、マントを翻す姿が"ロットバルト"に見えてしまいました。ドロッセルマイヤーなら、もう少し剛柔のメリハリつけた方がよいのでは・・・と一瞬思ってしまったわ。まぁ、私は彼のファンなので、最終的には”きゃ~ギャリー カッコイイ~"と喜んで見てましたが。)

あーあ、それにしてもくるみを見て泣く人間なんて普通いないからホントに嫌なんですけどねー この殆ど条件反射的なリアクション・・・で、なんでかなーと考えて、やっぱり原因は音楽にあるんじゃないか、と。

大体、なんだってこんなに悲しいんでしょうね この音楽??

まあチャイコフスキーに憂愁とセンチメンタリズムと感情の極端な振れはつきものですが、そう、音楽自体がノスタルジーの塊ですよねこれ。ふと思ったのは・・・

チャイフスキーは14歳のときに母親を失くしていますが、母の死から生涯立ち直ることはなかった、とどこかで読んだ記憶があります。そして、とても感じやすい子供だったとも。作曲家にとってクリスマスは母の死と共に永遠に失われてしまって、常にほろ苦さと喪失感なしには思い返すことのできないイベントだったのでは・・・・。もしくは、熟練の作曲家が職人的な技巧をこらした上で"悲しみ"というエッセンスを付け加えたのか・・・そんなことをぐるぐる考えさせられてしまう、大層魅惑的な音楽。(聴き飽きるというか、聴き慣れることがない・・・)

この音楽の本来の味わいからすると、ダークな部分はなりを潜めてファミリー・フレンドリーなエンターテイメントに徹したライト版の二幕はやや甘すぎ、といえないこともないけれど、これは振付家の優しさだと思う・・・。ついでに言うと、このプロダクションにライトが盛り込んだヒューマン・ドラマには、何度見ても毎回ホロリとさせられます。(最終場面でドロッセルマイヤーは魔法がとけて人間の姿に戻ったハンス=ペーターと再会する。ライト版コッペリアもオチでほろりとさせてくれますよね あれも好きなんだな・・・)

そのニ幕。

雪の情景から一転して舞台が柔らかなクリーム色の光に包まれ、「お菓子の王国」が出現する。真ん中でポーズしているのは・・・・ああ、都さんだ。

"本当に"都さんが真ん中で踊っているのを確認して、やや気が抜けてしまう・・・ああもうこれで大丈夫だわ・・・(この金平糖の精が君臨している限り、お菓子の王国は安泰なのです。)

正直言って、都さんの踊り(の出来)がどうだったかは、ほとんど憶えていない・・・都さんのことだから、登板する以上は完璧なものを見せてくれるはず、という思い込みで見ていたせいか、実際何ら破綻のない・完璧な舞台に見えたし、かといってベストの金平糖の舞台だったかというとそうではなかったような・・・。盲目ファンとしては、都さんが踊っているという事実に圧倒されてしまって、感激しっぱなしで見ていたことしか憶えてない、というのが正直なところ。

それほどまでに私にとって(&多くのバレエファンにとって)金平糖と都さんは分かちがたく結びついているわけですが、その理由は??と今更ながら考えるに・・・

クリーンでゆるぎない古典のテクニックを有し、表現に透明感があること。そして、何よりも品の良さ!踊りの質、踊っている時の表情、ステージマナー・・・全てにおいて品がいい。こんなに上品なダンサーは、バレエ界広しといえど、私には他に思い当たりません。(あ、ちょっとタイプは違いますが、品の良さではウリヤーナ・ロパートキナもいますが・・・双璧ですね。)

ぼーっと舞台を見ていたせいか感想もフラフラと、全然まとまりませんが・・・

再び、音楽について・・・。公演を見た翌日、くるみの音楽を流していて気づいたこと。改めて意識的に(やや懐疑的に)聴くと、金平糖の精とプリンスのgpddの音楽も、相当不思議なんですよ・・・特に導入部分。なんだって「お菓子の王国」の華やかなpddの音楽がこんなに哀切に満ちて・大仰なものでないといけないのか?クライマックスで管が泣き叫ぶ部分なんて、まるでトリスタンとイズーかダンテとベアトリーチェか・・・ってぐらいの悲劇性すら(一瞬)想起させ・・・。いや、素晴らしい音楽だし大好きだけど、どう考えても甘やかさとは無縁・・・《謎だ・・・》。金平糖の精のヴァリエーションでの主役は、チェレスタの繊細な音。これ、本来とても神秘的な楽想をもった曲だと思うのだけど、ライト版のこの場面では神秘性は影を潜めていて、バレリーナはひたすら優雅に、プリマの輝きで場を明るく照らす・・・という解釈(演出?)が多いよう。でも、仮に都さんが"神秘的な金平糖"を踊るとしたら、いったいどんな感じになるだろう・・・と、その姿をついつい想像しては気になって仕方ないのでした。(そういう解釈の金平糖も、是非踊っていただきたいな・・・)
2007-12-18 08:00 | ロイヤル・バレエ | Comment(6)
パリオペ・カリギュラのプレキャスト
一昨日だったか(?)ダンソマニに来年3月の「カリギュラ」の出演予定ダンサー情報が出ていました。

カリギュラといえばムネステー役の殿!と密かに期待していたんですが、名前はありません・・・ああ がっくり・・・。ニコラ・ポールがあらたにこの役にキャストされるようです。ムネステー以外の顔ぶれは殆ど前回初演時と同じように見えます。

カリギュラ: ガニオ、ベランガール (代)ビュイヨン
月(La Lune): オスタ、ズスペルギー
ムネステー: ペッシュ、ポール
ケレア: ロモリ、ゲリ (代) Houette
インキタトゥス: イゾアール、ファヴォラン
カエソニア: ウィアルト、クドー (代) ウェステルマン

今回はひょっとしてニコラ自ら踊るかな?とこちらも密かに期待してたんですが、やっぱり、それはないのね・・・残念。(カリギュラ役似合うと思うんだけどなあ・・・)

☆前回上演時のレビューのひとつ:

http://danceviewtimes.com/2005/Autumn/06/caligula.html
2007-12-14 10:21 | パリ・オペラ座バレエ | Comment(5)
吉田都さんOBE受章
都さんに「大英帝国」の勲章が授与されることに!

日本語メディアが報じるところによると*、都さんが受章されるのは、"Officer of The Most Excellent Order of the British Empire"(OBE)。"えっ 大英帝国ってまだあったの?"と一瞬ひるんでしまう時代錯誤的な呼称ではありますが、1917年に創設された、民間人・軍人とわず英国社会の各分野で功績を残した人々に授与される名誉ということで、おめでとうございます!

Ballet.coに誰かが、「ミヤコはとっくにもらっているかと思った」と書いてましたが、確かにそうかも。必ずしもロイヤル・バレエで長年活躍したダンサーなら誰でも栄誉を受けられるわけではないでしょうけれど、他の方の書き込みによると同年輩のリヤーン・ベンジャミンが2年前に受章しているようだし(彼女もOBE)。

ちょっと調べてみたら、ロイヤルの現芸術監督モニカ・メイスンがやはりOBE。ちなみにWikipediaによるとこの勲章には5段階あって、OBEは下から2番目。その一つ上のランク(CBE: Commander)受章者にはロイヤル関係ではダーシー・バッセル、ジョナサン・コープがいます。そしてシルヴィ・ギエムが"名誉"勲章として受章。CBEのさらに上のランクにいくと爵位が与えられて、"Sir""Dame"の称号で呼ばれるようになると・・・ふむふむ。(シルヴィが「名誉」勲章なのは外国人だから。再度Wikipediaによると、この受勲システムでは英女王を君主としていない国の国民では"名誉"勲章になるとか・・・都さんも?)

*英語メディアの報道が見つからなかったんですが、オフィシャルな情報?と思われるのがこちらに。ただ、なぜかここには都さんが受章される勲章のランクが記載されてないんですよ・・・お名前はMBEとOBEの間にリストされていますが。

http://www.fco.gov.uk/servlet/Front?pagename=OpenMarket/Xcelerate/ShowPage&c=Page&cid=1166536150628
2007-12-13 10:52 | ロイヤル・バレエ | Comment(16)
エクサンプロヴァンスのブランチ会
本題の前に・・・

明日(12/11)の「くるみ割り人形」公演、吉田都さんは怪我により降板、と今日午後発表されました。

http://info.royaloperahouse.org/News/Index.cfm?ccs=156&cs=3130

私はスタンディングのチケットをおさえていたのですが、パスすることにします・・・代役のモレーラは好きなダンサーですが、もう一回見るなら都さんで!と決めているので。残る一回・金曜に賭けます!

☆☆☆

さて、ここから本題。この記事、二週間以上前に途中まで書いてたのですが、ベジャール逝去の報に接してすっかり棚上げされて今日に至ってしまいました。ということで、鮮度はかなり落ちてますが、せっかくなのであげておきます。

プレルジョカージョ・バレエの本拠地、南仏エクサンプロヴァンスに乗り込んだイレール&ロモリ。せっかく首都からエトワール二人が訪問しているのだから、この機会に膝を交えて地元のバレエファンと語る場を・・・という主旨でか?パヴィヨン・ノワールでの2回のパフォーマンスに加えて、急遽(?)セットアップされた「ブランチ会」。

残念ながら仏語を解さない私、行っても仕方ないしな~とひるんでいたのですが、万事てきぱきと有能な友人がしっかり予約しておいてくれて、とりあえず参加してきました。(友よ、感謝~~)

・・・あ、えっとすみません ここで、本題の前に一つだけ、公演感想の付記を。

今回エクスで上演されたUn trait d'unionは、4年前にパリオペで初演されたものより上演時間が長かった。今回は上演時間30分、パリでは20分・・・"スペシャル・延長ヴァージョン"だったのかな?付加された(引き伸ばされた?)のがどの部分だったのか、私にはわからなかったのですが。両日とも上演されたのはこの一作だけだったので、さすがに20分では短いから心もち長くした・・・ってところでしょうか。

で、ブランチ会です。まず、お恥ずかしいことに、私思いっきり遅刻しました・・・。諸事情あってホテルを出るのが遅れ、おまけに道を間違えて・・・会場のレストランに着くと、随分大きな建物で、入口からは中の様子がわからない。立食でカジュアルな雰囲気ならどさくさに紛れて潜りこめるけど・・・としばし立ち止まっていると、横を通り抜けていく一人の女性。彼女が去り際に振り返って、「行かないの?」と言ってくれたので、くっついて中に入った。3フロアあるレストランで、どうやら会場は最上階。上に近づくにつれ、マイクを通して誰かが喋っているのが聞こえる。・・・げっ、立食じゃなさそう マズイ・・・

最上階に達すると、オーディエンスは既に個々のテーブルについて食事している。咄嗟に友人の姿を探して視線を彷徨わせて、殿と目が合ってしまった・・・(ああ恥ずかし・・・スミマセン こんなに遅刻して)。この階はロフト風につくられていてH型のフロア、真ん中の横棒・《橋》の部分にパネリスト(?)が丸テーブルを囲んで座っている。話していたのはプレルジョカージョ。フロアの一番奥の方に陣取っていた友人を見つけて、ジョイン。

ブッフェで軽食が用意されていて、早速いただきました。なにせ話の内容はわからないから、できることといったら食べることだけ・・・(情けない!)。しかし、驚いたのは、ふと気づくとプレルジョカージョがまだ喋ってる!すごいなあ こんなに沢山話することがあるのか・・・と感心。プレルジョカージョは話し終えると左隣のイレールにマイクを渡す。イレールもかなり長いこと喋る。続いて、左隣のロモリ。ロモリもよく喋る。パネリストは彼等以外にもう一人男性がいたんだけど、誰かは不明(なにせ遅刻したので・・・)。おそらくプレルジョカージョ・バレエの関係者でしょうね。この方以外の3人は、よくまあ~喋ること・喋ること。

殿は、マシンガン・トークにはちと時間が早すぎたか?(笑)ノンストップで息継ぎせず喋りまくるというのではなかったが、あの早口で、かなり長いこと話してました。まあ~しかし、いい声してますねー。見た目も声もこんなに麗しいんだから、俳優になればいいのに この人・・・と、日頃暖めている(?)自論に大いに手ごたえを感じたりして。

ロモリは、ジェスチャーが一番大きい。プレルジョカージョはソフトな語り口。ブッフェの食事は結構美味しかったです。もりもり食べながら、パネリストの皆さんが気の毒で・・・だって周りはみんな飲み食いしてるのに、水も飲まずに喋りっぱなしですよ・・・。途中イレールがおもむろにタバコに火をつけ始めた。この時ちょっとおかしかったのが、タバコ吸ってるイレール、そこはかとなく人の目を意識した”スター・モード"にスイッチしてたように見えたこと。(まあ人から注目される生活を20年以上続けてるんだからムリもありませんが・・・。)常に自然な表情のロモリと対照的!最初私の席からはイレールの後姿しか見えなかったんだけれど、上体を斜めにしてタバコを吸い始めてからは麗しいプロフィールをばっちり拝めて、ラッキーだった♪

パネル・ディスカッション(?)が一時間強で終了すると、続いて質疑応答タイム。熱心そうなファンからの質問に、これまた3人(時には4人全員)で丁寧に答えていました。(一つの質問に対する答えが長いこと・長いこと!)質疑応答コーナーは2、30分あったでしょうか やっとお開きになっても、まだファンに話しかけられたり、サインを求められたりしてなかなか解放されないイレールとロモリ。でも、全然嫌な顔は見せないんですよ 偉いなあ・・・さぞお腹すいてたでしょうに!やっとファンから解放されて、二人仲良く肩を並べて(いつの間にかプレルジョカージョはいなくなっていた)食事するイレールとロモリを横目で見つつ・心の中で"ご苦労様でした!"と呟いてその場を後にしました。

尚、このブランチ会で語られたことで一つだけわかったネタはこれです(後で人に教えてもらった): プレルジョカージョがイレールを”見初めた”のは、パリオペのNYツアー・バヤデール公演を見て、だったらしい。(ほんとにすみませんね こんなことしかわからなくて・・・)

ところで、プレルジョカージョ氏にはこの前日の公演後に偶然お話する機会があったのですが、おかしかった(&怖かった)のが、私と友人を見るなり、「貴方達はイレールさんを見にいらしたんですか?」と仰ったこと。(ええ、まあ、その通りでございますが・・・なぜわかったんでしょ 顔にそう書いてあるのか?笑)プレルジョカージョ氏はとっても謙虚そうな・ソフトな語り口の方で、私の不躾な質問にも嫌な顔一つせず答えてくださって・・・すっかり氏のファンになってしまったエクスへの旅でした♪
2007-12-11 08:32 | パリ・オペラ座バレエ | Comment(6)
ロイヤル・バレエ 「くるみ」の初日
重い・重~い腰を上げて行って来ました くるみの初日。都さんがいない淋しさはいかんともしがたいものがありましたが、全体としてはとてもいいパフォーマンスで、ピーター・ライト版くるみの素晴らしさにしみじみ浸ることができました。

都さんの代役で金平糖の精を踊ったのはアリーナ・コジョカル。アリーナはとてもメリハリのあるダンスを披露、舞台姿も堂々たるものでした。彼女は昨夜はダイヤモンドを踊っていて、連続登板だったのですよ!お疲れ様でした・・・(昨夜のジュエルス最終夜を見た友人によると、ダイヤモンドのコジョカルとペンファーザーは前週に比べてさらに素晴らしくなっていたとか。)王子役のフェデリコ・ボネッリは怪我で長らく欠場していて、久しぶりの登場。gpddのヴァリエーションでジャンプの着地が綺麗に決まらなかったり、らしからぬ場面がありましたが、復帰直後ですから仕方ないですね。彼は今夜は随分と表情がゆたかで、そちらに目を惹かれました。

今夜の私的MVPは、ドロッセルマイヤー役のゲイリー・エイヴィス(たんに好きなので・・・笑)とハンス=ペーター役のリッカルド・セルヴェーラ(表情に逞しさが加わっていた!ルビーでアンサネッリのお相手を務めた成果?)。

そうそう、驚いたことに、プログラムの表紙にれいの都さんの新制作ポスターの写真が使われていました。ロイヤルのプログラムは通常一律真紅のカバーに英王室の紋章がデザインされているだけのシンプルなものなのですが、観客の中に子供たちも少なくない故の配慮でしょうか。プログラムを横目で見ながら、"来週都さんが踊ってくださるときに買うことにしよう!"と願掛けして、今夜は購入しませんでした・・・。

☆ballet.coのギャラリーにくるみの写真がアップされています。主演ペア以外のキャストは今夜私が見た人達とほぼ同じ:

http://www.ballet.co.uk/gallery/jr_rb_nutcracker_roh_1207
2007-12-09 09:21 | ボリショイ・バレエ | Comment(7)
ロイヤル・バレエの日本人ダンサーたち
明晩の「くるみ割り人形」初日、残念ながら吉田都さんの降板が確定しました・・・。

http://info.royaloperahouse.org/News/Index.cfm?ccs=156&cs=3130

先週末の日本での降板劇について、皆さまに色々と情報をお寄せいただいていたので、覚悟はしていましたが・・・やはり悲しいです。HP上は都さんの残る2回の出演予定についてまったく触れられていませんが、こちらはどうなるのでしょうか 気になります。

明日、代役を踊るのはアリーナ・コジョカル。数年前にやはり都さんがくるみを降板したことがあって(確かあの時は途中降板)、この時の代役もアリーナでした。当時はアリーナのプティパ・プリンセスにやや違和感をおぼえていたせいもあり、見ながらかなり凹んでしまったのですが、今のアリーナならきっと納得させてくれることでしょう・・・(あーあ、でもやっぱり、かなり意気喪失・・・。)

さて、本題。ロンドンで発行されている日本語情報誌のひとつ・「ニュース・ダイジェスト」に、ロイヤル・バレエの日本人ダンサー達を紹介する特集記事が載っていました。ネット版でも公開されてますのでご興味ある方はこちらへどうぞ:

http://www.news-digest.co.uk/news/content/view/2880/120/

登場するのは、佐々木陽平、蔵健太、小林ひかる、平野亮一、崔由姫の五人。私的には、《やはり》お気に入りの由姫ちゃんのコメントが興味深かったです。(そしてそして小林ひかるさん、ボネッリさん<ロイヤルのプリンシパル>と婚約されたのですね おめでとうございます!)
2007-12-08 08:59 | ロイヤル・バレエ | Comment(3)
パリオペ・ストの現状
延々続いているパリ・オペラ座のストライキですが、進展があったようです。オペラ座HPに一昨日あがっていた公式発表によると、「ガルニエ宮での公演は正常に戻る。今月末までの全公演を予定通り開催する」と読めるのですが・・・。バスティーユの方はまだはっきりしないようです。「当面オペラ・タンホイザーはコンサート形式による上演、その後のバレエ・くるみ割り人形公演は通常通り上演される見込み」・・・と読めます。で、「チケット購入者の皆様におかれましては、当HPで最新情報の収集につとめて頂けますよう・お願いいたします」というような言葉で〆られています。

http://www.operadeparis.fr/Accueil/Actualite.asp

果たしてガルニエでの公演は、本当にノーマルに戻るんでしょうか?これで、公演全体がキャンセルされるリスクは完全に回避されたのか?まだまだ気を抜けない状況が続きそうです・・・。

さて、この話題に関して、12/5付で英二紙が最新の状況を報じていました。この記事から、今回のストの状況を<数字>でみてみると、ざっとこんな感じ:

- 6週間: スト継続期間

- 17回: キャンセルされた公演数

- 1,680人: パリオペラ座の正規雇用スタッフの数

- 5%: 上記1,680人中12/5現在まだストしているスタッフの%

- 47,000人: ストのため公演を見られなかったチケット購入者の数

- 300万ユーロ: ストによる現在までのオペラ座の損失額。ストが今月末まで続いた場合は800万ユーロに達する見込み。

(The Guardian, The Independentより。記事へのリンクはballet.coからどうぞ↓)

http://www.ballet.co.uk/dcforum/happening/6590.html#8

オペラ・タンホイザーは今夜(12/6)が初日だったのですが、コンサート形式で行われた模様。「タンホイザー」一度も見たことがないし、小澤さんが振るオペラ公演はロンドンではまず見られないので、これ、行きたかった・・・と、オペラ座サイトをしげしげ眺めていたら、クレジット欄にこんなものを発見。このタンホイザー、ロバート・カーセン演出によるニュー・プロダクションなんですが、共同制作者にバルセロナのリセウ劇場とともに"東京オペラの森"とあります。で、ちょっと検索してみたら、今年3月に東京で初演されていたのですね!(チケット争奪戦がさぞや凄かったことでしょう・・・。)バルセロナでは来年3~4月に上演される模様、ただし小澤さんは振らないようですが。ストライキでセットなしの公演なんて、熟練のマエストロもめったに遭遇されたことはないのでは・・・。
2007-12-07 10:48 | パリ・オペラ座バレエ | Comment(5)
井脇幸江さんのHP
井脇幸江さんのHPが更新されていて、ベジャールについて書いてくださっています。

http://www.yukie.net/mail/mail.html

井脇さんの”生贄”、見たいなあ・・・。(東京バレエ団のベジャール追悼公演・詳細はこちら↓)

http://www.nbs.or.jp/stages/0805_bejart/program.html
2007-12-07 06:52 | 情報系(ニュース、公演) | Comment(2)
バランシン・バレリーナ
これ、どうしてもご紹介したいのでリンクを貼っちゃいます。私の大のお気に入りの「ジュエルス」写真。

http://www.tonibentley.com/pages/karinska_pages/karinska_4.html

Mr.Bを囲むジュエルス初演者の美女・四人。左から、ミミ・ポール、ヴィオレット・ヴェルディ、パトリシア・マクブライド、スザンヌ・ファレル。

なんて綺麗なんでしょう・・・《嘆息》 レトロな雰囲気もよいですねー。(ちなみに、このサイトの管理人氏は元NYCBのダンサーで現在作家の女性。スザンヌ・ファレルについて、またご自身の経験をもとにダンサー生活についての著作をものされていて、サイトから一部抜粋が読めますので、ご興味のある方はどうぞ。)

当時のNYCBの写真はこちらのサイトからも見られます。トップページの検索窓に"Jewels Balanchine"と入力すると、100枚近くジュエルスの舞台写真がヒット。(Mr.Bの映っているオフステージ写真も一枚ありました。)

http://www.gettyimages.com/Home.aspx
2007-12-04 10:41 | ロイヤル・バレエ | Comment(0)
ロイヤル・バレエ 「ジュエルス」 (11/30)
Choreography: George Balanchine

Music
- Gabriel Faure (Pelleas et Melisande, Shylock)
- Igor Stravinsky (Capriccio for Piano and Orchestra)
- Pyotr Il'yich Tchaikovsky (Symphony No. 3 in D Major, movements Nos 2/3/4/5)

Set Designs: Jean-Marc Puissant
Costume Designs: Barbara Karinska
Costume Designs Consultant: Holly Hynes
Lighting: Jennifer Tipton
Staging: Karin von Aroldingen, Elyse Borne, Maria Calegari, Patricia Neary
Conductor: Valeriy Ovsyanikov
The Orchestra of the Royal Opera House
Piano Solo for Rubies: Robert Clark

Premiere: 13/04/1967, New York City Ballet, New York State Theater
RB Premiere: 23/11/2007
The 4th performance at the ROH (Emeralds and Diamonds)
The 16th performance at the ROH (Rubies)

<キャスト>

"エメラルド": 第一のカップル ロッホ&ワトソン、第二のカップル ベンジャミン&プトロフ、パドトロワ モレーラ、チャップマン、マックレー

"ルビー": ラム&アコスタ、ヤノウスキー

"ダイヤモンド": コジョカル&ペンファーザー、モレーラ、チャップマン、マクミーカン、小林、フリストフ、佐々木、蔵、ホワイトヘッド


"Diamonds are a Girl's best friend!" (Marilyn Monroe, from "Gentlemen Prefer Blondes")

エメラルド、ルビー、ダイヤモンド・・・あなたはどれが一番お好き?

バランシンの"宝石"に関していえば、私自身はいつもエメラルドとダイヤモンドの間で心が揺れ動いてしまう。(実は、ルビーには一度も心惹かれたことがなくて・・・)

たとえばパリオペの"ジョワイヨ"では、エメラルドが抜群に素晴らしい。夢想的なフォーレの音楽にのせた、詩情豊かで最もロマンティックなパート。エメラルドにはロマンティック・バレエへの憧憬がこめられている・・・とはよく言われることだけど、懐古趣味的ではまったくない。私的にこのパートは古き良き時代のエレガンスに、現代的なスパイスがぴりっと利いているところが面白い。個性溢れるパリオペのダンサーたちが踊ると、このスパイスの利かせ方が絶妙で、作品が生き生きとする。

ダイヤモンドには、在りし日のロシアの帝室バレエへの、バランシンのダイレクトな賞賛と思慕が込められている。古典の粋と、チャイコフスキー独特の哀感にみちた音楽にぴったりくるのは、やはりマリインスキーのダンサーたち。フィナーレのバレエ賛歌のシーンで、<毎回間違いなく>私を恍惚とさせてくれるのは、プティパの伝統の継承者であるペテルブルグのダンサーたち。

さて、初演(&初見)のロイヤル版・ジュエルスでもっとも光り輝いていた宝石は・・・この夜は、ダイヤモンドでした。当然ながら、ロイヤルですから、パリオペともマリインスキーとも全く別物のバランシン。よく言えばおしとやかなお嬢さん風、悪くいうとやや大胆さとスパイスに欠けていたかな。ダイヤモンドが最も印象的だったのは、主役ペアのpddの出来に負う所が大きいです。

「エメラルド」で、舞台の上に音楽が見えたのは、リヤーン・ベンジャミンのソロ("シシリエンヌ")。ごくごくデリケートで微妙なニュアンスに富んだ、素敵なダンスだった。もう一人の女性ソリスト、タマラ・ロッホは、どうも私の目には踊り・表現ともに平板な印象。パートナーのワトソンとアイコンタクトを取らないところも気になった(これでは二人の間の物語が見えてこない・・・)。そのワトソンは、上体をそらす時ドラマチックにしすぎる、いつものあの癖は気になったけど、涙ぐましいまでの騎士ぶりでバレリーナに仕えていました。でも、何やら一人で踊ってる印象のロッホと噛み合ってなくて(可哀想・・・)。第二カップルの男性ソリストはもともと目立たない役だけれど、それにしてもイヴァン・プトロフは生彩を欠いていた(男性三人の中で最も端正なダンサーなんですけどねえ・・・残念)。スティーヴン・マックレーは、どう考えてもルビーのタイプでしょう。あれだと男性ソリストが一人だけだから、お鉢が回ってこなかったのか?次回は、ルビーの主役で見たい。

(衣装はNYCBのオリジナル・カリンスカのデザインを使っているので、基本的にはマリインスキーで見慣れたものに近い。ただ、女性達の着用しているヘッド・アクセサリーがやや違って見えたような・・・。ロイヤルは小柄なダンサーが多いのだけど、その割に、特にダイヤモンドで主役以外の女性アンサンブルがつけていたティアラ(?)はちょっと大きすぎるように見えた。)

「ルビー」の主役ペアは、サラ・ラムとカルロス・アコスタ。二人とも端正な踊りをするダンサーで、二人揃ってあまりに優等生的で、面白みとスリリングさに欠ける・・・。身体能力的には全く不足はありませんが、ブロードウェー風のエネルギーやセクシーさとは無縁。もう一人のソリスト、ゼナイダ・ヤノウスキーも、あまり役に合っているとは思えなかった。俗に、"tall girl role"と言われるだけあって、背の高いダンサーがキャストされることが多い役だけれど、ゼナイダはこの種のダンスが似合うダンサーなのだろうか?どうも背が高いというだけで抜擢されたとしか思えない・・・彼女は体格も踊りもソリッドすぎて、いなせで洒落た感じがしないのが難点。(まぁ、私は「ルビー」の熱心な観客ではないので、誰で見ても心から"好き!"と思えたことはないんですが。ヴィシニョーワは、少なくとももっとスリリングだったなあ・・・)

「ダイヤモンド」は、なんといってもアリーナ・コジョカルとルパート・ペンファーザーのpdd。私がこれまでに見たことのあるダイヤモンドのバレリーナたち・・・ロパートキナ、パヴレンコ、ザハロワ、ルテステュ、ファレル(映像)・・・概して長身で細長く優雅なラインを持つダンサーたちで、やや非現実的で手の届かない存在。アリーナは、彼女たちとはまるで違っていて・・・恋の真っ只中にいて、見るもの・聴くもの全てが新しい・・・という表情の、血肉のかよった乙女でした。なにしろ、こんなにエモーショナルなダイヤモンドは見たことがなくて、驚嘆。

ダイヤモンドは、チャイコフスキーの第3交響曲に振付けられていますが、pddの踊られる第3楽章は"Andante elegiaco"、そう、エレジーなんですよね。エレジーといえば哀歌、ロシアの、しかもチャイコフスキーの哀歌ですから、それはもう・・・ どうしようもなくセンチメンタルで、救いようのないメランコリーに浸りきっている音楽なわけです。アリーナの作品解釈は、この音楽の提示する世界とは明確に相容れないものでした・・・それは確か。でも、なんだかそれもありなんじゃないか・・・と思わせる強さがあるんですよね 彼女には。パートナーを見つめる目線、手首の折り方・・・どれをとっても100%、アリーナのダイヤモンド。なんというか、春風に舞う恋する乙女なアリーナが、"これが私のダイヤモンドよ!"と高らかに宣言するのをただただ眩しい思いで見つめていたというか・・・天晴れでした。

パートナーのルパート・ペンファーザーが、これがまた、驚くほどよかった。彼は怪我で降板したボネッリの代役だったんだけれど、技術的なサポートが優れていただけでなく、アリーナの問いかけによく反応していて(多分ペアを組んだのは初めてだと思うけれど)、二人はとってもいい雰囲気でした。第4楽章・スケルツォでのソロは、ダンスも立ち居振る舞いも実に堂々と自信に満ちていて、"こんな貴方は見たことない!一体何が起きたの~~?"と、申し訳ないけど、心の中でパニクってしまったほど。(いや~ ほんとにびっくりした。ペンファーザー君、確実に一皮むけましたよ!)

最終楽章。ロイヤルのダンサーはラヴリーだけれど必ずしも様式美に忠実ではないので、私の見たい荘厳なポロネーズは見られなかったけれど、最後のシーンはやはりうるっときてしまった。全員のグラン・バットマンからピルエットの連続、舞台中央でパートナーに支えられアラベスクのまま静止する主役バレリーナ。後方にはずらりと並んだアンサンブル・・・バレエ賛歌・プティパ礼賛のこのフィナーレ、クラシック・バレエファンなら、心を動かされずにはいられません・・・。

☆ ballet.coのギャラリーで"Jewels"の舞台写真を見られます:

http://www.ballet.co.uk/gallery/jr_rb_jewels_roh_1107
2007-12-03 08:33 | ロイヤル・バレエ | Comment(8)
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