スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
-------- --:-- | スポンサー広告
ル・リッシュとロホの「若者と死」
イングリッシュ・ナショナル・バレエの"Ecstasy & Death"公演、結局初日と二日目の二回見ました。

ニコラが・・・圧巻でした。バレエの舞台ですごく久々に「芸術家」のパフォーマンスを見た、と思った。冒頭から恐ろしいほど集中していて、気迫がすごい。瞬時に観客を舞台に引き込む存在感と、大人の男の色気炸裂!素晴らしくセクシー・・・イレールを思い出しちゃった。(パリの男性ダンサーって引退の近い年齢になるとどうしてこうも壮絶な色気を醸し出すようになるんでしょう・・・勿論全員じゃなくて「選ばれた」人だけだけど。)動きの、ポーズの、一つ一つがいちいち美しいことに見とれ(ため息・・・)、顔の表情をみるととても複雑でニュアンスにとんでいて・・・感情が揺さぶられて映画を見ているような気分になった。

彼の若者は常に極度の緊張状態にあって、ほとんどパラノイア状態で何かに怯えている。実在の不安ではなく、頭の中に巣食った苦悩。そこに登場する「女」は、だから、彼の妄想の産物・・・と思わせてくれるのが順当というか腑に落ちる・・・はずなのだけど。想像の産物にしてはロホはあまりに生々しすぎた。彼女は100%血の通った生身の女として登場して、「生き生きと」ニコラの若者を翻弄し、いたぶっていた。

これは珍しい役解釈ではないかなあ・・・まぁこういうのもありかとは思うけど、私的にはもう少し現世離れしてミステリアスなタイプの方が好みだな。(ああ、ロパートキナが相手だったら・・・)ロホの表現はあまりに劇画チックでやりすぎ感があって、ニコラの表現していた作品世界とは相容れない感じだったけど、でもニコラがあそこまで入り込んでたのはパートナーが彼女だったから・・・ということもあったのかな?と。(二日目のロホの登場シーンで、同じ列に座っていた若い女の子たちがげらげら笑い始めたのには一瞬ぎょっとしたけど、まぁ気持ちはわからないでもない・・・あの登場の場面で彼女、全身からイケイケ感発散してたもんなぁ・・)

まぁでもタマラはニコラと踊れるのが嬉しくて嬉しくて仕方なかったんでしょう。初日の数日前にMETRO紙に出たインタビューで、17歳の時に初めてニコラを見て以来ずっと片思い、ENBの芸術監督になって初めて自ら組んだこのプログラムで「芸監の特典(権)」としてニコラを招聘した、と憚ることなく語ってました。そんなにニコラが好きなら是非また呼んで!!カーテン・コールでのニコラの本当に、心から嬉しそうな表情を見て、ひょっとしてまたここで彼の舞台を見られるかも・・・?とかすかな希望を抱いてしまった私でした。

スポンサーサイト
2013-04-22 09:03 | その他のバレエ・ダンス公演 | Comment(6)
アンナ・パブロワ・ガラ (3/4)
見てから二週間たってしまったけど、自分用のメモに残しておこう・・・鑑賞直後に書いたアリーナ@椿姫pddの感想+他に印象に残ったダンサーについて。

休憩込みで3時間超の長丁場。ちょっとだれる場面もあったけど(特に二部)、初めて見るダンサーもいて、たったの14ポンド(私の買った最安席のチケ代)でこれだけお腹一杯にしてくれて、大満足。

公演の白眉は、コジョカル&リアブコの踊った椿姫pdd。これは・・・びっくりした。鬼の目にも涙、この作品には苦手意識があってこのpddにも不感症だったんだけど、静かに静かに引きこまれて、気がつくと涙が出そうになってた。

コジョカルのマルガリータは、はっきり、これから死んでいく人・・・に見えた。憔悴しきった蒼白い顔とむき出しになったか細い肩があまりに痛々しくて 正視するのが辛くなるほど。肉体は崩壊寸前、ただアルマンの姿を追う目だけが狂熱的な光を帯びている。彼女はもはや何も望んでいない、かろうじて彼の気持ちに応えるためだけに持ちこたえている・・・という風に見えた。ある意味これまで見た中でもっとも壮絶なマルガリータ。

リアブコはとてもとても優しい、大人のアルマン。二人の動きに声高なところはまるでなくて、淡々ととても静かに時が流れている。終始二人の間に流れているのがただただ相手への慈しみの情だけ、と気づいたときに、"あ!”と、目から鱗。そう、こんなものかもしれないな・・・深く愛し合った二人なら、この状況で持ちうる感情は相手への思いやりだけなのではないか(最後の逢瀬に情熱をぶつけ合うというのではなく)・・・と感じたときに、思わずぐっときた。

このpddではコジョカルの身体能力の高さにもあらためて瞠目。リフトを多用したこの振付、いつもハラハラしながら見てて男性ダンサーに同情して終わるのが関の山だったんだけど、今回初めて、なんと雄弁な振付だったのか・・・と気づいた。軽い軽いコジョカルがリアブコにいともた易くリフトされて舞う場面、とてもナチュラルで流れがいい・・・でも、形はくっきり明瞭。

カーテンコールでは放心状態かに見えた二人、観客のレセプションは(当然)盛大でした。力尽きた、という風情のコジョカルがリアブコの両手をおしい抱くように取って、(彼に)深く深くお辞儀していたのが印象的。

ほか、特筆事項:

アリーナ・ソーモワ@ジゼル二幕のpdd。嬉しい驚きだったのがこれ。所々ポール・ド・ブラの形が変になっていたりフットワークが雑になったりはしていたけど、一心不乱に踊っている・・・と形容したくなるような集中力にひきこまれた。ソーモワは昨夏のイン・ザ・ナイトでもとてもよかったのよね ひたむきに踊っていて可愛らしかった。(まぁあの時はパートナーが<ノーブル風の役で見るとどうしても笑っちゃう>イワンチェンコだったから、特に彼女が可憐に見えたのかもしれないが・・・。)ついにジャジャ馬返上か?この調子で順調にすすんでいったら、将来大化けするかも??

ミリアム・ウルドーブラム@白鳥の湖二幕のアダージョpdd。ミリアムは白鳥を全幕で踊ったことはないと思われる。発表会じゃないんだからガラ公演では日頃持ち役にしてない(踊りこんでない)ものを踊ってほしくない・・・と常々思ってるんだけど、これは面白く見られた。とても折り目正しい、端正な白鳥。まだ何色にも染まっていない、ある意味無個性で地味とすらいえる舞台姿だったけど、であるがゆえに好感をもった。パートナーのアレッシオ・カルボネも全幕でジークフリートは踊ってないけど、よくサポートしていたと思う。(そうそう、ミリアムは顔がほっそりして、すっかり大人顔になってた。)

最後に・・・ロパートキナ。一部でルースカヤを披露、二部はトリで「パブロワとチェケッティ」を踊ってくれた(パートナーはシェミウノフ)。まぁこの人の超越っぷりは・・・この錚々たるメンバーの中にあっても、彼女の"清さ"には格別のものがありました。今年もこうして彼女の舞台に接する機会に恵まれたことに、深く感謝・・・。
2012-03-19 09:32 | その他のバレエ・ダンス公演 | Comment(2)
シルヴィ・ギエム "6000 miles away"
Sylvie Guillem "6000 miles away"
Sadler's Wells, July 2011

フォーサイス: Rearray (Guillem, Le Riche)
キリアン:  27'52" (Aurelie Cayla, Kenta Kojiri)
エック:  Ajö (Bye) (Guillem)


今月初めに見たシルヴィー公演の備忘録、最近とみに物を書くことが億劫になっていてなかなか先にすすまなかったのだけど、明日からマリインスキー@ROH公演が始まってしまうので、ムリヤリあげてしまいます。

- 公演タイトルの「6,000マイル離れて」だけど、6千マイルとはイギリス~日本間の距離。あの大地震が東北を襲ったときシルヴィはちょうどフォーサイスの新作を創作中だった。おそらく、この報を受けてかなり早い時点で、シルヴィはこのサドラーズ公演を地震で犠牲になった人たち・被災した人々に捧げることを決めたのではなかろうか。当初休息日?にあてられていた公演中日をチャリティ・ガラにあてただけでなく、各日幕が上がる前に公演主旨についてアナウンスが入り、会場内でも募金をつのっていることをアピール。(懐かしの英赤十字の募金バケツとここで再会した!)プログラムにも大々的に赤十字のページが挿入されていて、シルヴィの"本気度"がひしひしと感じられる。一日本人としてただただ感激、感謝の気持ちで一杯に・・・(Thank You Sylvie... 後日新聞が伝えるところによると、この公演から総額約8万ポンドが英赤十字のツナミ・アピールに寄付されたらしい。)

- 一本目はフォーサイスの新作・"Rearray"。地味~なトラックスーツに身を包んだシルヴィとニコラが薄暗い舞台(奥)に姿を現したとき、暗いのとあまりに地味すぎて一瞬彼等と気づかなかったほど。シルヴィーはいつにも増して細い?化粧っ気全くナシで中性的、一方のル・リッシュはがっしりした体躯でマスキュリン。No-nonsenseな風情で身体能力の極限に挑む二人の卓越したダンス・アーティストを、観客はただただ口をあんぐり開けて見つめるのみ。しかしまぁ、創りも創ったり・踊りも踊ったり、というか、よくぞこの二人にこれを振付けたもんだなあ・・・と感心。色々実験的な面白いムーブメントが使われていたけど、驚くほどクラシック・バレエのパがベースになっているものが多かった。そして、このクラシック風の振付を踊る二人の動きの美しいことよ・・・見惚れました。

- 二本目のキリアン作品は二人のゲスト・ダンサー(元NDT)によって踊られた。作品自体あまり感心しなかったのと、まあこれはオマケってことで、ノー・コメント。

- 最後はエックの新作・”Bye"。この夜最も面白かった・そして感動した作品。評者の多くの解釈によると、これは、「凡庸な日常から脱却をはかろうとする(あんまり)イケてない中年女」を描いたもの、とみるべきらしい。確かに、見た目そのままに受け取ると、まあそんなところかも。私は舞台上で必死にあがく・時にハイパーテンションで時にヨレヨレの、あまりカッコよくないフツーの女を演じるシルヴィーを見ていたら、なんとも言えない気分に襲われた。

なんというか、そうなんだよね ほんっとーに、人間ってどうしようもない生き物なんだよね・・・とつくづく・しみじみと感じてしまったのだ。中年女といわず、シルヴィーは人間そのもの、人間であることのどうしようもなさを表しているように見えた。

実はこういう感慨に襲われた理由の半分近くは音楽にあったかも・・・ベートーベンの最後のピアノソナタが使われていたのだが、これが、見事に黄昏た音楽でありまして・・・。達観してるというか、侘びサビ入ってるし。途中Jazzyなフレーズがあると、シルヴィーもランラン~って軽やかにステップ踏んだりして、そういう時は幼児っぽかったりして、なんか自由がある。(こんな風に感じられたのは演奏者の解釈が影響してるのかも?ちなみにピアノ奏者<録音>は、イーヴォ・ポゴレリッチ。)

ニ回見たのだけど、見終わったあとにヤレヤレ・・・ってどうしようもなさと同時に優しさが残る。シルヴィー・ギエムのレパートリーの中で最も人間くさい作品なんじゃないかな・・・。今から十年以上前、シルヴィーが"外来の女王"としてロイヤルバレエに君臨していたときに、こういう作品を見る日が来ようとは想像すらできなかったけど。表現者であっても自分をあそこまで曝け出すって、なかなか出来ないと思う。46歳の今、これだもん・・・シルヴィーはやっぱり、どこまでも、カッコイイ人なのでありました。
2011-07-25 11:15 | その他のバレエ・ダンス公演 | Comment(8)
ガリーナ・ウラーノワ・ガラ 後半 (5/22)
ガラのレポ後半、今日こそ書かねば~(もう、ほとんど義務。嫌だねえ・・・)、なんて焦ってるときに限って、TVが私を呼んでいる~。

昨夜から二夜連続でクイーンのドキュメンタリーやってたんですわ。多分今年がバンド結成40周年(!)のせいかな?しかし、クイーンって何年かに一度、必ずこの手の番組が創られてるんですよね やはり栄光のブリティッシュ・ロック史を彩った数々のバンドの中でも、人気の面ではダントツなんでしょうか。今夜はドキュメンタリーに続いて75年のクリスマスイブにハマースミスオデオンで行われた伝説のライブ!も見せてくれました。いや~~よかったです クイーンはほんと、いつ聴いてもいいなぁ。スタジアム・ロックもいいけど、まだ完全にショー化されてない荒削りなサウンドが新鮮、初期のクイーンのファンには堪らない映像ですわ。で、ブライアン・メイのギター・ソロのあまりの華麗さに失神しそうになった・・・(ブライアン、ほんっとにカッコいい~~~~!あのギターサウンドをなんと形容すべきか、残忍さとエレガンスが共存してるというか。←そんなバレエ作品がなかったっけか??)今夜見逃した方は、是非iplayerをチェックしてくださいな。

・・・というわけで、ガラ後半はさらに駆け足で。

GISELLE PAS DE DEUX
Svetlana Lunkina, Dmitri Gudanov
Music: Adolphe Adam (1803-1856)
Choreography: Marius Petipa (1818-1910)


休憩時間に友人にプログラムを見せてもらったので、後半は誰が何を踊るか、頭の隅において鑑賞。

オープニングは、久々に見るルンキナ。休憩後にいきなり見せるにはなかなか難しい作品だと思うけど、ルンキナはごくごく自然にジゼルの世界に引きこんでくれて、さすが。最初から最後まで表情がずっと変わらず彼岸に行っちゃっていて、動きも軽く。踊る彼女を見ながら、これほどジゼルのイメージにぴったりの容姿をもったダンサーもそうそういいないだろうなぁ、といつもの如く頭をよぎった。グダーノフも久しぶりだったけど、相変わらずの手堅い踊り。(しかし、ボリショイは凄いなあとつくづく思いましたよ。パリでバレエ団が引越公演していて、参加していないプリンシパルにこのルンキナやザハロワがいるのだから・・・)

TCHAIKOVSKY PAS DE DEUX
Daria Klimentová, Vadim Muntagirov
Music: Piotr Tchaikovsky (1840-1893)
Choreography: George Balanchine (1904-1983)


この夜見るのが辛かった・パート2。クリメントワとムンタギロフはENBのプリンシパルで、二人ともロシアン・スクールがベースになってると想像するのですが、うううむ。ロシアから来てるダンサーたちと比べると、レベルが・・・。プレミエリーグと格下リーグぐらいの差があった。かわいそうなことに、男性のVが始まる前にいきなり舞台が暗~くなって、なんと背景画と照明が次の作品のものとおぼしきダークな色調のものに変わってしまった。このアクシデントにもめげずVを踊り切った彼に物凄い拍手。pddが終わったあとの拍手と歓声もすごくて、なんで~?地元のダンサーだからか?と腑に落ちない私。(あ、そういえば最近ENBのTVドキュメンタリーが放送されててこの二人も沢山登場してたからそのせいかな?きっとそのせいよね~と自分を納得させるのであった。)

MACBETH
Svetlana Zakharova, Andrei Uvarov
Music: Kirill Molchanov (1922-1982)
Choreography: Vladimir Vasiliev (b. 1940)


せっかくのザハロワとウヴァーロフの共演だったのに、実につまらない作品。苦悩するマクベスと影で操るマクベス夫人のpdd?緋色のドレスからのぞくザハロワの美脚を拝めるのだけが唯一のメリット。ワシーリエフの振付作品と後で知って、ああそうか・・・と納得。(どうせならもうちょっと面白い作品選んでほしかったなあ。)

THE RED POPPY
GOLDEN FINGERS VARIATION: Darya Khokhlova
ADAGIO: Darya Khoklova, Vladislav Lantratov
Music: Reinhold Gliére (1875-1956)
Choreography: Vladimir Vasiliev (b. 1940)


パリで見てすっかりお気に入りになったボリショイの期待の若手、ウラジスラフ・ラントラートフ君、後半ニ演目に登場~。まずは、Red Poppyという作品(これもワシーリエフだ・・・)。女性は中国人という設定なのかな?(チャイナ服着用)男性は船乗りさん?白い制服姿のラントラートフ君が凛々しくて可愛かったです。(しようもない感想・・・女性もボリショイのダンサーと後で知ったのだけど、なかなかチャーミングな方でした。)

LA BELLE PAS DE DEUX
Bernice Coppietres, Alexis Oliviera
Music: Piotr Tchaikovsky (1840-1893)
Choreography: Jean-Christophe Maillot (b. 1960)


この夜一番の嬉しい驚き。まさか、ロンドンで、ジャン=クリストフ・マイヨーの眠り(抜粋だが)を見られるとは思わなかった!

写真でしか見たことのなかったベルニス・コピエテルスを実見できて感激。へそピアスにグレーがかったブロンド?のショートカット、衣装は例の、ボティタイツに刺繍が施してある?斬新なもの。当夜のメンバーの中で異彩を放ちまくってましたが、ここまでキャラクター確立してるとコワイものなしですね カッコよかった。(男性の方はやや影が薄かったかな・・・。)振付は、パノラマと眠りの森のシーンに挟まれた間奏曲にのって、愛の交歓?を表現してたんでしょうか、あまりに直截な表現に会場からくすくすと笑いが漏れていた。ある種イノセントでフレンチならではの?軽やかさがあって、なかなか面白かったです。二人が踊り終わると、楽しんだよ~って感じで、客席から暖かい拍手がおくられてました。

FLAMES OF PARIS
Ekaterina Krysanova, Vladislav Lantratov
Music: Boris Asafiev (1884-1949)
Choreography: Vassily Vainonen (1901-1964)


わお!未だ記憶にあたらしいパリの炎だ~。ラントラートフ君、いいねえ パリでの勢いをそのまま持ってきたって感じで元気一杯、ダイナミックに魅せてくれました。(やはり全幕踊ってると違うよね・・・)一方のクリサーノワは、相当お疲れ・・・?ミスこそなかったものの、踊りも表情も硬かったような 可哀想に・・・・。まぁこの演目自体あまり彼女に似合うとも思えないけど、いつもはもっとずっと素敵な踊りを見せてくれるのですよ、皆様!(ボリショイのダンサーには大甘だな~・苦笑。でもクリサーノワは前日のパリのマチネ公演でキトリ踊ってたんですよ あまりこのpdd練習する時間もとれなかったのではないかなあ・・・)

ORPHEUS AND EURYDICE
Ulyana Lopatkina, Marat Shemiunov
Music: Christoph Willibald Gluck (1714-1787)
Choreography: Asaf Messerer (1903-1992)


トリに再びロパートキナ登場。これも初見でどんなかな~と楽しみにしてたのだけど、薄いベールをかかげたロパートキナがほぼずーっとシェミウノフにリフトされてる(だけ)という振付で・・・ロパートキナは天女のようで美しかったけど、ちょっとねえ。最後にシェミウノフが片手リフトしながら舞台袖に消えていくのだけど、おおーーっ!って感じで観客から(ねぎらいの)大拍手が。こういうガラ公演で上演されるロシアの近・現代振付作品って、なーんかろくなものがないような・・・ザハロワもロパートキナも勿体無さすぎる!(・・・と文句ばっかり書いてますが、実際は十分楽しんだんですよ!)

カーテンコールでダンサー達がずらりと並んだ光景は壮観でした。指揮者を呼びに行ったのはロパートキナ。真ん中のポジションをロパートキナとザハロワが占めていて、やっぱりここだけ特別まばゆい光に包まれていたような(笑)。ずっと緊張感を維持したままで笑みのないザハロワと、達観しちゃってるかのごとく穏やか~な笑顔のロパートキナ、二人の表情の違いが印象的でした。

☆ ガラ公演のリハ写真がballet.coのギャラリーにありました:

http://www.ballet.co.uk/gallery/dm-russian-ballet-icons-ulanova-gala-coliseum-0511
2011-05-31 09:57 | その他のバレエ・ダンス公演 | Comment(4)
ガリーナ・ウラーノワ・ガラ 前半 (5/22)
うわ大変、もう一週間たってしまった・・・駆け足で、ガラの感想を。

当夜は二部構成、演目とキャストはプログラムを買わないとわからなかったので、買わなかった私は一部はメニューを全く知らずに見てました。(これもなかなかスリルがあっていいのよね・・・)パフォーマンスに先立ちガラ公演の発起人?責任者?ウラジーミル・ワシーリエフのスピーチ、続いて往時のウラーノワのフィルムを上映。

* 以下の演目・キャストはballetnews.co.ukからのコピペです

LES SYLPHIDES
Ulyana Lopatkina, Marat Shemiunov
Music: Frédéric Chopin (1810-1849)
Choreography: Mikhail Fokine (1880-1942)


ロパートキナはトップバッターとトリを担当。あ、やっぱり・・・という感じでレ・シルフィードのワルツを踊ってくれました。パートナーは(ヴェルサイユと同じく)ミハイロフスキーのシェミウノフ。導入部分、コロシアムの舞台は広いので、ヴェルサイユの時とちがって遠近(縮尺?)法の問題もなく(笑)、雑念なしで見られた。ロパートキナ、あんなに背が高いのにごく自然にふわりふわりと舞っていて、感心。(で、サポート役のシェミウノフにはさらに感心。)

SINATRA VARIATIONS Sinatra Suite
Tatyana Gorokhova, Igor Zelensky
Music: Frank Sinatra (1915-1998)
Choreography: Twyla Tharp (b. 1941)


照明がぱっと明るくなって、舞台上には黒スーツ&蝶タイ姿のゼレが(きゃ~)。パートナーの女性は小柄で漆黒の髪の持ち主、一瞬ロホと見間違えてしまった。後でゼレのカンパニー(ノボシビルスク)のダンサーと判明。ちょっと身長差がありすぎかな。彼女の方はやや表情硬かったような。振付はつまらなすぎと思ったけど、カッコイイ~~ゼレを見られたので十分。大音響で聴くシナトラの声も気持ちよし(色っぽ~~い!My Wayで踊るダンサーを見るのはちと気恥ずかしいものがあったが・・・)。

ROMEO AND JULIET
Evgenia Obraztsova, David Makhateli
Music: Sergei Prokofiev (1891-1953)
Choreography: Leonid Lavrovsky (1905-1967)


ウラーノワの当たり役・ジュリエットをこのガラで踊るという栄誉を担ったのはオブラスツォーワ。数年前に見たときは子供みたいだったけど、まぁ~すっかり大人になって・・・嘆息(今も十分愛らしいですが)。ロメオはマッカテリ、このガラ公演では舞台裏で種々活躍されたと後できいたけど、この人の踊りって、見事なまでに、な~んにも感じられない私なのでした。

LE PARC
Nadia Saidakova, Vladimir Malakhov
Music: Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
Choreography: Angelin Preljocaj (b. 1957)


舞台上に、”あの”パジャマシャツ姿で佇む女性ダンサーの姿をみとめ、”えっ ル・パルクやるのっ”と瞬時に動揺。しかし、この女性は誰だろう、見たことないなぁ パリオペでもマリインスキーでもないし・・・・(小声: なんかやけにお化粧濃いいなあ 老けて見えるよ~~)で、男性に目を転じると、あ、マラーホフ!そっかベルリンのダンサーか・・・

う~ん、これは見てて辛かったというか困った。色気も香気もなにも立ち昇ってこないル・パルク解放のpddって、一体どう反応すれば・・・。二人の間にケミストリーはまったく感じられなかった。あと、マラーホフは白のフリルシャツとポニーテールが意外にもあまり似合ってなかった。

(超・個人的希望を言わせてもらえれば、ル・パルクは門外不出<パリオペの>にしてほしい・・・。今時のバレエ界、誰もが何でもかんでも踊るのが当り前みたいになってるけど、グローバリズムとはソリの合わない作品って絶対あるはずだと思う・・・ル・パルクなんてその最たるものでは。)

DIANA AND ACTEON
Dorothée Gilbert, Thiago Soares
Music: Cesare Pugni (1802-1870)
Choreography: Agrippina Vaganova (1879-1951)
Vakhtang Chabukiani (1910-1992)


舞台上にドロテと並んでソアレスの姿をみとめた瞬間、ええーーっ・アレッシオは~~~??と心底がっかり。しかし、このソアレスがですねー、それはそれは凄いヒットだったんですよ。何をそんなに、というぐらいお客さん大喜び(肉体美でしょーかね やっぱり!?)。その反応に対して、戸惑う、ってほどではないけど、謙虚に受け止めてる風だった彼はナイス・ガイ。(たしか二年前のガラ公演でもマリアネラとともに大喝采をあびてたのよね。ソアレスって、愛されキャラ??)

ドロテはひょっとしてロンドンの舞台で踊るのは初めて?こういう場で見ると、見紛う事なきパリ・オペラ座のバレリーナですねえ。少しお高くとまったツンとした表情と、優雅な所作。難しいことをさり気な~くやっていましたが、当夜の観客はさり気な妙技を感知する気など毛頭ないかのごとく、ドロテのVには(ソアレスに比べると)熱っぽい反応してなくて、なんだかなあ。(しかし、彼女もすっかり大人になったなあ・・・)

DVOŘÁK MELODY
Olga Smirnova, Sergey Strelkov
Music: Antonin Dvořák (1841–1904)
Choreography: Asaf Messerer (1903-1992)


作品もダンサーも初見。踊った二人はワガノワ在学生と後で知ってびっくり。男性の方はたしかに、垢抜けない・もさっとした風情で、この子何処の子??って状態だったんだけど、女性はてっきりプロだと思ってたので。とてもたおやかな、雰囲気のあるダンサーで、ちょっとチェルノブロフキナを想い出してしまった。次世代のスター?

THE DYING SWAN
Svetlana Zakharova
Music: Camille Saint-Saëns (1835-1921)
Choreography: Mikhail Fokine (1880-1942)


照明が落ちて、あ、瀕死か・・・誰だろう?ロパートキナはもう踊っちゃってるし、とすると、彼女以外にこれを踊るとしたら・・・ザハロワ??

・・・で、ザハロワだった。一年前に見たときよりも細くなってる?(そんなことが可能なのかと言われそうですが。頬がげっそりこけていて、顔が小さい・・・)

暗闇に消え入りそうな、か細くて儚げなシルエット。でも弱弱しさは皆無。とても強い気持ちをこめて踊っていたと思う・・・伝わってきたもの。最後の瞬間まで、生命の炎を消したくない、と抗う白鳥だった。

白い塊りが闇にのまれた瞬間、客席から物凄い拍手が。ザハロワは二年前にもロシア・ガラで(同じ会場で)瀕死を踊ったけど、あの時は"routine"って感じだったし観客の反応もそれなりだった。今回は、まったく違っていた・・・。"Zakharova returns!"とすっかり興奮してボルテージ上がったところで、前半終了。

<続く>
2011-05-23 10:15 | その他のバレエ・ダンス公演 | Comment(2)
或るガラの感想
今朝出社したら、同僚A(ブラジル人)が待ち構えていたように話しかけてきた。

「ねえ~ナオコ、日曜のロシア・バレエ公演行った?」

(あ、そういえば、友達に誘われてるから行くかもって言ってたな、彼女)「うん、もちろんよ Aは?」

「行った~ すごく楽しかったわ。まさか、バレエの公演に行って ターザン が見られるとは思わなかった~!」

・・・は??

た・た・た・たーざん って・・・・な、なにやら大変な思い違いしてるような・・・うん してる、絶対してる。誤解をといてあげねば。しかし、ターザン・・・

胸中すっかり動揺しつつも、誰のことか特定すべく追及すると、

「ほら~ほとんど裸で出てきたダンサーいたじゃない。あれって、ターザンじゃないの?」

ん?裸? 

・・・あ~、わかった。

ドロテとディアナとアクティオンpdd踊ったソアレスのことだ!!<注:そう、アレッシオは来なかったのでした・・・号泣>

「い、いや、あれはねー、一応ギリシャ神話の登場人物なんだけど・・・ターザンじゃないわよ!」

「あーなんだそうだったの。(←全く意に介してない) 彼、すごくいい身体してたわね~目が釘付けになっちゃった。」

はは、ま、そう・・・かな。晴れて誤解がとけ、あのダンサーはあなたと同郷の人よ ブラジル人よ、と教えるとへえーっとかなり驚いていた。

・・・いやしかし、朝から大笑いしてしまいました。彼女が"ターザン"以外にいたく気に入ったのは、ゼレがノボシビルスク・バレエ団のダンサーと踊った「シナトラ組曲」だったそうで。あと、ザハロワにも強い印象を受けた様子で、あの白鳥を踊ったダンサーはなんていう人?と聞いてきた。日頃自分からすすんでバレエを見に行くことはまずない、というAだけど、かなり楽しんだ様子で、よかったよかった。偏見のない目で見た素直な感想を聞いて、新鮮だったな~ 大胆な誤解があったとはいえ・・・。(しかし、誰が彼女を責められよう。ひょっとしたら、あのバレエを「ターザン」だと思って見てる観客が他にもいたかも??)
2011-05-18 08:49 | その他のバレエ・ダンス公演 | Comment(2)
ザハロワ復活!ウラーノワ・ガラ
昨夜(あ、もう日付変わってるから一昨夜か)のウラーノワ・ガラ、ロシアからは宣伝されていた通りのメンバーが全員(!)集結して、なかなか豪華な内容でした。で、昨夜の私的ハイライトは「瀕死の白鳥」を踊ったスヴェトラーナ・ザハロワ。これが、すごくよかったのですわ~ 実に久々にザハロワの舞台に感動できて、嬉しかった。(ガラの詳細はまた後日)

さて同じとき、"隣町"パリでは「パリの炎」マチネ公演で二週間にわたるボリショイ・ウィークが幕を閉じましたが、ダンソマニに気になる書き込みが。

管理人のハイドンさんが、総括記事的にパリの炎の分析レポをアップしてたのですが、その中でこんな発言を。マチネ公演が終わってガルニエを出たときに、これで全てが終わった("この世の終わり"みたいな書き方)・はたして来年の今ごろもまだ自分が読者諸氏とパリオペの公演について語り合っているかどうかわからない・・・今はただ、火が燃え滾るようなエキサイティングな舞台をみせてくれたボリショイのダンサーたちに感謝の言葉を。

・・・ざっとこんな感じのことをつぶやいてらしたのですが(テキトーすぎかも・・・汗)、これに対してすぐさま読者が「パリから離れちゃうの?」「やめないで~」と反応、真意を問い正すコメントには、「いや、先のことはわからないってことで・・・」と返されていて、ほんとのところは?気になる~~。(怒涛のボリショイ週間が終わって一時的に燃え尽きてしまっただけ、と思いたいですが。やめないでねー!!)
2011-05-17 10:29 | その他のバレエ・ダンス公演 | Comment(2)
ヌレエフへのオマージュ・ガラ公演 (・・・回顧録)
今日昨シーズン見たバレエ公演のキャスト表を整理していて気づいたのが・・・ボリショイの鑑賞記録が尻切れトンボで終わってたなあ、と。キャスト情報だけでもブログにメモっておこうかな、と思ったのだけど、そのもっと前に見た(3月!)ヌレエフ・ガラのことをなぜか今でもチラチラと思い出すことがあるので、こっちを少し記録しておこうかと・・・。

なにせ鑑賞したのは半年以上前のことなので、強く印象に残ったダンサー以外は他に誰が出ていたかすら記憶の彼方にふっとんでいるのですが。この公演、キャストシートはプログラムを買わないともらえないシステムになっていたので、プログラムを買わなかった私は誰が・何を踊るのか、全く知らずに見ていました。で、今もキャスト情報が手元にないので、ひと様のサイト(danzaballet.com)から借用します:

Homage to Nureyev at the London Coliseum

21 March 2010

THE MOOR’S PAVANE
Farukh Ruzimatov, Irina Perren, Vera Arbuzova, Alexander Omar
Music: Henry Purcell (1659-1695)
Choreography: Jose Limon (1908-1972)

TRISTIAN AND ISOLDE
Svetlana Zakharova, Andrei Merkuriev
Music: Richard Wagner (1813-1883)
Choreography: Krzysztof Pastor (b.1956)

SWAN LAKE
Black Swan pas de deux
Erina Takahashi, Dmirti Gruzdyev
Music: Pyotr Ilyich Tchaikovsky (1840-1893)
Choreography: Marius Petipa (1818-1910)

ADAGIETTO
from La Muette
Gil Roman
Music: Gustav Mahler (1860-1911) (5th Symphony)
Choreography: Maurice Bejart (1927-2007)

MANON
bedroom pas de deux
Roberta Marquez, David Makhateli
Music: Jules Massenet (1842-1912)
Choreography: Kenneth MacMillan (1929-1992)

RUSSKAYA
Ulyana Lopatkina
Music: Piotr Ilyich Tchaikovsky (1840-1893)
Choreography: Kasian Goleizovsky (1892-1970)

The Picture of...
Manuel Legris
Music: Henry Purcell (1659-1895)
Choreography: Patrick de Bana (b.1968)

INTERVAL

PIERROT LUNAIRE
3rd movement
Ivan Putrov, Mara Galeazzi, Edward Watson
Music: Arnold Schoenberg (1874-1951)
Choreography: Glen Tetley (b.1926)

ELEGY
Olga Esina, Vladimir Shishov
Music: Sergey Rachmaninov (1873-1943)
Choreography: Vakil Usmanov (b.1948)

DIANE AND ACTAEON
pas de deux from La Esmeralda
Marianela Nunez, Thiago Soares
Music: Riccardo Drigo (1846-1930)
Choreography: Agrippina Vaganova (1879-1951)


変更→ SWAN LAKE "White Swan pdd"
Marianela Nunez, David Makhateli

TROIS GNOSSIENNES
Uliana Lopatkina, Ivan Kozlov
Music: Erik Satie (1866-1925)
Choreography: Hans van Manen (b.1932)

AFTERNOON OF A FAUN
Nina Kaptsova - Dmitri Gudanov
Music: Claude Debussy (1862-1918)
Choreography: Jerome Robbins (1918-1998)

Coppélia
pas de deux
Alina Cojocaru, Johan Kobborg Sergei Polunin
Music: Leo Delibes (1836-1891)
Choreography: Ninette de Valois (1898-2001)

BLACK
Svetlana Zakharova, Andrei Merkuriev
Music: Rene Aubry (b.1956)
Choreography: Francesco Ventriglia (b.1978)

DON QUIXOTE
pas de deux
Olga Esina, Inaki Urlezaga
Music: Ludwig Minkus (1826-1917)
Choreography: Marius Petipa (1818-1910)

ORCHESTRA OF THE ENGLISH NATIONAL BALLET
CONDUCTOR: VALERY OVSYANIKOV


わあ こんなに盛り沢山だったんだ・・・そういえば日曜だっていうのに終演時間かなりおしていて焦ったっけ。これだけ多くのダンサーが集結したわけですが、今でも見たときの感動を思い出せるほど強く印象に残ったのはこの方々のみ・・・。

- ジル・ロマン(アダージェット)

彼が来ているとは露知らなかったので、真っ暗なステージにあの音楽が流れるや、ええっまさか・・ジル・ロマン?!と激しく動揺。舞台にしかとその姿をみとめて、感無量に。

ひとが何かに全身全霊をかける姿、というのは、舞台芸術にどれだけ多く接しようとも滅多に目撃できるものではないと思うのだけど、この時のジル・ロマンは、それ以外形容しようがないというか・・・。この瞬間こそがすべて、とあそこまで無防備に自分を曝け出してしまうパフォーマー、久々に見た。舞台上のジル・ロマンは独り完璧にあっち側の世界に行っちゃっていて、そのかけ離れっぷりたるやこの夜登場したダンサーの中でもダントツに凄かったのだけど、その、ある意味最も観客の自分からは遠く隔たったところにいるはずの彼のダンスが、心情的にはもっとも近しく・親しいものに感じられた・・・というのは、振付家への思い入れがなせる技だったのだろうか。(いや多分、この人が踊ったからこそ、だったんだろうな・・・)

ジル・ロマンのアダージェットを見られたことが、この夜の最大の収穫。彼の渾身の舞台は"ベジャール嫌い”で有名なこの国の観客の心をも動かしたようで、嬉しいことにカーテンコールでは盛んにブラヴォーがかかり、盛大な拍手がおくられていた。

- マニュエル・ルグリ (The Picture of...)

そもそもこのガラを見ることにしたのは、どうもルグリが"本当に"来るらしい、とわかったから・・・それも公演の前日に。ロシア系のこの手のガラは出演者情報があてにならないのがデフォルトで、この公演も広告には当初からルグリの名前が出ていたものの、少なくとも公演のニ週間位前まではご本人のサイト上は影も形もなかったのですよ。で、やっぱりガセか・・・とがっかりしてたんだけど、公演の前日にルグリ・サイトを為念でチェックしたら、わっ スケジュールに入ってる!これは行かねば、ということで劇場に電話するも、70ポンドだかの高額席が一席だけ残ってるという状況で、そんなお金は払えません~と一時は諦めモードに。幸いballet.coにチケットを売りに出している人がいて、45ポンドの席を半額に値切って売ってもらったのでした(ケチだねえ・・・笑)。

で、肝心のルグリ。この作品は冒頭、かなり長いこと照明を落としてあって、かろうじてダンサーのシルエット(後ろ姿)がみとめられるのみ。でも、暗い舞台に目が慣れてくると、あっ ルグリだ!とわかって、早く舞台明るくして~!としばしイライラ。最初は無音で始まり(確か)、続いて金属音のように聞こえる音が・・・あ、これひょっとして鯨の鳴き声?(歌声というべきか。ケイト・ブッシュのデビュー・アルバムで使われている鯨の声とそっくりだったのでそう思ったんだけど。)そのあとは、やや意外にも?イングリッシュ・バロックの名作・ディドーとエアネスからのアリアにスイッチ。

透明な哀しみをたたえたディドーの嘆きのアリアと、この、これといって特徴の感じられない(弱い)振付、あまり合ってないんじゃないの?と最初は感じたのだけど、そのうち気にならなくなった。誰よりも"踊れる"ダンサーが、振付をスイスイとこなしていくさまを見るのって、なんて快感なんだろう!こんな風に感じさせてくれるダンサーって、他にはちょっと思い出せない。(正直あれならルグリのキャパの7割ぐらいで軽くこなせるだろうと思わせる振付だった印象が・・・いや実は振付の中味はほとんど憶えていないんだけど。)

舞台上で自由自在に(気持ち良さそうに)動いてるルグリを見ながら、この人の"在り方"の若さにもあらためて唸らされた。引退したダンサーという風情は、微塵もなかった。(もう殆ど、悪魔に魂売り渡したんじゃなかろうか、と訝りたくなるほど!若かった。)誰かが、「ルグリをロンドンで見るのはこれが最後だろう 来てくれてよかった」と言ってたけど、これには激しく心の中で反発してしまった私。オペラ座から離れて、むしろこれからの方が彼の舞台を見る機会はふえるんじゃないの?と。(そうあってほしい・・・)

- ウリヤーナ・ロパートキナ(ルースカヤ、三つのグノシエンヌ)

ロパートキナのルースカヤを見たのはこのガラの時が初めてだった。フォークロアの衣装がとってもよく似合っていて、いかにも愛らしいロシアの娘さんに見えたかと思うと、天女のように手の届かない存在にも見えたり・・・。ただひたすらに清らかな彼女の舞台姿に接して、身も心もすっかり浄化されたような気分に。

三つのグノシエンヌのパートナーは、かなーり久々に見るイヴァン・コズロフ。以前このペアをこの作品で見たときには、もう少し二人の間に緊迫感というか、拮抗するものがあったと記憶していたのだけど、残念ながらこの夜のコズロフは単なる"支え手”に堕していて、それ以上の存在ではなく・・・。彼を見るロパートキナの目線がとても穏やかで、ああ二人の蜜月時代は終わったのね・・・と妄想してました。(コズロフは依然として減量に成功してないようだった。この作品、男性ダンサーは上半身裸のはずなのに、なんと彼はウエスト周りをカモフラージュするためか?シースルーのトップスを着用していた・・・)

- スヴェトラーナ・ザハロワ(トリスタンとイゾルデ、ブラック)

The last but not the least...この夜最も衝撃的だったダンサー、それはザハロワ。いや、もう、この人は絶対にコンテンポラリーに転向すべきでしょう!!と、ほとんど確信した。彼女の持つ資質の全てをダンスの新たな可能性に捧げたら、大袈裟でなくダンス芸術の進化と発展に貢献すること間違いないだろうに・・・などと興奮しながら見ていた。(もはや"フツー"のバレエ作品を踊ってる場合ではないんじゃないでしょーか・・・・)コンテンポラリーを踊るハードボイルドなザハロワを、もっと見たい!(パートナーは両作品ともメルクーリエフ。"この"ザハロワを相手にほぼ互角で踊っていたんだから、彼もたいしたもの。)

・・・以上です。この特別なダンサー4人を見られただけでも私にとっては非常に内容の濃いガラでした。ほかに特記すべきダンサーは、ルジマートフ(せっかく来てくれたのに~ソロ作品で見たかった!)とコジョカル(これだけ多くのダンサーに混じってみると彼女がいかに個性派であるかがよくわかった)。
2010-10-19 08:17 | その他のバレエ・ダンス公演 | Comment(0)
「セレナーデ」(バランシン)へのオマージュ
読者の皆様 こんにちは。東京は相変わらず熱帯地獄のようですが、お元気でお過ごしでしょうか・・・。

ロンドンは短い夏が去って早や数週間?今は完全に秋が来たわけでもない、その一歩手前の端境期、というところでしょうか。

今日久々にこのブログを"オモテ"から見たら、なんとトップにスポンサー・サイトの広告が貼られていて、びっくり。これ、一ヶ月以上更新のないブログに自動的に貼られるんだとか・・・こんなシステムがあったとは知らなんだ。それで気づいたんだけど、一ヶ月何も書いてなかったのか・・・と。相変わらずパソコンの調子が悪いせいもあるけど、公私共に多忙なせいか、余暇があれば現実逃避を求めてついつい娯楽に流れてしまって、何かしら建設的なことをする・自分からoutputするという行為がヒッジョーに億劫になってしまって・・・。そう、ブログを更新するというのは相当建設的なエネルギーを必要とする行為なのですよ・・・その結果として出てきたものが全然大したもんじゃなくても。私は"ナチュラル・ライター"ではないので書くのにすごく時間がかかるというのも大きいな ブツブツ・・・・と言い訳始めるとキリがないので、この辺でやめとこう。最近ballet.coのリンクから読んだバレエ関連の記事で、"これは!"と久々に直球ストライクのものに遭遇したので、ご紹介。

当ブログの最終更新記事でボリショイ・バレエ団のセレナーデにいかに深く心を動かされたか云々書きましたが、記事のテーマがまさにこの「セレナーデ」。"Ballet that changed everything"と題された記事の執筆者は、元NYCB・ダンサーのトニ・ベントレー

http://online.wsj.com/article/SB10001424052748703467004575463543929815752.html

以前、このブログで私の大好きな一葉の写真~バランシン・ミューズたちの集合写真~を紹介したことがあるのですが、この時にご登場願った方です(写真の提供者として)。

http://londonballet.blog60.fc2.com/blog-entry-342.html

バランシン存命中のNYCBで10年間踊った後作家に転向され、現在この作品(セレナーデ)を題材に本を執筆中とか。その事実からしても明白ですが、この作品には並々ならぬ思い入れをお持ちのようで、情熱的かつ冷静な筆致で、非常に興味深い・独自の作品解釈を披露されています。

引用したい箇所は山ほどあるのですが、まぁそこは皆さん各自読んでいただくとして。この極めて個人的なセレナーデ/バランシンへのオマージュを読んで最もショックだったのは・・・というか、衝撃的に悔しかった、だな、それは何かと言うと、バレエを踊る人と見る(だけ)の人の間に厳然と横たわる深ーーい溝、その深さ。

もっと簡単にいうと、痛烈に嫉妬を感じたんですよ こんなことは重々承知していることとはいえ、一観客である自分にはプロのバレエ・ダンサーにしか体験し得ない"あちら側の世界"には決して触れることはできない。例えばセレナーデの舞台に接して、観客の自分が漠然と神聖さを感じているところ(厳かで、祈りがこもっていて・・・)、踊り手であるベントレーは、「(一種の)天国を体験した」と言い切る。記事はセレナーデの最終シーンについての考察で結ばれているのだが、この作品を実際に踊ったことがない以上は、振付家自身すらこの作品を踊ることで得られる至福について語ることはできない、という主旨のことを書いている。

"Where are they going as the curtain lowers and they rise? Into that light. To where it comes from. The journey of the dancer. I believe, having danced the ballet over 50 times, they have gone to a kind of Heaven—the one we can't see, can barely conceive, and yet so desire. In class one day, Balanchine said, "You can see Paradise, but you can't get in"—but then he never danced "Serenade.""

踊る人ならではの特権。うーん 参ったな。こりゃかなわないよ・・・
2010-09-06 08:33 | その他のバレエ・ダンス公演 | Comment(10)
ディアギレフ・ガラ@ROH (6/7) 後半
続きです。

"Apollo" Maria Kowroski, Igor Zelensky

天地創造のポーズ(by ミケランジェロ)で始まる、アポロとテレプシコールのpdd。NYCBのプリンシパル・コウロスキーとゼレがこの作品で共演するのは、数年前のゼレ・ガラで見た。コウロスキーの印象はあまり変わらないんだけど(というか、実はとりたてて強い印象残ってなかったりするのだが・・・)、一方のゼレは・・・あの時のゼレは、堂々たる体躯、精悍で、まさに太陽神そのものだったなあ・・・。時の流れをずっしり感じて、少々黄昏てしまった。

"Les Sylphides" Tamara Rojo, David Makhateli

只今RB本公演で上演中のレ・シルフィード。第一キャストのタマラ・ロホとデヴィッド・マッカテリが抜粋を踊ったのだが・・・・むむむ。私自身の好みとはあまりにかけ離れすぎのため、ノーコメント。

"Le Tricorne" Dmitri Gudanov

ボリショイがちょっと前に復刻上演した(と記憶している)マシーン振付作品、「三角帽子」。これはおそらく、噂に名高い「粉屋のソロ」ってやつですね(プログラム買ってないので確認できず)。スパニッシュないでたちのグダーノフがソロでフラメンコ風のダンスを披露。見得の切り方が堂に入っていてカッコよかった!(ジョゼがこのソロを踊る姿も滅茶苦茶見てみたいぞ~~。)日頃舞台上での存在感がイマイチ薄いと感じたりすることもあるグダーノフだけど、なんの、力強いパフォーマンスでぐっと観客を惹きつけて場内大盛り上がり。何気に、この夜登場した男性ダンサーの中で最も充実していたのはグダーノフだったかも。(できればマーシャ@粉屋の女房も連れてきてほしかったけど・・・ボリショイは今USツアー中なのよね はぁーなんとも残念。)

"The Firebird" Irma Nioradze, Ilya Kuznetsov

(またしても)ニオラゼのあまりにcampな表現に、怯む。どうも私にはこのダンサーのよさがわからない・・・というか、実はいつも違和感を感じていたのだけど、そのことを再認識。前半このペアが踊ったTamarといい、正直言ってイリヤ・クズネツォフのムダ使い!という印象拭えず。(もっとクズネツォフが光る作品で見たかった・・・)

"Les Biches" Mara Galeazzi, Bennet Gartside

ニジンスカの「牝鹿」からブルー・ガールと"筋肉マン"のpdd。デカダンでエロティックで、白昼夢を見ているような不思議な気分にさせられる作品で、私は大好き・・・この間まで上演していたRBのディアギレフ・プロでもこれ上演すればよかったのに。マリー・ローランサンの描いた、見ようによってはかなりなまめかしい図柄のキャンバス(大)も久々に見られて嬉しかった。ガレアッツィもまぁ悪くはなかったけど、前回全編通してみたときにこの役を演じていたベンジャミンの、アンドロイド風のクールな役づくりの方が好き。

"Black Swan pdd" Marianela Nunez, Thiago Soares

この夜客席が最も盛り上がり・大喜びしていた、そして私が最も不機嫌になったpdd。

まぁ好みの問題ってことになるんですけどね つまるところ。しかし、それでも一言吼えずにはいられない・・・

あの~皆様方、ほんとに・こんなに"安い"パフォーマンスでいいんですか?黒鳥のpddが・・・。ガラだから、徹底して大衆ウケ路線でいってみました、ってこと?(前回この手のロシア系ガラ公演があったときはオーシポワとサラファーノフのドンQpddにこれと近いものがあったけど・・・まぁでもあの二人の場合は二人揃ってテクニックが笑っちゃうぐらい凄かったから、ほんとただ笑うしかない、って状況でしたが・・・こちらはヌニェスはともかくソアレスはテクニックないし。←サラファーノフ比)

前回の同種のガラ公演ではこの二人は海賊のpddを踊っていて、私も楽しんで見た記憶があるけど、あれはミンクスだから・・・チャイコフスキーはねぇ・・・。取敢えず、ヌニェスは神秘的な存在にも鳥にも見えなかったし、ソアレスはへっぴり腰だし・・・(口の悪い友人は、「アマチュア・プリンス」って評してたが)。なにより、せっかくのあの官能的でseductiveな音楽が喚起するところとこの二人の生息する世界には、接点がほとんど見出せない・・・とすら感じてしまったからなあ・・・。

"Le Carnaval" Yevgenia Obraztsova, Andrei Batalov

これも初めて見る作品。ボリュームあるティアード・スカート(五段ぐらいあった?)を着用したお人形さんみたいなオブラスツォーワが、お人形みたいな細やかな動きで舞う。彼女に合わせてバターロフもやや戯画的に、お人形っぽい動き。作品自体は取り立ててどうということもない、ラヴリーでやや古風な作風をもった小品・・・というところだけど、オブラスツォーワの踊りと所作の一つ一つに(パリオペ組同様)、正しくホーム・カンパニーの伝統を継ぐダンサーだなあ・・・と思わせてくれるものがあって、嬉しくなる。

"The Dying Swan" Ulyana Lopatkina

ロパートキナの瀕死としては特別心に響いてくるパフォーマンスではなかったけれど、勿論白鳥の姿の彼女を見ているだけでうるうる・・・。どっちかというと、全員登場のカーテンコールのときの彼女の嬉しそうな笑顔が印象的だった。(純真無垢な子供のような表情のロパートキナを見て、なぜか胸が痛くなった・・・)

<完>

おまけ: ガーディアン紙の報道によると、当夜のオペラハウス、なんと「ロシア当局のお尋ね者」が見に来ていたそうです・・・ボディガード三人連れて。今時珍しくもないUK在住のロシアのオリガルヒの一人みたいですが、よりにもよってクレムリンに指名手配されている人物がねぇ・・・大胆不敵というべきか何と形容すべきか。しかし、こういう物騒なお客には今夏のマリインスキー公演・とくにロパートキナ登板の白鳥の日はハウスに近寄ってほしくないなぁ 万が一銃撃戦なんてことになったら・・・(な~んて。ガーディアンから孫引きのイズベスチヤ報道の表現によると、ロンドンはいまやモスクワ、サンクトに次いで"ロシア第三の都市"なんだそうで・・・。)

http://www.guardian.co.uk/world/2009/jun/09/russia-chichvarkin-london-ballet
2009-06-16 09:26 | その他のバレエ・ダンス公演 | Comment(2)
ディアギレフ・ガラ@ROH (6/7) 前半
ちょうど一週間前。全仏決勝、ロジャー・フェデラーがスタイリッシュに二時間弱で試合を決めてくれたお陰で、この夜ROHで行われたディアギレフ・ガラを無事見ることができました。(ファイナルの相手がラファだったら、試合時間が長引いて、きっと見られなかっただろうな・・・)

で、せっかくなので薄れつつある記憶を手繰り寄せつつ、一言メモだけでも残しておこうと・・・

"Tribute to Diaghilev"
Royal Opera House, 7th June 2009


オープニング: バレエ・リュスの映像が数分間流れる。広々とした屋外のオープン・スペースでアンサンブルがアルカイックな動きを繰り返すシーン(ハルサイ?)、男性ダンサーの勇壮な踊り(Polovtsian Dance?)等々。ごく短いこの映像を見ただけでも、尋常でない・溢れんばかりのエネルギーがひしひし伝わってくる。バレエ・リュスの衝撃、間近に接した人にはどれほど凄かったことか・・・

"Scheherazade" Ulyana Lopatkina, Igor Zelensky

耳慣れた音楽が流れてきて、幕があがると、薄暗い舞台に細長のダンサーのシルエットがぼんやり見えている。お~あれは、見紛うことなきロパートキナ!なんとトップ・バッターですか~。となると、奴隷は誰かなぁ ルジ、ゼレ、はたまたイワンチェンコ??と固唾を呑んで見守っていると・・・・左袖から飛び出してきたのは・・・ わっ・ゼレだ~~。

この二人のシェヘラザードって見たことあったっけ?と記憶を慌てて辿りながらも、目は舞台に釘付け。ふぅ~まあ~、なんて格調高いシェヘラザードでしょうか。二人とも動く彫刻のよう・・・品格がありすぎ・古典美にまさるせいか、エロティシズムはほとんど感じられず。ロパートキナはゼレがパートナーだからすっかり安心しきっているのか、心なしか表情が可愛らしいぐらいに見えて、なんとも微笑ましいこと。ゼレは昨秋見たときよりも更に身体を絞っていたような・・・かなり細く見えた。こういう役を踊っていても、しなやかさやセクシーさよりは古典ダンサーの風格と気品が立ち上ってくるところが、彼ならでは。

かれこれ10年以上前に初めてロパートキナのゾベイダを見た時に驚愕したのが、彼女の手の使い方、というか"指"の表現力。ロパートキナは背が高いだけでなく手・足など身体の各パーツが大きいでしょう これって古典バレリーナには必ずしも有利とはいえない資質だと思うのだけど、ゾベイダを踊る彼女が、長~~い腕だけでなく、これまた長~い指を蛇のようにくねらせて"語らせて"いたのに感嘆してしまったのだ。もうこの役も長年踊りこんで、すっかり彼女ならではのゾベイダを創り上げていますね・・・高貴で品格ある・彼女らしいゾベイダも勿論いいけれど、時には自分を完全に解放して・炎のごとく燃え上がるような、そんなパフォーマンスも見せて頂きたいなあ。(コズロフが相手じゃないとダメかなあ・・・)

この二人をトップに持ってきたのは大正解。いきなりロシア・バレエ界の至宝二人のクラス・アクトを見せつけられ、いやがおうにも雰囲気が盛り上がる。

"Daphnis and Chloë" Natsha Oughtred, Federico Bonelli

・・・と、大いに盛り上がったお祭り気分が、早くもトーンダウン(私的に)。もともとこのアシュトン振付作品、私にはぴんとこなくて・・・抜粋で見ると尚更。ナターシャ・オウトレッドはRBからBRBに移籍したダンサーで、多分当夜の出演は誰かの代役(アリーナ?)。ラブリーなダンサーだけど、これといってアピールせず・・・ボネッリはといえば、怪我から復帰したばかりの彼にこんなにリフトの多い作品を踊らせなくても・・・などと雑念に襲われる。

"Petrushka" Dmitri Gruzdyev

お仕置き部屋に閉じ込められたペトルーシュカが苦悩するシーンより。バレエ・リュス作品にビジュアル(美術・衣装)は欠かせない重要な要素だと思うのだけど、ペトルーシュカなんて特に、セット不在は痛いなあ・・・と。そんな不利な条件下でもかなり健闘していたんじゃないでしょうか・・・踊っていたのはドミトリー・グルジエフというENBのダンサー。(最初登場してきたとき、おっマチアスか??と思ってしまった。ピエロ・メークをしていたのだけど、顔立ち、特に目がマチアスに似て見えて・・・)

"La Chatte metamorphosée en femme" Alexandra Ansanelli

今シーズン限りでRBを退団・バレエ界からも引退するらしいアンサネッリが、有終の美を飾るべく、十八番の"猫女"を披露。前回のオペラハウスでのガラ公演で彼女が演じて大受けだった、ナンセンスでデカダンで・超お馬鹿だけど憎めないアシュトンの小品。バレエ・リュスとどういう関係があるのか・無いのかわからないけど、また見せてもらえてよかった。彼女が去ってしまったら、暫く上演されないだろうから・・・(今回は"おもちゃの鼠"の独り・カーテンコールがなかったのが残念!)

"Giselle pdd from Act II" Mathilde Froustey, Mathias Heymann

パリオペから唯一出場のマチルド&マチアス。不思議な人選だなぁ きっと若い二人に似つかわしく・薔薇の精あたりを踊るんだろうなぁ、なんて思い込んでいたところが、蓋をあけてみると・・・なんとジゼル二幕のpdd!

幕が上がってこの二人の姿を認めたとき、ひえっ大丈夫かいな・・・と、瞬時に保護者モードにスイッチ(笑)。ジゼルはパリオペでは特別重要なレパートリーであるので、階級の低いダンサーは普通本公演では(全幕は)踊らせてもらえないはず。(マチアスはエトワールになったばかりだし、マチルドはまだスジェ。)多分それは地方・国外の公演でも同じはず・・・ということは、この二人にとっては日頃このpddすら滅多に(公の場で)踊る機会はないだろう。相当緊張していたはず。

マチルド、普段は見たことのない・神妙な顔つきで踊っていて(当り前か・・・)、新鮮。時折動きがスムースでなかったり、ポール・ド・ブラが変な形になってしまったり、と荒さも目立ったけれど、彼女の表現には確かに「パリオペのジゼル」を感じさせるものがあって、ちょっとぐっときた。このジゼルからもっとも強く受けた印象は、そのフェミニンな表現だったんですよね。(あの勝気でお転婆なマチルドも、紛れもなくパリのダンサーであった!)一方のマチアス、顔立ちはばりばりのキャラクテールだけど、踊りはほんとにノーブルですねえ・・・両足を空中で打ちつけて降りた後アラベスクするシーンの美しさが、目に焼きついてます。二人ともまだまだ荒削りながらもしっかりとパリ・オペラ座のlineage、伝統を受け継いだダンサー達なんだなぁ、と感じさせてくれて、嬉しくなった。(それと、久々に見て感動したのがあのパリオペ仕様のふわふわのロマンティック・チュチュ。デザインはごくごくシンプル、でも良質のオーガンジーを惜しみなく使ってるんだろうなぁ・・・と、ついタメ息。)

"Tamar" Irma Nioradze, Ilya Kuznetsov

この夜最も"unfortunate"な選択というか、ビミョーだった作品。初見だったため、out of contextだからつまらないのか、そもそもあまり大した作品じゃないのか、不明。主にニオラゼの着用していたあまり趣味のよろしくない衣装と、彼女特有のcampな表現のせいで、自分的にはイロモノ系に分類してしまいました・・・。

"Le Spectre de la Rose" Yevgenia Obraztsova, Dmitri Gudanov

夢見る少女そのもののオブラスツォーワ。中性的な雰囲気があって、繊細な表現のグダーノフの薔薇の精。前の作品がちょっと、アレだっただけに、一服の清涼剤のような。大変満足しました。

以上で前半終了~。<続く>

☆ ウエブ版コメルサント紙で若干舞台写真を見られます(なぜかパリオペ組のばかりですが・・・):

http://www.kommersant.ru/dark-gallery.aspx?PicsID=338323&stpid=21
2009-06-15 08:26 | その他のバレエ・ダンス公演 | Comment(7)
「十二夜」 公演評とABT「白鳥の湖」
昨夜千秋楽を迎えた「十二夜」@バービカン、新聞各紙の評を斜め読みしたところ・・・

面白いことに、新聞のカラーで評価がきれいに分かれてます。概して保守系紙では高評価、リベラル・左派系では辛口(たまたま、でしょうけど・・・)。

☆の数で見ると、最高がFTタイムズの4つ、テレグラフ(最保守)が3つ。インディペンデント(リベラル)も3つだけど、内容的には2つに近いような。最も辛口なのがガーディアン(最も左)で、☆2つ。それから、夕刊紙イヴニング・スタンダードがやはり2つ。

星の数が少ない評者に共通したコメントに、歌舞伎の高度に様式化された演じ方が「同じことの繰り返し・いつ終わるとも知れぬパントマイム劇」に見えて退屈・・・というのがありました(ふむなるほど)。あと、イヴニング・スタンダードの評者が、『蜷川氏が国際的な評価を確立したディレクターであることには疑いの余地がないが、私的には彼の舞台にあるのは美しいイメージだけ・中味がない、と常々感じる』と書いていて、う~ん。言いたいことはちょっとわかる気がする・・・打ち上げ花火みたいにド派手に咲いて・散って・後に何も残らない、という美学も、潔くて私は好きだけど。

このレビュー、たまたま最初に辛口の二本を読んで「ひゃ~厳しいなあ」とちょっとびっくりしたんだけど、それは、☆2つってバレエ/ダンスやオペラ評だとそうそうお目にかからないという印象があるので。事実誤認だったらすみません、でも中味結構ネガティヴなことが書いてあっても☆の数は3つぐらいあげてることが多いような気がする。演劇評は厳しいのかなぁ・・・まぁ、シェークスピアということで、この評者の方々は星の数ほど・ありとあらゆる「十二夜」プロダクションをこれまでご覧になってるだろうから見る目もシビアなんでしょうね。

で、今日"バレエ/ダンス評ってやっぱり甘いんじゃないか・・・"と思わされたのが、ballet.coのリンクからざっと読んだABTの「白鳥の湖」評(はい、突然ですがここから話題スイッチします)。タイムズとガーディアンは☆3つ(えっ!あの白鳥に3つもあげるの!?)、オブザーバー/ガーディアンの評者に至っては、『ダンサーのレベルは高い』って・・・絶句。

ABTのマッケンジー版「白鳥の湖」、金曜に鑑賞したのだけど、いや、何というか・・・・。近年全幕古典バレエ作品を見てこれほど気が滅入ったこともない・なんか見ていて悲しくなってくるやら脱力するやら。

いや、想像していたほどはひどくはなかったんですよ 踊りのレベルは。なにせ前回ABTが来た時(確か2年前?)に見た人たちからさんざんホラー・ストーリーを聞かされていて、戦々恐々としてたので、その割には、という意味では・・・。

しかしねえ・・・演出・美術・ダンサーの技術と魅力、全てが見事に中の下のレベルで収束していて、平たくいうと、興奮もドラマもなにもない・バレエを見る喜びも味わえない、「白鳥の湖」ってこんなにつまらないバレエだったか?で、それが世界的に(一応)「メジャー」と位置づけられるカンパニーのパフォーマンスなわけで・・・愕然。

私的に一番困ったのは、このバレエ団がこの作品に対してどういうヴィジョンを持っていて・この作品を通して何を伝えたいのかがさっぱり見えてこなかったこと(思想がない)。舞台に一体感が感じられなかったのはそのせいでは・・・(群舞が揃ってないとかいうのとはまた別の話)。明らかに耳に聴こえてくるのは白鳥の音楽で、目に入るのは白鳥のステップ・・・だけどこれは私の知っている白鳥とは似て非なるもの。(で、一幕の、まるで精気の感じられない群舞の踊りを見ながら決意したことが。「マリインスキーの白鳥のチケットをアップグレードせねば!」と。きょうびまともな(&自分の美的好みに合う)白鳥の湖を見る機会は稀にしかないのだ、とひしひしと実感して、この白鳥に12ポンド出したならマリインスキーの白鳥に95ポンドだしてもバチは当たるまい・・・と固く心に決めたのでした。)

当夜の主要キャストは、ヴェロニカ・パルト(オデット/オディール)、マルセロ・ゴメス(ジークフリート)、デヴィッド・ホールバーグ(ロットバルト)。パルト目当てでこの日・3日目を選んだのだけど、彼女にはややがっかり・・・。マリインスキー時代の彼女を全幕の主役で見たことはなかったけれど、まずまず良い印象を持っていたので、期待していたのだけど。相変わらずグラマラスな美女だけれど、バレリーナのオーラには欠ける。踊りは可も無く不可もなく・・・なのだけど、びっくり(&落胆)したのが、ポーズが美しくないこと・・・。ワガノワのバレリーナといえば彫琢されたクラシカルなポーズの美しさがトレードマークの一つのはずだけど・・・あれは、マニエリズム~バロックまでいっちゃってますね(いや、今のロシアにはこういうダンサー少なくないですが)。そして、マイムのシーンなどで表現がやや大袈裟というかニュアンスに欠ける。全体に、どうも私には魅力の薄いオデット/オディールだった・・・。

デヴィッド・ホールバーグも見るのを楽しみにしていたダンサーなんだけど、特筆事項なしというか。確かに美脚の持ち主、スター性もそこそこありそう。この版のジークフリートは二人のダンサーが演じるのだけど、ホールバーグは美味しい部分担当。(二幕の舞踏会にオディールを伴って登場、女王や各国の王女達を誘惑する・・・マシュー・ボーンのスワンからアイデア借りたか?という役どころ)この誘惑者・ロットバルトは典型的なドゥミ・キャラクテールの役の造形なので、踊りはバリバリに上手くなくちゃいけないし・カリスマもなきゃいけない、完璧な"show stopper"たることを求められる、結構大変な役回りだと思うんだけど、その部分ちょっと弱かった。

主要キャストの中で(というか全ダンサーの中で)一番好感度高かったのは、マルセロ・ゴメス。正直踊りは大したこと無いかなと思ったけれど、大柄なのにとてもソフトな動きと所作、演技も真摯で、この集団の中でもっともエレガントなダンサーはこの人だったかと。

・・・というわけで、私自身の感想は比較的穏便な?プロの評よりballet.coにわずかながらポストされているアマチュア・クリティックのそれ(失望した・・・との声がいくつか)と近いです。(そもそも感想がほとんど投稿されていないという事実が多くを語っているのではないかと・・・)もっとも、ご参考までに申し添えますと、当夜の観客の反応は決して悪くはなく、カーテン・コールではブラヴォーもとんでました。(チケット売れてないと散々言われていたけど、演目が白鳥で金曜の夜というせいもあったのか、お客の入りは7割ぐらいはいってました。)

American Ballet Theatre "Swan Lake"(27/3/09)

Choreography: Kevin McKenzie after Marius Petipa & Lev Ivanov
Music: P.I. Tchaikovsky
Sets & Costumes: Zack Brown
Lighting: Duane Schuler

Odette-Odile: Veronika Part
Prince Siegfried: Marcelo Gomes
Benno: Gennadi Savaliev
von Rothbart, An Evil Sorcerer: Vitali Krachenka,
David Hallberg

Pas de Trois: Maria Riccetto, Isabella Boylston, Gennadi Savaliev
Cygnettes: Yuriko Kajiya, Sarah Lane, Misty Copeland, Marian Butler
Two Swans: Hee Seo, Nicola Curry

Conductor: Charles Barker
Orchestra of English National Opera
2009-03-30 11:06 | その他のバレエ・ダンス公演 | Comment(2)
<Prev
03
--
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
--
>>
<<
--
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。